(就職活動を考える主催 第1回勉強会議事録)

2001年1月13日
於 (株)ベネッセコーポレーション様 会議室
SPECIAL THANKS 村上雅英さん

2001年1月に行いました、101COMの水内終一也さん、就職活動愉快化計画のナカジマさんを交えてのパネルディスカッションの議事録です。

重田ご挨拶 
あまり堅苦しくなく行きたいと思っているんですが、今日は試験とか卒論とかでお忙しいところ、来ていただいてありがとうございます。ホームページのようなネットの世界だけではなくて、リアルの世界でも皆さんにお会いしたいと思って、今日の勉強会を設けました。今日のテーマは、自己分析です。
 一番わかっておいてもらいたいことは、今日の内容は全部が全部本当ではない、かといって、全部が全部ウソでもないということです。いろんなことを皆さんなりに考えて、自分の判断で話を消化していってもらいたいと思います。

パネラー自己紹介

重田:就職活動を考えるというホームページをやっています。本業は大阪のメーカーで総務全般、人事関係の仕事をやっています。

中嶋:就職活動愉快化計画というホームページをやっています。重田さんに、何か面白いことないですかねと前に話をしていたら、お声がかかりました。広告、企画、Webデザインの仕事をやっています。自己分析のことはよくわからないんですけど、仕事がらいろいろな情報が入りますので、その中で皆さんに役立つことができて、自分にも勉強になればいいかなと思います。

水内:101COMというホームページのマスターをやっています。みなさんが自分の道を探したり、やりたいことを実現するための、そのお手伝いをしています。皆さんの将来に関して、意味のあるお手伝いをできれば良いなと思っています。今日は自己分析ということですけど、3人で60分という時間の中では最後まで語れないテーマなので、2次会、3次会までお付き合いください。

パネルディスカッション

重田:はじめからぶっちゃけた話をしますと、何で自己分析かというと、人を呼べるからそういうテーマにしたんです。就職活動をされる皆さんの、一番興味のありそうなことをテーマにしてみたんです。でも、企画とか構成とか話を進めていくうちに、どうしようかなと思ってきまして(笑)。
 自分の経験を言えば、就職活動をしたのがバブル崩壊ぐらいの時期で、ちょうど就職活動が厳しくなり始めた時期です。自己分析は、そんなにしていなかったなという気がします。学校のセミナーなどでは自己分析の必要性を言われていましたけど、ここ1、2年ほどの勢いではありませんでした。
 最近の学生さんを見ていると、自己分析をしなくてはいけないという思いがあるような感じがします。そんなのでもないと思うんですけどね。
 自分のことを言うと、身も蓋もなくなってしまいますけど、自己分析はできていません。ただ、自分がこんなことをしていたら楽しいなとか、何かして人に喜んでもらったら嬉しいなとか、ちょっとは見えてきています。それぐらいです。
 大学の時にあったのは、人の役に立ちたいという漠然としたモチベーションだけで、まとまってはいませんでした。働きはじめてから少しずつまとまってきました。未だに自己分析は出来ていませんけど、原型は大学時代におぼろげにありました。

中嶋:こういうのは自分の経験からしか語れないんですけど、皆さん友人とかに、小賢い奴が、そういう奴が一人ぐらいいるでしょ。僕は学生の時はそういう奴でした。

水内:モテていた、っていうことですか(笑)?

中嶋:いや、要領がよかったっていうことです。就職の時も自己分析とかではなくて、企業分析をしていたというか、そんなのでした。4回生の時は単位を残していたこともあって、内定を早く取りたくて、実際に早く取りました。
 今から考えると、その時は、自分のできること、向いていること、やらなあかんことを考えるのが自己分析だと思っていました。学生の時はそこまでで考えが止まっていましたけど、それは危険だと今では思います。
 そうではなくて、自分がやりたいこと、出来る・出来ないは関係なしに「なりたいアタシ」を考えていくこと、つきつめていくこと、それが自己分析だと思います。

水内:私はこの中で一番年寄りで、皆さんがうらやむであろうバブルの絶頂期に入社しました。実は、自己分析という言葉はその時にはありませんでした。今、本屋で売っている自己分析の本というのはだいたい内容が同じなんです。それはなぜかというと、92年に杉村太郎さんの『絶対内定』という本が出まして、その後追いをして本が増えたんです。
 そういう本でやる自己分析と、ここでする話の自己分析とは違うものです。机に向かって自分の強みは何だ、とかいう風に暗くなるのではなくて、もっとざっくばらんにやりましょうというものです。
 入社した時、子供が生まれた時、結婚の時、上司になって部下ができた時、そういうときに周りの人に自分が今までやってきたこととか、趣味のこととかを面白おかしく話せるように、そういうことのためにするのが自己分析、つまり自分について考えるということなんです。
 みんながやるからやるのではなく、自分なりに位置付けをしてやることです。私の時は、自分は何をやってきたか、会社で何ができるか、どうしたら会社が良くなるかを面接の時に言いました。自分の考えを整理して、持って行って、押しつけるということをやってました。

重田:そもそも自己分析って何なのだろうかということですけどね、やりたいこと、志(こころざし、自分の名前の中に入っているから、この言葉好きなんです)を見つけるのが自己分析であって、本はあくまでもツールでしかないと思います。目的と手段を取り違えてはいけないと思うんですよ。
 本とかには「あなたの人生ピークはいつ?」なんて書いていますけど、「20年そこらしか生きていないんだから、もっとこれからでかいピークがくるぞ」というくらいの気持ちで使うのが良いんじゃないでしょうか。
 あと、小学校の時のこと、中学校の時のことを考えたり、両親や友人や先生にインタビューをしようというのもありますけど、それは自己分析そのものではなくて、ツール(手段)でしかないと思うんです。手段の目的化といいますか、ノートを埋めるのが自己分析だと考えてはいけないと思います。
 水内さんは本当の自己分析のことを言っておられていて、それはツールとしての本でやるべきではないですし、できるものでもないと思います。
 ツールとしての本は、エピソードを増やすのには良いと思います。人に説明する時に、「私は人に喜んでもらうと嬉しい」ではわかりにくいですから、「メールで相談をもらって、何回かやり取りをして相手に理解をしてもらい、内定をもらった旨のお礼のメールが来た。そういうふうに人に喜んでもらってとても嬉しかった」と言うと説得力が出てきます。
 手段・方法・目的と、それぞれ分けて考えるべきじゃないかと思います。

中嶋:僕はツールってのは嫌いなんですよ。広告作りをしていますと、そういうモノを作る人間には二通りありまして、一つは「理詰め」で、もう一つは「ポヤヤ〜ン」って夢を追う方です。自分は「ポヤヤ〜ン」の方なんですよ。
 「理詰め」の人っていうのは、ツールを使って答えを導き出していくんです。プレゼンの時とかも、プレゼンシートとかを使って、評価とか目的とかいろいろ書きこんでいって導き出す。その辺は人によって好き嫌いがあって、ツールを使う人は使えば良いと思います。
 「ポヤヤ〜ン」と夢を追う人の自己分析は、あとで詳しく言います。

水内:僕は大学受験の時は理系で受けて、文系に進みましたから、どっちの考え方もわかるし、どっちもそれぞれなりに好きなんです。自己分析のマニュアル本とかもよく読みますし、だいだい頭に入っています。
 「ポヤヤ〜ン」の話をすると、野口英世さんの言葉で「強いインパクト、感動が人を動かす」というのがあるんですけど、彼は医者になるために自己分析をしたわけではないでしょう。そんなことをしたら医者にはなれない。あの時代は10人のうち何人が大学に行くのだろうという時代でしたから、なりたいからなるという感じだったと思います。
 それは今でも同じで、就職の時に社会なんかわかるはずがないんです。僕だって、自分がいた業界と、仲の良い友達がいた業界のことくらいしかわかりません。全部知ってから就職するなんてムリです。身近なところでモデルを作るとか、好きだからとか、なりたいからとか、を突き詰めていく。
 この前、社内で作っているバンドのラストライブをやったんですけど、今まではベースとドラムだけだったんですけど、最後ということもあって10年ぶりにボーカルをやりました。で、何でバンドなんだとか、何でライブなんだとか聞かれても「好きだから、好き」としか言えない。それしか言いようがない。
 「好き」をなぜなぜと分析していっても、次の大きなところへは行くことができないでしょう。好きなものは好きなんですよ。ツール派の人は、自分の弱みにしか目が行かないかもしれませんから、その時には中嶋さんの「ポヤヤ〜ン」とした時の顔の表情を思い出してみるのが良いでしょうね(笑)。

重田:自己分析の方法は、「ポヤヤ〜ン」もありますし「理詰め」もありますし、だから自分にはどっちらがあっているかなぁ?ということで考えてください。それぞれアリということで。
 好きだから好き、やりたいからやる、という話に関連して言いますと、自己分析というのは、やりたいことが見つからない人が何をしたいのかを考えるためにするとも言えますね。企業は自分の会社の目標や理念をセミナーで説明します。その会社の方針をたくさん伝えていきます。その中で会社の方向性を聞いて、共感してやっていくのも一つの手かもしれません。
 何かをやりたいと思っていても、最初は、それをきちんと言葉で説明しなくても良いんです。車に関わりたいとか、日本を変えたいとか、そんなのでOKです。まあ、日本を変えたいとかいうのはあまりにも大きすぎてちょっとビックリするかもしれませんけど。人の役に立ちたい、モノが作りたい、何か新しいことがしたい、そんなのでOKなんです。
 さらに、それを踏まえて深めていくことが必要ですね。日本を変えるというのであれば、教育から変えるのか、政治から変えるのか、経済から変えるためにビジネスをするのか。具体化していくと、就職活動のやりたいこと探しになります。
 例えば車に関わりたいといっても、実際に工場で組み立てるのか、デザインや設計をするのか、情報誌の編集をするのか、パーツの製造や設計をするのか、そうやって調べていったり、実際に話を聞いていくと自分の志向が固まっていく。
 「理詰め」でやっていくのもいいですけど、もう少し肩の力を抜いて考えるのも良いですね。やりたいことが見つからないという人も、いろいろ話を聞くのが良いと思います。

中嶋:やりたいことというのは、多分、みんな持っているんですよ。「幸せな家庭を築きたい」とか「モテたい」とかね(笑)。スタートになるのはそこで、「目立ちたい」とか「金持ちと結婚したい」とかいろいろあると思いますけど、業界とか以前に自分が気持ちいいことというのを無視すると、結局は自分にウソをつくことになります。
 企業分析をして、求められる人材像に自分を合わせると、ダメなのかもしれません。便宜的に決めて、それに合うように意図的にやっても、会社に受かっても続かないで自己崩壊してしまうかもしれません。キャリアとして考え直すことになるかもしれません。
 だから、やりたいことからはじめるといいかもしれないです。金持ちになりたいのか、時間が欲しいのか、結婚したいのか。飲み屋でこんなのがいいなというふうに、業界とかではなくて、そのレベルでいいから決めておく。ツール本はテクニックですからね。会社に会わせることも大事だけど、欲の部分でその会社とマッチしているかどうか。

水内:ぶっちゃけた話ですね(笑)。

中嶋:本能のレベルの話です(笑)。でも、それを言うと、半分以上の人が会社なんか行きたくないとかいうふうになります。そうなると、ベンチャーかフリーター。本当にしたければ、その道を考える。だから、ぶっちゃけて考えるのは、実はコワイことですね。

水内:結局みんな、働いていることにはかわらないですね。何かしら、働いている。そのほうが楽しいことがあるからでしょう。みなさんには、なぜ就職活動をするのかという理念を持っていてほしいですね。働くのはいつでもできますから。
 実際、学生団体を立ち上げてイベントをたくさんやって、大手企業からの内定をけってベンチャーへ入ったり、就職活動をしないでシンクタンクへ入ったりした学生を知っていますから、働くという場にはいつでも行けるんです。内定を取って終わりという気持ちではなくて、理念を持ちつつツールを使う感じでやっていって欲しいと思います。
 マジメな話をしますとね、Gakuseis.comというサイトをやっておられる中村さんという方がおられまして、勤務先のリクルーターもやっておられます。その中村さんに聞いた話なんですが、リクルーターとして学生に会う時に質問するポイントは3つあって、過去・今・将来について自分で語れるかどうかということなんです。
 過去について語るというのは、事実ベースで、価値基準の判断をなしにして自分が今まで何をしてきたかが整理できるかどうか。中学、高校においてその選択肢を選んだそのこと自体が価値基準になっている。それを見つけられると今の自分が何を好きで嫌いか、これから何をしたいかということを言えるようになる可能性が高いんです。
 それで、今の自分というのが、過去のことから成り立っているということがわかります。将来のことというのは、過去のこと、今のことを踏まえて、もっとでかいことを出来るとしたら、自分は何ができるのか。そういうふうに広げることができるかどうかということです。
 事実ベースで語るというのは簡単で、例えば本を読む場合であれば、どこまで具体的に言えるかどうか。年に何冊読んで、誰々の作品なら全部持っていて、どのシリーズのどの登場人物が好きだとか。CDなら、どういう年代のどういうジャンルが好きで、輸入盤を全部買い揃えたとか。
 バンドの話なら、ライブを月に1回やってお客さんは20人から30人来てくれて、そのたびに2万か3万くらい持ち出しになって金銭的な見返りはなかったけど、見かけは恐そうなとんがり頭のお兄ちゃんが実はやさしかったとか、自分が担当していたベースの弾き方が、人前でやるようになってだんだんとしぶくなったりとか、そういうリアルな経験を言えるかどうか。
 大事なのはそれを言えて、自分は何を学んだか、何を得たかを言えるかどうか。あんなことをするんじゃなかったとかいう全否定はしない。やって意味があると思えたらそれでいい。あくまでも事実ベースで考える。これはテクニックとかではなくて、一種の思考訓練です。

重田:就職活動で自己分析をして、生きていく上でのヒントを見つけることができたという気がします。それまであまり考えることがなかった、そのキッカケとしてできたかなと。重田にとって夢や志を見つけるひとつの手段として自己分析があった。
 就職活動では苦労しましたけど、おぼろげながらに、人の役に立ちたい、人のモチベーションになりたいというのが見えてきて、これは判断に迷う時にとても役に立つんです。会社に入ってから、いやなことに当たった時に、自分の本能にぶれずに判断ができるんです。右に行くか、左に行くか。自分の人生の指針というと大げさですけど、本能ベースの基準点、自分軸を自己分析から見つけられるかなと思います。

中嶋:自己分析とは何だって考えていくと、決して人には言えない恥ずかしい目標を現実的な目標に定着させる手段かなと。夢の奥に目標がある感じですか。働かなアカン、大企業行かなアカン、と親が言うからやるのではなく、自分の欲望を拾い上げてかなえてあげる。姑息な手段でもいいから、業界とかではなく、その欲望というか道というかを踏み外さないような就職を考えるのがいいです。ある種のベースを考えるということです。
 あまり人には言わないんですけど、僕の場合は自己顕示欲が強くて、何か表現をしたい。実際のところは、もっとドロドロした欲望があるんですけど。まあ、常に話をせんと死んでしまうというくらいにしておきましょうか。で、どこかの会社に入って5年から10年の下働きは無理だと思ったので、だったらベンチャーかなと思っていました。
 自分の欲望を、くさ〜と思いながらも引っ張ってあげるんです。

水内:自己分析というは、昔あった民間療法の、効能も根拠もあるんだかないんだかよくわからない紅茶キノコみたいなものですね。さっき僕が言ったことだって、あくまでも作業でしかありませんから。言いかえれば、刺激と反応を調べなおすのが作業としての自己分析ということです。
 その作業をする時に、受動的にみんなに流されながらやるのか、能動的に自分から動いてやっていくのか、そこで大きく違ってきます。過去の体験の積み重ねと自分の持っている欲望、それを整理して、これからに生かしていく。
 これは就職活動のためだけにするのではなくて、人生の節目節目でやっていくものです。例えば、自分の人生があと10年しかないというときに、これからどのようにして生きていくか。その最初の練習を今やるようなものです。

重田:自己分析のとっかかりについて、どのようにしたらいいかとかありますか。

水内:机の上でやっていてもダメですね。昔のアルバムとか、親とか他人の記憶とか、そういう昔の記憶や外からの記憶に頼るのがいいです。小学校や中学校とかの思い出がいっぱいある場所に行ったら、ケンカをしたこととか、細かいことまでどうでもいいことを含めて、いろいろ思い出します。
 これは机の上でやっていても出てきません。夜中にウンウンうなるのを3日やるよりも、1日空けて外に出てやるといいです。

中嶋:この前、ダンサー・イン・ザ・ダークという映画を観ましてね。それで今年の抱負を変えたんですよ。1月1日には「とにかく楽しく」というのだったんですけど、それに「でも、親は大切に」というのを付け加えて、「とにかく楽しく、でも、親は大切に」というのにしたんです。映画を観て、大切に育てられたんだなと思いましたね。
 今の会社の説明会には、他の会社に内定をもらってから行きました。ダイレクトメールがファンキーで、ひやかし半分で行ったんですけど、話がめちゃくちゃ面白かったんです。それから社長とご飯を何回か食べに行って、それが選考になっていました。
 今の会社に行くということを、親に納得させるのは大変で、「そんな会社に行ったらアカン」「いやじゃ、ボケ」の関係でした。その時に、親とはじめて大人同士として向き合ったんです。その時はじめて、自分の考えの根拠をつけて話をした。それから親がアドバイザーになってくれて、就職活動の一番の収獲になっています。一人の人間としてはじめて付き合うことが出来ました。
 自己分析のとっかかりとして、まず親とそういう関係を作ってみることでなにか見えてくるものがあるかもしれません。いまさら恥ずかしいかもしれないですけど、そっからやってみるといいでしょう。長い手紙を書くとかね。

重田:今日の勉強会は、自己分析のテクニックよりもとっかかりを重視してきたんですけど、みなさんのところにリクルートとか、毎日コミュニケーションズとかから分厚い、企業の情報がいくつも載っている本が届いている頃だと思います。
 そういう本をざっとでいいから眺めてみて、面白そうな企業だなとか、もっと詳しいことを知りたいなとか思ったらマーカーとかで印をつけて、本からそのページだけちぎる。逆に、全然面白くなさそうだなとか思った企業も、別の色で印をつけて本からそのページだけちぎる。興味を持った企業と、興味を持たなかった企業とをそれぞれ何社も集めて比べてみると、そこから集約されるものがあると思います。
 自分がどのようなところに興味を持って、どのようなところに興味を持たないのか、そういうことがわかってきて、自己分析のとっかかりとしても使えると思います。

水内:ああいう本は、無線綴じといいまして、ページを思いっきり広げて逆側にボキッと折ると、1ページごとにきれいに背中のところからはがすことができるんです。こういうのが自己分析のテクニックですね(笑)。重田さんが言われたのは自己分析の手法です(笑)。

中嶋:リクルートのは今年から切り取り線がつきましたよ。でも、ミシン目が入っていないので、やっぱり「ボキッ」が一番ですけど(笑)。

重田:そうみたいですね(笑)。それから、その後にやるのが「Why? Why? Why?」です。これは松下幸之助さんがやっておられた手です。物事を突き詰めて考えていく方法ですね。
 ホームページにもファッションの例で書いていますけど、「服に関係する仕事がしたい。」から、「服(ファッション)を通して自分を表現したい」、「自分を表現することで、自分の存在をアピールしたい」、「アピールすることで人に影響力を与えることができる」、「自分も色々なよい影響をうけ、励まされてきた」、「結論:ファッションを通して、人によりよい影響を与えていきたい」という風にだんだん考えがふかまってきます。
 ここまで深まったら、今度はWhat?とかHow?とかでも突き詰めて考えてみる。これと企業分析とをリンクさせると、志望動機や自己PRも出てくると思います。

水内:あとテクニックとしては、セミナーの時は前の席に座ることですね。前にいるパネリストからは、全員の顔が見えるんですけど、前の人は意識が高いんだなと思いますから、できるだけ前に座るのがいいです。
 前の人、特に真ん中の2、3列に座っている人の顔というのは覚えますからね。

重田:セミナーとかで話している側からすると、話に応じてうなづいてくれたりするとめっちゃ嬉しいんですよ。ああ話聞いてくれているなっていうのがわかりますから。何回セミナーをやっても、熱心に話を聞いてくれていた人の顔というのは絶対覚えてますからね。

中嶋:輝きマヌケ、じゃない(笑)、まなこ(眼)でキラキラさせながら聞くともっと印象に残りますね。

水内:あと、身体を前にぐっと乗り出して聞いてくれていると、それも印象に残りますね。椅子に座る時は、背中を背もたれにつけないで、後ろの3分の1を空けてすわると、前のめりになります。さらに、それをメモを取りながらやると、前で話している人間からはいかにも話を聞いているように見えます。これも、テクニックですよ(笑)。

■質疑応答

Q:体育会の部活動でテニスをやっています。テニスは10年間ずっとやってきました。今日の話を聞いて自分は何をしたいのだろうかと考えて、まず何でテニスをやっているのだろうかと考えてみると、感動したいからだというのが出てきました。その感動というのは、個人戦の勝ち負けよりも団体戦の時の方が大きくて、勝ったときも負けたときも常に感動しています。ここから志望動機は考えられるものでしょうか。

水内:直結はしなくても良いです。どんな時に感動したのか具体的に言えたほうがアドバイスしやすいんですけど、チーム(団体)としてという考え方は一見テニスらしくないですから、説明する必要がありますね。
 大会、合宿、練習、その他のチームの中のこと、ハレの日(晴れ舞台の日)とケの日(普段の地道な練習の日)でどういう感動があるのか。積み重ねに対してか、力を発揮した時か、結果に対してなのか、そこのところの整理をしてみたらどうでしょう。
 一つのことを長くやってきた人と、短くやってきた人との自己分析はちょっと違うんですよ。長いと「何で?」が無くなってくるんです。だから、得たものから考えていくこともできます。得たものはチームであり仲間である、そこのところのチーム戦というのは仕事と同じですから、そういう風に考えていくこともできる。
 もっと別の道もあるでしょうけど。

重田:10年間やってきたことを言えるというのは、それだけで財産です。でも、それだけに一つの世界しか知らないかもしれないので、いろいろ見て、ひっかかりを探すといいです。よく、「結婚は妥協」と言いますけど、同じように100パーセント合う会社というのもないんですよ。
 最近の学生さんはいろいろなところで完璧を求めすぎているような気がするんですけど、まずは何か気になるとか、そういうところで探していくのが良いと思います。先輩に話を聞くとか。ひっかかりを大切にして、自分の経験をうまく伝えていくのが良いと思います。

Q:「やりたいこと」と「出来ること」のどちらを優先させて考えていくべきでしょうか。

中嶋:自分の出来ること、向いていることから発想するのではなく、やりたいからやる、で発想すると良いと思います。自分は今入社3年目で、ミーハー仲間はパッと見は華やかな業界に行っているのが多いのですけど、結構悩んでいる人が多いですよ。自分のしたいことができているのだろうかと思い悩んでいて、あっぷあっぷしています。

水内:限界は自分で作っているだけで、誰も決めていません。理想も自分で作るものですけど、どこまでも膨らませて考えることが出来ます。よく、「現実的に考えて」という言葉を聞きますけど、そう言っている本人がどれだけ現実を知っているかということですよね。やりたいことを優先させるのが一番です。今できることからやると、それ以上は伸びません。

中嶋:やりたいことを追及するのは恐い、というか難しいですね。学生の間はやることが多くて、それに就職活動もあって、いきなりやりたいことを見つけなさいといわれても気持ちの持ち方として難しいでしょう。だから、コツコツとやっていくのも良いと思いますよ。

重田:やりたいことと出来ることに関して、JOBWEBの佐藤孝治さんが言っていたことなんですけど、まず、自分のやりたいことが一番大きな輪だとします。そのためにはやるべきことがあります。そして、自分が今出来ることがあります。3つの輪があるわけですけど、自分が個人として出来ることが一番小さい輪になります。
 やりたいことをやるためには、この小さい輪をいかにして大きい輪に広げていくかということになるんですけど、個人でできることというのは少ないですけど、会社に入って他の人の力も借りながら出来ることというのはたくさんあるんです。すると、出来ることの輪を広げるために、大きくするために就職活動をするという考え方もあるわけです。
 そういうことも考えながら、出来ることの輪をどうやってやりたいことの輪に広げていくか、それを戦略的に考えていくのが楽しくて良いということでした。

水内:彼は、「やりたいことを持とう」とも言っていますよね。一つ思うことは、キャリアというのは5年や10年の長さに落とし込めるものではないということです。業界再編もありますし、商社からITベンチャーへの出向とかもあり得ますし、1年、2年先のことも読めない。
 面接とかで、5年後、10年後の自分を語らせる会社もありますけど、それは無意味です。だって、デジタル放送が本格化したら、テレビ局が「番組作らせてください」って頭を下げる時代になるかもしれませんよ。あ、もしこういう今後の話に興味があれば、役所の取り決めを見たほうが良いです。専門書とか、専門誌とかに書いてあります。
 やりたいことというのは、今決まっていなくても良いんです。具体的に調べて見つけようとする、その姿勢が大事なんです。今問うてはいけないと思いますね。

重田:自分のやりたいことが見つからないという気持ちはよくわかります。僕もまだ見つかっていませんし。でも、考えるプロセスが大事なんです。そうすると、おぼろげながらに見えてくるものがあります。それが大事で、それでいいんです。
 定年までの40数年間働くと言う期間があって、やりたいことの答えが就職活動の6ヶ月間程度で、答えが簡単にみつかる訳がないんですよ。40数年間のスタートラインにも立っていないんですから。だけど、「こういう風に生きていきたい。」ということを考えないと、目が輝いてこないです。考えることが大切です。

水内:やりたいことを考えつづけるということについては、TBSブリタニカから出ている『アイデアの作り方』という本があるんですけど、この中にいいことが書いています。一つの物事を考えて、調べて、その時はよくわからなくても、少しずつでも考えつづけていると、ある日急にドカーンと、ふと思いつくことがあるというものです。
 具体的な例として、化学に出てくるベンゼン環があります。あの6角形の形なんて、普通に考えて思いつくものではないですよね。実際、当初はいくら仮説を立てて実験をしても、わからなかったんです。だけどある日ふと、夢の中にヘビが共食いをして環になっている姿が出てきて、これだ、という風になったんです。
 やりたいことが無いのは情報も無いし、考えも深まっていないから。だから、調べても良いですし、適当にしても良いでしょう。そうすると、そのうちやりたいことというのが出てくるかもしれません。もしかしたら、自分が今やっていることが、やりたいことに一番近いかもしれない。

Q:あるファッションデザイナーの人のデザインが好きで、そういう業界に憧れています。でも、それをプロとして職業にすると、裏側が見えて嫌いになったりとかなるかもしれないと思っていて、ちょっと恐いです。ある意味、趣味を職業にするかどうかということだと思うのですけど…。

中嶋:趣味、というか好きなことを仕事にすると恐いですよ。たまに、自分は書けなくなったらどうしようかと思うこともありますから。裏側が見えて嫌いになるというのであれば、それは好きではないということだと思います。とりあえず、検証して飛び込んでみたら良いのではないでしょうか。そこまで思いつめることが出来るのはうらやましい。

水内:もし、その会社がそんなに大きくない会社であれば、嫌で無くなるように変えてしまえばいいんです。嫌だったら出て行くというのは単なるお客さんですけど、そうではなくて、社員というのは貢献する側の人間ですからね。


本日は、ありがとうございました。

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