臨海副都心開発会計の破綻
1 臨海副都心開発会計の破綻
臨海副都心開発会計(以下「臨海会計」という)の支出は借金の利息を含め年間約500億円にのぼるが、収入は土地貸付料など百数十億円程度。このため毎日1億円ずつ赤字が累積しており、3月末には累積損失が5000億円を上回る見通しである。
また、臨海会計は地方債の残高が2000年度末で5185億円、埋立会計から2920億円、羽田沖埋立会計から710億円の借入金をかかえている。
それにもかかわらず、都は債務超過となった第3セクター5社の支援を臨海会計で負担させており、第2次企業公募を2000年7月から開始したものの応募企業はゼロという惨憺たるありさまで、臨海会計は深刻化の一途を辿っている。
このような臨海会計の破綻処理策として、都は臨海会計を埋立会計および羽田沖埋立会計と統合する案を検討している。統合すれば臨海会計は埋立会計からの2920億円、羽田沖埋立会計からの710億円の借入金を返済する必要がなくなるばかりか、埋立会計から現物出資された都有地183ヘクタール(1兆2000億円相当)についても義務を免れることになる。そのうえ、埋立会計が保有する資産2500億円相当(毎年37億円の賃料収入を含む)も臨海会計の赤字の穴埋めに投入される。それらの臨海会計が受ける利益を単純に合計すれば1兆8000億円以上になる。
もともと鈴木都知事は都民に迷惑はかけないと豪語してこの開発を推進した。埋立会計や羽田沖埋立会計は都民の財産であり、それを臨海会計と統合することは1兆8000億円以上の都民財産を破綻した臨海会計の穴埋めに投入することであり、新たな公的資金投入に道を開くものである。そして、それは同時に臨海副都心開発の大失敗の責任を曖昧にするものでもある。
2 深刻な環境破壊
自治労連都職労港湾支部が2000年11月30日から12月1日にかけて行ったNO2測定によると、12か所で環境基準を超え、有明北地区をはじめ、青海地区、台場地区などで大気汚染が酷い状態であることが明らかになった。臨海副都心は中心部を首都高速湾岸線と東京湾岸道路の10車線の道路が横切り、1日約16万台の自動車が通っているうえ、レインボーブリッジを通る自動車の排出ガスが影響し、都内有数の大気汚染地帯となっている。
ところが、都は臨海副都心開発に関連して、幹線道路の建設、既存道路の拡幅・延伸などを予定しており、大気汚染の一層の悪化は必至である。
また、江戸前ハゼの棲む貴重な浅瀬を守るよう求める都民の声に反し、石原都知事は旧有明貯木場の海面埋め立てを強行した。これも道路建設がらみであり、環境対策を宣伝する石原都知事の言行不一致を如実に示している。そして、この埋め立ては関連事業を含め1300億円を投じる新たな事業であり、これ自体が無駄な公共事業の典型でもある。
3 一層の危機
都港湾局が臨海副都心で処分を予定している土地は139ヘクタールであるが、これまでに処分したのは62ヘクタール(45%)で、ほとんどが貸し付け方式であった。幹線道路や共同溝など都市基盤の整備費用は進出企業の権利金や地代でまかなう受益者負担方式でスタートしたが、バブル崩壊で破綻。都は3兆5000億円をつぎこんだものの、30年間の長期収支で5兆5000億円以上の穴があくと言われている。
都港湾局では、臨海開発を継続するには今後、投資と借金の返済に約2兆円かかると試算しており、その資金を土地売却で調達するには1平方メートルあたり185万円以上にしないと採算ラインを下回るとのことだ。
しかし、これまでの企業への土地処分はダンピングの連続であり、それ自体が都民財産の格安の払い下げ以外の何ものでもない。今後売却するということになれば、これまた買い叩かれ、貴重な都有地が破格の安値で払い下げられることになりかねない。そして、それによってあいた穴には都民の税金や公金が投入され、都民生活は犠牲を強いられ続けるであろう。
もういい加減にこういう馬鹿げたシステムを葬り去らないと、取り返しのつかないことになるのではないか。それが気がかりである。
本稿は自由法曹団東京支部の特別報告集に寄稿したものです。