MRSAおよびMRSA院内感染とは?【トピックス】

特定非営利活動法人バイオクリーン・ラボ事務局


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MRSA相談室(ご相談の際は予めご利用規約をお読み願います)


相談事例の質問・回答記事、ラボ通信掲載記事の転載を禁じます

−目次−:新規)

冷たい医療・冷たい福祉‐MRSA保菌者を例にして

MRSA感染症治療時での病棟薬剤師から主治医への情報提示について

MRSA保菌者と新生児との同居の可否について

病棟で使用した器材の消毒方法について

療養病床現場での院内感染対策実施とCDCガイドライン適用の是非について

MRSA肺炎の病室感染対策について

相談事例に見る訪問看護での感染対策の在り方・考え方

乳児のMRSA除菌治療への母親からの不安相談事例

感染予防としての鼻腔内へのイソジンゲル塗布の是非について

点滴ラインからの感染予防における消毒剤の使用法について

訪問入浴サービス利用時のMRSA保菌者への留意点について

便培養でMRSA(3+)が検出された際の消毒法・院内感染予防について

新生児のMRSA感染予防策での沐浴とガウンテクニックについて

子供が通院先の歯科医院でMRSAに感染していると告知されての相談事例

易感染者に対しての予防的ムピロシン軟膏塗布について

診療科別の院内感染対策マニュアルは必要か?

MRSA個室隔離時のリハビリ利用制限とリネン類の10時間放置処置への疑念

身体障害者養護施設での感染対策についての相談事例より

重複障害学級におけるMRSA感染児童への対応での相談事例より

MRSA除菌でのムピロシン軟膏使用後の対応相談事例より

エバンス症候群とMRSA感染治療

細胞からの消毒剤排出機構による消毒剤耐性遺伝子

β‐ラクタマーゼとは?

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)伝播防止策

消毒剤耐性遺伝子により耐性菌の出現した消毒剤

β-ラクタマーゼ耐性菌出現の歴史

Hetero-VRSAでのvancomycinとβ-lactam剤との拮抗現象


 【冷たい医療・冷たい福祉‐MRSA保菌者を例にして】

 国民の多くが現在の医療を冷たいと感じているといいます。また、福祉についても国民の多くが冷たいと感じているのではないでしょうか? 今月号では、MRSA保菌者に焦点をあてて、冷たい医療、冷たい福祉の実状とその打開策について読者と共に考える、通常とは異なる紙面つくりを試みました。文責:事務局長(『バイオクリーン・ラボ通信』第128号‐200306月号‐より)

★ MRSA保菌者に二重苦を与える医療と福祉の現状とその背景について ★

「苦情相談の傾向」:「MRSA相談室」に寄せられます患者ならびにその家族からの相談には、依然として、急性期を脱し地域病院やリハビリ病院に転院するにあたり、MRSA保菌者であることを理由に受入を拒否されて転院先が見つからない、あるいは受入先が見つかったものの、個室入院が条件で(個室隔離)、その差額ベッド代を患者側で負担しなくてはならないため経済的に転院出来ないで途方にくれている、という相談が後を断ちません。また、いざ在宅療養に移行して自宅に帰って来ても、MRSA保菌者を理由にしたリハビリ通所やディサービスの利用拒否、特別養護老人ホームなどの高齢者介護施設への入所拒否が当たり前のように横行しています。家族は介護のために仕事を取るか家庭を取るかの厳しい選択を往々にして迫られています。

「患者とその家族を支える地域医療の在り方とは?」:地域医療の原則は、どんな患者であっても拒まない急性期を診る専門病院、急性期を乗り越えた後に受入れてくれる地域病院、そして在宅医療に移行した時には往診医のいる診療所(クリニック)、訪問看護ステーションが受手としてあり、さらには身体介護や家事介護の担い手である介護ヘルパーの手があることを理想とします。このような地域全体で運営母体の垣根を越え医療と福祉の担い手が連携しており、常にどんな患者をも受入れる体制にあることで、患者は安心して一貫した治療に専念でき、また、患者を経済的・精神的に支える家族も安心して就業しながら在宅に移行後も看病と闘病生活を支えることが出来ます。ところが、現実はどうでしょうか?「MRSA相談室」に寄せられました相談事例は上述した通りの寒々として惨憺たる実状を示しています。ではなぜ、このような冷たい医療や福祉が横行しているだろうか? 契約福祉と診療報酬の在り方を考えなくてなりません。

「MRSAへの過剰な恐怖心がMRSA保菌者に医療・福祉の二重苦をもたらす」:つい先日まで、マスコミは「SARS」の脅威について怒涛のように報道していました。その前には「人食バクテリア」と称して劇症型連鎖球菌とコレラ菌の一種である海水中に生息するビブリオ菌のことをこれでもか、これでもかと人々の恐怖感を煽るかの報道をしました。この過去の延長線上にMRSA報道がありました。かれこれ20数年前の“恐怖のMRSA”報道が、当初は医療者の間を、ほぼ同じくして福祉関係者の間を、そしてさらには、今も市民の間を“MRSA脅威論”は一人歩きして広範囲に浸透していることが、一般市民から「MRSA相談室」に寄せられます質問が如実に示しています。MRSAを保菌した患者は、院内で隔離されたり転院先に拒まれたり、福祉施設への入所やディサービス利用を拒否され、最悪の場合は家族からも伝染病患者であるかの扱いを受ける場合もあり、家族からも危険視されたのでは、もう二重苦どころか三重苦の悲劇といわなくてはなりません。すでに東京都の運営する高齢者医療施設とそこに併設された高齢者介護施設での疫学調査では、無症状なMRSA保菌者から同室者にMRSAが移ることはなかったことが報告されています。ただ単にMRSAを保菌している人から他の同室者にMRSAが感染した事実が見出されなかったのです。また、MRSAを身体の内外に常在菌として保菌している健常者が増加する傾向にあります(4割程とするデータもあります)。MRSAは、もともとがヒトの身体内や皮膚上で細々と生活している常在菌の一種である黄色ブドウ球菌であることからも(黄色ブドウ球菌の中で、抗生剤への耐性遺伝子を取り込んだものがMRSAになりました)、このことは決して不思議なことではありません。元来が化膿や食中毒の原因となる毒素などを出す程度の日和見感染菌に過ぎず、コレラや赤痢、炭疽菌やペストなどのような健康なヒトに感染すると重篤な症状をもたらす伝染病菌とは異なります。環境中の雑菌の一つくらいに考えて構わない細菌です。ただし、大きな手術を受けて身体の深部や表皮の手術創に感染したり、化学療法(抗生剤の大量投与や、抗がん剤投与)や放射治療を受けるなどして免疫系が極度に弱くなっている方などに対しては脅威になることがあります。医療者や福祉従事者がMRSAへの過剰な脅威論に捕われている限り、MRSA保菌者の二重苦は解消しません。

「MRSA保菌患者とその家族に塗炭の苦しみ与える差別を温存させる保健・福祉行政の怠慢」:MRSAへの脅威がいわれない脅威論であることは自明です。旧・厚生省はMRSA保菌を理由とした診療拒否は正当な診療拒否の理由にならないと見解を示していますが、地域保健所にこの件で相談しても、入院拒否が不当であると病院に掛け合ってくれたという話しは聞こえて来ません。同様に、保菌を理由にサービスや入所を拒否した高齢者福祉施設に対し、監督する立場にある行政福祉職員が施設に抗議した話も一つとして聞かれません。これは、保健と福祉行政職員の怠慢であり、そのことが保菌者への差別を温存させる一因になっているといえましょう。地域住民が主人公であるはずの地方自治体職員が、住民のために役に立たないのなら何のためにいるのでしょうか? 残念ながら多くの場合、保健行政と福祉行政機関は、不当な保菌者差別の解消には何の役にも立っていません。【転載を禁じます】

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【MRSA感染症治療時での病棟薬剤師から主治医への情報提示について】

【相談事例】:高齢の患者さんで肺炎を悪化させ、内科病院に転院後に軽快し帰院しました。帰院時、褥瘡部にMRSA(+)その後、発熱がある度に、ケフラール、フルマリン、クラビットなど投与(投与間隔はあいている)。*月頃より、喀痰よりMRSA検出。ミノマイシン感受性菌のため、ミノマイ100mg・day経口投与。陰性にならないためタゴシットを1週投与。37度台で解熱しないためと、耐性菌を心配し、ハベカシン投与するが、薬疹が出て1日で中止。それと前後した感受性試験でMRSA陰性となるが発熱は続く。薬疹がでたため、強力ネオミノファーゲンシーを約2週間投与。再び、MRSA3+になり、タゴシット2週投与。現在MRSA1+。担当医はミノマイの注射を検討したが、再度ミノマイシン50mg12回の内服の指示。添付文書を担当医に見せたところ、100mg12回に変更。発熱が続き、咳、喀痰がひどい。食事は良好ですが、痩せています。薬局として、体温、投与薬剤、MRSAの陽性・陰性などを、グラフにして主治医に提示したのですが、気になるのは、MRSAが陰性時でも、発熱、喀痰が続いていることです。MRSA以外に原因が疑われます。薬剤師としてどのような情報を主治医に提示すればよいでしょうか。− 病院薬剤師 −

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】

タゴシッドはβ(ベータ)-ラクタム薬と併用しましたか? また、ローデングドーズも行っていますか? さらに、それと前後した感受性試験でMRSA陰性後も続く発熱の原因は何ですか? 薬疹後の投薬内容と症状を見る限り、MRSAが残っていたことが考えられます。MRSA肺炎の前段階なのでしょうか? できれば、タゴシッドとユナシン、もしくはメロペネムの併用で様子をみては如何でしょうか?薬剤師として、どのような情報を提示してしていけばよいかとの問いですが、是非、グラフにして担当医にお見せください。その場合、抗菌薬の投与期間、発熱、CRPWBC(白血球値)の動き、MRSAの検出状況(どの部位からどのくらい)。おそらく痰と発熱はMRSAが原因だと思われますが、痰からMRSA以外の病原菌は検出されていないのでしょうか?MRSAのみが原因とした場合、アルベカシンは使用できないでしょうから、基本的にバンコマイシンかタゴシッドになります。バンコマイシンを使用する場合は、バンコマイシンとβ-ラクタム薬の併用によって、バンコマイシン耐性が誘導されるMRSAが存在しますから、バンコマイシンは単剤使用が望ましいと思います。また、タゴシッドはβ-ラクタム薬と強力な相乗効果を示しますから、併用をお勧めします。この2剤を中心として、ミノマイシンに感受性を維持しているなら、これを加えたサイクリング療法が可能です。たとえば、タゴシッド+メロペネム→ミノサイクリン+ファオスフォマイシン→バンコマイシンを繰り返します。これによって耐性菌出現の抑制と副作用の軽減ができるはずです。おおむね一週間程度のサイクリングでいいと思います。【転載を禁じます】

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【MRSA保菌者と新生児との同居の可否について】

【相談事例】:脳梗塞後遺症のため入院中の**歳*性。在宅介護希望ですが、ご自宅には新生児がいます。咽頭ぬぐい液ならびに尿からMRSAが検出されていますが感染徴候はありません。嚥下障害のため胃瘻管理中。また、唾液等の管理のため吸引が必要です。院内ではいわゆるスタンダードプリコーションを行っておりました。新生児との同居は、避けておくほうが無難との意見が医局内での多数を占めておりますが、接触時の注意で、在宅に踏み切っても良いものか悩んでいます。− 医師 −

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:難しい判断だと思います。在宅を希望されているからにはそれなりの理由が存在するからですし、といって、簡単にMRSA保菌者を帰していいものかどうか。原則的な判断をするなら、少なくとも尿からのMRSAが消失してから帰宅という判断が妥当と思います。唾液吸引が必要な方から、咽頭の除菌は困難です。また、咽頭に保菌しているからといって、発症していなければ対応は必要ありません。しかし、胃瘻は容易にMRSAが感染してしまいますから、その対応(ゲンチアナバイオレットでの消毒)は必須です。尿から検出されるMRSAが何に由来しているのか気になりますが、カテーテルを留置されていますか? カテーテル性のものであればさほど心配はいらないと思います。何れにしても、御家族が在宅を希望されている以上、それに沿った対応を考える必要があるでしょう。新生児がいらっしゃっても、在宅看護の教育(手洗い)をしっかり行えば、問題ないと思います。手洗い、リネン類や医療器具の処理方法を解りやすく在宅で実行可能な対応さえ教えていれば、新生児がいてもいなくても汚染は防止できますから。また、新生児はNICU(補注:新生児集中治療室)のことを考えて頂ければ解るように、MRSAについては結構強い性質を持っています。NICUはMRSAで汚染されていますが、MRSAの保菌が確認されるだけで、めったに発病はしません。また、そのような劣悪な環境の中でもすくすくと育つ力を持っています。

【訪問看護師(訪問看護ステーション所長)コメント】:まず、在宅介護を希望されている方はどなたでしょうか? 主介護者となるご家族は、この方が在宅へ移行されることをどのように考えているのかにより、対応は異なってくると思います。もし、ご本人、ご家族ともに在宅療養をご希望されているのでしたら、私が担当の訪問看護師なら在宅療養を勧めると思います。医療者が思っている以上に、家族にはできないと思っていることでも(家族が帰したいと考えていれば)、想像以上に力を発揮するもので、指導されたとおりに手抜きせずに介護をしている例をこれまでに多々経験しています。介護者を介した新生児への感染予防対策面では、吸引や唾液、尿に触れるようなときはディスポグローブ(補注:使い捨て手袋)を使用していただき、その前後に手洗いをしていただくことを徹底するようにご家族を指導してはいかがでしょうか?【転載を禁じます】

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【病棟で使用した器材の消毒方法について】

【相談事例】:中規模病院で薬剤師をしております。今年から実働的な院内感染対策委員会が設置され、薬剤部を中心に消毒法の見直し・統一を図っています。各部署の消毒法についてのアンケート集計作業の過程で、看護部より「MRSA陽性・ワ氏(梅毒血清陽性)患者様に使用したガラス・プラスチック・金属器具の消毒容器を一般患者様のものと分ける必要があるか?」との質問がありました。現行では一般患者様、MRSA陽性−ワ氏陽性患者様、ウイルス陽性患者様とで器具の消毒薬浸漬容器を分別していますが、それぞれ02%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン30分以上浸漬後に水洗をし、その後にオートクレーブ滅菌という消毒方法を行っています。MRSA陽性患者様にに使用した器具は、浸漬時点では区別されていますが、オートクレーブにかける時点で一般患者様の器具と一緒になっています。現行の消毒法で問題なければ、一般患者様とMRSA陽性−ワ氏陽性患者様の浸漬容器を区別する必要はないと思いますが、もし、感染症患者様用の器具は完全に区別しなければならないのであれば、消毒方法を改善しなければなりません。薬剤部では、必要ないのであれば病棟看護師の業務負担を軽減する意味から浸漬容器の区別は廃止した方が良いのではないかと考えていますが、どのように対応するのが最も適切でしょうか。この疑問点を委員会で相談したところ、「他の病院でも分けてますよね・・・」との意見がありましたが、果たして根拠に基づき区別しているのかどうかわかりません。それとも、浸漬容器を分けているだけではなく感染症患者様には、専用の器具を使用するところまで徹底して区別しているのかもしれませんが。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:オートクレーブをかけるのであれば、その前に消毒・滅菌する必要はありません。滅菌はオートクレーブで充分です。しかし、汚れがひどければ滅菌は不十分になりますから、そのまえの洗浄が重要になります。これは、あくまで感染汚染のない器具・物品の場合であり、汚染が危惧される場合は消毒薬を使用した洗浄・滅菌が必要になります。感染が危惧されるものかそうでないかは分けて考えてください。汚染物質であれば、そのまま消毒薬に一晩ほど浸し、その後洗浄してオートクレーブにかけられた方がいいと思います。そうすれば、MRSAであっても同じ方法で対応できますから。【転載を禁じます】

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【療養病床現場での院内感染対策実施とCDCガイドライン適用の是非について】

【相談事例】:療養病床で院内感染対策委員をしています。様々な研修に参加しますが、その都度にMRSA感染対策としてCDCのガイドラインを目にします。そのガイドラインはその菌に対するものであり、自分自身でもMRSA対策には必要不可欠で、その通りに対策しなければいけないと思い行動しました。しかし院内感染対策委員長から、療養病床ではそこまでしっかりと対策しなくてもよいと指摘されて困惑しています。療養病床でのMRSA対策はどの程度実施すればよいのでしょうか?

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:CDCのマニュアルは特定の病原菌に対するものではなく、例えばスタンダードは、極当たり前に行うことであり、ユニバーサルは病原菌の伝播経路にそった対策方法です。一般的にはスタンダードで充分だと思います。本質的に療養所では、処置前の手洗いとリネン類の規則的な交換及び清掃が必須だと思います。CDCのガイドラインをそのまま実行しますと、人件費、設備費、消耗品費等によって、おそらく経営に大きな負担がかかってくるのではないでしょうか? CDCのガイドラインは参考にして、各施設で対応可能なマニュアルを作成することが必要です。【転載を禁じます】

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【MRSA肺炎の病室感染対策について】

【相談事例より】:患者さんの現病暦はMRSA肺炎です。抗生剤も投与されています。現在、患者さんの部屋を隔離していますが自分の予防衣は脱いで患者さん専用の予防衣を部屋の中においてあるのを使用しています。患者さんの部屋の予防衣は、週に一回消毒をしてから洗濯をしています。これで、適切でしょか?また、MRSAの消毒についてご教示願います。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:MRSA肺炎の患者さんで、感染をコントロールするための条件として、咳をしているかどうかが重要な問題になります。もし、咳がなく痰だけでしたら、予防衣の必要はありません。むしろ、使い捨ての手袋が必須です。激しい咳をしているようでしたら、現在の予防衣をして下さい。しかし、ケア直後には簡単な70〜80%アルコール噴霧をされたら如何でしょうか。我々が使用する消毒薬は70%アルコールですが、頻回に使用すれば手荒れが起きますから、その点で推奨できません。容易に使用できるとしたらウェルパスが良いのではないでしょうか? また、それで充分です。しかし、消毒剤は一般的に手に噴霧後、拭かないで自然乾燥させて下さい。【転載を禁じます】

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【相談事例に見る訪問看護での感染対策の在り方・考え方】

在宅医療では従前からの大きなテーマである寝たきりに原因する褥創を持つ患者に加え、昨今では在宅での経鼻経管栄養や中心静脈栄養法(TPN)、胃ろう増設(PEG)、導尿、在宅酸素療法患者など、家庭内で各種の管を装着した患者が増加する傾向にあります。訪問看護師からの感染対策相談もこの傾向を反映して、局所的カテーテル感染対策に集中しており、とりわけ刺入部感染(刺入部2センチ以内に発赤や圧痛、硬結、排膿など)対策での皮膚ならびにルートの各接続部の消毒とその扱いでの相談が主となっています。なかでもカテーテルのルート感染対策では、三方活栓に代表される接続部からの菌の侵入を防ぐために、「クローズドシステム化」を推進すること、輸液を入れるバッグは通気針を必要としないソフトバッグを使用するなどの対応が推奨されます。なお、カテーテル皮膚挿入部の感染管理では、挿入部の皮膚の清潔保持と消毒剤の適性使用(原則的に週1回)に尽きると言えましょう。また、尿道カテーテル留置では、細菌や塩類が付着しにくい材質の製品を選択、閉鎖式採尿バッグ、カテーテルとバッグの接続部をシールで密閉、尿流停滞防止が求められます。しかし、少ない予算規模でステーション運営を強いられることがある訪問看護の現場で、従来のシステムに比較して高額な器材をいかに導入するかという問題点は残ります。これから在宅医療で増加が予測される在宅酸素療法(HOT)患者では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺結核後遺症、間質性肺炎、肺がん等の慢性呼吸器疾患を背景とする慢性呼吸不全を伴う特殊性があるために、一度発症すると急性増悪することが顕著でその感染対策は非常に重要になります。【転載を禁じます】

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【乳児のMRSA除菌治療への母親からの不安相談事例】

【相談事例】:生後*ヶ月の乳児の母です。*月に、停留睾丸の手術を受けるのですが、その入院にあたって鼻の中に綿棒をいれて検査したところMRSA陽性と出ました。病棟も違うところになるし、除菌をしなければならないとバクトロバン鼻腔軟膏を処方されました。何の説明もなく、健康な人は持っていても問題ないし、大人は大半は持っているとしか聞かされませんでした。*ヶ月の乳児が感染しているのは稀なことなのですか? 乳児は皆ほとんど持っていないのがあたりまえなのですか? MRSAについては全く知らなかったのですが、乳児を抱えるにあたって手洗いや手にするものの除菌は心がけてきたつもりなのですが、このMRSAは本来は簡単にはうつらないものなのですか? 感染源は母親である私かもしれませんが、私も除菌する必要があるのでしょうか? 菌を持っていることで、術後のどんな問題があるのでしょうか? 手術だけでも不安ですのに、説明もそこそこでMRSAなので別病棟と言われても不信感がつのるだけです。

【看護師(国立病院外科系病棟勤務歴9年)コメント】:お子様は、MRSAに感染されてはいますが、MRSAによるなんらかの症状はないようですので、保菌状態と考え、コメントいたします。今回、お子様が除菌する目的は、手術により発症することを防ぐために除菌するのだと思います。保菌されているだけでしたら、菌がそこにいるだけですから、特に治療する必要性はなかったと思いますし、自然にMRSAが消えることもあります。ということから考えますに、果たしてお母さまの除菌は必要でしょうか?お母さまが保菌であったとしても、お子様との面会を制限する必要もないでしょう。また、面会の前後には、流水とせっけんで手洗いを今まで通りに続けてください。MRSAは常在菌ですから、ご自分を責めないでくださいね。また、医師とももっとよくお話されたほうがいいですよ。【転載を禁じます】

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【感染予防としての鼻腔内へのイソジンゲル塗布の是非について】

【相談事例】:現在、感染予防として入院患者全員に鼻腔内のイソジンゲル塗布を行っています。しかし、この行為に対してコストは取れないと聞いてます。それでも、する必要があるのでしょうか? 必要があるにしろ、ないにしろその理由を教えてください(データ等に基づいた理由をお願いします)。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:感染予防として入院患者さん全員にイソジン塗布を行なうというのは明らかに行き過ぎだと思います。検出された患者さんで、しかも大きなオペを控えている様な状態の患者さんに限って行なわれるべき行為です。また、院内感染対策にかかるコストと院内感染によって被害を受けた、または受けている患者さんにかかるコストは別に考えるべきものです。データに基づいた意見ではありません。といいますのは、入院患者さん全員に塗沫している病院とそうでない病院のデータがありません。また「無条件に全員塗沫」は医療行為でもなく、院内感染対策でもありませんので、そのようなデータが学会発表されることはないと思われます。【転載を禁じます】

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【点滴ライン感染予防における消毒剤の使用法について】

【相談事例】:点滴ラインに使用している三方活栓(三活)から側注する際、三活のキャップをとり消毒して注射しています。その時にイソジンを使用していますが、イソジンは乾燥しないと殺菌効果はないと聞いております。しかし、乾燥するまで待てずに使用することが多く、その際にはアルコール綿で一旦拭いて注射しています。この注射の際にイソジンが血液へ入り悪影響を及ぼす事はあるのでしょうか? またエタノールとの殺菌効果はどちらがあるのでしょうか?

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:イソジンは乾燥しなくても効果があります。乾燥しなければ効果がないというのは単なる噂(?)でしょう。イソジンで消毒しなくても消毒用アルコールで充分です。しかし、イソジンでもアルコールでも消毒時間に最低1分間はかける必要があります。イソジンがごく少量血液に入ったとしても、さほどの影響はありませんが、あくまで外用薬ですので注意されてください。その点ではアルコールのほうが無難だと思います。アルコールの場合、蒸発しますからなるべく作り立てのものを使用して下さい。普通の細菌に対しては、イソジンとアルコールのどちらも同じ程度の効果(よく殺菌できる)があるでしょうが、胞子形成菌、真菌、ウイルス等についてはイソジンの方がより効果があります。

【看護師(国立病院外科系病棟勤務歴9年)コメント】:三方活栓のないY管から注射できる点滴ルートがあることをご存知ですか? 三方活栓のふたのディスポがあることをご存知ですか? イソジンの消毒がどのような手技でされているのか、ご相談内容からはわからないのですが、業務が煩雑になるとかえって十分な消毒ができなくなってしまいます。そのような十分でない消毒ははあまり意味がないかもしれませんね。また、三方活栓を消毒しても、注射する人の手がきちんと手洗いされていなければ意味がなく、反対に院内感染の原因になることも考えられます。【転載を禁じます】

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【訪問入浴サービス利用時のMRSA保菌者への留意点について】

【相談事例】:居宅支援事業所でケアマネージャーをしています。MRSAに感染している利用者の訪問入浴車での入浴を考えていますが、その際の消毒方法、また介護するヘルパーが気をつける事項を教えて下さい。

【MRSA専門家(医学部教員)コメント】:単に保菌しているだけの方でしたら、通常の入浴で大丈夫です。出来れば、新鮮な“あがり湯”をかけてあげたら如何でしょう。ヘルパーの方も最後に「手洗い」と「うがい」さえしておけば問題ないと思います。入浴後の消毒も通常のもので充分ですが、隅々まできれいにこするような作業での清掃をして下さい。保菌者の場合、無症状であれば問題はありませんから、特別な対応は必要ありません。介護者にとっても特別な対応は必要ありません。「手洗い」と「うがい」だけで充分です。気管切開されている方の場合は、治療が必要になりますが、切開部の創部感染から喀痰にMRSAがついて出てきているのか、肺炎、気管支炎があり、そこからMRSAが出てきているのか、その区別が必要です。創部感染の場合はABPC1gを5mlの注射用蒸留水に溶解して、その0.5mずつを数カ所に局所注入します。開放部は、可能であれば0.1%ピオクタニン(ゲンチアナバイオレット)を綿球につけて消毒します。また、濃いお茶を綿球につけて、もしくは噴霧で消毒可能です(この場合は、医薬品ではないので時間がかかりますが)。単に保菌している場合と感染症が発症している場合とは完全に区別して対応されて下さい。保菌者の場合は、むやみに気を使う必要はありません。先ほど書いたように、「手洗い」と「うがい」で充分です。しかし、感染者の場合は本人自身と周りへの対応が必要になります。

【看護師(訪問看護ステーション所長・ケアマネージャー有資格):まず、MRSAに感染しているといっても、全身に感染しているわけではありませんから、感染部位の確認が必要です。また、保菌しているのか(その部位に菌があるだけでなにも症状がない)、発症しているのか(何らかの感染による症状があるのか)によって対応が異なることを念頭においてください。利用者ご自身が訪問入浴をお考えとのことですから、おそらく保菌状態ではないかと仮定してコメントいたします。保菌状態であれば(たとえば喉に菌があるとか)、通常の入浴でかまいません。もし、褥そう等の場合は密封状態を作るなどの工夫をすればいいでしょう。ヘルパーさんに関してですが、通常の生活を送ることのできる方に関しては感染の心配はしなくてもよいですが、ただしその方の手を介して他のご利用者への媒介とならないように訪問前後に石鹸と流水で手洗いをすることと、うがいをしていただければよいでしょう。MRSAに感染している方は、抵抗力が低下しているために感染したのですから、他の訪問先からの菌を運ばないように、訪問したらまず初めに手洗いをしていただくようにご指導ください。がんばってください!【転載を禁じます】

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【便培養でMRSA(3+)が検出された際の消毒法・院内感染予防について】

【相談事例】:便培養からMRSA(3+;菌数100万以上/ml)が検出された場合、排泄物の消毒方法、院内感染予防の注意点などについて教えて下さい。(医療従事者)

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:便培養からMRSAが検出される多くの場合、鼻腔や咽頭にMRSAが付着しています。この部分を除菌しない限り、便からの排出は止まらないのではないかと思います。これらは、医薬品であればムピロシンでの除菌、非医薬品であれば濃いお茶での除菌が可能です。排泄物の消毒は、ヒビテンアルコールで充分だと思います。また、院内感染の基本は、処置前後の手洗いです。特に処置前の手洗いが重要です。院内感染を徹底するためには、院内感染の教育が必要になりますし、これが理解されないと院内感染対策は机上の空論になってしまうでしょう。【転載を禁じます】

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【新生児のMRSA感染予防策での沐浴とガウンテクニックについて】

【相談事例】:NICU(新生児ICU)の勤務者です。現在、MRSAが蔓延しつつあり日常の沐浴時の対応について考えさせられる点がありましたので、ご相談お願いいたします。咽頭、便、臍よりの培養でMRSAが検出された児の沐浴時の対応で、沐浴後にはかけ湯をする必要がある、それはまったく必要がないと意見が分かれています。専門家よりのご意見お願いいたします。また、そのような児の日常の対応としてガウンテクニックはどの程度まで必要なのかご意見ください。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:NICUでもMRSAの蔓延は、本当に大きな問題です。しかし、あまりに検出頻度が高いため、学会自体がさじを投げ出している状態です。実際に看護なさっている方にとっては、そんな無責任な対応はとれませんね。まず、NICUの感染源ですが、これは便の可能性が最も高いと思います。所謂、糞口感染です。鼻腔や咽頭感染から腸管内感染へ移行し、これが便に検出されます。この便から更に鼻腔、咽頭へ移行し、これがNICUで繰り返されます。このことを考えますと、NICUの院内感染は100%医療従事者によって伝播されていることになります。この認識が最も重要です。このサイクルを断ち切ることが出来れば、NICUの院内感染は激減するでしょう。処置する前に手洗いです。もしくは使い捨て手袋の着用ですが、処置後は廃棄する必要があります。処置後の手洗いは良く言われることですが、それよりも処置前の手洗いが子供を守るには重要です。さて、ご質問の件ですが、沐浴後のかけゆにどれほどの効果があるのかは解かりません。しかし、MRSAの除菌もしくは菌数の減少を考えれば、汚染された湯に入っていたわけですから、それをかけ湯で希釈するという考えはできます。また、ガウンテクニックの件についても、細菌学的には効果があると考えられますが、現実的にはそれほどの効果があるとは考えられません。むしろ、手洗い、もしくは使い捨て手袋着用の方がもっと重要だと考えられます。NICU勤務者の手の調査をしたことがありますが、MRSAは医師からも看護婦からも検出されています。この手で処置されれば、MRSAは乳幼児には簡単に付着してしまいます。MRSAの問題の最も重要な点は何かを考えて、院内感染対策を行う必要があります。

【転載を禁じます】

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【子供が通院先の歯科医院でMRSAに感染していると告知されての相談事例】

【相談事例】:子供が歯科でMRSAに感染していると言われました。大きな病気もしたことがないのにと驚いています(1)感染していると、この子の人生にどんな影響があるのですか?人によって言う事が色々です。(2)除菌する方法はあるのでしょうか?(3)今後、何に気をつけて子育てすべきでしょうか?また、どのくらいの間隔で検査したらよいのでしょうか?(3)子供から家族に感染する可能性とその予防面での注意事項は?(市民)

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:MRSAは鼻腔から検出されたのですね。しかし、発症はしていない保菌状態ということですね?では、一般的に、保菌状態で抗菌剤は投薬しません。無闇な抗菌薬の投与は高度耐性菌を作るだけで、本当に発症した場合に治療に困るようになります。ですから、その危険性を避けるためにも発症していなければ抗菌薬は投与しません。また、鼻腔内に保菌していたとしても自然消滅する場合もありますし、健康人で保菌されている方の中には、何の影響もなく自然消滅してしまう場合も多々あります。しかし、治療中と言うことですから、何らかの炎症が起きている可能性があり、その程度によっては気を付けなければなりません。【転載を禁じます】

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【易感染者に対しての予防的ムピロシン軟膏塗布について】

【相談事例】:易感染患者(ねたきり老人、IVH施行患者など)に対してMRSA感染予防のために、全員一律に月1回ムピロシン軟膏塗布することは効果的でしょうか?(外科病棟医師)

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:予防のためにムピロシンを使用することは、お勧めしません。ムピロシンは耐性菌の出現しやすい抗菌剤ですし、既にプラスミド性の耐性遺伝子が広がってきています。ムピロシン耐性菌はまだまだ少ない状況ですが、使用すればするほど蔓延化することは過去の歴史からも明らかです。本当に除菌しなければならない時に、効かない状況を作り出す危険性は避けるべきでしょう。予防的に何らかの手を打つ必要がどうしてもある場合は、むしろイソジンの塗布程度で十分ではないでしょうか?寝たきり老人であれば、床ずれが問題になってくるでしょうが、これはイソジンでの洗浄、ピオクタニン(ゲンチアナバイオレット)での除菌が効果的です。また、IVHでは、ご存じのように留置期間とともに感染症の発症は増加します。目安は一週間ですが、最長でも2週間が限度ではないでしょうか。また、これらの床ずれ、IVHの感染が鼻腔内の保菌と関係しているのか、それとも医療従事者の衛生管理に起因しているのか、そのような問題も考える必要があります。どちらかといえば、医療従事者の原因の方が大きい可能性があります。

【看護職(外科系病棟勤務歴9年)コメント】:予防的に抗生剤を使用することは、更なる耐性菌を生産することになるのではないでしょうか? 院内感染に関しては、ほとんどが医療従事者の手を介して感染しています。ご多忙の勤務とは存知ますが、予防的に薬剤を投与するよりも、医療従事者が感染症に関して知識をもち、個々が適切な対応をしなければいけないのではないかと思います(手洗いの励行、必要時プラスティックグローブの使用など)。【転載を禁じます】

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【診療科別の院内感染対策マニュアルは必要か?】

【相談事例】:病院の感染対策委員をしているものです。当院整形外科では、人工物の使用などの科としての特殊性のため、いったん感染などが起こると非常に難治だとの理由などから、院内のMRSA感染対策マニュアルとは別に、保菌者も含めた個室管理、保菌者も含めてMRSA患者の入院は極力避ける、その他からなる別マニュアルを使用しています。そのような、科による特殊性を考慮した複数のマニュアルでの院内感染対策の例を知りませんが、そのような例がありますでしょうか、また、妥当なものでしょうか。これを認めれば、各科がそれぞれの主張をしてしまうことにもなると思います。是非、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:院内感染対策で基本となっているスタンダードプレコーションもしくはダブルプレコーションをご存じだと思いますが、これを日本の施設で完全に実施するには無理があります。しかし、対策自体の基本概念は同じであり、これらを参考にした病院独自の対策を各病院で対応できる有益な対策を考え出す必要があります。この対策が本当に有用であれば、科によって別の対策を行う必要はありません。また、保菌者を管理する必要はありませんし、まして個室管理は行きすぎた処置だと思います。整形外科は骨を扱うオペとインプラントによって感染が起きやすく、一旦起きてしますと極めて直りにくい骨髄炎等が起きてしまいます。そのために、過剰に反応されているのでしょうが、その原因は患者ではなく、100%医療従事者にあることを認識すべきです。患者にさわる前に手洗いをすること、また処置が終わった後に手洗いをすることで院内感染のほとんどを防止できます。感染が起きてしまった場合でも、サイクリング療法とかピオクタニンを使った消毒方法もあります。治療方法を工夫することで感染者を治療することは可能ですし、それも院内感染を防止する方法です。なんといっても患者に責任を転嫁するのではなく、院内感染の最大の責任は医療位従事者にあることを認識した対応が必要だと思います。

【看護職(外科系病棟勤務歴9年)コメント】:病院の特色などがあるでしょうから、どれが良いとは一概には言いにくい面がありますが、いずれにせよ貴院の場合のスタンダードマニュアルは必要ではないでしょうか? 保菌者の取り扱い、発症者の取り扱い、隔離に関する取り扱いなどは各科共通でもよいのではないでしょうか? その他の科ごとの感染についてのマニュアルについても、合併症を持つ方に対して共通に使えるものにされた方が人事異動があった際にも使えるものになるのではないかと思います。なお、保菌者の隔離は必要ありません。環境整備と手洗いの励行で十分だと思います。病院では、院内感染の原因のほとんどが医療従事者の手からといわれています。感染対策は大変ですが、感染者がでると治療に関するコストもかかります。1行為1交換のプラスチック手袋の交換などは一見してコストがかかりますが、しかし、それ以上に遥かにコストがかかるのは、院内感染により患者様の治療費を病院が負担する事態を招くことでしょう。【転載を禁じます】

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【MRSA個室隔離時のリハビリ利用制限とリネン類の10時間放置処置への疑念】

【相談事例】:髄膜脳炎で大学病院に入院した家族が近隣の療養型の病床に転院しました。後遺症が重く、ほぼ全身に麻痺があり、意識はあるものの、意思表示や、会話が成立する状態にありません。入院後、褥創(仙骨部)があっという間にひどい状態になり(約2cm−3cmの深さ)。先日、褥創からMRSAが検出されたと告知されました。治療として、創部洗浄時にバンコマイシンの散布を行うとの事。喀痰からは、緑膿菌が検出され、こちらは、ゲンタマイシンの点滴を短期間行うとの事。現時点で肺炎になってはいないとのことです。薬物感受性試験で、いくつか、効果のない薬があるそうです。元々個室に入っていたのですが、一般病棟内のリハビリ施設の利用を禁止されました。着替え、タオル等は自宅で洗濯していたのですが、ゴミを含め、一切の室内の持ち物は10時間以上置いてから持ち出すように指導されました。大きなビニール袋に入れて(消毒などはしません)、部屋のトイレ(未使用)に一旦置かされています。10時間おく、というのは何か効果があるのでしょうか?傷からの浸出液や血液等を考えると隔離は仕方ないのでしょうか?

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:リハビリ施設の使用は褥創部位が落ち着くまで、見合わせたほうが良いと思います。これは、第三者への感染を防ぐという意味で重要なことです。ご理解下さい。また、10時間以上を経て持ち出し可能という意味は、MRSAが乾燥状態で10時間すれば菌数が減少するということでしょうが、残念ながらほとんどのMRSAはその程度では死にません。従って、ほとんど意味がないといっても過言ではないでしょう。褥創の治療方法は色々な方法がとられていますが、バンコマイシンの直接塗布をおこなう状態であれば、一般的に使用されているイソジン、イソジンシュガーでは効果がないほど、浸出液が多かったものと考えられます。その場合、ピオクタニン(青紫色)が効果を発揮することがありますので、担当医に聞いてみて下さい。【転載を禁じます】

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【身体障害者養護施設での感染対策についての相談事例より】

【相談事例】:これまでにも何名か保菌(MRSA)した職員がいたのですが、症状が出た人はおりません。今回、仕事のなかで保菌した職員が入所者の胃瘻部位をケアしますが、該当職員に対してどう対応するべきか、目安を教えて頂ければと思います(身体障害者療護施設・施設長)。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:保菌の状態であれば無闇に心配なさる必要ありません。恐らく鼻腔、咽頭での保菌状態と推測しますが、これが最も一般的な保菌状態です。身体障害者の方で、カテーテル留置とか気管内挿管されている方等はいらっしゃいますか? そのような方にはある程度の配慮が必要になってきますが、如何でしょうか? そのような方がいらっしゃらなければ、ごく普通の生活でも構わないと思います。ただ、職員にはその旨通知していただき、外気交換は頻繁に行うように努めて下さい。また、保菌者に風邪などの症状が認められるときは、その対応は早めに行うこと。当然、保菌者の鼻水等に非保菌者が触れない環境づくりが必要になってきます。基本的に保菌者だからと言って、普段の生活で特に気を付けることはありません。くれぐれも神経質にならないように、その人達が差別を受けることがないようにご配慮をお願いします。胃瘻の方と接触するときは、接触前に肘から手までを洗って下さい。出来れば胃瘻造設には接触しないでください。接触する場合は、可能なら使い捨て手袋、もしくはイソジンでの手の消毒後に接触するようにして下さい。

【看護職(外科系病棟勤務歴8年)コメント】:保菌されています方は、医療従事者ですか? それとも、医療的処置に直接関わられない方ですか?それによって、対応が異なると思います。医療処置に直接関わられない方であれば、(鼻腔、咽頭の保菌と仮定して)手洗いを励行していただくなどで、十分ではないかと思います。鼻水などをあちこちに捨てたりしないでしょうし…入所者の方にMRSAの保菌者がいたときと同様ですよね。さらにご自身の健康管理をきちんとしていただくことも必要ですね。あとは、保菌している方を差別しないように職員の方にご説明していただければと、思います。【転載を禁じます】

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【重複障害学級におけるMRSA感染児童への対応での相談事例より】

【相談事例】:養護学校の養護教諭です。本校の重複障害学級の児童で、入院中にMRSAに感染し、保菌者となった子がおります。この子への対応についてお伺いします。この子は先日退院してきまして、今後は無理のないように登校してくる予定ですが、この子の入るクラスには、経管栄養の肢体不自由児(自宅では吸引実施)がおります。この子たちを同じ教室に入れて授業を受けさせてもよいか、またよいのなら、配慮すべきことは何かについて、質問させていただきます。

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:保菌場所(例えば鼻腔、咽頭、表皮)は解りますか?保菌場所によって、対応が異なってきます。鼻腔、咽頭であれば、激しい咳とか鼻水が出ていなければ特別な対応は必要ありません。経管栄養のお子さんとも同じ教室で勉強なさっても問題はありません。表皮であれば、汚染が広がりますから除菌の必要があります。除菌後の登校が無難でしょう。それが無理であれば、出来れば、経管栄養を行っている子供との接触は少なくした方が良いと思います。経管栄養のチューブがどこから入れられているのか解りませんが、経鼻であれば鼻の微粘膜と咽頭粘膜が弱まっていますし、胃とか腸への直接的挿管であれば、その挿入部は易感染状態になっています。

【看護職(外科系病棟勤務歴8年)コメント】:ご相談をされました退院直後の児童がMRSAをどの部位に保菌されているのでしょうか?また、同教室内の肢体不自由児の子は、気管切開をされているか、学校内でも吸引を必要としているのでしょうか?退院直後の児童が痰からMRSAがでている、学校では吸引を行っていないと、仮定してコメントをいたします。まず、強い咳をしていなければ、同じ教室内でかまわないと思います。この児童のMRSAが出ている部位のケアを行うときは、(他の児童に感染させない観点から)手袋を装着してください。そして、その手袋は何回も使いまわしせず、捨ててください。また、流水と石鹸による手洗いも励行してください。他の子に関しても、先生たちは感染などに気を使われていますよね?それと同様に扱われてかまわないのではないかと、思います。児童が入院して、感染するとは、切ないお話ですね。なにかありましたら、またご相談ください。【転載を禁じます】

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MRSA除菌でのムピロシン軟膏使用後の対応相談事例より】

【相談内容】:MRSA保菌者《喀痰より検出》の除菌作業の一つとして鼻腔へのイソジンゲル塗布を行っていましたが、ムピロシン軟膏に変える予定です.能書きによれば13回鼻腔に三日間塗布した後培養検査をする、とあります。検査結果が出るまでは何もしないほうが良いのでしょうか。それともイソジンゲルの鼻腔塗布をしているほうがよいでしょうか。また、もし結果がまだ陽性であった場合は、すぐにムピロシン軟膏の鼻腔塗布をおこなってよろしいのでしょうか。よろしくおねがいします。*脳神経外科病院 検査科

【MRSA感染症専門家コメント】:ムピロシン3日間塗布後の培養再検査期間中は待機して下さい。だいたい、それで除菌できているはずですから。再検査後でも除菌できていなければ、バシトラシン含有の軟膏剤、アクアチムクリームでも除菌可能です。このような抗菌剤が全て無効であれば、0.1%ピオクタニンの塗沫も可能です。ムピロシン3日間で除菌できなければ、再度ムピロシンを使用しても消える可能性は少なく、かえってその耐性菌の選択になりますから、再使用は極力避けて下さい。【転載を禁じます】

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【エバンス症候群とMRSA感染治療】

【相談事例】:「エバンス症候群」で極度の貧血になり入院いたしました。その後、2週間くらいたち、肺炎を起こしました。その肺炎がきっかけで、点滴の量が大量だったため肺に水がたまり、また、当初の治療のためにステロイドおよび免疫抑制剤をつかっていたため、体内にカビが侵入し「髄膜炎」になりました。髄膜炎は一旦軽快しましたが、一月後に再発し非常に危険な状態でしたがどうにかのりこしましたが、「白血球が減少している」といわれるようになり、そのころから、痰がからんだり、よく咳き込むので検査を依頼したところ、「MRSA」と診断されました。主治医は、「MRSAは誰でも持っていて、長く入院し、抗生物質を使用していると出てくるもの」といわれました。また、つい先日には、血小板の数値も減少し、赤血球および血小板の輸血を行いました。このように、入院が長期になり抗生物質を長期にわたって使用しているとMRSAは、出てくるものなのでしょうか?また、「MRSA」と 「肺炎」「肺化膿症」「髄膜炎」との関係があるのでしょうか?

【MRSA感染症専門家(医学部教員)コメント】:エバンス症候群による治療を優先させざる得ない状況だったのではないでしょうか。その場合、これらの治療方法は適切だと考えられます。ただ、免疫抑制剤とステロイドの使用により感染は起きやすくなることも事実ですが、これらの治療を行わなければ、より危険な状態になると考えられます。相談文面にもありますように、主治医はエバンス症候群と闘いながら、感染をコントロールしていることが解ります。エバンス症候群と感染との治療は相反するものであるため、その都度、危険性の高い症状を判断し、それに対応しているものと考えられます。ステロイド、免疫抑制剤の投与で白血球は減少します。これは感染が起きやすい状態になると言うことです。また、現在も赤血球、血小板の減少が続いているようですので、エバンス症候群に対する治療は継続する必要があるでしょう。肺炎・髄膜炎・肺化膿症とMRSAとは関係がある可能性はあります。しかし、これほどの免疫低下状態にしなければ生命に危険が及ぶとすれば、MRSAに構っていられなかったのではないでしょうか?まず、エバンス症候群を何とかしなければならないと思います。この場合、主治医はよく頑張っていると思いますが、如何ですか?【転載を禁じます】

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【細胞からの消毒剤排出機構による消毒剤耐性遺伝子】

遺伝子型

分 離 菌 種

塩基数

アミノ酸残基数

特  徴

qac

Staphylococcus aureus

1,545

514

消毒剤高度耐性

qac

Staphylococcus aureus

1,545

514

消毒剤高度耐性

qac

Staphylococcus aureus Staphylococcus epidermidis

324

107

消毒剤低度耐性

erb

Staphylococcus aureus

 同上

   同上

qacCと同一

smr

Staphylococcus aureus

 同上

   同上

qacCと同一

qacC′

Staphylococcus spp

324

107

qacCの1アミノ酸残基が置換

qac

Staphylococcus aureus

324

107

qacCと構造遺伝子が同じ

qac

Klebsiella aerogenes

333

110

グラム陰性菌に分布

qac

EΔ1

グラム陰性菌

348

115

グラム陰性菌に分布

インテグロンの保存領域に存在

qac

Bacillus firmus

594

197

 

emr

Escherichia coli

333

110

qacEとは塩基配列が異なる

qacquaternary ammonium compound resistance gene

erbethidium bromide resistance gene(ブドウ球菌に由来)

smrstaphylococcal multidrug resistance gene

引用文献:

笹津備規、細菌の消毒剤耐性、p102.表1、平松啓一編、耐性菌感染症の理論と実際、医薬ジャーナル社、1998年

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【β‐ラクタマーゼとは?】

分類:分子構造、β‐ラクタマ環の分解様式の違いを基準に2大分類

§1/2.「細菌の伝播様式によるまとめ」

セリン‐β‐ラクタマーゼ:活性中心にセリン残基を持つ

クラスA:各種ペニシリン、一部セフェムを分解する

染色体性:Koxytoca

プラスミド性:SmarcescensEcloacae

クラスC:各種セファロスポリン、セファマイシンを分解する

染色体性:EcoliEaerogenesEcloacaeCfreundiiPaeruginosa,その他

プラスミド性:Kpneumoniae

クラスD:オキサシリン、クロキサシンを分解する(プラスミド性)

メタロ‐β‐ラクタマーゼ:活性残基に亜鉛原子を持つ

クラスB:カルバペネムを含むあらゆる種類のβ‐ラクタム剤を分解する。

国内では緑膿菌などグラム陰性桿菌に広がっている。

染色体性:Stenotrophomonas maltophiliafragilisBacteroides fragilis

プラスミド性:PaeruginosaPfluorescensPputidaAlcaligenesAcinetobacterSmarcescensKpneumoniaeEcloacaePrettgeriBfragilis

§2/.「β‐ラクタマーゼのタイプ別まとめ」

クラスA

狭域ペニシリナーゼ:黄色ブドウ球菌/ペニシリン

広域ペニシリナーゼ:グラム陰性菌/ペニシリン、ペニシリナーゼ安定半合成ペニシリン、抗緑膿菌ペニシリン

セファロスポリナーゼ:グラム陰性桿菌/第1世代セフェム

基質拡張型ペニシリナーゼ:グラム陰性桿菌/ペニシリン、ペニシリナーゼ安定半合成ペニシリン、抗緑膿菌ペニシリン、第1・2・3世代セフェム、モノバクター

クラスB

メタロβ‐ラクタマーゼ:グラム陰性桿菌/ペニシリン、ペニシリナーゼ安定半合成ペニシリン、抗緑膿菌ペニシリン、第1・2・3世代セフェム、カルバペネム

引用文献:荒川宜親、U 耐性のメカニズムと疫学、1.β−ラクタマーゼ、1)総説−歴史、種類と基質特異性、世界とわが国における現状、平松啓一編、耐性菌感染症の理論と実際、医薬ジャーナル社、1998年/大野章、石井良和、8薬剤耐性菌、山口恵三編、新興再興感染症、日本醫事新報社、1997

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【バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)伝播防止策】

▼VRE陽性患者は、退院後も長期間VRE保菌状態が続くことに留意 ▼VRE伝播には屋内環境が関係していると推測されている

清掃・環境表面の消毒

・ベッドの手すり ・ベッドサイドのカート ・ドアノブ ・水道のカラン ・カーテンの表面

▼VREによる感染症は、内因性感染が主であるが、

・患者の直接接触・菌に汚染されたヒトの手・菌が付着した器具や環境表面

からも間接的に伝播すると推測されている。

引用文献:佐竹幸子・源河いくみ 訳、バンコマイシン耐性菌の伝播防止のためのCDCガイドライン、メディカ出版、大阪、1995

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【消毒剤耐性遺伝子により耐性菌の出現した消毒剤】

消毒剤:アクリフラビン・アクリノール・塩化ベンザルコ二ウム・塩化ベンゼトニウム・塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン・グルコン酸クロルヘキシジン・グルタールアルデヒド・セチルトリメチルアンモニウムブロミド・ポビドンヨード

色素系薬剤:アクリジンオレンジ・エチジウムブロミド・サフラニンO・クリスタルバイオレット・ピロニンY・ローダミン123

防腐剤:ブチルパラベン・メチルパラベン

消毒剤の化学構造や分子量に関係せずに、各種消毒剤に交差耐性を示す。

引用文献:笹津備規、細菌の消毒剤耐性、p101104,表2、平松啓一編、耐性菌感染症の理論と実際、医薬ジャーナル社、1998

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【β-ラクタマーゼ耐性菌出現の歴史】

年 代

主 な 出 来 事

1929年

Flemingによりペニシリン発見

1940年代

・ペニシリンの大量生産が始まる

・ベンジルペニシリン耐性菌が報告される

・ペニシリンを不活化する酵素がペニシリナーゼと命名される

1950年代

 

 

1960年代

 

 

 

 

60年代後半

・各種のペニシリナーゼが分離される

Bacillius cereus(セレウス菌)

Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)

・半合成ペニシリン誘導体:メチシリン導入(1961年)

・MRSA出現(1961年)

・アンピシリン、第一世代セフェムの使用開始

・プラスミドに依存するペニシリナーゼ産性のグラム陰性菌の増加

 →TEM型

Escherichia coli(大腸菌),Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌),Pseudomonasu aeruginosa(緑膿菌)

1980年代

 

 

 

 

 

80年代中頃

・広域β−ラクタム抗菌剤(第三世代セフェム、セファマイシン、カルバペネム)使用開始

・広域β−ラクタム抗菌剤への耐性菌が世界的な規模で出現

第三世代セフェム、モノバクタム耐性菌(プラスミド性)

Klebsiella(1983年),Citorobacter

・MRSAの院内感染急増

・(バンコマイシン耐性腸球菌の出現:1986年)

1990年代

・カルバペネム系β−ラクタム耐性菌(染色体性)

Bacteroides fragilisSerratia marcescens

Enterobacter cloacaeStenotrophomonas maltophilia

・第三世代セフェム、モノバクタム耐性大腸菌の出現(1995年)

・MRCNSの病院内での定着化(鶏など家畜からも分離)

・イミペネム系β−ラクタム耐性緑膿菌(プラスミド性)

引用文献:荒川宜親、U耐性菌のメカニズムと疫学、1.β-ラクタマーゼ、1)総説−歴史と基質特異性、世界とわが国における現状、平松啓一編、耐性菌感染症の理論と実際、医薬ジャーナル社、1998/大野章、石井良一、8薬剤耐性菌、山口恵編、新興再興感染症、日本医事新報社、1997

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Hetero-VRSAでのvancomycinとβ‐lactam剤との拮抗現象】

有高奈々絵、花木秀明、平松啓一:「Hetero-VRSAにおけるvancomycinとβ‐lactamとの拮抗」、第81回日本細菌学会関東支部総会講演抄録集、31頁、1999年6月より引用

Hetero-VRSAはバンコマイシン(VCM)との接触で、さらにVCMへの耐性度の高いバンコマイシン耐性のMRSA(VRSA)を生み出すことがすでに報告されている。▼さらには治療薬バンコマイシンとβ‐ラクタム剤とは拮抗してしまうことが指摘されている。▼演者らはその拮抗現象の確認試験とそのメカニズムの解明を試みた。▼ヘテロ耐性VRSA3株、バンコマイシン、β‐ラクタム剤23種類でもって実験を行った。▼その結果、β‐ラクタム剤23種類の全てがバンコマイシン存在下で一定の濃度でヘテロ耐性VRSAにバンコマイシン耐性化を招いた(VRSAに変化させた)。その至適誘導濃度はβ‐ラクタム剤の種類により異なっていた。また、ヘテロ耐性VRSAの菌株によっても異なっていた。▼このことは、バンコマイシンとβ‐ラクタム剤を同時に治療に用いると、β‐ラクタム剤によって菌体の細胞壁の合成が活性化されることによって、バンコマイシン耐性を増長している可能性が示唆された。

補記:このバンコマイシンとβ‐ラクタム剤とが同時に投与されると、ヘテロ耐性であったVRSAをさらに耐性度の高いVRSAに変化させる現象は、通常のMRSAでは見出されていない。あくまでもVCMヘテロ耐性MRSAでの現象に限定されたものである。

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MRSA相談室(ご相談の際は予めご利用規約をお読み願います)


製作・著作:特定非営利活動法人バイオクリーン・ラボ