第5章 建物の構造
その7 瓦を使った屋根



本瓦と桟瓦の断面イメージ

 
本瓦(左)と桟瓦(右)

〜 本瓦と桟瓦 〜

 前頁で紹介したとおり、織田信長の安土城以降、城郭に瓦葺きが本格的に使用されはじめました。

 これは瓦のほうが防火性に優れているため、攻防を繰り返す城郭にはうってつけの屋根材であるほかに、瓦葺のもつ重厚さや、反りを与えた曲線美など、権威の象徴としての役割も持っていたと考えられ、江戸時代に入ると瓦屋根は武士の屋根として位置づけられ、町民農民には瓦屋根を葺くことを禁止していました。

 城郭建築を含め、元々日本に伝わってきた瓦葺きは、平瓦と呼ばれる小さな反りのついた四角い瓦と、丸瓦とよばれる円筒を半分に切った形の瓦を組み合わせて葺くもので、これを「本瓦葺き」と呼びます。

 これに対し、平瓦に「桟(さん)」と呼ばれるふちを作って、丸瓦の代わりの役目をさせることにより、これまでの瓦を簡易にしたものを「桟瓦葺き」と呼びます。

 桟瓦は1674年に近江国の瓦師、西村平兵衛が考案したといわれており、本瓦のように丸瓦と平瓦の二種類を使用することがありませんので、安価でかつ、葺き易い瓦です。