高齢者介護における感染対策
特定非営利活動法人バイオクリーン・ラボ事務局
■MRSA相談室(ご相談の際は予めご利用規約をお読み願います)
転載を禁じます
■相談事例に見る高齢者施設のMRSA保菌者受け入れ拒否の実態
■福祉施設でのMRSA保菌入所者への対応についての相談事例(3題)
■高齢者介護施設での学生実習に際して学生への腸内細菌検査の是非について
■MRSA保菌者に対する介護施設の対応と家庭内での除菌について
■訪問入浴サービスでMRSA患者さんの使用した浴槽消毒について
■MRSA保菌者の入浴介助時における感染対策での手袋着用の是非について
■高齢者福祉施設でのMRSA保菌者への入浴介助時の対応について
■とびひ罹患ADL低下高齢者への在宅介護での患部消毒剤について
■訪問看護における重度のMRSA感染患者への医療処置について
■在宅看護の場での高度医療化に伴う感染対策の質疑応答事例:PEG施実例
【相談事例に見る高齢者施設のMRSA保菌者受け入れ拒否の実態】
「バイオクリーン・ラボ通信第150号(2005年4月号.200503Aより)
【相談事例1】:老健施設に入所の申請をする為に健康診断書を提出したところ,MRSA陽性とのことで入所を拒否されました.主治医に聞きましたところ,本人は別に体調も悪いわけでもないし,外部にも感染するものではないという診断でした.しかし施設側は陰性にならない限り入所は無理で,治療すれば陰性になるので治療をしてはどうかと言われました.ところが主治医は,抗生物質を使うので副作用の方が危険なので除菌治療はしないほうが良いと言われます.除菌することは難しいものなのでしょうか?除菌治療を受け老健施設に入所出来ることを願っています.(市民)
【感染症学専門家コメント】:鼻腔にMRSAを保菌しているだけですから、鼻腔内のみの除菌をすればいいと思います。鼻腔の除菌剤としてムピロシンというものがありますから、これで除菌されたらどうでしょうか。担当医に申し出て試してみて下さい。
【相談窓口担当者コメント】:厚生労働省では,MRSA保菌を理由にした診療拒否に対しては,それを正当な理由による診療拒否とは認めていません.この行政上の見解を根拠に,例えば東京都ではMRSA保菌を理由にした入院拒否や福祉介護施設の入所拒否,サービス利用拒否は不当であるとしています.ただしお住まいの都道府県によってはその行政の解釈に統一性がないのも事実です.もし東京都にお住まいでしたら,都庁の保健福祉局に相談されますことをお勧めいたします。鼻腔内の保菌とありますので,通常はムピロシン軟膏の塗布で除菌します.この場合,3回検査を行いMRSAが陰性である場合に除菌されたと判定されます.ただしムピロシンは抗生物質ですので,お身体が衰弱されたご高齢者の場合などには副作用の心配が生じますので,主治医がその使用を躊躇されているにはそれなりの理由があるのだと思いますので,その内容を主治医からお聞きになられた上で,除菌されないと受け入れ貰えないので困っていることを正直に訴えて相談に乗っていただくことが問題解決への早道のように思われます.主治医に相談されても解決の糸口が見出されない場合には,老健施設に直接掛け合って,MRSA保菌を理由にした診療拒否を厚生労働省は認めていないことを相手側に伝え,受け入れを依願されてみてはいかがでしょうか?
【相談事例2】:脳梗塞のため入院いたしましたが,だいぶ回復しそろそろ退院後の事を考えなければならない時期になりました.本人は有料老人ホームに入所を希望いたしております.入院中MRS保菌者であると判りましたが今現在症状はありません.ホーム入所の際には健康診断書提出が義務付けられていますが 保菌者は入所できないのでしょうか?(市民)
【相談窓口担当者コメント】:厚生労働省は,MRSA保菌(症状がない)を理由にした診療拒否などは正当な理由として認められないとする見解を,関連施設や機間に通知してありますが,現実的にはMRSA保菌を理由にした診療拒否(この場合は入院の拒否が大半)や,高齢者介護施設への入所拒否やディサービスなどの利用拒否が罷り通っている実態があります.しかし,一部の自治体では厚生労働省の通達に基づいた施設への適正な対応をとるように行政指導を実施しているところもあります.また,保菌者への偏見に基づく介護施設への入所拒否などを防ぐ意味合いもあって,一般的な健康診断書欄には保菌の有無を記載する項目(欄)自体が存在しません.もし保菌の有無を記載する診断書の様式となっている場合は,それはその施設独自の様式による診断書といえます.ご相談では有料老人ホームを考えておられるとありますので,企業体の運営する老人ホームは高齢者介護施設とは別に法的に位置づけられていますので(ホテルをイメージすると理解されやすいと思います),保菌を理由にした入所拒否の有無は,それぞれの経営者の方針によって異なってきます.実際的に希望されています有料老人ホームに,匿名で問い合わせてみますとその受け入れの有無が分かるでしょう.現在の入院先にMSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー;福祉相談員)が勤務されていますならば,病院の福祉相談室でMSWに保菌者を拒まない施設の情報を提供していただくとよいでしょう.さらには,お住まいの地域の自治体の介護保険課に,保菌者を拒まない施設を教えて欲しいと相談されますと,情報が集まっているので具体的な施設情報が得られるかと思います.また,もしお知り合いにケアマネージャーがおられましたら,ケアマネージャー間のネットワークで種々の地域の施設情報が共有されていますのでご相談されてみますのもよいでしょう.当相談室としましては,MRSA保菌者への介護施設等の入所拒否は医学的な根拠を欠いた不当な行為と見なしますが,現実的にはまだまだMRSAへの過剰な恐怖心や偏見に基づく保菌者への差別的な待遇が罷り通っているのが実状です.
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高齢者福祉施設を中心にしたウイルス性の急性胃腸炎の感染者は、47都道府県で5000名を優に超すまでになっています。このように広域的に、それも食中毒事件ではなく施設内感染(一部は院内感染)がこのような規模で報告されたことは、かねての腸管出血性大腸菌O157の悪夢以来の出来事になっています。まさに感染症アウトブレイクの非常事態宣言が出されたのも当然の最悪の事態を招いています。今回、問題になっています代表的なウイルス性の胃腸炎には、ロタウイルス・ノロウイルス、腸管アデノウイルスがあります。いずれのウイルス性胃腸炎とも、糞口感染をその感染経路にしている点で共通していますが、冬期には糞口感染以外の感染経路もあるのではないかと推測されている(未定)。
今回大きな問題になっていますノロウイルスは、1本鎖のRNAを遺伝子に持つタイプのウイルス(レトロウイルス)で、エーテルや酸に対して抵抗性を示します。かねては小型球形ウイルス(SRSV)や、ノフォークウイルス(国内では札幌ウイルス、愛知ウイルスと呼ばれた時もあります)が、現在ではそれらが一つのノロウイルスとして分類されています。
ノロウイルスは主に魚介類(特に冬場の生牡蠣)の生食で感染する食中毒も多発しています。ウイルスに汚染された生牡蠣などの生食で経口的に消化器系に入って同ウイルスは、胃酸に抵抗性があるのでそのまま胃を通過して、腸管に達してその上皮細胞で増殖します。
その臨床症状はあるデータによると、吐気(79%)、嘔吐(69%)、下痢(66%)、発熱(37%)、腹痛(30%)筋通・頭痛・咽頭痛がそれぞれ20%前後であったといいます。
症状の出現は個人差があり一定しませんが、その潜伏期は1〜2日で、その有症期間も1〜2日と軽快までも早い(健常者の場合)のが特徴。ロタウイルスと比較すると一般的には軽症で済むとされています。
その治療は対症療法のみで、嘔吐、下痢症状の強い場合は脱水症状の改善に輸液が行われている。また、吐気と下痢を止める鎮吐剤や止痢剤も用いられている。食事療法は一般的な下痢に準拠して行われている。
ノロウイルスは健常者に感染した場合、治癒するまでの期間が短く済みますが、高齢者の場合、身体状態が悪い方の場合には、今回の全国的な施設内感染事例にあるように致命的な感染症となります。
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【福祉施設でのMRSA保菌入所者への対応についての相談事例(3題)】
相談事例1:入所者の臀部に半年ほど前より褥創があり、ポケット形成しております。病院でMRSA(3+)と診断され、褥創は手術適応ですが、病室の空きがなく、ホームで処置している状態です。現在、処置は褥創部への1日2回の洗浄と褥創部をプロスタンディン+フシジンレオの混合軟膏でガーゼで保護しています。浸出液はガーゼ中層くらいまでの量です。患者は個室に移し日常生活(食事・おやつなど)は他の入所者と一緒にしています。器具は患者専用とし、処置後はクレゾールで1時間つけてオートクレーブにかけています。感染対策としては、処置前後の手洗い、ヒビソフトでの手指消毒、汚物の隔離、処置時に看護師はマスク使用で対応しています。また、病院の指示で患者の入浴は制限されています(入浴制限を指示される前は、他の入所者と一緒の生活を送り、入浴も同じ湯船に入ってました)。
1.他に感染対策上で実施しなければならない事はありますか?
2.他の入所者への検査は必要ですか?するとしたらどの部位の検査でしょうか?
3.介護士のオムツ交換などの対応は手洗いだけでよいのでしょうか?
MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント:MRSA感染時にガーゼを使用すると感染が余計にひどくなります。できれば、感染部位は乾燥できる状態を考えて下さい。また、感染時にプロスタンディンを使用することで、悪化が懸念されますが、大丈夫でしょうか?除菌を優先するほうが良いと思いますが・・・。浸出液がある時点では、ピクタニンの塗抹が最もMRSAに効くと思います。対応ですが、充分な対応をされていると思いますが、少し過剰すぎるかもしれません。器具はクレゾールかもしくはオートクレーブのどちらか一方だけで構いません。また、手洗いは消毒薬を使う必要はありません。MRSAは一過性の通過菌ですから、流水だけでも充分に流せます。
質問1:「1.他に実施しなければならない事はありますか?」
回答1:充分に行われています。特に追加すべきことはありません。
質問2:「2.他の入所者への検査は必要ですか?するとしたらどの部位の検査ですか?」
回答2:積極的に検査を実施する根拠がありませんから、その必要はありません。
質問3:「3.介護士のオムツ交換などの対応は手洗いだけでよいのでしょうか?」
回答3:充分です。
相談事例2:身体障害者通所授産施設に勤務しております。施設への通所者の方で、現在、褥創の治療のために入院中の方がいますが、咽頭検査でMRSAが検出され、主治医から施設への通所は他の通所者への感染予防上から止めるように言われました。確かに、施設には身体状態に不安のある身体障害者がおりますが、MRSAの感染力とはどの程度なものでしょうか?
また、除菌されるものでしょうか?
MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント:MRSAによる感染が発症している状態ではなく、単なる保菌状態ではないでしょうか? 健康な方でも保菌している方は、いらっしゃいます。現在は、保菌であれば治療の必要はなくその行動に制限を加えることもありません。といって、MRSAが検出されること自体、嫌われることだと思いますし、差別につながるような扱いを受ける危険性もあると思います。咽頭のMRSAであれば濃茶でのうがい(もちろん美味しく頂いても構いません)で、除菌される場合もあります。これはお茶に含まれるカテキンが抗MRSA作用を有しているためです。このカテキンが高濃度含有されている「カテキンオラル」という商品が昭和薬品化工から販売されていますので、それを使うのも一つの方法だと思います。
相談事例3:グループホームに勤務しています。持病に、膠原病(抗リン脂質抗体症候群)があり、アスピリンと抗アレルギ−剤を内服しています。両足に静脈血栓があり、肺にも血栓が少しあります。裸足で入浴介助をしたところ、虫刺されの跡がカサブタになっていた部分が炎症を起こしました。また、足には持病により数年前より小さなカサブタ状の傷跡が数カ所あります。MRSA保菌者の方の入浴介助時にお尻をタオルで拭いた時に便が着きました。足に傷があることと、持病に膠原病を持っているということでMRSAに感染したのではないかと不安です。病院に行き検査を受けたほうが良いでしょうか?また、今後、感染を防ぐために注意すべきことがあったら教えてください。
MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント:それほど、御心配される必要は無いと思います。傷口にMRSAが侵入して感染が起きた場合、赤くなるとか、熱感があるとか、痛くなるとか、必ず自覚症状が出てきます。現状で、そのような自覚はなさそうですから、感染が起きている可能性は低いと思います。また、MRSA保菌者の介護をする場合も、現状で十分ではないでしょうか? 処置後の手洗いとうがいをしっかりなさっていれば、問題はないと思います。
「バイオクリーン・ラボ通信第142号(2004年8月より)
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【高齢者介護施設での学生実習に際して学生への腸内細菌検査の是非について】
【相談事例】:高齢者介護施設での学生実習に応募した際に、腸内細菌検査の提出を求められましたが、この検査を受けることに正当性はあるのでしょうか?プライバシーを第三者に晒すようで抵抗感があります…。
【事務局コメント】:実際的な対応としましては、それぞれの施設には、就業にあったての方針や規則が定められていますから、日常業務の忙しい中をあくまでも施設側の好意であえて学生実習を受け入れて下さるのですから、原則的にはその施設の就業時の条件や規則に従わなくてはなりません。現実的に腸内細菌検査が求められている場合は、特別な事情がない限りはそれに従うべきでしょう。しかし、感染対策の原則論からは、あえて実習生の腸内細菌検査は一般的には必要性が認められません。その根拠は以下の3点から理解されます。
1)医療や福祉介護施設内での主な感染経路は、医療者や施設職員の手指を介しての接触感染であるために、医療者ならびに介護施設職員が1処置毎に手洗ないしは使い捨て手袋の1人毎に手袋を交換することで、感染経路は容易に遮断されるからです。入所者・施設職員・実習生が感染症新法で危険度が高いために届け出・隔離などが必要とされている一部の病原体を除けば、どのような細菌を保菌していようとも、介護する際に上記の手技が守られている限り感染経路は容易に遮断されるからです。また、腸内細菌に限定してみますと、その集団感染は医療者や施設職員がオムツ交換時などで便に触れた際の手洗が不完全であった場合や、手袋の交換をせずに何人もの方のオムツ交換をしたことが感染経路となることが容易に想像されているからです。
2)現在では「ユニバーサル・プレコーション」(または「スタンダード・プレコーション」や「グローバル・プレコーション」)が国際的な感染対策の標準となっていますが、その大原則が、どんな人でも何らかの病原体を保菌していることを前提に感染対策マニュアルが作成されています。特定な細菌検査を求めること自体が、国際的に認められた標準的な感染対策の主旨にそぐいません。
3)このような検査を求める背景には、施設側が保菌(感染)と発症の区別を混同していることが想像されます。腸管系の伝染病の代表的なものの一つにコレラがありますが、コレラを発症(発病)した人から排菌されたコレラ菌の病原性は高いのですが、発症していな場合や自然環境にいるコレラ菌では病原性は低いことが知られています。保菌状態と発症状態とでは細菌の病原性に大きな違いあることが往々にしてあります。少なくとも施設実習を受けられる健康状態にある学生でしたら、腸内細菌による病気を発症していることはあり得ないので(発症していれば治療を必要とする症状を呈していますから)、介護の前後の手洗が励行されている限りは一般的に、実習生から入所者にその腸内細菌が伝播することはありません。
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【相談事例】:特養で看護師をしています。当園では、MRSA保菌者は原則として個室でガウンテクニックをしております。はたしてそこまで必要なのでしょうか? 施設ではどのような対応をしていけばよいのでしょうか?
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:MRSAの保菌のみであれば、普通の方と同様の扱いで構いません。保菌は鼻腔か咽頭なのでしょう。その場合、個室管理もガウンテクニックも必要ありません。手洗いのみ(処置前と後)で充分でしょう。ただし、激しい咳をしているとか(保菌でこのようなことはないと思うのですが)、菌量が+++で非常に多い場合はそれなりの対応が必要です。
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【相談事例】:小規模のデイサービスに勤務しています。デイサービスで行う介助動作及び使用する食器や設備の洗浄など、どのようにすべきか検討しています。
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:保菌者(細菌が検出されるだけで、熱や炎症反応、白血球数の変動がない方)である場合、普段通りで結構です。特別な消毒や使い捨てエプロン、手袋、マスクの着用も不要です。必ず実施すべきことは、手洗いとうがいのみです。特に手洗いは処置する前と後、自宅に帰られた時にはしてください。これは、感染とかかわりなく習慣づけられるといいでしょう。
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【よだれによるMRSA伝播の可能性について】.200304A
【相談事例】:老健施設に勤務する看護師です。病院に入院されていた方がディケアの利用を開始することになりました。咳や痰が出るなどの症状はないのですが、よだれが常に出ている状態のご高齢者です。この方の入浴時の対応と食事後のエプロンやテーブルの清掃に関してどのように対応したら良いのでしょうか。現在、・マスクを着用していただく・テーブルは、使い捨てのペーパーで消毒剤を使ってふき取るなどの対応をしていますが、よだれは喀痰とは違うのでしなくても良いのでは、という意見もあります。また、病院からMRSA陽性という報告書でしたが、発症しているものと保菌者との区別はどのように調べたら良いのでしょうか。
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:当事者は咽頭にMRSAを保菌している、そのMRSAが喀痰から検出されていると仮定します。基本的によだれにMRSAが含まれている可能性はほとんどありません。MRSAは咽頭に保菌している状態なのですから、唾液腺のある口腔内にはいないはずです。よだれの処理は、MRSAがいないものとして処理されても構わないと思います。咽頭のMRSAの除菌方法では、緑茶に含まれているカテキンに抗菌作用がありますので試されてみては如何でしょうか?また、保菌者と発症者の区別ですが、発症者は発熱、CRP値(炎症の度合いを反映する血中タンパク値)、白血球数などの変動があると思います。また、変動がなければ発症しているとは診断できません。逆に、変動のない状態であれば保菌者ということになります。
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【MRSA保菌者に対する介護施設の対応と家庭内での除菌について】.200304B
【相談事例】:鼻腔検査によりMRSA+1と診断された高齢者についてお尋ねいたします。健康診断書作成に際し保菌が明らかになったもので症状はありません。脳梗塞により大学病院に入院、片麻痺となる。中規模リハビリ病院を経て、自宅復帰を目指し老人保健施設に入所しています。現在は介護度4です。退所後は週に2泊はショートステイ、週2回のデイケア、ヘルパーさんは週4回の計画でした。ところが、ショートステイ先等で健康診断書を求められMRSA保菌者であることがわかりました。その結果、ショートステイは個室対応となり、デイケア先からは施設利用を断られました。ヘルパーさんは、ケアマネージャーさんの説明で拒否はなさいませんでしたが、内心は心配なさっているのではないかと心配になりました。家庭内で出来る除菌法があるのでしょうか? −
市民 −
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:鼻腔の保菌状態になっているわけですね。鼻腔の洗浄はできますか? お水だと痛いと思いますから、少しお塩を加えたぬるま湯で洗浄してあげられるといいのですが・・・。また、自宅でできる除菌方法としては、カテキン(お茶)を使うのが最も簡単だと思います。そのぬるま湯状態での洗浄もいいと思います。ただ、鼻腔内は粘膜ですから強い刺激は避けて下さい。
【看護師(訪問看護ステーション所長・ケアマネージャー有資格】:在宅療養できるまでに回復されて、よかったですね。無症状の保菌状態ですから、あえて介護施設では感染対策の必要はありません。患者さんはむしろ在宅に戻ると、いつのまにかMRSAは除菌されていることが多く知られています。ところで、ケアマネージャーさんの職種はなんでしょうか?
ヘルパーさんに説明などしてくださっていることから考えて医療従事者ですか? もし、そうではないのでしたら、訪問看護など医療従事者に介入してもらうと、医療機関との連携が円滑に行くと思います。
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【訪問入浴サービスでMRSA患者さんの使用した浴槽消毒について】.200304C
【相談事例】:訪問入浴サービスに従事する看護婦です。MRSA患者さんの利用した浴槽の消毒方法について教えて下さい。現在は、他の利用者への感染予防の為、予防衣、マスク、手袋着用し入浴介助を行い、入浴後の浴槽、予防衣等は「テゴー」にて消毒しています。私達は、そのお宅が終わってから、「イソジンガーグル」にてうがい、制服、手指には「サポステ」を噴霧しています。
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:非常に厳重な管理下で行われているようですが、もう少し軽い管理でも充分だと思います。例えば、入浴介護時にマスクは必要ありませんし、イソジンでのうがいや、サポステ噴霧も必要ありません。通常の手洗いと洗濯で充分対応可能です。また、入浴後の予防衣も通常の洗濯でいいと思います。もちろん、患者さんが激しい咳をされていて、かつ咽頭や痰からMRSAが検出されていれば、マスクが必要になります。でも、そのような方は入浴されないのではないでしょうか? 患者さんの状態に応じた対応が必要だと思いますが、基本的には、手袋と予防衣を着用し、それは普通の洗浄と洗濯(頻繁に清潔を保つこと)で対応できます。入浴後のお風呂の消毒は色々な意味を込めて賛成ですが、過剰な対応は双方にとってメリットはないと思います。(転載を禁じます)
【MRSA保菌者の入浴介助時における感染対策での手袋着用の是非について】(200212A)
【相談事例】:訪問入浴介助に従事しています。最近、MRSA保菌ご利用者が増えてきました。手洗いと消毒は毎回毎に行っていますが、特別な事情や介助者の手に怪我等がない場合には、入浴時に手袋はしていないのですが問題ないでしょうか? 床ずれのある方も何人かいるのですが、そういった方へも問題がないでしょうか。また、介助着は一件終わるたびに、ウエルパスの噴射消毒をしていますが適切でしょうか。- 身体介護ヘルパー -
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:感染症の面からだけでなく、入浴時には市販の手袋(洗濯用手袋)をされることをお勧めします。介護者にとっても、介護される方にとっても安全ですから。介護者から介護を受ける方に病原菌を伝搬することもあるからです。日本では、手袋をしていると失礼にあたると考える方が多いのですが、自分から病原菌を移したくないためと説明すれば、納得して頂けるのではないでしょうか。また、介助着にウエルパスの噴霧をしても、さほど効果があるとは考えられません。むしろ、一日ごとの洗濯と日光干しが重要だと思います。日光干しが出来ない時は60℃以上の乾燥機を使用されると良いと思います。
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【MRSAを保菌した利用者の身体介護時の感染対策について】(200211C)
【相談事例】:訪問ヘルパーステーションで身体介護に従事しております。現在、担当している利用者様の鼻腔と尿からMRSA(+)が検出されていますが、これまではMRSAプラスの利用者様宅に伺う時は、使い捨てのエプロン等使用していましたが、このたび新任されたステーション所長の方針でエプロンなどの使用が廃止されました。介護前後の手洗いと消毒剤で除菌することになりましたが、それで十分なのでしょうか? 身体介護の内容は陰部洗浄、清拭等です。清拭の際も手袋なしで構わないのでしょうか?
【MRSA感染症専門家(医学部教員コメント)】:基本的に処置前と後に手洗いが出来ていれば良いと思います。この手洗いは流水を使われたほうが、より効果があると思います。また、可能であれば手袋は着用したほうが、手荒れ防止に役立ちます。
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【相談事例に見る在宅介護での感染対策の在り方・考え方】(200209Aより抜粋)
一般的に病院と比較して自宅環境は細菌学的に清浄であり、例えばMRSAの場合、入院中は院内感染を繰り返していても、退院して在宅医療に移行すると自然に除菌されることが訪問看護の現場では経験則的によく知られています。通常は在宅介護を受ける利用者は、治療を必要とする感染症を発症していることはないので、せいぜい保菌状態に限られています。何も感染症状のない単なる保菌者への在宅介護では、下記の各行為は過剰な対応となります。
(1)訪問(前)後に靴下を履き替える(感染対策上での根拠がまったくありません)
(2)手袋の使用
(3)外科マスクの使用
(4)消毒剤による手指消毒(ただし介護の前と後の手洗いは必ず行う)
ただし、大きな褥創(じょくそう;床擦れ)があり、褥創部からの排膿がありそれが完全に被覆されていない場合には、身体介護時に状況に応じて手袋やガウン装着での対応が求められる場合があります。また、喀痰に保菌が見られ、かつ咳が激しい利用者に接する場合にはガウンに加えて、外科マスクも必要な場合が予想されますが、褥創の処置は看護師の職域ですので、身体介護ヘルパーの場合は、サービス利用者の衣類などに膿や喀痰等の付着が見られ、かつ、介護に際してその膿に触れたり、喀痰などの飛沫を浴びる機会が予想される場合に限り、手袋やガウン等を利用するべきでしょう。なお、使用した手袋やガウン等は使用後に速やかにビニール袋などに密閉して、使い捨て製品なら廃棄し、再利用する布製ガウンならば通常に洗濯すれば良いでしょう。
在宅介護では、利用者の多くに脳血管系疾患や心臓病、呼吸器疾患、糖尿病、その他疾患の既往を抱えている場合が往々にあります。このような背景を抱えた、高齢で自発的な運動機能の低下した利用者は、健康な人に比べ極めて感染への抵抗力が低下しているので(易感染状態)、訪問介護で巡回するヘルパーが外部から菌などを持ち込み感染させるリスクが高くなります。介護の後だけではなく、あえて介護の前にも手洗いが求められるのは、外部から菌を持ち込まないためです。
昨今は結核の再興が社会問題にもなっていますが、結核、インフルエンザ等の呼吸器感染症、また、代表的な接触感染である、ヒゼンダニによる皮膚感染症である疥癬と糞便が主な感染源となるA型肝炎ウイルスをサービス利用者に媒介しないように常時留意することが求められます。いずれも介護前後の手洗いの遵守と、ヘルパー自身の日常的な身体および住環境の清潔保持、咳の出る時は介護に従事しないことが大原則となります。
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【相談事例】:(1)MRSA在宅患者さん宅に派遣されているヘルパーさんからの質問です。菌が下に落ちると聞いたので、患者さんの家では靴下を履き替えるようにしているそうです。どこかの研修で聞いたとのことですが、根拠、有効性はあるのでしょうか。(2)それから、感染予防の観点での手洗いの中で、流水のみと石鹸を使ったときの手洗いの効果の違いについても聞かれましたので、何か良い資料があったら教えて下さい。(保健師)
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:面白いお話ですが、少なくとも根拠はないでしょう。例えば、鼻腔とか咽頭にMRSAを保菌されている方は結構いらっしゃいますが、そこからポロポロとMRSAが落ちることは有り得ません。なぜなら、MRSAはその部位に定着(組織と結合)しているからです。また、ポロポロ落ちるようであればMRSAの除菌は極めて簡単です。洗えばいいわけですから。しかし、そんなことでMRSAを除菌することはできません。しっかりくっついていますから。また、創部感染の場合、創部をむき出しのまま放置することはありませんから、そこから落ちることも考えられないのですが、また、落ちるような治療、処置は医療とは呼べない次元の話になり、この問題とは少し話がずれてきますね。
【事務局コメント】:手洗い時に流水だけと石鹸を使用した場合での残留菌数につきましては、保健所の食品衛生課によくあります、食品衛生講習会で使用します手洗い前と手洗い後の手指を培地に押し付けて培養したコロニー写真のポスターがあるのではないかと思いますが、その写真資料が視覚に訴えて教育の場では効果的に思われます。手指の表皮上に付着する細菌の残留につきましては、手指に付着したインクや塵埃の物理的な除去と同じイメージで考えると理解され易く思います。石鹸など界面活性剤を用いたほうが表面の汚れは除去され易いことは誰しもが納得するところです。この種のデータは石鹸メーカーをはじめに種々の資料が容易に入手されることと思います。保健所の食品衛生課に出掛けますと最適な資料(ポスターや冊子等)が用意されていることと思います。なお、手指に付着したインフルエンザウイルスやHIVは、石鹸で手洗いしますと物理的な除去だけではなく、ウイルスの本体を包んでいます殻が界面活作用により物理科学的に速やかに容易に破壊され失活(死滅)します。
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【高齢者福祉施設でのMRSA保菌者への入浴介助時の対応について】(200207A)
【相談事例】:養護老人ホームに勤めています。入浴介助時、私は熱傷が怖いことと、入所者が快適な温度の湯に入っていただくために、手袋をしていません。介助後は、石鹸で手洗いをしています。しかし、他のスタッフは自分への感染予防のため分厚いゴム手袋をしています(入浴介助時だけでなく、洗濯物たたみのときも)。MRSA予防のために手袋をしたほうがいいでしょうか。入所者は比較的元気で、膿がでている方はいません。
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:基本的にMRSAの排菌がなければ手袋の必要性はありません。処置後にしっかりと手洗いをすれば問題ないでしょう。人道的問題を含めた科学的な対応をしっかり行なって頂きたいと思います。
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【とびひ罹患ADL低下高齢者への在宅介護での患部消毒剤について】(200205B)
【相談事例】:在宅でほぼ寝たきりの高齢者の方が、MRSAによるとびひになりました(MRSAを理由に入院は否定されています)。主治医からは十分にシャワーし、イソジンで消毒をするように指示されました。他にもよく効く消毒剤はないのでしょうか?
【MRSA専門家(医学部教員)コメント】:ピオクタニンという口腔内用の消毒剤が市販されています。色は濃い青紫色ですが、非常に強力な抗菌効果があります。これを綿棒につけて、とびひの場所に塗るといいと思います。イソジンのように短時間しか効果がないものと比べて持続効果があるため、一日一回の塗布で充分です。薬局で入手できなければ、主治医に御相談ください。
(転載を禁じます)
【高齢者ディケアサービスへのMRSA保菌者の受入れについて】(200201A)
【相談事例】:(1)通所で高齢者のデイサービス事業をしています。ご利用者にMRSA保菌者(鼻腔や痰)がいます。担当医は「常在菌なので在宅生活のレベルでは問題ない」と言われますが、虚弱な利用者が多い為、飛沫や接触感染しないか心配です。現在、保菌者の受入れマニュアル作成中です。受入れに際しどのような配慮と対策が必要でしょうか? なお、あからさまに他の利用者と違った扱いはできかねます。(2)循環浴槽で週1回換水します。毎日の塩素剤投入(ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム0.2〜0.4mg/gの濃度で2時間保つ)とオゾン殺菌していますが、MRSAに有効でしょうか?(3)保菌者のMRSA検査で陰性(−)になっても、また陽性(+)になる事があるようです。一定期間ごとに検査をした方がよいでしょうか?(4)浴室、テーブル、イス等の消毒にはどの薬剤を使ったら良いでしょうか?同じ薬剤を使い続けると薬剤耐性が生じると聞きますが、ローテーションしたほうが良いでしょうか?
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:(1)確かに、虚弱な方が多いため、その対応は苦慮するところと思います。しかし、保菌の場合は本人から第三者に感染させる率は低く、むしろ従事者から第三者に移行する率の方が高いようです。従って、保菌者に接触された従事者の方は、その後に手洗いを励行されると良いと思います。保菌者に対しては、何らかの規制を加えること自体、現実的には困難ですから、清潔な環境を維持してあげることが最良ではないでしょうか。むしろ、従事者の方で対応するマニュアル作りが望まれます。また、保菌者への対応ですが、保菌者がいる限り第三者への感染の心配はなくなりません。といって、イソジンとかムピロシンといった医薬品を用いた除菌は困難ですから、お茶(3g程度を100ml)を30分間煮出して、それを綿棒で鼻腔に塗沫、もしくはうがいに用いることで除菌効果が期待できます。といっても、医薬品ではありませんから根気は必要となりますが。(2)いわゆる環境に使用できる消毒剤ということになると、一般的には、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、(フェノール、クレゾール)等があります。また、ローテーションは行った方が良く、サイクリング療法的に同じ系統の消毒剤は連続して使用しないことを心がけてください。
【看護職(訪問看護ステーション所長)コメント】:施設全体で保菌者への対応を真剣に検討されている様子が文面から伺えます。貴施設のような施設が増えることを祈念し、お手伝いできればと考えています。(1)保菌者の方は、強い咳をされたり、痰を出したりしていますでしょうか?そうでなければ、特に特別な対応をされることはないと思います。直接、飛沫や痰などに他の利用者が触れることはほとんどないでしょうから、職員の方の手から他の利用者に感染することを注意された方がよろしいのではないでしょうか? 汚染物(この場合、痰や唾液が付着したティッシュなど)に触れる場合は手袋を着用し、その他の場合は石鹸と流水による手洗いを励行するように心がけてください。(2・4)消毒剤を用いての消毒はもちろん大切なことではありますが、周囲の環境整備も大切なことだと思います。お忙しい中大変とは思いますが、環境整備が十分になされていないと、MRSAだけでなく、他の感染症などへの危険性も増大します。頑張ってください。
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【褥創部MRSA保菌者への特養ホームでの対応について】(200111B)
【相談事例】:特養の入所者で、褥そうが悪化したところより、MRSAがでてしまいました。入院しましたが、そのほかの入所の方や、勤務者の保菌状況について調べるべきでしょうか? 保菌者とわかったらどう対応すればよいか教えて下さい。(医師)
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:特に他の方の検査をなさる必要はないと思いますが、褥創にかかっている方のその部位は気を付けられた方が良いと思います。そこが感染症をおこしているようであれば、検査をする必要があるでしょう。いまのところ、特別な処置をする必要はありませんが、年に一度はMRSAの保菌検査を入居者と職員の方全てに対して行った方が良いと思います。MRSAに慣れるためにもです。扱いに慣れれば、無闇に怖がる必要もなくなり、適切な対応も出来るようになりますから。
【看護職(訪問看護ステーション所長)コメント】:入所者の方の検査は特に必要ないと思います。ただし、カテーテルが留置されている方や他の難治性の褥創がある方がいらっしゃいましたら、検査しておいた方がいいかもしれませんね。これを機に職員のかたの保菌状態を調べた方がいいと思いますが、通常の生活を送れる職員の方は保菌されていても神経質になる必要はありません。また、保菌されている職員のかたが意味もなく、偏見や差別をされないようにどう対処されるかを勉強会などを開かれてはいかがでしょうか?
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【訪問看護における重度のMRSA感染患者への医療処置について】(200109A)
【相談事例】:▼慢性腎不全(透析中)、貧血、脳梗塞後遺症(軽度障害)、糖尿病、仙骨部褥創:床擦れ(不良肉芽、浸出液、MRSA3+、深いポケット)、鼻腔MRSA3+、抗生剤の処方はありません。上記症状をもつ患者様の訪問看護が始まりましたが、感染対策がどこまで必要かが分かりません。また、褥創処置についても助言願います。現在は病院指示により連日1日1回次の処置を実施しています。(1)イソジン消毒と生理食塩水洗浄(2)プロスタンディン軟膏、ドレナージ(膿除去)目的のガーゼの埋め込み(3)ガーゼ保護に加えてフィルム剤保護(浸出液が多く使用しない方がよいのですが、排泄物による汚染の可能性があるため)、入浴剤浴検討中(血行促進、除菌効果を期待)(4)食欲増進、意欲も向上してきているため体力回復、栄養バランスにも重点を置いています。(5)ジェルマット使用 ▼浸出液が多く、便や尿失禁による汚染ハイリスク状態、感染があり貧血傾向や糖尿や体力低下、栄養低下などの問題点もあり、じょくそう回復が困難なだけでなく感染による症状悪化も心配され外科的処置はしない方向とのことです。その他の感染対策として次の処置を実施しています。(1)イソジン鼻腔内塗布(2)うがいとイソジンスプレー(3)専用エプロンと使用器具は使用後に消毒剤使用(4)マスク;鼻口腔内に菌がたまりやすいこともあるため(5)幼児、乳児、そのほか虚弱体質の方との面会を控える(6)汚物やゴミは袋に入れ密閉して焼却に出す。(7)ピンセットは70%アルコール綿でふき取り煮沸消毒、カップや洗浄用シリンジ等は塩素系等消毒剤に浸漬後よく乾燥) ▼このような褥創には、0.1〜1%ピオクタニンが効果的とありますが、ピオクタニンがない場合どういった処置が有効でしょうか? また、イソジンシュガーは浸透圧バランスから浸出液を吸収し抗菌剤も含まれ有効ではと思うのですが、使用しないほうがよいのでしょうか?
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:この状態(MRSA3+;100万個以上/ml)でも在宅看護になってしまうのですか。ちょっと、驚いています。褥創の処置は一般的に行われている方法を行っているようですが、浸出液が多い場合は一日3回以上の処置が必要です。一日一回ですむのはピクタニン(ゲンチアナバイオレット)処置ぐらいではないでしょうか。また、ドレナーゼを目的としたガーゼの使用ですが、恐らくこのガーゼを内でMRSAは増殖していると思います。細菌はガーゼがあると良く増殖します。ガーゼには浸出液(栄養)が含まれ、かつ付着しやすいため、細菌の増殖に適した環境が整えられているからです。浸出液が多く、かつ3+ものMRSAがいる現状でイソジンシュガーを使用しても、現状とさほど変わらないと思います。しかし、イソジンシュガーに含まれるシュガー(糖)は細胞賦活化作用が強く、肉芽形成を促進してくれます。時には驚くほどの効果が認められますが、MRSA感染時、特に今回のように菌量が多くかつ浸出液が多い場合は、細菌による組織破壊のほうが細胞賦活化作用よりも強く、かつ浸出液によってイソジンが簡単に失活してしまうため、その効果は顕著に現れてくれません。やはり、除菌を目的とした処置が必要ですし、除菌後に肉芽形成を考えた方が、結局は早道になります。除菌に成功しないと褥創を治療することは不可能です。ピオクタニンが入手出来ない状態では、イソジンでの洗浄後、イソジンシュガーの埋め込み(ポケットにも詰め込む)を行うしか手がないように思います。少なくとも菌量が減少するまでは出来るだけ頻回の処置が必要です。イソジンシュガーの埋め込み(山盛り状態まで)によって、ガーゼを創部に押し込む必要がなくなります。その上に被覆剤剤で被えば浸出液の漏れはないと思います。何れにせよ、頻回の処置が必要です。
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【相談事例】:訪問看護を行なっている看護婦です。以前に比べ在宅でもかなり重症なケースが増えてきており、人工呼吸器を装着していたり、種々のカテーテルを留置している例も少なくありません。そんな中、発病しているか保菌状態なのかによってもその対応は異なると思うのですが、どの程度の対策を行なえば良いのか悩んでいます。また、実際に在宅で医療者が菌を媒介したとして問題になった例などありましたら教え下さい。
【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:保菌状態では特別な対応は必要ありません。但し、手洗いは励行して下さい。手洗いで手が荒れるようでしたら、使い捨て手袋など着用して下さい。保菌者でも非保菌者でも同じですが、看護する前には必ず手洗いをして下さい。介護後はもちろん、介護前の手洗いも他へ移さないためには重要です。◆感染者への対応は難しくなります。排菌者と非排菌者に分けて考える必要があります。非排菌者は上記対応と同じで構わないと思います。排菌者に対しては、感染部位が創部であれば、創部の被覆が必要になります。肺炎、気管カニューレ装着者の排菌を止めることは不可能なので、手袋、帽子、マスク、予防衣の着用が必要になります。通常のカテーテル挿入者への対応は、挿入部が感染しているため、創部感染と同じ扱いで良いと思います。但し、消毒薬は持続時間の長い、かつ浸出液で失活しないゲンチアナバイオレット(ピオクタニン)等を使用して下さい。◆在宅医療での2次感染の報告はほとんどありませんが、近い将来、必ず大きな問題になってくるでしょう。
【看護職(訪問看護勤務歴6年)コメント】:私たちが感染防止で留意していることは、まず、訪問開始時に手を洗うこと。また、エプロンは清潔なものを使うためにすべてディスポ(使い捨て)のエプロンを使用しています。クリーニングに出すより、安くて、持ち運びも軽くて楽です。また、感染症を患っていらっしゃる方への訪問時間は最後にしています。しかし、それがどうしても無理な場合は、感染症患者さんの後にはターミナルケアを必要としている方や易感染状態の方への訪問をスケジューリングしないように心がけています。◆また、訪問時に消毒用アルコールティッシュを持参し、ステート(聴診器)などの消毒に使用しています。医療従事者が感染の媒体とならない通常の工夫は、この程度で十分だと思います。ただし、発症している場合は、部位、症状によって対応がそれぞれ異なります。
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【在宅身体介護でのヘルパー職への感染対策教育上での相談事例】
昨今、医療現場での高度医療化ならびにクリティカルパス導入(入院期間の短縮を目的とする治療計画の企画と実行)、さらには在宅を基本とする介護保険施行に伴ない、以前ならばまだ入院加療にあるはずの、各種カテーテルや人工呼吸器を挿管した高齢者の方の在宅の場におけるご相談が増加しています。このような一昔前には考えられなかった医原的な感染門戸や感染への危険性を日常的に抱えたままで在宅医療や在宅介護に移行する患者さんが少なくありません。本件はそのような背景を反映した典型的な相談事例の一つといえます。
【相談事例】:訪問看護をしている者です。感染症の講義を同施設のヘルパー対象に行っています。素朴な質問として、マスクの有効性や、手洗いの有効性、手袋の有効性、ウエルパスの噴霧量と有効性、ヘルパーの体調の悪い時の感染の危険性などの質問があり、回答に困っています。申し訳ございませんがアドバイスをよろしくお願いします。
【感染症専門家(医学部教員)コメント】:マスクの有用性;対象者が感染菌を飛散させている可能性がある場合は有効です。飛散の可能性がない内部感染、湿っている床ずれなどでは必要ないでしょう。もしくは介護者が風邪などの場合は当然ですね。手洗いの有効性;介護前の手洗いは重要です。介護あとではありません、介護前です。介護後は皆さん言われなくても手洗いをなさいますが、介護前にされる方は珍しいですよね。しかし、2次感染を防ぐためには介護前の手洗いが重要です。◆手袋の有効性;これが最も効果的でしょう。手洗いによる手荒れには雑菌はよく付着しますから、手荒れは感染対策上、良くありません。そうならないようにするのが手袋で、しかも、使い捨ての手袋がベストです。◆ウェルパス;何処への噴霧でしょうか?室内?介護者?何れにしても噴霧場所(完全に塗れている状態まで噴霧)は、ふかないでそのままの状態であれば除菌できます。べっとり濡らす状態まで噴霧し、拭かなければ有効です。手でも同じです。拭き去ってはいけません。◆ヘルパー;体調が悪いと言っても、充分介護できる(動ける)状態でしょうから、2次感染の危険性はほとんどありません。このMRSAが2次感染する状態は、白血病などの癌患者さん、糖尿病の末期の方、局所の損傷が激しい方等、全身的もしくは局部的に免疫不全状態になっている患者さんです。
【訪問看護職コメント】:訪問看護を提供するものとして、ヘルパー教育の必要性を私も痛感しています。おそらく在宅療養者であるならば、ほとんどが発症していない保菌者ではないですか?MRSAがでていると言うと、全身からMRSAがでていると理解されているかたもいらっしゃいます。私たちが当たり前と思っていることも、なかなか理解していただけないことが現実ですよね。保菌者であれば、(1).マスクは必要ありません。MRSAに感染している方は、抵抗力が弱いので感染したのです。むしろ、訪問するものが他の菌などを持ち込まないようにする配慮が必要でしょう。(2).手洗いは励行しましょう。訪問前後は、忘れず石鹸と流水で行いましょう。(3).手袋は常にしている必要はありません。MRSAがでている部位の分泌物(痰、尿など)を処理するときのみ手袋を使用すれば十分です。(4).ウエルパスもいいですが、たくさん噴霧すればいいというものではありません。ウエルパスを噴霧したから、手洗いをしなくてよいと考えられてしまいがちになりますから、それよりも手洗いをきちんとすることをお勧めしていただいたほうがいいと思います。(5).ヘルパーが体調の悪いときは、むしろご利用者に感染させる心配もあります。お休みしていただいたほうがよいでしょうね。いっしょにがんばりましょう!
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【MRSA相談室への相談趣旨】:通所介護施設における感染者の対応について他利用者への対応と予防はどうしたらよいか?
【当相談室回答担当専門家(現役訪問看護歴6年)コメント】:通所介護施設におけるMRSAについての対策のご相談ということは、貴施設では、前向きにご検討いただいていると理解してよろしいでしょうか?まず、施設でMRSAに感染しているかたを受けていただく際に調整が必要と思われます。※どこにMRSAがでているのか?関連している医師またはケアマネに確認したほうがよいでしょう。(MRSAに感染していると言っても、全身に感染している状態は特殊な場合です。発症しているのか、保菌状態なのかによっても、取り扱いが異なります。)※施設の職員に対する教育、勉強会などを開催することをおすすめいたします(他にMRSAに感染したご利用者がいては、施設にとってデメリットが大きくなります。しかし、取り扱いができる施設は、ご利用者にとっての最大のメリットです。将来的には、そのような施設でなければ経営もつらくなるかもしれません。今のうちに職員の方を教育しましょう!)※むやみに恐がらず、むやみに軽く考えないことが大切です。※MRSAがでている(たとえば痰など)の分泌物などの取り扱いに注意しましょう。※手洗いを励行しましょう。ご相談からは、どのような事例か具体的にわからないため一般的なアドバイスになります。もし、具体的に事例がわかれば、具体的なアドバイスが可能かと思います。MRSAに感染していても、取り扱いをきちんと施設でしていただけるなら、通所介護施設に通所できる方がいるはずです。ご相談者のように前向きにご理解していただける施設が今後増えていくことを祈念しております。
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【老老介護家庭での疥癬感染に伴なう相談事例】:昨今、核家族化に伴う高齢者夫婦家庭の増加や、また、老いた親と高齢になった子供だけの家庭が増加している。このような高齢者の介護を高齢者の配偶者や肉親が行う、いわゆる老老介護家庭が増加は社会問題化している。ところで、従来は医療施設や高齢者福祉施設など集団生活の場でのみ問題になると考えられていたが、皮膚の角質層に寄生するヒゼンダニが、最近は在宅介護の場でも問題となっている。医療機間や高齢者福祉施設と在宅の間を往復する間に家庭内に疥癬が持ち込まれることに不安感が高まっている。本相談事例は、老老介護家庭での疥癬症で、身体介護ヘルパーが疥癬に対して過剰な反応を示したことから、老老家庭の生活を支えるヘルパーへの説得に難渋する訪問看護現場より寄せられた深刻な相談事例です。
【相談内容】:疥癬の方の訪問看護をすることになったのですが、101歳の方と、72歳の親子が疥癬になり、ヘルパーさんたちがいなければ生活できないのに、事業者たちが手を引き出しています(入浴サービスも)。近くサービス事業者があつまり、会議をするのですが、みんなを説得して、サービスを続けてもらうための説得材料を教えていただきたいのです。(訪問看護師)
【事務局コメント】:疥癬がノルウェー疥癬に至っていないようでしたら、以下に紹介します標準的な治療を担当医の指示に従って行うと同時に、通常の介護と保清および屋内環境の清掃を行って治療の効果を見ます。標準的な治療薬(外用薬)の使用は最長で3週間(硫黄剤の場合)とされていますので、通常はこの日数内で治癒するものと思います。なお治療薬にはガンマBHCなど環境汚染問題ですでに国内では使用が禁止されている農薬(殺虫剤)を配合したものがあります(殺虫効果が強いことを利用します。塗布後6〜24時間後に入浴して洗い流す)。治療薬としましては、次のものが使用されています。@硫黄剤:硫黄分5%〜10%軟膏(商品名;ワゼリン基剤);殺菌効果は弱いが毒性が低いので、妊産婦や小児に安心して使用出来る。ただしノルウェー疥癬には無効。皮膚刺激性と硫黄臭が欠点/Aオイラックス軟膏:入浴後に塗布し、24時間後に再塗布。毒性が強いので妊産婦や小児には使用出来ない。普通の疥癬で3週間使用。ただしノルウェー疥癬にはほとんど効果がない。ステロイドとの副作用にも注意/B安息香酸ベンジル:12.5%〜35%のローションないしはアルコール溶液または軟膏として使用。塗布後24時間後に再塗布してから入浴して洗い流す。毒性が強いので120ml以上は使用してはならない。目に入ると結膜炎を起こす。効果はオイラックス軟膏と同等/CガンマBHC:医薬品ではなく試薬品(環境汚染問題で農薬として国内での使用は禁止されている)。催奇性があるので妊産婦や小児に使用してはならない。肝臓障害、吐き気、倦怠感、けいれんなどの中枢神経症状が出現することがある。極めて殺虫性が高いので疥癬の治療効果は治療薬の中で最も高い。塗布後6〜24時間後に入浴して洗い流す。その後にクロタミン軟膏を6日間塗布(これを1クールとする)。普通の疥癬では1クール、ノルウェー疥癬ではその1週間後にさらに1クール行う。以上の治療薬はいずれも毒性などの問題がありますので、予防的に使用する場合でも必ず医師に薬剤を処方して貰い、かつ、医師から使用上の指導を受けて使用して下さい。絶対に素人療法で使用しないで下さい。 疥癬の原因であるヒゼンダニは、室温25度、湿度90%の条件では室内で3日間生存すると報告されています。また、50度では10分間で死滅するとされていますので、治癒するまでの間は室内の塵埃(ヒゼンダニが付着している可能性あり)に注意します。また、疥癬は皮膚と皮膚との接触感染経路と、塵埃や物品表面を介した間接感染経路の2通りがあるので、この2点に留意して介護することが大切です。疥癬の潜伏期間は2週間から4週間とされています。なお、ノルウェー疥癬の場合には、100万〜200万匹もの疥癬が寄生することがあり感染力が強く、普通の疥癬以上の感染対策が求められます。疥癬患者さんへの介護での対応留意点を参考までに記述致します。@介護時には履物を履いて対応する(ビニール被覆が理想)/A使い捨てのプラスチック手袋とビニールエプロン)の使用/Bなるべく荷物は屋内に持ち込まない→持ち込む時は床等に置かず手で持っている/C患者さんの衣類を洗濯する場合には、60度C以上のお湯に15分以上つけてから洗濯する。または通常に洗濯してから、アイロン掛けする/D身体に痒みや発疹が生じた場合には、早めに皮膚科の診察を受ける→疥癬以外の原因でもこのような症状が起きますので、その見極めはむずかしいものがある。ノルウェー疥癬になってしまっている場合は、医療従事者だけで対応するより手立てはないと思います。その場合には訪問看護スタッフと担当医師とで疥癬対策チームを組んで、治療を平行して行いながら介護をすることになります。感染対策の知識や技術のないヘルパーさんが人道上の気持から介護に応じても、ノルウェー疥癬の場合にはそのヘルパーさんやそのご家族まで疥癬に感染する可能性が高くなりお奨め出来ません。まずは一般の疥癬症なのか、それともノルウェー疥癬なのかを医師の診断を確認され、一般の疥癬でしたらヘルパーさんに通常の感染対策を教育することでこれまで通りに介護していただけると思います。どうか老老介護のご家族に暖かな支援の手を差し伸べて下さい!当面は看護職員の独断場になるかもしれませんが、医療従事者の誇りと責務でここは奮闘されて下さい!
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(本HP「MRSA相談室」に寄せられたご相談より):オムツ交換の際は、ディスポの手袋を使用しています。しかし、オムツ使用者が多ければ使用する手袋の数も多くなり、コスト面を考えて一人のオムツ交換が終わり次を実施する際には手袋をアルコールで消毒し、手袋は変えていません。いくら消毒剤を使用しているからといっても排泄物の付着したものをそのまま使用して影響はないものでしょうか。
事務局コメント:昨今、医療施設や介護施設での腸内細菌科の細菌や、腸管出血性大腸菌O157による集団感染が度々のように報道されています。これらの事件では、発症したご高齢者が亡くなる傾向にあり、いずれも発症者の糞便が感染源となります。また現在、MRSA感染の増加傾向が病院のみならず、日常生活環境の場においても見られるようなっています。MRSAの最終的な保菌部位は糞便であるが知られていますので、糞便の処置では腸内細菌科の細菌に限らず、MRSAやA型肝炎ウイルスや消化器系の感染ウイルスへの対策の視点に入れた感染対応が求められます。さらに、米国ではバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が健康な人の糞便からも高頻度で分離されるようになっており、ひとたびそれが発病するともはや治療効果が得られる抗生物質がないため致命的な転帰をとることが報告されています。国内で行った健康者からのVRE保菌調査結果が新聞でも大きく報道されましたが、国内でもすでにVREを健康保菌している人が存在していることが推測されます。このように、これからの介護ケアにおいても、全ての人が何らかの病原体を保菌していることを前提にした感染対策を施すことが大切になります。このような考え方を体系化した対策指針を、スタンダード・プレコーションないしはユニバーサル・プレコーションと呼んでいます。すでに院内感染対策の大原則としてユニバーサル・プレコーションが導入されています。ユニバーサル・プレコーシンでは臨床的な経験則などから帰着された手法が活かされていますが、交差感染対策での手袋の使用法もその一つとして定められています。今回のご質問にあります手袋着用の使用方法では、交差感染を起こす可能性があります。交差感染防止のための原則的な方法としましては、1)手袋の着用前と脱着時に、石鹸による十分な手洗いを実施する。2)一処置一手袋の遵守が求められます。ところで現実問題としてご相談文にありますように、現場での人的・コスト的な問題が大きな障害となっているものと拝察致します。現場で働いておられる介護職員の皆様のご苦労を拝察申し上げます。しかし、今後の施設内での感染対策の推進のためには、上述しました1)・2)の行為を最低限でも遵守することが避けられないと思います。手袋表面から汚物が完全に除去されないと、汚物内にまで消毒アルコールによる殺菌効果が期待出来ません。
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【在宅看護の場での高度医療化に伴う感染対策の実技応答事例:PEG施実例】
介護保険制度の施行により、従来は医療機関で治療を受けていた患者さんが在宅医療や在宅介護の場へと移行しています。それに伴い近年の高度医療化の波は在宅医療や在宅介護の場に押し寄せています。今回の事例は、専門的な感染対策の知識と技量がないと対応出来ない点で、在宅看護、在宅介護に従事される看護職、ヘルパー職への感染対策教育の重要さが再認識された事例です。当件案に対しましては、MRSA感染症専門家にご回答いただきました。
【相談内容】:高齢でMRSA保菌者の女性患者への訪問看護を行っております。口腔、鼻腔、胃ろう、尿中(膀胱内カテーテル留置)の全てから検出されており、デイサービス利用ができないまま1年が過ぎようとしています。夫の介護負担が蓄積しており、早くMRSA陰性にならないものかと、主治医の指示のもと、「保清、手洗い、イソジン、バクトロバン、ピオクタニン使用」でケアしていますが一向に効果がありません。他に良い手段はないでしょうか?−訪問看護師−
【MRSA感染症専門家のコメント】:PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)のことですね。その挿管部位(瘻孔)からのもれはないとして、その部位のMRSAは0.1%ピオクタニンで消毒して下さい。またカテーテルにMRSAがバイオフィルムを形成している可能性が大きいため、カテーテル自体0.1%ピオクタニンで消毒する必要があります。これは抜くわけに行きませんから、少し挿管部位を押してカテーテルを出来るだけ露出させ(抜けないように)、その部位だけでも消毒して下さい。鼻腔のMRSAは、綿棒にたっぷりとイソジン液をつけて鼻腔前庭(鼻の穴の前の部分、奥の粘膜部分は必要なし)に塗りつけて下さい。咽頭は、市販品のイソジンスプレーを吹き付けて下さい。これを朝、昼、夜の少なくとも3回は行って下さい。可能ですか?現在、MRSAだけに注意がいっているようですが、カンジダ等の真菌(カビ)の感染にも注意して下さい。
【追加相談事項1】:嚥下機能低下は2年程前からあり、その頃には誤嚥性肺炎とまではいかなくとも、誤嚥による発熱は時々あったようです。しかし現在は経管栄養にて、それはなくなってきました。
【同コメント】:嚥下性肺炎の心配はないですね。しかし、口腔と食道にカンジダが感染していませんか? その場合、フルコナゾール等の抗真菌剤の処置が必要になります。
【追加相談事項2】:膀胱内留置カテーテルは神経因性膀胱のため入院中から留置していました。抜去してみても自尿が出ない為、結局留置継続しています。
【同コメント】:このMRSAは尿から検出されていますか?それともカテーテルから検出されていますか? それとも両方からですか?留置カテーテルの交換はどの程度の期間で行っていますか? また、膀胱洗浄は行っていますか?
(転載を禁じます)
入浴順番としまして、1.MRSA非感染利用者者(非保菌者) 2.痰等の感染源がお湯の中に拡散しない利用者。 3.尿路感染、腸管内感染のある利用者。 4.感染源が外部にある利用者。感染量の少ない利用者から感染量の多い利用者。
入浴後は、シャワーをかけて、介護者もまくった腕をシャワーで充分洗浄します。お湯の中の汚染度を考慮して入浴順番を決めれば良いと思います。MRSAをただ保菌しているだけであれば、入浴順番を一番最後に回して貰うだけで構いません。浴槽の清掃も通常の清掃で構いません。
《花木秀明先生(順天堂大学医学部細菌学教室講師)のコメントを基に作成》(転載を禁じます)
インフルエンザウイルスに感染すると、容易に細菌性の2次感染が発症する傾向があります。特にその細菌がMRSAであった場合には、感染者の免疫系はインフルエンザウイルスの中和(破壊)に手一杯の状態になり、MRSAへの攻撃やMRSAが産生する毒素(毒素性ショック症候群毒素1型:TSST−1やヘモリジン等)に対する中和抗体(毒素を無毒化する)の産生にまで手が回らなくなります。 このような場合には、MRSAはあたかも免疫不全状態の患者さんに感染したような状態になり、TSST−1の毒力は健康な人に比べてより強く出現することが容易に想像されます。さらにはインフルエンザウイルスの感染で、このTSST−1と相乗効果を持つ未知な物質(インフルエンザウイルスが細胞に侵入するための蛋白酵素等がその一翼を担っているかもしれません)が産生されているとも考えられます。《花木秀明先生(順天堂大学医学部細菌学教室講師)のコメントを基に作成》
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1)硫黄剤:硫黄分5%〜10%軟膏(商品名;ワゼリン基剤):殺菌効果は弱いが毒性が低いので、妊産婦や小児に安心して使用出来る。ただしノルウェー疥癬には無効。皮膚刺激性と硫黄臭が欠点。
2)クロタミトン軟膏(商品名;オイラックス軟膏):入浴後に塗布し、24時間後に再塗布。毒性が強いので妊産婦や小児には使用出来ない。普通の疥癬で3週間使用。ただしノルウェー疥癬にはほとんど効果がない。ステロイドとの副作用にも注意。
3)安息香酸ベンジル:12.5%〜35%のローションないしはアルコール溶液または軟膏として使用。塗布後24時間後に再塗布してから入浴して洗い流す。毒性が強いので120ml以上は使用してはならない。目に入ると結膜炎を起こす。効果はクロタミン軟膏と同等。
4)ガンマBHC:医薬品ではなく試薬品(環境汚染問題で農薬として国内での使用は禁止されている)。催奇性があるので妊産婦や小児に使用してはならない。肝臓障害、吐き気、倦怠感、けいれんなどの中枢神経症状が出現することがあります。極めて殺虫性が高いので疥癬の治療効果は治療薬の中で最も高い。塗布後6〜24時間後に入浴して洗い流す。その後にクロタミン軟膏を6日間塗布(これを1クールとする)。普通の疥癬では1クール、ノルウェー疥癬ではその1週間後にさらに1クール行う。以上の治療薬はいずれも毒性などの問題がありますので、予防的に使用する場合でも必ず医師に薬剤を処方して貰い、かつ、医師から使用上の指導を受けて使用して下さい。絶対に素人療法で使用しないで下さい。
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褥瘡治療薬は、ゲンチアナバイオレット(ピオクタニン、もしくは塩化メチルロザリニン)が最も優れた効果を発揮します。蓐瘡治療剤としては、イソジンシュガー、ゲーベンクリーム等がありますが、何れも浸出液のある蓐瘡、創部では効果を発揮することが出来ません。しかし、ゲンチアナバイオレットは収斂作用があるので、浸出液があっても充分な効果を発揮します。用量は0.1%/生理食塩水で使用できます。不良肉芽、もしくは切開切除しなければならないほどの組織ダメージがある場合は、10培濃度の1%/生理食塩水で朝と夜の2回、洗浄します。これは収斂作用が強くなりすぎますから3日間が限度です。しかし、この処方で感染菌は完全に除菌されると思います。0.1%でも1%でも除菌が確認されればイソジンシュガーに切り替えて、肉芽の増進を計ったほうが良いと思います。ゲンチアナバイオレットは菌の染色剤ですので、当然濃い紫青色がつきますが、新生な肉芽の形成とともに脱色してしまいます。また、よくガーゼを詰め込みますが、これは細菌の増殖場所になりますから、使わないほうが良いでしょう。情報提供:花木
秀明 先生(順天堂大学医学部細菌学教室)
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■MRSA相談室(ご相談の際は予めご利用規約をお読み願います)
製作・著作:特定非営利活動法人バイオクリーン・ラボ