真珠採り
 ビゼーのオペラといえば何といっても<カルメン>が有名ですが、このページではそれに先立つ事およそ十年の作品<真珠採り>を御紹介して行きたいと思います。今からおよそ45年ほど前、リカルド・サントスというラテン系の名前を持つポピュラー音楽のオーケストラ(本名はウェルナー・ミュラーという独逸の楽団)がマンドリンをフューチャーした<真珠採りのタンゴ>をリリースし大ヒットしたものでしたが、この曲はこのオペラの中でナディールによって歌われるアリア<耳に残るは君の歌声>をアレンジしたものでした。<真珠採り>はビゼーにとって最初の本格的なオペラ作品でしたが、初演が不評だった為に二ヵ月後にはオペラ・コミック座のレパートリーから外されてしまい、1886年になって蘇演され今日に至っています。また、台本の舞台はビゼーによってメキシコからスリランカに変えられています。尚、作曲家についての概要は<此処をクリック>しても御覧板だけます。又、をクリックすると、本文が各一ブロックずつジャンプいたします。 
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 作曲者 ジョルジュ・ビゼー
 作曲年 1862〜1863年
 舞台  まだ未開発だった頃のスリランカ
 台本  ミシェル・カレ、ウージェーヌ・コルモンに依る仏蘭西語
 初演  1863年、パリのリリック劇場
主な登場人物
 レイラ    ナディールの昔の恋人で、現在はバラモン教の尼僧
 ナディール  森に起居しているズルガの旧友
 ズルガ    漁夫達の頭領
 ヌーラバット バラモン教の高僧
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第一幕  未開時代のセイロン島の浜辺 
 
荒涼とした浜辺で真珠採りの漁夫や女、子供たちが集まって酒宴を催し歌い踊っている所へ漁夫のズルガが現われ、新しい頭領を決める時が来たと皆に告げる。人々はズルガこそが新しい頭領に相応しいと彼を推薦し、服従を誓う。そこに長い間遠くへ行っていた、ズルガの旧友ナディールが姿を現すので皆は驚く。彼は森や草原で獲物を追っていた生活を人々に語って聞かせ、ズルガを始め漁夫達は暖かく彼を再び仲間として迎える。漁夫達が立ち去ってズルガとナディールの二人になると、かって二人でバラモンの美しい尼僧に思いを寄せ彼女への恋で争った事を話しながらも、過去を水に流して改めて互いの友情を誓い合う<神殿の奥深く> 。其の時高僧ヌーラバットと、顔を白いベールで覆った尼僧を乗せたカヌーが着く。尼僧は漁夫達の安全と豊漁の祈りを神に奉げる為に来たのだが、ズルガは彼女に一生ベールを外さず純潔を守ることを誓わせ、もしこの誓いを破ったら死罪にすると申し渡す。ナディールは尼僧の声を聴いて彼女が昔の恋人レイラであると気付き、レイラもナディールの姿を認めて激しく動揺する。それを知ってズルガは今ならまだ誓いを取り消す事が出来ると言うが、レイラは誓いを守ると言って寺院に向かう。一人残ったナディールは今尚レイラを愛している事を覚り、彼女の歌声をもう一度聴きたいと願いながら何時しかまどろみ眠ってしまう<耳に残るは君の歌声>。ヌーラバットはレイラを断崖の上に導き、ここで漁夫達の安全を祈るように命じ立ち去る。彼女が祈祷を始め崖の下では僧侶達が神を讃えていると、其の声で目覚めたナディールは崖の下に近付き、一瞬ベールを取った尼僧がレイラであることを確認する。彼が驚喜してレイラに呼び掛けると、彼女も僧侶達に気付かれないように歌の中で彼に答える。
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第二幕  海を見下ろす荒れ果てた寺院 
 ヌーラバットは、真珠採りの舟が神の加護に依り無事戻ったから今日の祈祷は終わりにしてよいとレイラに伝え、寺院に独り留まってズルガとの誓いを守って今後も神に仕えるように命ずる。レイラは幼い頃に一人の逃亡者を命がけで守り、其のお礼に男から首飾りを貰った事を話し、誓いは必ず守ると語る。ヌーラバットは武装した教徒達に彼女を見張っているように命じて立ち去る。独り夜の闇に残されたレイラは恐ろしさに耐えながら歌うが<いつかのような暗い夜に>、やがて遠くからレイラの美しさを讃えながら、ナディールが現われる。此処は危険だから近付かないようにとレイラはナディールに言うが、彼への愛に抗し切れずズルガとの誓いを破って二人は抱き合う。明晩の再会を約して別れようとした時銃声がしてヌーラバットが教徒達と共に現われ、逃げようとしたナディールを追いかける。やがてナディールを捕らえたヌーラバットが戻って来て、レイラとナディールを処刑しようとするが、そこに駆けつけたズルガが人々の怒りを鎮め、友情を誓い合ったナディールを庇って二人を許すように皆を説得する。二人が立ち去ろうとした時、ヌーラバットが尼僧の顔を見ようとして彼女のベールを取ってしまう。尼僧がレイラであると知ってズルガは、友情を裏切られた怒りと嫉妬から二人に死刑を宣告してしまう。
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第三幕・第一場  明け方の海辺 
 海辺に張ったテントの前でズルガは、一時の怒りと嫉妬の感情に任せて二人に死刑宣告をしてしまった事を深く悔いている <嵐も静まり>。そこへ漁夫に引き立てられたレイラが現われ、自分からナディールを誘惑したのだからどうか彼を許して欲しいとナディールの命乞いをするので、此れを聞いたズルガはナディールの方から自分との友情を裏切ったわけではない事を知り喜ぶ。しかし美しいレイラの姿を見ているうちにズルガはナディールに対する嫉妬心が頭をもたげ自分もレイラを愛していると告白するが、飽くまでナディールとの愛を貫こうとする彼女にズルガは怒り狂う。そこにヌーラバットが処刑の準備が出来た事を知らせに来る。この時レイラは、幼い時に自分が命がけで救った逃亡者から謝礼のしるしとして貰った首飾りを形見として母親に渡してくれるよう兵士の一人に頼む。レイラの首飾りを見たズルガは、逃亡生活を送っていた時の命の恩人がレイラであった事を知り、今度は自分が彼女を命がけで守ろうと決心する。
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   ・第二場 森の中
 火刑台が用意された森の中で、柱に繋がれたナディールを前に人々が酔いに任せて歌い踊っている。ヌーラバットがレイラを連れて現われると、人々の怒りの言葉を浴びながらも二人は共に死ぬ事の喜びを高らかに歌う。そこにズルガが息せき切って駆け込んで来て部落が火事になったと叫ぶので、皆は消火の為に急いでその場を立ち去る。この隙にズルガは、レイラに向かって貴女こそ私の命の恩人だったのだと告白し、恩返しの為に二人を逃亡させようと村に火を放った事を明かす。愛し合う二人はズルガに深く感謝して逃亡するが、其の一部始終を聞いていたヌーラバットは戻ってきた人々にズルガの裏切り行為を告げる。そして人々の凶刃に傷ついたズルガは、レイラの名を呼びながら事切れる。遠くから無事に逃げ切ったレイラとナディールの声が聞こえる中、幕となる。
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お奨めディスク 
 私がこのオペラの下調べをしている頃、偶々某書店でGRANDOPERA・Vol35を見つけ購入したところ、この作品が2005年5月のオーチャードホールで上演された事が載っておりました。其の主な配役と右の写真に有るディスクのそれは同じものでしたので、GRANDOPERA誌の記事を興味深く読んだのですが、まぁ絶賛と言うほどではなく、かなり突き放したような印象を受けました。と言うわけで、この作品はカルメンやヴェルディ、プッチーニのメジャーな作品と比べると演奏機会が少なく、従ってヴィデオディスクも選択肢が少ないと言う事もあって、GRANDOPERA誌では少し冷遇されている、右の写真のディスクを御紹介したいと思います。舞台演出は、メトロポリタンオペラでよく有るような保守的且つ写実的なものではなく、簡素なフロアに寺院をかたどった建物を配置し、割と象徴的な造りのステージ上で物語が展開されていきます。何と言っても有名なアリアはナディールによって歌われる<耳に残るは君の歌声>ですが、ズルガの後悔の気持ちを歌う <嵐も静まり>など普段は余り聞く機会の無い歌唱を愉しむ事が出来ますので、カルメンと比べたらやや小味なオペラではありますが、もし機会があれば是非見て頂きたいと思います。唯一つ、ナディール役を日本人の中島康晴が担当していますが、日本人の私から見ると外見的にやや違和感が無いでもありません。これは伊太利亜人歌手の歌う喋々夫人が今一つどころか今三つくらい違和感が有るのと同様仕方が無い事かもしれませんが。私はミレッラ・フレーニが白いブラウスに黒いスカート、大正時代の髪型で<ある晴れた日に> を歌う映像を見て思わず倒れそうになったことがありました。話を戻しますが、レイラは中々楚々とした姿で、またズルガは堂々とした姿で最後は自分の命を投げ出してナディールとレイラを守る男らしい役を好演しています。尚、下にこのディスクの主な配役を列記しておきましたので、参考に供して下さい。(2006.10.31)
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主な配役
 レイラ    アニク・マシス     ソプラノ
 ナディール  中島康晴        テノール
 ズルガ    ルカ・グラッシ     バリトン
 ヌーラバット
 ルイージ・デ・ドナート バス
 指揮     マルチェッロ・ヴィオッティ
 演奏     フェニーチェ歌劇場管弦楽団・合唱団
 演出     ピエール・ルイージ・ピッツィ


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