METROPOLITAN MANDOLIN ORCHESTRA

第25回演奏会

1.日時

2014年9月21日(日) 18:00開場 18:30開演

2.場所

紀尾井ホール

3.指揮者

小出 雄聖

4.ギター

福田 進一(ふくだ しんいち)
1955年大阪船場に生まれる。12才より故 斎藤達也(1942-2006)に師事。77年に渡仏し、アルベルト・ポンセ、オスカー・ギリアという両名教授に師事した後、1981年パリ国際ギターコンクールでグランプリ優勝、さらに内外で輝かしい賞歴を重ねた。以後30年、ソロ・リサイタル、主要オーケストラとの協演、E.フェルナンデスとのデュオをはじめとする超一流ソリストとの共演など、世界を舞台に意欲的な活動を続けている。キューバの巨匠レオ・ブローウェルから協奏曲「コンチェルト・ダ・レクイエム」を献呈され、2008年コブレンツ国際ギターフェスティバルにてライン州立響と世界初演、引き続き作曲家自身の指揮によりコルドバ管弦楽団(スペイン)と再演。2011年10月には、ブラジルのサンパウロで開催された第3回国際ブローウェル・フェスティバルでサンパウロ交響楽団と南米初演し大成功を収める。さらに同フェスティバル中には、E.フェルナンデスとの共演により、ブローウェルの新作、2つのギターのための「旅人たちのソナタ」世界初演し圧倒的成功を収めた。2012年5月には、20回を迎えたドイツ・コブレンツ国際ギターフェスティバルのメインゲストとして、バルエコ、ラッセル、ピエッリ、フィスクらと共に「現代のマエストロ」として招かれた。教育活動にも力を注ぎ、その門下から鈴木大介、村治佳織、大萩康司といったギター界の実力派スターたちを輩出。それに続く話題の名手たち、益田正洋や朴葵姫らにも強い影響を与えている。
ディスコグラフィーはすでに60枚を超え、スペイン音楽第2集「セビリア風幻想曲」が、平成15年度第58 回文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。代表作は「福田進一 アランフェス協奏曲」(共演:飯森範親指揮ヴュルテンベルグ・フィルハーモニー管弦楽団/日本コロムビア)、「オダリスクの踊り」、「エチュード・ブリランテ」等。2011年よりバッハ作品集のリリースを開始し、現在までに「シャコンヌ」、「主よ人の望みの喜びよ」、「G線上のアリア」(マイスターミュージック)をリリース。2014年にはナクソスレコードより「武満徹作品集」がワールドワイドでリリースされる予定。
平成19年度、日本の優れた音楽文化を世界に紹介した功績により、外務大臣表彰を受賞。平成23年度 第62回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。上海音楽院、大阪音楽大学客員教授。東京国際及びアレッサンドリア国際ギターコンクール審査員。

5..ソプラノ

太田 真紀(おおた まき)
大阪府出身。同志社女子大学学芸学部声楽専攻卒業後、大阪音楽大学大学院歌曲研究室修了。
東京混声合唱団のソプラノ団員として活動後、文化庁新進芸術家海外研修制度にてイタリア・ローマに滞在。平山美智子氏のもとでシェルシの声楽作品を研究した。
ライブ録音したシルヴァーノ・ブソッティの無伴奏ソロ作品「涙」がストラディバリウス社から発売中のCDに収録されている。これまでにケルン大学、ローマ・ケルン・パリ日本文化会館、武生国際音楽祭2012,
2013、ローマのシェルシ財団でのシェルシ世界初演作品を含む演奏会、Nuovaconsonanzaフェスティバル、東京オペラシティリサイタルシリーズ「B→C」などに出演した。

6.ヴァイオリン

亀井 庸州(かめい ようしゅう)
東京音楽大学在学中より、主に同世代の作品初演を中心に活動を開始。学内に於いて、アルディッティ弦楽四重奏団のマスタークラスを受講。サントリーホール主催デビューコンサートに出演している。卒業後、20世紀以降の音楽を集中的に学ぶため2005年よりベルギー王立リエージュ音楽院に在籍し、クセナキスアンサンブルの元メンバーである大久保泉氏にヴァイオリンを学ぶ。また、20世紀の室内楽をジャン=ピエール・プーヴィオン、フリーインプロヴィゼーション、アドリブをそれぞれギャレット・リスト、ミッシェル・マッソーの各氏のもとで学び、両氏とはベルギー国内各都市での公演にて共演したほか、室内楽としてジェフスキ、プッスール、ケージ、フェラーリといった20世紀の作品にも多く取り組んだ。2007年帰国後は日本国内において同時代作品の初演、再演活動を継続しており、年回数十回にのぼる公演に携わっている。
これまでの主要な参加企画として、ex.7 湯浅譲二作品個展、東京オペラシティ―コンポ―ジアム、武生国際音楽祭、四人組の会、ポリーニ・パースペクティブ等があり、池辺晋一郎、川上統、細川俊夫、松平頼暁、ジャコモ・マンゾーニ、三輪眞弘、湯浅譲二、ヘルムート・ラッヘンマンら各氏の室内楽作品を作曲者本人との共同作業にて初演、および再演している。

7.曲目

北爪道夫/青い宇宙の庭V  ギター独奏:福田進一
○松平頼暁/Bee in the Cage  ソプラノ独唱:太田真紀
○南聡/彩色計画VI
○南聡/調和の習作I(前奏、小唄と舞曲) ヴァイオリン独奏:亀井庸州
○湯浅譲二/エレジイ・哀歌
○湯浅譲二/「サーカス・ヴァリエーション(1954)」より(2012)

8.楽曲解説

北爪 道夫(きたづめ みちお)

青い宇宙の庭III 〜独奏ギターとマンドリン・オーケストラのための(2009) ※委嘱作品

福田進一さんには「青い宇宙の庭I、II」という2 曲のソロ・ピースを書かせていただいた 。 もっとも、 この2曲の間には21年という長い隔たりがあるのだが、 福田さんの清新な演奏イメージはこのタイトルが示すように今も昔も全く変わらない 。 だから、今回の協奏曲に、 この2曲からの引用を多く含ませることに私として何の躊躇も無かった 。 とはいえ、 バックがマンドリン・オーケストラであることは大きな難関として筆を遅らせた。
ここでは、 ギターとマンドリンを似て非なる楽器として把握している。 したがって、 二つの楽器は全く違う楽想をもって寄り添っている 。 2種類の撥弦楽器の遭遇はワクワクする実験でもあり期待が膨らむ。
(北爪 道夫)

<2009年9月 第20回演奏会パンフレットより転載>

作曲者プロフィール
1948年東京生まれ。東京藝術大学音楽学部を経て同大学院修了。79年文化庁派遣で一年間滞仏。77〜85年現代音楽グループ「アンサンブル・ヴァン・ドリアン」(第1回中島健蔵音楽賞受賞)で作曲・指揮・企画を担当。その後、オーケストラ作品「映照」で94年尾高賞および95年ユネスコ国際作曲家審議会グランプリ、01年「地の風景」で尾高賞、04年「サントリー財団・作曲家の個展」などの成果に対して第22回中島健蔵音楽賞、13年日本吹奏楽アカデミー賞を受賞。
オーケストラ作品群のほか、さまざまな楽器や声のための作品、また邦楽器のための作品群など、作曲は多岐にわたり、自然との対話から紡ぎ出された音響によるそれらの作品は、内外で高く評価されている。また、NHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」等のテーマ音楽やドラマの音楽等を担当、多くの受賞歴がある。
08年より、中高生ウインド・アンサンブルが新作を世界初演する企画「バンド維新」(浜松市文化振興財団主催)のプロデュースおよび作曲を継続中。
昨年は「連句」(箏歌:下野戸亜弓)、「風の国」(指揮:下野竜也 広島ウインド)、「歌う葦」(Ob:広田智之、Pf:三輪 郁)、「兼六園の四季」(Pf:宮谷理香)等がCD化されている。
CD:「北爪道夫オーケストラ作品集」(FOCD2514)、「北爪道夫‐作曲家の個展」(FOCD3505)他。現在、東京音楽大学客員教授、愛知県立芸術大学名誉教授。

松平 頼(まつだいら よりあき)

Bee in the Cage(2005) ※委嘱作品

2005年、メトロポリタン・マンドリン・オーケストラの委嘱によって作曲。作曲中のオペラ「挑発者達 The Provacators」の中のアリアで、他の2つのアリア、Bedside MoonlightとIt!s gonna be Hardcore、プロローグ、エピローグが既に完成している。題意は、C.A.G.Eの4音の反復にB♭音が介在することによっている。これら合計5音とその増4度移高型F#.E♭.C#.B♭(重複).E(重複)の計8音やその残りの音、D.F.A♭.H、或いは元の8音の音程縮小型等が使われている。テキストはブロークンな英語で歌われる。(作曲者記)

<2005年9月 第16回演奏会パンフレットより転載>

作曲者プロフィール
1931年東京生まれ。ピアノと作曲を独学。1957年、総音列主義者としてデビュー。61〜67年、不確定性に関心を持ち、67〜71年、シアター・ピースや引用音楽を書く。76年以降、旋法による作曲を始め、その後、その延長として、全音高、全音程(半音〜長7度)を用いるピッチ・インターヴァル技法を開拓する。1958年以来、10回に亘って国際現代音楽協会主催(ISCM)の音楽祭、現「新世界音楽の日々」に入選。ISCM名誉会員。

南 聡(みなみ さとし)

彩色計画VI(1991)

この曲は1991年に作曲。彩色計画は、全部で10曲からなる連作であるが、それぞれ異なる編成の独立した作品である。しかし、楽器、もしくは、アンサンブルの色彩的な可能性追求とともに、それら多様な音色をただ並べるのではなく、それらに組織体としての構造的な必然性を持たせる工夫を持つ、という共通のテーマ持った作品群である。いずれの曲も、その楽器や編成の持っている因習的な装いにメスを入れ、もう一度本質的に、発音素材として持っている特性より再構築していく、というアプローチを取っているが、なかでも、マンドリンアンサンブルのために作曲したYは、最も実験色の強い作品となった。
この楽器との付き合いの少なさが、作曲する上での予測にかなり困難を与えたのがその原因であろう。全体的には、リズム遊戯的であり、冒頭のリズム型に、強弱、濃淡、反転といった変化加工が与えられながら曲は進行していく。そして、曲尾に2つのバガテルがコーダとして連接して帰結点を作っている。
今回は初演以来の10年ぶりの再演である。そういう意味では作曲者自身楽しみな曲との再会といえる。
(南 聡)

<2002年9月 第13回演奏会パンフレットより転載>

初演データ:1991年10月27日(日) 本多優之指揮アンサンブル・カデンツァ
作曲家プロフィール
1955年東京生。1986年以降北海道在住。現在北海道教育大学岩見沢校教授。
主要作として
《譬えれば…の注解》独奏ハープをともなう管弦楽のための(1986/88)
《彩色計画X》管弦楽のための(1990)
《歓ばしき知識の花園》(1986-92/2004)
《昼/ほとんど協奏ソナタ》室内アンサンブルのための(1992-93/97/2010)
《閃光器官a》ヴィオラ独奏のための(1995)
《ジグザグバッハ》ピアノ独奏のための(2001)
《室内協奏曲》室内アンサンブルのための(2008)
など。

南 聡(みなみ さとし)

調和の習作I (前奏・小唄と舞曲) ※委嘱作品
 独奏ヴァイオリンと4人の独奏者と、3人の打楽器奏者、ハープを伴うマンドリン・オーケストラのための

メトロポリタン・マンドリン・オーケストラのために、今年の春に作曲した作品である。≪和声学研究≫となにやらいかめしいタイトルがついているが、今年の最初にこのタイトルでいくつかの曲を作ってみようと決めた結果である。ニュアンスとしては「和音の繋がりを研究」するというのではなく「響きの調和の探求」というかなりオーソドックスな意味でのタイトルである。べつに、いままで奇妙なバランスの曲ばかり書いてきたのをここに来て突然反省する気になった、というわけではない。(そのようなことは、墓場に入ったときの楽しみにとっておきたい)
ここでは、マンドリン四重奏、ヴァイオリン、ハープ、三人の打楽器が通常のマンドリンオーケストラに纏いつき独自の質感を作ることを、目標にした。これら加えられたパートはオーケストラ的補助パートというわけではない。独立性を持ちながら混交していくパートである。そして、これらのバランスの微妙な変化が「探求」すべき対象であったといっても差し支えない。
曲の形態は副題の示すとおりである。<前奏、小唄と舞曲>となっているように、3つの部分よりなる。<前奏>は比較的見通しの良いフォームを持つ。<小唄>は旋律的運動が多用される、主に軽快な楽想の部分。この最後の部分でマンドリン四重奏は微分音調弦を変化させる。三番目の部分はリズム的要素が主体になるので<舞曲>と命名している。しかし、雅楽のようにゆったり重い速度が基調になっている。当初の構想では、<小唄>と<舞曲>の間にソリストたちによる<カデンツア>を、<舞曲>のあとに<ギャロップ>とタイトルしたよりリズムを強調した部分を置く予定であったが、必然性の確信が持てず頓挫した。(作曲者記)

<2003年10月 第14回演奏会パンフレットより転載>


湯浅 譲二(ゆあさ じょうじ)

エレジイ・哀歌  マンドリン・オーケストラのための(2008) ※委嘱作品

今年二月に私は妻を亡くした。来る11月で丁度50年目になる結婚生活だった。私の心に大きな空洞が生じ、3月初演予定の曲は完成することが出来なかった。
この曲は、そうした私自身の気持ちに、区切りをつけようと思い、委嘱を受けて構想を始めていたものを、変更して作曲に向かった。
具体的な曲想などの解説はさけたいと思うし、又不要だとも思う。
ただ、聴いていただければ幸いと思う。
(作曲者記)

<2008年9月 第19回演奏会パンフレットより転載>

作曲者プロフィール
1929年、福島県郡山市生まれ。作曲は独学。慶應大学医学部進学コースに入学。在学中より秋山邦晴、武満徹らと親交を結び、51年、「実験工房」に参加、作曲に専念。以来、管弦楽、室内楽、合唱、付随音楽、コンピュータ音楽など、幅広い作曲活動を行い、国内外のオーケストラ、フェスティバルなどから多数の委嘱を受け、作品は世界各地で演奏されている。また、海外の大学、音楽祭等に招かれ、ゲスト作曲家、講師として参加。これまでにベルリン映画祭審査員特別賞、イタリア賞、サン・マルコ金獅子賞、尾高賞、日本芸術祭大賞、飛騨古川音楽大賞、京都音楽賞大賞、サントリー音楽賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、日本芸術院賞、恩寵賞と魚を受賞。81年から94年までカリフォルニア大学サン・ディエゴ校教授(現在名誉教授)を務め、現在桐朋学園大学院特任教授を務めている。2009年、ルーマニア国立音楽大学より名誉博士号を授与され、また2010年にはISCM国際現代音楽協会名誉会員に選ばれた。

湯浅 譲二(ゆあさ じょうじ)

「サーカス・ヴァリエーション(1954)」より(2012) ※委嘱作品

第1曲:開幕序曲 Overture
第2曲:調教師 A Horse Trainer
第3曲:道化師 A Clown - Pierrot
第4曲:玉乗り A Dancer on a Ball
この曲は、半世紀以上前に、子供のバレエのために作曲したもので、当時私は25歳、実験工房三年目で、E.クシェネックの英文原本「12音技法による対位法」を訳しながら、無調を組織的に用いる12音技法を学んでいた。当然その頃の曲は無調的なものになっていたので、その無調を組織的に使用しようと思ったからであった。
しかし、この曲は6歳から12歳くらいまでの子供のためとして、私がそれまでに影響を受けていたサティやフランス6人組、またプロコフィエフ、バーンスタインなど20世紀中ごろの音楽的雰囲気の中で、自由に書かれている。変拍子や5拍子、またポリトナール(復調)などをむしろ楽しみながら作曲している。
今回、全体として25分程度の全曲のなかから、開幕序曲、調教師、道化師-ピエロ、玉乗りの四曲を選んだ。
「開幕序曲」は5拍子で始まる活気のあるサーカスの開幕。ついで「調教師」は全曲5拍子で書かれているが、むしろ流れるような曲である。「道化師-ピエロ」はレナード・バーンスタインのミュージカル映画「踊る大紐育」(オン・ザ・タウン)の影響もあって、当時の現代アメリカ的、ジャズ的ムードのペーソス。ここには、D.ミヨーから学んだポリトナール、復調的な響きもある。最後は「玉乗り」。この曲は、玉乗りの不規則な動き、そしてスムーズに乗っている中間部など、むしろ近代フランス的な響きがきこえてくる。
この曲はテープがなかった時代の産物で、二台のピアノのために書かれ、バレエの公演は二台ピアノの実演で行われた。作品として演奏会で発表されたのは、三年前、私の80歳記念コンサートで初めてとり上げた。
もともと私はこの曲をオーケストレーションしてみたいと思っていたので、今回はマンドリン・オーケストラにしたのである。楽しんで聴いていただければ幸いに思います。
(作曲者記)

<2012年9月 第23回演奏会パンフレットより転載>


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