知識と知恵

 私は「知識と知恵の違いについて、機会あるごとにメッセージを発信してきた。このホームページの中にも数本のメッセージを載せている。

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問題とは例外事項、解決は知恵の輪で(知識と知恵は違う)など

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 数ヶ月前の「あすへの話題」に童門冬二(作家)が『知識と知恵』について面白い話を書いていた。切りぬきを捨てるのがもったいなくて、改めて私のホームページでご紹介させていただくことにした。

 

 
あすへの話題

 

知恵と知識

 

童門冬二(作家)

 “再建の達人”といわれるFさんと酒を飲んだ。企業の危機管理が話題となった。Fさんは次の様に語った。

・ 危機の兆候は、3年前から起こる。
・ しかし、企業内に“知識人”がふえて、“知恵者”が少なくなると、この予兆に気づかない。
・ 知識人というのは、偏差値社会を生きぬいてきた、暗記と整理による知識で頭がいっぱいの人間をいう。
・ 知恵者というのは、生起する事象に対して、いつ、どんなときにも的確に対応できる人間のことをいう。 

 「企業危機の予兆ってなんですか」ときいたら、「企業の成員が、自企業は優良だと思い、ハングリー精神を失ったときだ」と答えた。

 この話を聞いて思い出したことがある。江戸時代の近江商人で、蚊帳(かや)で有名な西川家に同じような話がある。二代目が考案した蚊帳の販売がすっかり定着した西川家で、五代目利助の代になって、すこしづつ経営が下向きになってきた。

 五代目は「先祖代々のやり方を守ってきたのに、なぜだろう」と考えた。思い当たったのは次のようなことだった。

・ 経営の直接経費以外の費用が非常にかさんでいること(家屋の増改築、冠婚葬祭や寄付、交際費など)
・ 店員のほとんどが、店の優良性、安定性にズップリつかっていること

 五代目は改善策を考えた。“三法(さんぽう)”や“三つ割銀(みつわりぎん)”と呼ばれる方法である。財政を三本化してその収入源も分け、本会計、経費以外の出資対応会計、予備積立会計に分けた。

 三つ割銀は画期的で「毎期決算の純益の三分の一を、従業員に分配する」というものだった。つまり五代目は「ハングリー精神を失っている従業員を、ただ叱咤激励しても駄目だ。経営参加意識をもたせ、寄与度に応じた信賞必罰を明らかにすることが大切だ」と考えたのである。

 店は新しい活力を生んだという。

 童門氏のコラムを写しながら、先日、堀場製作所の堀場会長の講演できいた、ドラッカーの語る「組織の活力を削ぐ方法」のことを思い出した。


 ドラッカーは「組織の活力を削ぎ、組織をつぶす確実な方法は次の四つであるという。

  (1)目的を明確にせず、目標を設定しない

  (2)仕事に優先順序をつけない

  (3)失敗だとわかっても、決めたことから撤退しない

  (4)客観的な立証実験をせず、思いこみだけで決定する

 仕事の場面だけでなく、どんな組織でも、機能体でも、共同体でも、いかなる組織でも、この四つを実行したら、組織は不活性になり、結果は組織自体がつぶれることになる。

 そして、組織のトップがこの四つをやらなくても、メンバーの一部がこの四つを意識的にやったら、結果は同じこと、組織の活力はなくなり、組織は死に至る病の床につくことになる。

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HP/UP0006