厳しい採用戦線を経て、重複内定となった方もいらっしゃると思います。内定辞退、まだ内定を得ていない人にとってはうらやましい悩みですが、本人にはとても深刻な問題です。この内定辞退について考えてみたいと思います。ただ、私は現役の採用担当者ですから考え方が担当者サイドになるかも知れませんが、そこのところは少し割り引いて読んで下さい。

まず最初に、採用担当者と学生さんそれぞれの立場を考えてみましょう。

採用担当者にとって内定辞退とは?
1.がっかりします。
2.困ります。
この二言に尽きます。内定を出すということは、「この人と一緒に働きたい。」と思っていますのでその人から、「あなたの会社には行きません。」と言われるとやっぱりがっかりします。次に、採用計画を立てて採用活動をしていますので、内定辞退されると計画の変更を求められ困ります。 学生さんにとっては?
自分の人生を決めるかも知れない選択をする時によりよい会社に就職したい。
条件のよい会社に就職したい。
この気持ちもとってもよく分かります。 では、重複内定をもらったけれど、結論を出さなければならない。内定を辞退しなければならない。どうしたらよいでしょう?考えるヒントとしていくつかのキーワードを提供したいと思います。

<トレード・オフ>
どんな会社でも完璧ではありません。なにかよいことがあれば、なにか悪いこともあります。この事をまず理解して下さい。完璧な会社なんてありません。だから、少々のことには目をつぶらなければならないと思います。逆説的に言うと、その悪い部分をかえるために、皆さんは採用される訳です。完璧を求めないで下さい。だから、自分の中で優先順位を付けて下さい。「○○がどうしてもやりたい。」だからA社に行く。もしくは、「この部分は、どうしても譲歩できない。」だから、B社に行く。このように、自分の中で優先順位を作って決断を下していく必要があります。

<リスクとリターン>
リスクとリターンが就職活動においても存在します。よりよい会社に行きたいと思って、今内定をもらっている会社への返事を先延ばしにしていれば、その内定を失うリスクがあります。よりよい会社に行くリターンを得ようと思えば、今の内定を失うリスクがあります。ですから自分が求めようとするリターンに合わせてリスクも存在します。

<信用>
仕事をしていく上で一番大切なものは何でしょうか? 私は信用であると思います。仕事・商売はすべて信用の上に成り立っています。つぎに信用とは、ずばり「約束を守る」ことだと思います。例えば、ある会社に誓約書を出しておいて、黙って就職活動を続ける。そして内定を辞退する。このことは誓約書を御破算(ごはさん)にすると共に、自分の信用を御破算にすることです。また、その会社との約束を破ったからと言って、影響がないとは考えないで下さい。様々なところで人や会社はつながっています。それが同業界であるならばなおさらです。
そして、なによりも働くというスタートラインから自分の信用を御破算にすることはして欲しくないと、私は思います。

<誠意>
信用を支えるものとして誠意があると思います。実際の就職活動では結果的に嘘をついてしまったかも知れません。また、状況が変わることもあります。例えば、第一希望の会社に落ちたと思い、第二希望の会社へ行きますと返事をした(誓約書を出した)。ところが、第一希望の会社から内定が出たので第二希望の会社からの内定を辞退する。こんな事はよくあることです。そんな時には、誠意を持って問題を解決して下さい。内定を辞退するのであれば、是非、その会社に出向いて内定を辞退する旨を伝えて下さい。電話やメールや手紙ではなく、その会社へ出向いて謝って下さい。とっても嫌なことですけれど、それは社会人になって行く人の責任であると思います。また、すべての採用担当者がそうであるとは言えませんが、多くの採用担当者は「学生さんには、よい就職をして欲しい。自分が納得の行く就職をして欲しいと思っています。」だから、あなたの誠意はきっと伝わるはずです。もし、内定辞退を詫びに行った時に、とても嫌な思いをしたなら、「そんな会社に入らずによかった」と思えば良いのです。

参考になったでしょうか?

内定を辞退する、これは内定を得ることより難しいことなのかも知れません。社会人へのスタート地点に立つ皆さんには、すっきりとした気分で就職活動を終えて欲しいと思います。画竜点睛を欠くことのないような内定辞退を心がけてください。
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