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Reed Organ


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十九世紀のオルガン音楽を語る時に忘れてはならないのは、世紀中盤に相次いで誕生した二つの新しいオルガンのことです。一方は、伝統的なパイプオルガンの各部に改良を加えることで時代の要求である 「音量の連続的変化」 を実現した シンフォニック・オルガン、そしてもう一方はここで取り上げる、奏者自らが送風を制御することで 「音量の連続的変化」 を達成したハーモニウムまたはリードオルガンと呼ばれる、どちらも科学技術の発展を反映した野心的かつ極めて完成度の高い楽器です。  
     
  「音量の連続的変化」 というと何やら難しそうですが、つまりクレッシェンドデクレッシェンドのことです。バッハの死後、モーツァルトの時代を経て、音楽表現は大きく変わりました。同じ鍵盤楽器でもチェンバロがピアノに道を譲る中、オルガンだけが孤高を保てるはずもなく、時代の要請に応えるための模索が続けられます。しかし伝統的な パイプ という音源に固執する限り、音量を連続的に変化させることは殆ど不可能であることが試行錯誤を通じて次第に明らかになり、パイプ (ここでいう パイプ とは、縦笛と同じ構造で音を出す筒状の物体を指します) とは全く異なる 『自由振動リード』 という特殊な振動体に俄然関心が寄せられることになります。身近なところでは雅楽の笙の笛や ハーモニカ あるいは アコーデオン でおなじみの、金属板に片仮名の 「コ」 の字状の切り込みの入った単純な仕掛けです。  
     
  この単純な仕掛けには、ところが驚くべき秘密が隠されていました。同じリードでも、クラリネットやサキソフォーンでは息の強さを変えていくと、ある時点で音がひっくり返ってしまうのに、自由振動リードでは同じ音程を保ったままで、音量だけが変化するのです。この特性を活かし、また従来のパイプオルガン同様ストップによる音色変化を可能にしたのが、ハーモニウム または リードオルガン だったのです。この楽器はパイプオルガンに比べると大変小柄で、量産による低価格化も味方して、新興の中産階級、小教会、学校 (特に日本) で大ブームを巻き起こします。芸術的表現のレベル向上とあわせて、音楽の普及・大衆化にこの楽器が果たした役割について、再評価する時期に来ているのではないでしょうか。  
     
  日本では、次の団体がこの楽器の復権を支援しています。お手持ちの楽器の修理、演奏指導、演奏会の企画と案内、楽器・楽譜・CDの斡旋、研究のお手伝い等、一度ご相談下さい。

日本リードオルガン協会 (Reed Organ Club Japan)
事務局:〒264-0017 千葉県千葉市若葉区加曽利町 1822-15, 鈴木淑弘 様気付

 
     
十九世紀初頭というと、身近なようで案外実体の知られていない時代のように思われます。ヨーロッパではフランス革命に端を発した大混乱が漸く収まりを見せようかという時期で、多くのパイプオルガンは戦時供出で金属製パイプを持ち去られ、教会が絶対王政下の特権階級の一つと見なされていたせいで、大なり小なりの破壊行為の対象となっていました。この時代にオルガンがどんな音楽を奏でていたかは、現代フランス屈指のオルガニストであるイゾワールCDに明らかです :
L'orgue francais sous la revolution : CALLIOPE CAL 9917

旧勢力に代わって社会の実権を握ったブルジョワジー (中産階級) の趣味や考えが徐々に社会に反映されるようになると、芸術もこれとは無縁でいられなくなるのは当然のことで大がかりなオペラに代表される劇場と、神童リストに代表されるサロンが、音楽の話題の中心となっていきます。ブルジョワジーの宗教観も極めてムーディーな 「信仰そのものを追い求めるというより、宗教的イメージの中で瞑想する」 ロマンティックかつ色彩的なものでした。グノーの 『アヴェ・マリア』 はその良い例です。

リードオルガンの登場は、それまでオルガンにあまり関心を示さなかった音楽家達に刺激を与えます。ベルリオーズビゼーロッシーニといった面々は、リードオルガンが初めて可能にした、鍵盤楽器による親密なクレッシェンドを大いに満喫したようです。

 
     

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このページのタイトル画像は、
ドゥバン製ハーモニウム (c.1860), Collection Joris Verdin
の写真を加工したものです。
© 1995 Shoichiro TOYAMA
 
アップデート:2001/6/24 by 遠山 祥一郎
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