逸品さんです

 

 

愛読書は攻略本

逸品 No.1 「任天堂公式ガイドブック」

 

 

裏技。
小学生の頃爆発的なブームとなったファミコンを語るうえで
外せないキーワードが、当時の子どもたちが作ったといわれる
「裏技」という言葉である。
元はゲームのバグ(プログラムミス)を利用した技を指す言葉だったが、
裏技を発見することがゲームの楽しみのひとつとなったために、
開発者があえて隠しコマンドとしてプログラムしたものも
裏技とされるようになった。
「無限アップ」や「無敵状態」と言えば、
当時ファミコンにハマった人なら説明せずともわかるだろう。
そしてそのような裏技をはじめとして、
マップや敵キャラのデータ、種々のテクニックを紹介したのが、
攻略本とよばれる書籍だった。

 

スーパーマリオワールド

僕が初めて買った記念すべき攻略本。表紙はなんと宮本茂の直筆イラスト。任天堂の歴史紹介ほか、吉田戦車、しりあがり寿の漫画もありバラエティに富む。後に裏面のデータも網羅した完結編も発刊される。こちらももちろん所有。

 

僕の攻略本好きは、
ファミコンというものを手に入れるずっと前から始まっている。
「ゲームは目に悪い」が親の口癖で、
ファミコンの購入は許可されなかった。
だから僕は実際のファミコンソフトで遊ぶかわりに、
攻略本を読んで想像の世界に浸ることが多かった。
本屋で雑誌を立ち読みし、
新発売のおもしろそうなソフトをチェックする。
待つこと数週間、
そのソフトの攻略本が店頭に並ぶやいなや片っ端からじっくり読む。
買い集めるお金などなかったので、
時には店員に嫌われながら立ち読みし、
時には無理を承知で図書館に取り寄せてもらい、
攻略本を愛読書としていた。
「スーパーマリオ」
「ドラゴンクエスト」
「ファイナルファンタジー」。
名作と言われるソフトの筋や登場人物、テクニックや裏技の知識は、
クラスの他の誰より詳しかったと思う。
もちろん、触ったことすらないソフトばかりだったのだが。

 

MOTHER2 ギーグの逆襲

バーチャルなリアルさではなく、ゲームとしての肌触りを追求した名作RPG。ゲームに対する任天堂の考え方をよく表しているといえる。旅行ガイドに似た雰囲気の解説文は、ゲームの趣向と見事に一致している。スチャダラパーや鈴木慶一のコラム、しりあがり寿の4コマも面白い。

 

やがて小学校の学年が上がると、少しではあるが、
特に気に入った攻略本は家の本棚に並べられるようになった。
この頃から目が肥えてきて、
良いソフトとそうでないソフトを雑誌の情報から
ある程度確実に判断できるようになり、
また同じソフトの攻略本でも、
出版社によってそれぞれに質の違いがあることに気づきだした。
誤植は少ないか、画面写真は豊富か、裏技は詳しいか、
中味を語りすぎてゲームの面白みを削いでいないか、など
自分なりの評価項目も立てるようになった。
そのうちに、いつもその基準をパスする、
完成度の高い攻略本シリーズが見つかった。
それが、小学館とAPEにより企画編集された攻略本
「任天堂公式ガイドブック」である。

 

マリオペイント 末はピカソか、ビートルズ。

パソコンが普及する前に、過程にデジタルペイントの基礎を持ち込んだ革命的ソフト。アニメや作曲もできる。インスピーレーションやちょっとしたヒントをちりばめた紙面は、ユーザーが自由にソフトで遊んでもらえるようにとの配慮だろう。ナンシー関やスージィー甘金らの作品が紹介されていて興味深い。

 

かねてから任天堂よりの小学館のワンダーライフスペシャルと、
MOTHERシリーズのボス糸井重里率いるエイプ。
このふたつが協力してできたこの攻略本シリーズは、
当然ながら任天堂のソフト専門の解説本である。
スーパーマリオ、ゼルダの伝説、スーパーマリオカート。
通ならずとも知っている名作がずらりと並ぶ。
ゲームの基本操作にはじまり、
マップガイド、テクニック、裏技など押さえるべき情報が網羅されており、
ほぼ全ページカラーで図版も多く見やすく楽しい仕上がりになっている。
これは基本的かつもっとも重要なことだ。
情報量という点では水準を保っていても、
その見せ方にも工夫がなされているものは圧倒的に少ないのである。
これは、現在山のように出回っているパソコンの解説書の類いを考えればわかるだろう。
付属のマニュアルのわかりにくさを各出版社が槍玉に上げていながら、
真に使いやすい市販の解説書がどれほどあるだろうか。
そのくらい、情報の整理、編集は難しい作業なのだ。

 

ゼルダの伝説 神々のトライフォース 上・下

言わずと知れた名作。見やすいマップはもちろん、物語を詳細に追いながらもイベントの種明かしはしない良心的方針で編集されている。随所に挿入された西洋の風景写真も、ゲームの世界観とリンクして気持ちがいい。ゲームとコミックの関係を論じたコラムや、しりあがり寿のエッセイも収録。

 

「任天堂公式ガイドブック」が優れている点は、これだけではない。
まず、巻末に開発者のインタビューが掲載されていること。
宮本茂(任天堂の名作の生みの親)をはじめとする
開発スタッフたちの座談会の形式で、とても中味が濃い。
制作過程での苦労話ひとつをとっても、
彼らの発想や考え方の豊かさが垣間見え、
ゲームという枠を越えて読者にインスピレーションを与える。
ここだけでも本にできそうなくらいだ。

次に、必ず遊びの要素があること。
4コマ漫画や笑える用語集、クイズ集やコラムなど
その内容は本によって異なるが、
こうした息抜きの要素は本自体の楽しさ、軽やかさを演出している。
情報やデータで紙面を埋め尽くさないことで
読み物としての本の完成度も上げている。

さらに評価すべきはそのデザイン性。
「ゲームは子どものもの」とは一理ある言葉だが、
このシリーズは読み手の対象年齢を高く設定している、
つまり大人にも満足できるような品のある紙面という印象を受ける。
表紙はシックかつ大胆、
中味も細部まで配慮が行き届いたデザインであるのがシリーズの共通点だ。
ソフトのパッケージをそのまま表紙に持ってきた攻略本が多いなか、
独立した本としての体裁を目指す姿勢は高く評価できる。
では、子どもには向かない本なのかといえば決してそうではない。
豊富なビジュアルは、たとえ一字一句を読まなくても
十分に「攻略本」として使える。
難しい漢字にはちゃんとふりがなが振ってあるから安心。
まさに、読み手の様々なニーズに
この一冊できっちり答えることのできる仕上がりなのである。

 

スーパーマリオカート

チェッカフラッグ風の格子模様にモノクロマリオの表紙が美しい。もうそれだけで買いたくなる。

 

良い装丁の本は読まずとも本棚に置いておきたくなるように、
質の高い攻略本はたとえそのゲーム自体を持っていなくても
読み物として十分に魅力的だ。
だから買わずにはいられないし、読み返さずにはいられない。
今も昔も「ゲームは任天堂」という譲れないポリシーがある僕だが、
そのきっかけを作ったのは、この攻略本シリーズだったと思う。

 

 

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