。。。津軽三味線の響き こころの響き。。。


        

この三味線の頁に来訪下さった方々には、今の時代の「幸せ」とは何か、どう考えるかを
チョッとだけ見つめて頂きたく、当サイトの以下のミチクサ頁をお勧めしています。



(道草頁-1)みつばちに学ぶ===============
利他的行動と排他的行動
最強を選ぶ遺伝子
生物の余生は
文明進化の最適速度論
エコロジーに生きる

(道草頁-2)主張・自然環境の思いという頁=========
負の遺産・農業の衰退
儲け主義の人類の未来
爆発的人口増加


以上をご覧頂けると、津軽三味線の音色が一味二味、心にしみてお聞き頂けると思うのです
(このサイトでは三味線楽曲は流しておりませんが)。

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以下、津軽三味線 ====    目 次   ============

(1) 津軽三味線-はじめに-----------------
  (2) 三味線-各部--------------------------
    (3) 三味線と津軽三味線の歴史----------------
      (4) 三味線の種類・サイズ------------------------
            (5) 津軽三味線:付属部分・付属品
-------------------
          (6) 津軽三味線:Minoさんちょっと工夫点------------------
            (7) 酒田の古老談: 三味線胴の綾杉彫りと乱スダレ試し彫り----
              (8) 津軽三味線: ジャンク素材からの再生自作---------------
               (9) 舞台用の紅色津軽三味線-----------------------------
                  (10)津軽三味線とエコロジーに生きる----------------------


============================


(1)津軽三味線-はじめに                             ・

津軽三味線を握って目を閉じれば浮かぶ景色がある。
鳥海山を遠望する米所、雄物川(オモノガワ)流域、雪降り積もる一面の田畑、
鶴の恩返しの冬景色である。 母の実家は秋田の湯沢に近く十文字・落合、
当時は米その他物資の運搬を水運に頼っていた雄物川・船着場の一つであった。

   母の話を頼りに2001年現地に寄ってみたが、確かに鳥海山を遠望し、
   雄物川流域に広がる一面の米所で、酒田・最上川流域の映画『おしん』の世界が広がっている
   (雄物川はオシンの最上川よりさらに一つ北側、津軽寄りの水運の河で秋田港に注ぐ)。
   遠い昔、よちよち歩きを始めた私は、母の里帰りに同行した時、珍しい階段を上り下りして遊ぶ私を
   祖父が終始付きっきりで面倒みてくれたらしい。
   でも残念ながらそんな幼い日々の祖父母に対する記憶は残っていない。

水運の船仕事をする男衆相手に酌婦も集まっていた模様で、
母の実家に毎日散歩に立ち寄る老女は
「若い頃、好くないことを一杯した、その報いで目を患っている、、、」、
そんな自戒をする老女に毎日お茶を出してあげた、、、と母が若い頃の思い出を語るようになったのは
旅立ちの数年前のことであった。

   母が逝くことは実に大きな空間が心に出来るもので、写経や趣味の作曲やカイトに時間を費やしてもみたが、
   逆に記憶に留めようとすることも一案に思え、今、少々の焼酎を舐め、
   岩木山や鳥海山を遠望し深深と雪降る広野を脳裏に描いて津軽三味線の音を発っしてみる。
   これも人生に潤いを与える一策との思いに立ち至る。

特に快適で楽な生活習慣を追及し、資源・エネルギーを浪費する傾向、
そのための電力消費、原発依存、危険の増大、汚染・特に放射能汚染など
「負の遺産」を子孫・人類末裔に残しつつある現状を直視すると、津軽民謡「アイヤ節」の一節
「破れ障子にウグイス描いて、寒さこらえて春を待つ」自然の恵み、春を楽しみに待つ、
「今日も何事も無い一日を過ごせた、明日も今日と同じに変わった事の無い一日であって欲しい」、
そんな願望を基調とする謙虚な生活を考える。

   最近やっと「幸せ・幸福とは」を見直す風潮が出てきた。
   次世代の、我々の末裔が生き生きと生活を続けることが出来る、その可能性を信じることが出来る時、
   殆どの人々は「自身の幸せ・幸福」を実感するのではなかろうか。
   津軽三味線を鳴らして冬を越す、春になれば一面の雪が徐々に解けて、
   暖かな黒い土と緑が顔を出し、子供達の笑い声が聞こえて来る。



(2)三味線-各部                        

 

@天神(三味線頂部、糸の巻付け部は糸ヤグラ、A上駒(太い一の糸部には糸路が刻まれている、
B糸巻き(三線サンシンではカラクイとも呼ばれる)、C東サワリ、丸みを帯びたネック部は乳袋という、
D棹(天神側から上棹、中棹、下棹)、下棹から胴内を貫く部分は中木(なかご)、
E胴(太鼓とも言われ、普通は上側に胴掛けをつけ、下側に滑り止めのラバーシートを貼り付ける)、
F音緒(ネオ、弦の元を結ぶ)、G皮(表、裏とも)、
H駒(コマ、胴下端から指3本程度の天神側の皮面にセット)、
写真右(旧来からの木製・耳べっ甲・象牙その他の撥(バチ))




(3)三味線と津軽三味線の歴史                    ・

  
  
秋田湯沢・落合から鳥海山       米所の水源・鳥海山           田植え時期の鳥海山  

三味線は日本独自の楽器と思われるが、材料の殆どは外国産。
特に棹(さお)の質は重要とされ、上等な順に「紅木(こうき)」「紫檀(したん)」「花梨(かりん)」で、
棹材の紅木はインド北部、 胴材の花梨はタイやミャンマー産が殆どで、入手は難しい現状。
撥(ばち)材はMinoさん言うに適度な質感・柔らかさの点で鼈甲(べっこう)が最良と感じてるらしいが、
象牙や鼈甲も輸入物で現在では入手が難しい。

   もっとも、弦楽器の発祥地は中東と言われ、
   どの弦楽器も中東・砂漠地帯の「サズ」に似た哀愁運ぶ音色を持っている。
   こうした弦楽器はインド・中国を経由し材料や形を変えながら伝わってきたと考えるのが妥当だろう。

三味線の歴史は商人が琉球から持ち帰った蛇味線を元に、琵琶の奏者や職 人により改良されたという説、
琉球から胡弓が入手され改良されて三味線となった、などなどである。
エジプトに1〜3弦のネフェルという楽器が古く、ペルシャ(現イラン)に伝わってセタール、
バルカン・トルコに伝播してサズ、
そして西アジア・インド・シルクロードを辿って来たのだろうとMinoさんは思っている。
理由は楽器の呼ばれ方が、「セタール」「サズ」良く似た響きで呼ばれているからだ。

   三味線の多くにはビビーンと鳴る接触響きノイズ音を出すサワリ構造があって、
   それは旧来の琵琶の特徴に近いので、やはり琵琶の構造を経由して、
   または琵琶職人の製造に頼って今の三味線が出来たと思われる。

桃山時代に広まり始めた三味線は、江戸時代には庶民楽器として多方面で使われ、
三味線伴奏で語る浄瑠璃に義太夫・常磐津・清元など、座敷芸や歌舞伎音楽である長唄・箏曲と
結びついた地唄等、民謡伴奏の三味線など多くの文化を育んできたようだ。

   日本の北端に普及した津軽三味線とその楽曲の原型は
   新潟地方の瞽女(ごぜ、三味線や胡弓を奏で唄う盲目の女性旅芸人)の門付け三味線に始まり、
   北前舟など物流の広がりと共に、
   山形・秋田・津軽へ日本海側を中心に広まり津軽民謡と融合したに違いない。

しかし、津軽地方においてはボサマと言われる男性視覚障害者の門付け芸として蔑視される傾向もあって、
歴史上の記録も少ないと言われる。
情報によれば、津軽三味線の普及は幕末に五所川原の金木地区に生まれたボサマ
「仁太坊」(にたぼう)の貢献が大で、革新的な奏法が徐々に取り入れられて、
細棹や中棹から太棹に変化し、奏法も「叩き」を中心とする打楽器的な奏法が主流となった。
派手な技や大音量が追求され、太棹や厚皮になり、撥は速弾きに適した小振りなもの、
「叩き」と早曳き・早テンポへと変化していったらしい。

   昭和40年代の民謡ブームの頃までは舞台隅での民謡伴奏が役目だったものが、
   津軽三味線演奏としての独奏、アドリブ演奏などが興味を集め、重きが置かれる傾向となった。
   こうした独奏だけでは、本来の民謡伴奏・即興的唄伴奏は出来ず、旧来の伝統が失われる、
   という批判もあるようだが、ま、好きにやれば良い、、、といった感想がMinoさんの思いである。

  
   鳥海山(冬到来)              岩木山(津軽富士)          津軽の冬(白鳥飛来)

大体、Minoさんの津軽三味線への価値観は概ね以下である。

1)津軽三味線も家元制度・名取芸名制が導入されていて、
全国各地に大小様々な流派が各自の家元を名乗っている。
三味線教室で○○流などで決まった基礎や曲目などを伝えていることは文化の継承・普及という面で
貢献しているものと認められる。

2)ただ、ブログなどを見ていると、教室で決まった流儀に反発して止めてしまう人の感想も頷ける。
お稽古代の他に先生から指定の三味線道具などを買わされる・発表会に参加させられる・
格付けされて金がかかる・決まった奏法しか許されないなどなど、、で
折角の興味有る趣味を止めてしまう人が居るのは残念、、、ま、教室というのはそんなものだろうが。

3) Minoさんはこう考える。前奏・間奏・Endingなど即興的演奏に興味ある人は
音色・奏法・曲目・編曲など自由にやればよいし、それで楽しめればそれが最良、、
○○流なんて気にしないで自分で△△流を名乗って楽しめば良い。
一般的な奏法基礎はやってみるとして、使う指や、バチ裁きだって自分に最適なやり方に落ち着けばよい。
やたら叩きバチを強くしたり、早弾きなど、これが津軽三味線だ、、なんてやり方に制約される必要はない。。。
何たって楽曲なんて自由を奪われたら何も残らない、、、だろう、、、、。


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(4)三味線の種類・サイズ                       .

味線は弾けば音がでる、でも素人には自作できない。
金具は最小限とした木製はめ込み式で、棹・胴その他立派な職人技で製作されている。
だから三味線を弾いてみようとする人は、一応その部材や製作技を眺めておくことが礼儀だと思うのだ。

三味線種類(棹サイズで分類すれば):
棹サイズでの種類は、大きく分けて「細棹」「中棹」「太棹」の3種類、
演奏する曲目や目的により使い分けられ、それに合った駒やバチ各種が使い分けられている。
−細棹−:長唄(歌舞伎の伴奏から発展した曲、 唄を中心として、
       太鼓や笛などのお囃子演奏として用いられる。
−中棹−:小唄・民謡・地唄(琴との伴奏など)に使われている三味線。
−太棹−:津軽民謡・津軽三味線(棹が太く胴も大きく、撥で強く叩いて弾くため、
      力強い音色、叩き撥音を特徴とし、津軽三味線の全国大会なども開催され、
      最近興味を集めている三味線。

  明確な区分はされていないが棹の細い順に、
長唄、小唄、端唄、地唄、民謡、津軽などの三味線分類になっている。
これらの中には、民謡の唄いの高音に適するように棹長さを短く(弦を短く高音に)した
1寸5分詰めなどの短棹も有って、規格も明確でなく、表示はcm・mmでないから初心には取りつきにくい。
皮が張ってある胴(太鼓とも言う)の大きさも概ね以下のようである。
細棹=五厘大
中棹=二分大・三分大
太棹=四分大・五分大 程度に分けられている。

三味線種類(材質その他での分類すれば):
棹は花梨、紫檀(現在では入手しにくい)、紅木の三種類に分類され、花梨と紅木の二種類が主流。 
花梨製は紅木と比べれば軽く柔らかなため、練習用・初心者用として扱われているが機能は十分発揮される。
紅木製棹の三味線は堅く・美しく・重量のある原木の紅木が、最も適していると言われている。
棹の材質は何であれ、殆どの三味線胴は花梨材である。

  

   子持ち綾杉彫り               厚手の表皮張り           民謡三味線の胴掛け


胴の内側の削り方は、丸打胴が単純に胴内部を凹面状に削られるのに対し、
綾杉胴は胴の内部全体に波状模様が彫られて音楽堂内壁のように
響きに工夫を凝らした細工となっている(写真左)。
子持ち綾杉胴とは波形の仕上げ溝山の頭が更に全て二重複列に細工されて音響が良いと評される。


  金ホゾ仕込み

三つ折れ棹の継ぎ手の部分はホゾと言われ、その形状には安価な順に、
平溝、一本溝、二段溝、段違い二段溝の四種類がある。 
ホゾ・差込凸部と受け穴部分に「金細」と言わる9金・18金の継ぎ金具をを入れることで
シックリ結合し響きが向上するという話もあるが、ホゾ金の仕込は音響効果にさほど差は無く、
高級感を与える職人技術の競い合いだという人もいる。

    三味線の最上級品となると、棹材には紅木(こうき)で下の写真の様にトチ模様の美品、
   上の写真の金細という金仕込みのホゾ、金製の上駒、胴は子持ち綾杉彫り、皮は上質の犬皮、
   糸巻きに象牙、勿論「東サワリ」付き、といった仕上げで価格も立派なレベルだ。
   紅木は インド北部産の硬い木材で、鉄分を多く含んでいる為、切り出し面は紅色(故に紅木)を呈し、
   長く空気に暴露され徐々に酸化変化して黒味を帯びてくる。

関東では木地模様をそのまま生かして仕上げ、関西では漆塗り込みで艶を出すことが多いらしい。
紅木は差ほど太くはならないという情報と、熱帯産地の幹が1メートル程度になる硬い木材とも言われ、
ワシントン条約の第2類に分類され入手は難しい現状のようである。
木の目の密度が高い為堅く、水にも沈む程重い木材。その芯の部分が三味線には適しているらしい。

  
  トチ模様(棹・丸みをもつ持ち手側)       棹全体に美模様       トチ模様(糸を張る棹面側)

  さらに「トチ」と呼ばれる紅木特有の木の模様(年輪模様ではなく、
おそらく変化する気候による水分吸い上げの変化で木材内部に沈着する鉄分の分散模様、、
とMinoさんは判断している)、
堅さ、重さの有る物が「古山」「古紅木」などと呼称されて高価な値段となる。
こうした「トチ」模様の美しい「紅木」素材の入手は困難で在庫分のみとの話もある。

避けて通れない三味線皮の話:

人間として三味線に触れるためには、動物愛護の面と音響面からの皮材の2面に
触れなければならないだろうとMinoさんは呟く。
自分が動物愛護から人工皮にする・しないに関わらず、現存の三味線の多くが動物の皮を
利用している以上、その実態は認知しておくことが動物に対する礼儀でもあろう。
入門・練習用三味線の多くは比較的破れにくい人工皮を用いている。
腕が上がって音の薀蓄を言える人は、やはり津軽三味線は犬皮と言われるだろう。

   一般的に旧来から三味線に用いる皮の種類は:
   長唄、小唄、端唄、地唄、民謡の舞台用もしくは高級な三味線の場合、四ツ(猫皮)、
   津軽三味線だけは舞台用、高級にかかわらず犬皮を張るのが一般のようだ。
   津軽三味線は撥で皮をたたきながら弾くので、四ツ(猫皮)では耐久性に問題があるため、
   より厚く強い犬皮が利用されてきたのだ。

猫皮(四つ)は背開きで作られ、乳跡が中央に残り、上下2枚採ると(上四つ)と(下四つ)となる。
(上四つ)は皮の上部で厚みムラが少なく良好、従って胴表皮に利用する。
犬皮は(けんぴ)は猫皮とは逆に、腹開きで仕上げ、厚みある背部分が胴中央となり、
猫皮と違って乳跡は無い(つけ乳という印模様を付ける場合もあり)。

   毛穴が細いと音の発散がゆっくりで胴内に於ける音の震動が長く維持されるが、
   毛質が太いと皮のきめは荒くなる。猫の毛質は細いので毛穴も細く、皮のきめが良好。
   これは猫皮と犬皮の音の違いとなる訳で、猫皮の場合は、その毛穴が細いので通過する音は
   皮に繊細な震動を残し、柔らかな音色となる。

四つ皮は長唄、民謡、地唄三味線の高級品に、犬皮は中級、初級用が主用途だが、
津軽三味線の場合は高級三味線でも厚い犬皮を用いる。
三味線皮職人が居てくれるから三味線が出来る;
動物皮の利用は賛否両論あるのは事実だが、、、、、、

   三味線の弦の振動は駒を揺らし、駒の足は皮に立脚していて皮に振動を与えて
   胴(太鼓)を振動させる訳だから、皮の硬さ・厚さ・伸び振動・振動の減衰などが音を決定する。
   従って、皮自体の製造とさらに製作された皮の胴への張り方が重要となる。
   そんな訳で、皮製作と皮張りを若干勉強しておこう。。。。

皮作りの職人さん・皮張り職人さんには良い音色のする皮はひと目で判るらしい。
まず製作プロセスだが、
a)原皮(げんぴ)は冷凍保存で入手されるので大きな容器で水洗い・解凍・血抜き
b)毛やシミを落とすために炭酸ナトリウムを加え3日程度保存
c)専用のシミ抜き用金属ヘラでこすり毛をとり、毛根も綺麗に除く。
皮表面に毛根跡の微細な凸凹ができ、この凸凹が不規則に共鳴する微妙な程良い濁音を作るという。
この音模様は合成皮革では出来ないというのだが。
d)さらに刃物でしごいて皮の脂肪分除去、何回か繰り返した後、
専用の洗濯機(古くは足踏みして洗ったらしい)で洗浄。
ぬるま湯にて数日保持、そして洗浄を何度か繰り返す。
e)こうして薬品成分を抜き、.水切り、でこぼこ整え、厚み選別をする。
板に釘で浮かして張って日陰乾し、日光条件みながら天日乾燥する。

   こうした動物を扱う技術は、比較的華やかな伝統芸能を支えているにも関わらず、
   蔑まれた目で見られ易い。
   洗練された三味線から発する曲・音色も犬猫捕獲・皮採り・皮製造・皮の胴張り・
   そして三味線奏者の連鎖の中で発せられる音曲であることを忘れてはいけない。
   それに聞き入る人も、民謡を歌う人も、歌舞伎その他の文化を楽しむ人達も皆、
   この連鎖に手を載せているのである。



  
皮張り替え直後の胴           胴掛け、上は上駒             冬の津軽・竜飛岬

三味線胴への皮張り概要:  

  三味線には糸巻き部分(天神)と棹の製作者、胴(太鼓)製作者が有り、
それを支える三味線皮張り職人がある。この皮張り如何で最終的な三味の音色も決まるのである。
その概要を調べると、概ね以下の工程の様である。

1)皮を胴の大きさに切り取り、湿らせ、皮の裏側をやすりで擦り取る。
2)皮のふちを折り込み、木栓(木製のくさび式のはさみ)でしっかりはさみ、
  全てのふちに木栓を打ち、強く張るときは、深く挟み込む。
3)三味線の胴に糊(もち米を練りこんだもの)を塗り、胴に木栓を付けた皮を乗せる。
4)胴を皮張り台に乗せ、木栓と皮張り台に紐をかけ、各辺を段階的に、均等に締め上げる。
  締め上げた紐に、竹の棒をねじりこみ、締め加減を調整する。
5)皮張り台(二段構造)にくさびを打ち込むことで更に強く張ることが出来る。
6)張り具合を入念にチェック、その後乾燥させる。(2〜3時間)、乾燥後木栓を外し、
  折り込んだ皮のふちを胴に糊留めして終了。


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 映画、「必殺仕事人・三味線屋勇次」
のDVDとフィギュアをGetした。


映画、「必殺仕事人」
を注意深く見てみると、
中条きよし演じる三味線屋・勇次の座敷には、
皮張り道具がピシッとが設えてあった。
三味線の一番太い糸(一の糸)の強度が
人間を吊るせる程か否かはまだ試していない。


 私が「必殺仕事人」三味線屋・勇次です。 
自分の損得しか考えず、他人に害を及ぼす人や、
次世代に負の遺産をつけ回す、悪しき人間達の不浄は
闇の中で消してゆくつもりです。





(5)津軽三味線:付属部分・付属品                     .

三味線は弾いて音を出すが、その音色を決定つける三味線の構造・備品はまだ様々存在する。 
糸と糸巻き:糸のメーカーでは、富士糸、初音糸、常盤糸など何社かあるが 
三味線の種類と音色の好みで太さも選び、一番から三番までの糸のバランスで、
三味線の音色は大きく変わる。
天神(棹の頭)に位置する糸巻の形状(にぎり部分)に関しては、
面取、素六、宇柄、宇柄面取の四種類が一般的。
その材質は縞黒檀、本黒檀、青黒檀、紅木無垢、紅木張り、アクリル、合成象牙、本象牙など。

  
東サワリ(糸に触れるよう出っぱる)      出っぱり調整ネジ         一の糸に接するサワリ

  
三味線には、「さわり」という接触振動ビビリ音を出す仕掛けがある(安価な三味線には付いてないが)。
仕掛けは一番太い一の糸だけを本体に触れさせ、その音と一緒にビーンという雑音を出させる構造だ。
これで、その音の4度・5度・8度(1オクターブ)上の音でも、共鳴した雑音が発生する
(ギターのハーモニクス発生振動幅と類似の共鳴)。
「さわり」の調整次第で低音成分が増加して音色に変化と響きを延ばす効果が出てくる。
東さわりは主に民謡三味線や津軽三味線などに付いていて、
長唄三味線、地唄三味線や小唄三味線などには付いてないが、
さわり溝に一の糸を触れさせて(上駒に載せず)さわり効果を出すのが普通。

  棹面で糸を押さえる:
カンベリとは 棹免で頻度高く押さえる勘所(押さえるツボ)の面が長期に使用してる間に
徐々に削られて凹んでしまい、良い音が出し難い状況をいう。
ギターは指先で押さえるが三味線は爪先での押さえが多用され、爪で削られてカンベリになり易い。
カンベリの状態の修理は表面を砥石で磨き直し、塗料塗り直してで対策される。

  音色を左右する三味線撥(バチ):
物よって高価なので大変。三味線のバチは音を発生させる振動元なので大切、
尚且つ奏者の演奏し易さ、疲れ易さなどに影響するから最重要部品だ。
バチの種類は長唄・地唄・津軽などで変わる(変えなくても出来ないことは無いが)。
Minoさんは弾く先端部分(耳)の柔らかさ・シナリと全体の重さバランスが決め手だと感じていて、
べっ甲製140g重程度が自分にはがフィットすると言う。
バチ重心を先方に移すために鉛が仕込まれる、べっ甲津山撥を先端の耳幅(開き)を90mm、
全長を175mmへ切り落とし、吐石で磨き直して使ってるらしい。

  その他の三味線構造部分:

   
      駒各種             音を抑える忍び駒      糸元を結ぶ音緒(ねお)

上駒:上駒により三味線の棹から「2の糸」・「3の糸」を持ち上げ角度を付ける部位で、
三味線の種類によって数種類の形がある

駒:胴の部分から糸を持ち上げる部品で、材質は象牙・舎利(骨)・べっ甲・竹・プラスチックなど、
材質や高さにより音質に影響も出るので、音色調整に重要な部分。

音緒(ねお):三味線胴の底部と糸を繋ぎ固定する繋ぎ支え、大太の紐で、絹製が多い。

胴掛け:三味線胴と腕下側は常に触れ、太鼓(胴)上部の皮端がめくれたりして傷つきやすいため、
胴の上側に被せて直接摩擦を防止する。
津軽塗りなどの塗り・布模様製・皮製など各種デザインがあり、
津軽三味線の場合は天神の先を保護するカバーとセットで販売されるケースが多い。

天神(てんじん):三味線棹の最上部を天神と呼び、音響効果を狙って現状の形に落ち着いたらしい。
ぶつけて壊し易い部分につき扱い注意だ。
胴を膝上にのせて演奏するが、胴が滑り落ちないように胴下には胴貼りゴムを貼る。


(6)津軽三味線:Minoさんちょっと工夫点                 .

  
   バチの握り端形状修正        音緒・駒・指掛け          好みのべっ甲撥

糸間スペサー:
  弦の音緒側では駒に各3本の糸路が切られ、
各糸の間隔・位置は固定される(自分で糸路を削って調整出きるが)。
天神側の上駒上で位置固定されるのはサワリの上に位置する一の糸のみで、
二の糸・三の糸は棹幅方向に動き易い。
特に三の糸は棹エッジとの幅が狭いと弾きにくいので好みの糸位置がある。
Minoさんは上駒から糸鞍の間で、適当な厚みの皮紐を三の糸と糸鞍外壁の間に一回巻き結びつけ、
三の糸と棹エッジの間隔を調整している。

にぎり修正撥:
  撥バチは適度なシナリをもつべっ甲撥、重さも適度な130g以上が好きだとMinoさんは言う。
各々好みがあろうが、小指/薬指に挟む握り部位の角を写真の如く削り落として
握り指への負担を軽減している。また握りエンド(才尻近くには生ゴム輪を巻いて、
弱い力で握っていても、スッポ抜けないように工夫し、これで結構疲れが軽減するそうだ。 
開き(先端の幅)も金ノコで90mm弱に切り細めて吐石で磨いて仕上げる。
演奏の出来栄えは かなりの割合でバチの出来栄えに左右される気がする。

糸切れ対策:
  撥と糸の擦れで切れるのは仕方ない、そこで弾き音を出しているのだから。
しかし、下の駒糸路、上駒や上駒から糸巻き部分の擦れで切れることもある。
Minoさんはこの撥打ちと関係ない接触部分には、前にミツバチ飼育した頃の自作蜜蝋を塗って糸を張る。
一寸した摩擦低減で糸切れは減ると言っている。

糸ゆるみの対策:
  糸巻きを糸蔵穴に押し込む形式(ウクレレの糸巻きと同じ)では振動や温度変化で微小なユルミが出て、
かなりの頻度で音程調整することは必要だ。
糸巻きの芯を機械的に押し広げて滑り回転を防ぐ糸巻きもあるが、結構な価格。


  
補助糸巻きの基礎Base         アコギのペグ装着           完成側面・下端を糸倉裏へ 

そこでMinoさんは補助糸巻きを試作・利用する。
@ 伝統的な糸巻きと形状はそのまま維持、
A 外から見えにくい糸蔵裏に糸巻きBaseを裏からはめ込む、
B そのBaseには立て板があって、穴3個、それにギターペグを固定する、
   独立した歯車式ペグ3ヶ、タイプの限定は必要ないが、ここではストラトタイプのアコギペグを応用。
C 張力バランスを考慮して一の糸は中間糸巻きの上を通過せせ、Baseに開けた細穴から中間ペグに巻く、
D 同様に二の糸は最上糸巻きの上からBase穴へ、三の糸は下部糸巻きの上からBase穴へ、
E 念のためBaseは小奇麗な木ねじ1本で糸蔵前側の木片ストッパーと連結しておく。


  
       装着-1                装着-2                  装着-3
既存の糸蔵周辺に傷を付けぬように、装着には薄いスポンジ片を挟み込んで固定する。
従来の形状は維持され、裏面装着のMinoさん糸巻きは目に付かず、
ウォーム歯車方式のアコースティックギター糸巻で音程ずれは殆ど発生しないし、
音程微調整も非常に楽である。
(従来の糸巻きを保持したまま、糸櫓裏面からウォームスクリュー式のペグを応用した補助糸巻を装着する方法についての
実用新案登録権は、当サイト編集者・癸生川實が主張しています)


サワリの自作:

    
下部がサワリ用ネジ(下部)   サワリ糸側(皮ひも:糸間スペーサー)    調弦笛と電子チューナー

中古で練習用にGetした地歌・津軽三味線、三つ折れ・棹面幅も30mmと申し分ないので、
上駒を全幅にし、サワリを装着して見た。
さすがに角型は難しく諦めて慎重に5mm半のドリル穴を開け、
6mm径50mm長の真鋳ボルト(先端を平滑に研磨)をねじ込む丸型サワリにした。
天神/棹繋ぎ部分にヒビが来ないように穴形とボルト径のバランスに注意が必要だが、
ネジに合ったタップでネジミゾが彫れれば最良、これで結構なサワリ音が出る。
サワリの有り無しでは大違いである。

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(7) 酒田の故老談: 三味線胴綾杉彫りと乱スダレ試し彫り        .

【7-1】
 
津軽三味線は新潟地方の盲目の『ごぜ』と呼ばれる女性旅芸人によっても広がったらしい。
江戸時代から昭和の初め頃まで、三味線を手に縁故のある村々・家々を流し歩く目の不自由な
女性たちの姿が全国で見られ、唄と三味線芸を支えに生き抜いた人々がいた)。
この
門付け芸は、最上川河口の本田家営業の北前舟によって山形・秋田・青森など各地に北上し、
幕末には五所川原の仁太坊という人物の三味線・技法・普及活動での貢献が大きく、
津軽三味線の独特の趣が普及したと言われる。

 私の母方の実家は秋田湯沢に近く、最上川より一筋北の雄物川船着場の落合にあった。
父母に連れられて訪問した幼少の私は、
祖父の趣味だったらしい作りかけの三味線や胴(太鼓)が
床の間に何個か転がっていた。その太鼓の内面は印象的で、荒削りのノミの跡が創作模様を呈していた。
それは、まるでゴッホが好んで描いた糸杉の風景、糸杉や麦や空の雲のウネリ曲線によく似た模様で、
商品三味線にある綾杉彫りや子持ち綾杉のように整然とした様相ではなかった。

      民謡三味線(保存用)太鼓内彫りの試み   ・
  (上段)胴4面セット/自分の花押/砂嵐 (下段)メビウス輪/乱スダレ/アラベスク


    

    



【7-2】
 40歳を超えた頃だったか、最上川河口の酒田に社用で出向いた時の居酒屋、夕食と酒である。
何となく挨拶する内に品の良い地元老夫妻と話が弾み、酒を酌み交わすうちに、三味線の話になった。
故老曰く、私が秋田の祖父宅で見た三味線胴の内面彫り模様は、乱
簾(らんスダレ)だと言う。
丸打ち胴は彫刻無し、綾杉彫りは斜めに彫り溝を交錯させて重ねてゆく、スダレ彫りは彫りの溝筋が、
幾重にも水平、綺麗な平行溝であるという。
これに対して【乱スダレ】は素人的に彫り易い木目方向に自由にノミを進め、曲がりくねった溝となり、
私が見た糸杉状のうねった彫り跡はそれだと言う。


   
    延棹津軽品の再製      ・

   

          ピラミッド/宇宙/フィッシュ/ティアマスク



【7-3】
 
故老の話は酒と共に続き、胴内面彫りは音響効果のためで、4面とも同じでない方が好ましいと。
仏壇にある「りん」(小さなオワン型の鐘)を内側から軽く叩くと、
その響きは適度の抑揚でウナリを発生する。これは一見均一に見えるオワン型だが、
円周方向の微妙な形状・材質の変化が快いウナリを作り出すようだ。
寺院の鐘楼もしかり、音楽堂の内側壁面構造もしかりで、三味線も太鼓の内側彫り模様、
さらに張った表裏の皮の不均一性などが音色とウナリに効果するらしい。

  
   
  トチ美棹民謡胴の再製     ・

   

            糸杉/スダレパッチ/乱スダレ/野麦越え

 
その頃三味線への興味は左程無かった私だが、故老も技術屋らしく、話しが奥深い。
結構飲んでしまったが、食事も含めてすっかりお世話になってしまった。
私の津軽三味線への郷愁の一つは、母の育った秋田・落合の実家、雄物川と鳥海山遠望を背にして、
北東に広がる田んぼ冬景色を前に、縁側で三味線を弾く高齢の姿が心に染みるからであろう。
当時を想い起こしながら、太鼓内面に乱スダレ模様を試し彫りしてみることにしたのだ。
半世紀以上の昔に見た三味線胴の内側に見た糸杉風景の記憶を思い起こしながら。
音響効果は皮張りの後での試奏で確認する他はない。


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(8) 津軽三味線:ジャンク素材からの再生自作            .


ジャンク津軽を再生する 
  古い三味線でも、その部材製作には精巧な職人の成果が残されている。
そこで、ほぼただ同然の部材を再利用して自分なりの津軽三味線を完成させる試みを始めた。
胴に挿入される中木(ナカゴ)は外れて、棹は鳩胸部分にヒビ有り、
胴皮は両面無しで4面再接着らしき補修跡有り、
東サワリ無し、糸巻きは1本だけ残留、上駒無し、、、そんな廃物利用の試みだ。

  

先ず鳩胸のヒビ進行防止のため(写真左・白い詰め物部分)鳩胸部分に金属ビス+エポキシを挿入、
中木(写真中央)はエポキシとネジ2本で補強固定した。
棹面の幅端面がやや痩せ気味で、平面域を拡張のため全面的に研磨した。
真鋳ネジの直径よりやや細のサワリ用穴を貫通させ、6mm真鋳ネジにサワリ代用させる。
勿論ネジ先端部は丸く磨き、長さも適当に切り落として調整した(結構良いビビリ音が鳴る)。



  

次のステップは天神部分と欠損してる糸巻き対策だ。
競売で鹿角がKg単位で提供されていたので、これを加工利用した。
勿論この鹿角糸巻きは化粧用で、実際は糸蔵裏に自作のアコギペグ3本セットを装着(写真右)、
実際の3本糸は糸蔵を経由して糸蔵裏の糸巻きペグで巻き上げる。


   
胴内の各面の乱スダレ彫り各面は自称、ピラミッド/宇宙/フィッシュ/ティアマスク

前項に記載した勝手な胴内彫り(酒田の古老が言うには乱スダレ彫り)の胴を用いた。
立派な厚手の津軽胴であるが丸打ち胴で面白み少ないので上写真の乱スダレに加工利用。
皮を張ってしまえば判らないが、衣服の裏地に凝ってみる感じである。音も良く鳴る?
さすがに、皮張りは素人には無理で、三味線専門店に犬皮張りをお願いした。


  

写真左:前項記載の天神額には自分の花押を彫りいれた。
写真中央&右:胴に棹を通し、化粧鹿角糸巻き、糸巻きペグを装着、糸張りして完成。
まあまあの出来(自画自賛)だが、棹面/糸隙間の補正が必要と感じている。
というのは、中子の調整は微妙で、この接着如何で棹面と糸のギャップが左右される。
素人的感覚だが、大体4〜5mm前後の隙間が自分的には感触良好だった。ちなみに手元の津軽三味線の
棹面/糸隙間平均値は5mmであった。
今回の自作再生品は7mmで、若干過大と感じ、苦肉の策で胴の丸穴を2mm程度表面側に補正移動
(胴下端・糸元を裏側に、若干沈ませる)させて5.7mm程度まで補正出来たが、
さすが職人の技を真似するのは無理があって、素人技の限界を感じる。降参。
でも精巧な匠の技術を実感するには自作試行してみるのは良い経験であった。
仕方無いので、駒を細工して駒高さを1mm下げようと思う。



(9) 祝賀舞踏用の朱色津軽三味線                   .

舞踏用の朱色津軽三味線を紹介  

かなり派手であるが、舞台舞踏用の朱色津軽三味線を紹介しておこう。
大學サークルでの祝賀舞踏、踊り衣装の一つとして使われた模様である。
    見事に艶のある紅色に彩色され、大事なことは舞台上での荒っぽい扱いに耐えることだ。
        立派な津軽三味線として機能し、張り換え直後の犬皮胴は良い音を出している。
3本継ぎ棹(金細ではない)だが塗装済みなので棹の分解は禁止。
  棹は軽量化のため紅木でなくカリン材で、実用にも問題なく、赤い肩釣りベルトが装着されている。
    糸巻きも宇柄彫りで朱に塗られている。
     丸打ち胴で東サワリ、りんどう金具付き。宇柄糸巻きも彩色され、赤尽くしである。

  

舞台振り回しに耐えるように以下の何点かが対策されている。
@胴抜け落下破損防止のため中子の突き出し部分(りんどう金具)に約10mm長のビスが打たれている。
  このネジ頭が胴の抜け防止を担保する。棹を抜く場合は先ず、このビスを+ドライバーで抜いておく。
A胴下部にマジック布を装着、こことリンドウ末を赤皮ベルト肩掛けで吊るから立ち演奏・舞台が可能となる。
Bこの肩掛けはリンドウ部と胴下部マジック布部分のフックで簡単に外せて便利である。

  

C舞台での乱暴なバチさばきにも耐えるように、バチ皮2枚が貼られ、幅広に表皮を保護している。
D舞台では音合せの時間がとりにくいため、前述のペグ式補助糸巻きが装着されている。
  糸蔵裏に装着して、音ズレを極力抑え、音あわせを容易にしている。
Eお祝いの紅白基調で美的調度品として、使用しない普段は床の間に鎮座する。

 
2013年現在、信州、小岩井家の所蔵である。

  


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以下は随筆
(10) 津軽三味線とエコロジーに生きる            .
      
総合目次「主張」の頁にもコピー掲載しています、、、

10-1) 何だか判らない独り言

   原発事故以来、より安全なエネンルギーへの転換が世界中で論議されている。
人類が地球上で安全に生存し続けたいという願い、その表れだ。
宇宙の誕生は遠く140億年前、銀河宇宙の誕生が120億年前、
太陽系が46億年前に出来、ほぼ同時(40〜45億年)に地球も出来た。
琥珀コハク(樹液化石)の中に化石化したミツバチがアメリカで発見される。

   それは8000万年前の化石、今とあまり変わらぬミツバチの体だ。
   つまり、この地球に被子植物(花と種)と共生して。
   大した進化も必要としないまま、ずっと生息し続けてきたのだ。すばらしい。

  
先日、宮崎青島の鬼の洗濯板に行く機会を得た。
概ね3000万年前に海底が隆起して地表に出てヒビ割れ、浸食されたらしい。
高千穂峡にも形状の異なる積層岩盤が多数そそり立っているから、
当時の南方から押し寄せるフィリピンプレートの勢いが想像できる。
同様に丹沢山塊は600万年、伊豆半島は200万年前、
南から流動してきて隆起した。
  そんな恐ろしい地表岩盤の衝突隆起よりずっと前からミツバチは生きている。
それも、越冬時期は別としてミツバチの生体寿命は50から60日の短命。
女王蜂は日に1000〜2000個の卵を産み、これが次々に世代交代する。
生息実績8000万年、1世代寿命3ヶ月の単純計算では3億2000万世代が経過している。

一方人類はどうか、
猿に似てるが猿人(火などまだ使えない)の出現は約200万年前、
15年で生殖交尾するとして 高々13万世代しか生存してない。

   誰もが人間の祖らしいと認める現生人類ホモサピエンスなんぞは約5万年、3000世代、
   人類などはまだ生存の痕跡さえも認知できないとミツバチ達は言うに違いない。
   そんな人類が地球を、そこに居る生物を危機に追いやることが許される訳がない。
   現に、自然を破壊し汚染し資源を浪費する下等な動物だとして、
   人間をみれば蜂は怒って刺しにくるのである

現在では今日より明日、今年より来年はと、急速な利便性・快適さの追求が普通だ。
確かに楽しい、気持ちよい、楽である。
知らずシラズの内に、サイバーな、高速移動可能な、楽な生活に慣れてしまう。
そのために莫大な地球資源の消費、汚染、環境劣化は進行し、核汚染も現実の問題だ。

   リスク管理出来ていない福島原発の事故で、地表汚染・水質汚染の現実と対策の
   不安定さが切実にこの危機を物語っている
   レスターブラウンの地球環境白書関連の報告をみると、
   危機的環境変化は数え切れないほど散在している。

それでも幸いなこと国家レベルでも着実に環境リスクを検討し、
将来へ向けた改善策を実行しようとする動きがある。
メディアの放送の仕方、タイミングで情報受け側が混乱されるが、

   例えばドイツは福島原発事故のショックから原子力発電の撤退を決めたように理解され易い。
   ところが、そんな簡単な感情的判断での国策変更ではない。
   ちゃんと長期的な論議と視野にたって国策是正をしている、
   福島原発事故はその変革アクションのスピード化を進める要因の一つに過ぎない、
   それだけ、着実に環境汚染の対策論議を進めているドイツなのである。



  その対策に若干触れると、ドイツの脱原発のきっかけは
社会民主党(SPD)と緑の党の連立政権で、
脱原発に向けた合意はすでに2000年に成立しているし、
2002年には原子力法が改定、原発の平均稼働期間は32年と規定されて
各原子力発電所の許容発電量が設定された。
  その設定で全ての原子力発電所は、
2022年頃に使用停止となることがすでに予定されていたのだ。
その後のドイツにおける原発政策では段階的廃止についての合意が主要政党、
および国民的合意が成立しており、
今回の福島原発事故のリスク対策の問題点は、
段階的廃止のスピードを加速する方向で作用している。

  福島原発事故が有ったからだけでなく、
多くの地球表面の問題を真摯に対策しようとする国家レベルの行動が
活性化しているのは嬉しい。

   世界の多くの地域には今日と同じように餓えることもなく平凡な明日が来れば良い、
   嬉しいことがそんなに一杯なくても良い、
   その分がこれからの生まれてくる子供達・子孫の生活にも分配されれば
   それは私の一番嬉しい、幸せと感じることだ、
   そう思って生活している多くの人達もいるのだ。

世代間エゴを払拭して生きるこうした人達に拍手だ。
自分のことだけを考えるのではなく、周囲の人間集団として考えることであり、
周囲の動植物を含めて、地球上の生物の行動と結果を想うことが出来ればすばらしい、
そう、望みはまだ有りそうだ。


10-2) エコロジーを意識する

生物学はどちらかといえば生物1個体の構造・特性・機能などに焦点を当てる。
エコロジー(生態学)とは、その個体が集まった時、他の生物各種と共存した時に、
どんな行動・影響が出てくるかを科学する、
地球上の集団接触、動植物変化に影響する条件、
環境変化と生物生態などの検討もこの分野であろう。

   身勝手な人類は、生物種間のエゴによって、子孫末裔の生活環境など無視した世代間エゴによって、
   際限なき快楽追求のために 地球ガイヤ・全ての生物を絶滅させるかもしれない。
   それに比して、極端な進化も必要としないまま、環境を変化させず、
   被子植物(花)と共生し続けてきたミツバチは偉い。。。

我々は戦のある時も平和なときも、清浄な時も汚染物が違法投棄されてる時も、
各自に割り当てられた役割・場所・行動半径を持って、相互に抗争しないように生活する
全ての生物種もその生息領域、行動半径(縄張り)を調整して共存している。
意識されることは少ないが、食う相手生物と食われる相手生物が在って、
この食物連鎖の中に生存することを薄々宿命と感じている。
動物達もそう感じているに違いない。



  
生物進化の世界では「全く意味のない現象は存在しない」
とも言われる、、、なのに、
常時発情期となった人類(交尾を快楽追及のために続ける人類)、
快楽のみならず、
環境的に負の遺産(子孫に負荷を上乗せする)が
蓄積されつつあるのを忘れて、
飽くなき余生・延命を求め続ける過度の環境資源消費、
経済成長率追及、生体改造(生物のクローン化利用、
臓器移植や臓器の加工商品化、、など)などの全てが、倫理限界
ギリギリに来ているのは何故であろうか。。。



この世界に戦争・飢え・病気が無かったら、人類は地球に溢れていた、
つまりこれらが結果的には過度の人口増加を抑制してきたかもしれない。
若干、わずかながら救われる傾向も無いではない。世界の人口増加率が、
1970年前後に年率2%でピークに達し、2010年には年率1.2%を下回っているのだ。

   とはいえこれは増加率の話で、世界人口そのものは1970年以来倍増しているため、
   毎年8000万人増え続けている。

   すなわち、毎日21万人以上が生まれ、新たな食事の追加が必要だが、
   その多くは、空の皿でもてなされることになる


明日にはまた21万人以上が生まれ、これだけ容赦なく人口が増加すれば、
近い将来には農業従事者が応用できる技術も、土地も、水も、限界を超えることになる。

増加し続ける世界人口をみると、シャーレーの中の実験微生物が
栄養源(エサ)の枯渇で一瞬に死滅する様相が背景映像として去来する

   約5万年の実績しかないホモサピエンスという人類生物が、
   どれほどの期間、地球上に生息できるか判らないが、今日の人類の民族間エゴイズム、
   世代間エゴイズムを捨てて、人類の未来の幸福(長期にわたる人類の幸福)を
   考えねばならない時が到来しているのだ。

特に石油依存で自動車時代を経過し、全て電化・電気エネルギー生産で石炭石油から原子力に依存し、
そして核汚染の環境悪化スパイラルのリスクの中に我々は生きている。
全ての人が我々人類の短期、中期、長期的な将来のことを少しでも考えてみること、
そして、何をどうすることが自分にとって 幸せ・幸福であるかを考えてみることが必要であるし、
避けて通れない路であろうと実感する。

   地球上で節度無く、人類だけのことを考え、自国だけの、自分だけの利益のためを考えた行動に対して
   生物の創造主はこれを許さないであろう、、と感じる。。。。


10-3) 自分の無責任さに気付く時

自然からの供給が人間の消費需要を上回っていた時代、自然の価値はゼロに近く、
ただ綺麗な場所・すばらしい風景などとい