新入社員へのメッセージ

朝一番、大きな声で挨拶ができたら、後はきっとうまく行く

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 4月になると一般に会社、工場をはじめ、あらゆる組織では多くの新入社員を迎えることになります。

 堺屋太一氏の「組織の盛衰」に明確に書かれていますが、目的を持って作られた機能集団も、構成員が固定化すると時間の経過と共に目的達成へのエネルギーが減耗し、共同体という仲良し集団へと変化していきます。 会社という機能組織も、構成員が固定化してくると共同体化して、利益を生み出すエネルギーが消耗して活気がなくなってしまいます。

 新入社員がもつ若いエネルギーと瑞々しい感性は組織を若返らせ、組織に活力を与えてくれるはずです。 しかし、組織には大きな慣性力があって、これが下手をすると新入社員のもつエネルギーと感性をすりつぶし、若い戦力を古い組織の単なる増量剤として吸収してしまうのです。

 新入社員が入ってくるこの時期は若い力と感性をうまく活用し、組織のエネルギーを改めて増殖する最大のチャンスなのです。

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新入社員の皆さんへのメッセージ

朝一番に大きな声で『おはようございます』と挨拶をすること!

 朝の挨拶からスタート。  大きな声で『おはようございます』と挨拶しよう。 挨拶一つで、相手に与える印象が違うのです。 それだけでなく、自分の気分も明るくなるのです。

 今日からすぐにやってほしいことは、一つだけ、すなわち『朝一番の挨拶』です。

社会人とは

 皆さんは今日から社会人として第一歩を踏み出すことになりました。 本当におめでとう。 そこで、まずはじめに、学生と社会人との基本的な違いを考えてみたいと思います。 それは「学生はお金を払って勉強している」 「社会人はお金をもらって働いている」というところに大きな違いがあるのです。 学生はお金を払って勉強しているのですから、いやだったら何時でも自分の決心だけでやめることができます。 社会人はお金をもらって働いているのですから、勝手に働くことをやめるわけにはいきません。

 キーワードは「はたらく」です。では「はたらく」とはどういうことでしょうか。

 もう20年以上も前の話です。中学3年の娘がメモ帳を持って私のところにやってきました。 「お父さんの仕事」について書いてこいという宿題だというのです。 暑い夏の日盛りに小1時間も話し合っていたでしょうか。 9月になって、娘が学校から一枚のプリントをもらって帰ってきました。 先生が作文をプリントにして全員に配ったというのです。 これがその「働くことについて」という作文です。

(当時、中学校で配布されたプリントそのままを掲載します)

働 く こ と に つ い て

   (中学3年生の夏休みの宿題の作文より)

 私の父はA社M工場の工場長として40人の人達と一緒に仕事をしている。その仕事はナイロンのタイヤコードに接着処理をして、ナイロンとゴムとをくっつきやすくすることだ。もし、接着処理がうまくいかないと、タイヤの中でナイロンとゴムが離れてしまって、タイヤがバラバラになる。そんな事になると、交通事故になって、下手をすれば、人が死んだり、ケガをしたりする。「だから、絶対に間違いがあってはならないんだ」と父は言った。

 こういう仕事をしている父の会社では、いろいろな問題がたえずおこる。接着できない。機械が故障する。40人の人の中でケガをしたり、病気になったり、仕事が多すぎて全部できなかったり、又、反対に仕事が少なすぎて、みんなが遊んでしまったり、そんな問題をひとつひとつ解決しなければならない。

 その時は考えねばならない。勉強もしなければならない。本を読んだり、人の意見を聞いたり、みんなで議論をしたりしてその問題の解決法を考える。「一番苦しいのは問題が発生し、みんなでいろいろ考えても、どうやっていいかわからない時、一番嬉しいのはそういった問題がうまく解決した時だ」と父は言う。

−−中略−−

 では、その働くということは、いったいどういうことなのだろうか、と。「働くとは“はた”を“らく”にする。つまりまわりを楽にさせることだ」と父は強調した。

 たとえば父の工場だとタイヤコードの仕事の結果としてタイヤができ、それが自動車の一部となり自動車は走り、自動車を使う人を“らく”にする。工場長としての父の仕事は40人の人がどうしたら“らく”に仕事ができるか考えることである。母の仕事は、父が帰宅した時、気持ちよくすごせるように父を“らく”にさせることなどである。

働いたら、その結果、だれかが“らく”にならなければならない。そうでなかったら働いたことにならない。“はた”を“らく”にしないような人は生きている価値がない」といった。

 「現在、自分を楽にしようとする権利を求める風潮が強い。基本的人権という形でこの事が主張されている。それは確かにそうかも知れない。しかし、はたを楽にするという道徳感がなければ人間は生きていけないはずだ。例えば、今の人間が何も持たず、着るものも着ないで無人島にほうり出されて生きていけるか。誰も邪魔しない、人権を侵害する人はいない。けれども生きていけるか。権利はいくらでも主張できる。けれども、食物はあるか、着るものはあるかを考えると、やはり一人では生きていけない。とすると、お互いに権利を主張するだけよりは、“はた”を“らく”にしてあげながら、みんなで生きていく必要があるんだ」と父はここまでしゃべると口をつぐんだ。

−−中略−−

 父は言った。「どんな職業でもいい。“はたらく”ことをしてほしい。“はた”を“らく”にしているのだと言う実感の持てるような働きをしてほしい」

−−後略−−

機械と喧嘩をするな

 新入社員の皆さんは一定期間の研修をうけた後、現場に配属されます。多くの人はそこで初めて機械と出会うことになるでしょう。そこで、ここでは、機械と人との関係についてお話をしたいと思います。

 ケガは機械と人が接触した時に発生します。工場で勤務するということは、機械と隣り合わせで仕事をするのですから、ケガの危険と隣り合わせでいることになります。どんなに小さな機械でも人間よりもずっと力が強いのです。機械と喧嘩をして、人間が勝つことはまずありません。機械は利用するモノであって、機械に人が利用されてはいけません。機械は人を助けるモノであって、人が機械を助けるのは間違っているのです。

 人間の手足は切られても再生するトカケのシッポと違います。とれても再生する蟹のハサミとも違います。人間は一度指や手足を失ったら二度と再生することはありません。だからケガをしてはいけない、父母からもらった手足は絶対に失ってはいけないのです。

 交通事故のことを考えて見ましょう。交通事故の危険があるからといって外へ出ないわけにはいきません。外では多くの自動車が走っています。走っている自動車と人が接触すれば死傷事故となってしまいます。自動車は危険の種を持っていますが、自動車の持つ利便性が大きいので人はそれを大いに利用しているのです。安全に自動車を利用するために、私たちは交通ルールをつくり、お互いにそのルールを守っているのです。それでも、毎日交通事故が発生し、日本でも年間一万人もの人が亡くなっています。ルールをよく知り、よく守るということがいかに難しいかがよくわかります。

 工場にある機械も危険性よりもその効用が大きいから使われているのです。危険性を持つ機械を上手に利用するために作業基準や安全基準がつくられています。皆さんにお願いしたいことは作業基準、安全基準をよく知り、よく守り、機械を目一杯活用して仕事をしていただきたいということです。

 交通事故を調べて見ると、知らなかったか、急いでいたか、無理していたか、いずれかの事情が必ずあるのです。工場のケガも同じこと、
“ケガは必ず 知らない時か、急いだ時か、無理した時”に発生しています。

 皆さんに大きい声でお願いしたいことは、“知らないことはするな!”ということです。

上司や先輩に教えてもらうこと

 判らないことはその時、その場で聞くことが原則です。できるだけ大きな声で聞いて下さい。

 それでも、入社してまだ日が浅い皆さんは、忙しそうにしている上司や先輩になかなか声をかけられないのではないでしょうか。

 こんな場合のコツは“朝一番に大きな声で『おはようございます』と挨拶をすること!です。そして直ぐに続けて、『ちょっと教えていただきたいことがあるのですが』というのです。

“『知っていること』と『知っていると思っていること』は違う”のです。人に話ができるようになるまで勉強して下さい。

大切にしてほしいこと

 最後に、これからの長い会社生活で皆さんに大切にしてほしいことを4つ書いておきます。

観察力 : 先輩をまねよう

行動力 : 仕事は自分でつくるもの

持続力 : あきずにやる人が勝ち

創造力 : ヒラメキを大切に

   月刊雑誌「工場管理」(日刊工業新聞社発行)96年4月号
間瀬誠の「みんなで楽しくやろう!」より分割して転載

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HP/UP050319再掲