みつばちミーヤの報告: ミツバチに学ぶ 2005.3.21

   

目  次                         *ミツバチMENUへ   

1)  ミツバチと人間と地球と  
  2)  八木君からの手紙    
    3)  利他的行動と排他的行動  
      4)  誰が支配者か        
        5)  最強を選ぶ遺伝子      
          6)  遺伝子伝達を優先する    
            7)  ミツバチは人類の先輩    
              8)  人間は刺される立場     
                





1 )  ミツバチと人間と地球と  


  ミツバチ達が出入りする巣箱の傍らに腰を降ろす。
草むらと雑木林の上空を白い雲が静かに流れてゆく。
飛び交うミツバチ達は、
生命を育んでいる地球の自然と暖かさを肌に感じさせる。
ここは地球上だなと感じる。
空の上に宇宙を感じる。
この大地に生息する無数の生物の声が聞こえてくる。
人間の価値観だけに固執しないで、
地球上の生物の食物連鎖や各種生物との共存など、
色々な角度から生命保存の神秘を感じることが出来る。


人類ももっと謙虚に、この地球の自然環境を守ってくれという
そんな、生物の声を聞く。
ミツバチの生き方を観察してゆくと
人間の生き方、地球環境などへの想いが連鎖的に到来して、飽きることがない。
人類も心を開いて、ミツバチ達に多くを学ぶべきだと感じる。


  欧州での蜂蜜消費量は多く、家庭での蜜蜂飼育も盛んのようだ。
英国では冬でも芝生は緑、庭に白い巣箱が散見される。
冠婚葬祭の悲喜こもごも、家族の状況は巣箱の蓋をノックして、
家族たるミツバチ達にも詳細を告げるという、偉大な存在である。
 偉大な学者達もいる。
ケンブリッジではニュートンが地中(地球)を見下ろして重力、万有引力を想い、
オックスフォードではドーキンスが地表を見渡し生物生態を観察し、
はたまたホーキングは空を見上げて宇宙を科学する。

  
ミツバチ達は理屈なしに、自然の中を飛び回っている。
生物創造主の意志に静かに従っている。
広がる緑の大地と、生物の共存は平和である。

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2 )八木君からの手紙    


   自分の行動を人間として成すべきか、生物として成すべきか、
その区分けに悩む人間の一人、八木君からの手紙を紹介しよう。
《人間も学問的にはミツバチをバカにすることは出来ない。
僕の人生を変えたような本の一つに
リチャード・ドーキンスの
「利己的遺伝子(セルフィッシュ・ジーン)−紀伊国屋書店」がある》


  その本には非常にわかりやすい遺伝子の話の例として、
ミツバチのことが書いてある。

スズメバチがミツバチの巣を襲うとミツバチはスズメバチに集団で取り付き
ミツバチ・ダンゴを形成するのだそうです
(特に日本ミツバチにはこの防衛行動が強い)。
スズメバチは
ミツバチより生命の耐熱温度が低く(47度位まで)、
ミツバチダンゴにされると体温が上がり死んでしまうのだそうだ

(ミツバチの耐熱温度は50度位でちょっとだけ有利、
この若干の優位性を利用して相手を蒸し殺しにするらしい)。
勿論あの硬いスズメバチにかみ殺されて
多数の討死が出ることは承知で特攻的に戦うのです。
ミツバチとしてはあまり効率的防御方法とは言えないが、
正に身を挺して仲間を守るのです。
なぜ何のためらいもなく、ミツバチは多大の犠牲を伴いながら、
仲間の為に
自己犠牲を出しながら仲間や群全体を守る利他的行為を行うのか?


  
ここでリチャード・ドーキンスの出番です。
ドーキンスの「利己的遺伝子」によれば、
動物:人間(生物)のご主人様は常に遺伝子(DNA)であって、
「人間(生物)である我々自身は単に遺伝子が使い捨ててゆく乗り物に過ぎない」
と言う説である。

生命生存の活動は、遺伝子を繁栄、増殖することが真の目的であって、
遺伝子を除いたら我々は単なる抜け殻(運転手のいない車?)に過ぎない、
と言うわけである。
言いかえれば我々人間(生物)は
単なる利己的遺伝子の意志のままに動かされているバイオ・コンピューターという訳である。

「そんなことはない、私は自分の意思で生きている、、、」と、
アクセクするのが人間かもしれませんが、
この生命のグランド・セオリーを人類は
芸術や哲学、宗教その他を通して凌駕することができるのでしょうか??
永遠の課題である人間が人間であるための存在理由を合理化するために、、、、、

   こういう仮説?を考えることによってのみ、
あのミツバチの利他的行為がすんなりと理解される訳である。
すなわち、
ミツバチは同じ女王蜂から生まれた遺伝子の、言うなればクローンである訳です。
そこには他人と自分の区別もないのです。
ミツバチの世界では「一匹はみんなの為、みんなは一匹の為」という
人間には出来なかった協同の生命維持組織をもつユートピアの世界を
実現しているのです。
2004.08

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3 ) 利他的行動と排他的行動(ミツバチも人間も同じか?)


  以下、ミノさんがミツバチから学んだ教訓をメモしてみよう。
生物の利他的行動が最も顕著に見られるのは
母が子供のためにあらゆる犠牲を躊躇しないことだ。
子供のため、家族のため、種族のため、国や民族のために
自らの命を犠牲にする人間の行為も同様である。


 孔子から孟子へと引継がれていった哲学、いわゆる論語の中に、
「志士仁人は生を求めて以って仁を害すること無く、
身を殺して以って仁を成すこと有り」という教えの一節がある。

  ミノさんは「志士仁人は生を求めて以って仁を害すること無く、
身を殺して以って義を成すこと有り」だ、
と言い張り、いわゆる仁義に重きを置けと言う教えだと言う。

「仁は愛であり、義はその道である」。
本当の解釈はどうか定かでないが、
排他的な利己主義を戒め、
利他的行動をとるのがココロザシある志士の道であると説いている。

  こうした利他的行動を見せる人間集団ではあっても、
勢いにのる集団形成は、
繁栄を目指す行動の中で
排他的民族主義という逆方向の集団的行動もある。

あらゆる部族が平和裏に共存してゆける社会が理想とも言えるが、
優位性維持のために、または自然環境的にその限界に達すると、
他種族を滅ぼして自己集団を優先・維持拡大してゆく行動である。
自分が属する血族、部落、団体、国を維持発展させる目的で、
それ以外の集団を撃滅してゆく。

人種の違い、培ってきた信条の違いなどによって引き起こされてきたこれらの排他的襲撃は、
個々の集団内部にあっては当然の行動として正論化され易く、
集団的敵対行動によって他民族を襲撃することが常であった。


  ミツバチも、
所属する群の為には個々の蜂は身を挺して自爆特攻攻撃をためらわず、
おびただしい犠牲を省みずに防衛行動に出る。
しかし、蜜源が不足すれば、
自分の所属する群を維持するために盗蜂行動に出る。
これは強群が弱小群を襲い貯蜜を強奪する行為で、弱小群は全滅するか、逃散する他ない。

  ミツバチも人間も、
こうした利他的行動とともに排他的民族主義にて行動している向きがある、
つまり延命を強く指示するDNAの指令の基に生命維持活動をしている生物、
そのように同一視してもいいのかもしれない。





4 ) 誰が支配者か?    


  こうした習性、能力はDNAが司っている。
DNAはデオキシリボ核酸という高分子有機体で、
地球上の生物すべてがそれぞれのDNAを持ち、
同じ生物、一族、家族で複製され子々孫々の生体細胞の中に組み込まれて伝えられ、
地球生物史の約30億年間近く続けられてきた。

  あらゆる生命体には寿命があって必ず死ぬが、
DNAの構造はそのコピーとして次の世代へと転写され、
つまり
生命体を乗り換えながら生存してゆくのである。
言ってみれば人間もDNAの生存のための機械部品に過ぎず、
人体は朽ちてもDNAは継の世代へ乗り継がれていくのだ。


 
見たことはないが、学者の言い分によれば、
DNAは2重螺旋構造の(2本の長い糸をより合わせたような)生体物質で、
全ての生物の遺伝情報を伝える、言ってみれば生体の指令物質である。

 さて、ミツバチの働バチは越冬する冬の場合以外は、寿命わずか40日〜60日くらいである。
4〜5年の寿命をもつ女王バチに比べて何と短期に使い捨てられてゆくことか。
だから女王は1日1000〜2000個の卵を産み、どんどん死ぬ働き蜂に代えて、
とてつも無いスピードで働き蜂を生産しているのだ。


 
こうして見ると、あたかも女王が働き蜂を支配しているように見える。
しかし花蜜が潤沢に採取できる時期には多量のローヤルゼリーを女王に与え、
産卵を促しているのは働き蜂であって、
働き蜂が女王を支配しているとも言える。
 さて、その働き蜂は何に支配されているのだろうか、
何と、植物の花に支配されているのである。
花粉交配を風に頼るだけでなく、花々はその香りと甘い蜜を出すことで、
ミツバチを呼び寄せて受粉を促進させるために働き蜂をあやつっているのだ。


 採蜜をねらう人々は産卵する女王バチに翻弄されるが、
女王は働き蜂に支配され、働き蜂は花に支配されている。
つまり端的な話、蜂飼い人は花に支配されていると解するのが妥当なようだ。

  ミノさんの結論は:ミツバチ養蜂する人は、
女王バチや働き蜂と花を愛し、花からも愛されている人達なのである。
勿論、花もミツバチも、そして人間も密かに体内に宿るDNAの指令に従っている。
無意識の内にその指令に動かされ、逆らうことはおろか、
その存在にすら気付くことは無い。
ナーーーーンて感じているのです。
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5 ) 最強を選ぶ遺伝子   


  ミツバチは働き蜂(メス)だけが外敵を刺して防衛する。
その攻撃は神風特攻隊である。
刺した後、内臓は針と一緒に体外にもぎ取られ、
刺したミツバチは間もなく死んでしまう
(足長バチやスズメバチは、何回も刺してくるから要注意)。


  
DNAは最も安全に力強く受け継がれてゆくことを望んでいる。
従ってDNAからすれば、
外敵と争う働き蜂が何匹死のうが、全く問題ではない。

  DNAは女王の交尾についても最大の安全策を講じている。
それは女王が最強の雄蜂を選ぶ交尾飛行である。


孵化して1週間もすれば処女女王は交尾のため空中に飛びたつ。
ただ交尾のためだけに誕生してきた雄蜂達はこの処女女王を追って空中で交尾するが、
体力の最も強い極選ばれた雄だけが交尾できる。可愛そうにこの交尾成功の雄も、
交尾によって精子袋を女王体内に取り込まれて、
即死状態で落下死亡するのだが、DNAからすれば些細なことである。

  一般的に近親交配で出来た精子は生命力が弱い。
異なった群から雄が集まり、処女女王が参加する社交場的交配空間があるとも言われる。
処女女王は近親交配を避けてより強い精子を求めて、
誕生した巣箱から飛び立ち、この社交空間に向うらしい。


  
遺伝子は1個体の中に在るよりも、統率されたその生物の集団社会に在る方が暮らし易く、
機能化された組織社会は防御、食物入手その他で優れた生活環境にある。
原人の群にあって、人間の雌達が採集食料を供給してくれる強い雄に集まり、
より生命力の強い精子を優先させてきた歴史も同じである。
同じ雄から供給される無数の精子の間にも
Sperm-competition(精子間競争)があって、幾多の難関を突破し、より早く卵子へと到達、
侵入出来る精子のみが選択される仕組みになっている。


  
最近よく耳にする「合コン」。
合体型コンセントや合唱コンクールではなく、未婚男女の合同コンパである。
遺伝子に言わせれば、安易な気持ちで参加することは不道徳であり、先祖に対して失礼である。 
より強い精子、
より安定した受容体を求める強い意志で臨むことが求められているのである。
合コンとは、Go Competition(競争に参加する)と解するのが正しい理解である、
というのがミノさんの主張である。

  そして誰もが自信をもって、この「Go-Competition」に臨む資格を持っている。 
何故なれば、
現生する我々は何代にも渡って精子間競争を勝ち抜いてきたSperm(精子)によって誕生したのだから。 
1回で放射される精子数は約2億匹、卵子到達精子は約500匹、
侵入受精出来るのが我々を形成した最優秀者の1匹で、
0.0000005%の成功確率を既に突破してきたのである。




6 ) 遺伝子伝達を優先する  


  単細胞が集合化した生体は、
ドーキンスが言うように遺伝子が
生き残りと生殖を効率化するために造り上げた乗り物と見なせる。

  ミツバチ処女女王は、何回交尾するのかは定かでないが、
女王は雄から受け取った精子を体内に温存して
必要な時に必要な数の受精卵(働蜂や女王蜂の卵)を産み続ける。

女王が体内に取り込む精子は約700万個と言われ、
毎日2000個産卵しても3500日、
約10年分を持つて動いている訳で、必要に応じて有精卵(働蜂、女王蜂になる)、
無精卵(雄蜂になる)を産み分けるから、
どんなに優秀な人間であっても真似の出来る芸当ではない。


  
生殖を終わってその必要性が無くなった乗り物は捨てられる。
雄ミツバチは交尾終了で即死するし、
生殖期が終われば全ての雄は食料供給を絶たれ、巣箱から追い出される。
生殖のため急流を遡上した川魚達も、生殖が終わればその生命を終わる。

雄カマキリなどは、生殖交尾の終了とともに恍惚として(?)雌の餌になってまでも
子孫繁栄に貢献するのである。
  にも関わらず、人類は(特に現生人類は)子育てが終わっても、
まだ永遠に生存と快楽を求め続け、
負の遺産(食料危機の拡大、自然に戻せない廃棄物の増産、資源エネルギーの浪費など)を作り続けるのである。
  しかりして、人間の余生は、
これから生きる世代に迷惑をかけない、
自然環境に負荷を残さない謙虚な生き方でなければならない、、
と心ある人間は反省をするのである。

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7 ) ミツバチは人類の先輩     


140億年前 : 宇宙の誕生
120億年前 : 銀河系宇宙の形成始まる
46億年前 : 太陽系の誕生
40〜45億年前 : 地球誕生
13億年前 : 細胞組織をもつ真核生物(米国で苦灰岩調査から)出現
2億8000万年前 : トンボ出現
1億3500万年前 : 被子植物(花と種による繁殖)出現
8000万〜1億年前 : ミツバチ(被子植物と相互扶助)出現
200万年前 : 猿人(アウストラロピテクス、道具使うが火は使えない)出現
50万年前 : 原人(ジャワ原人・北京原人など、火も利用)出現
15万年前 : 旧人(ドイツ・ネアンデルタール人など)出現
3〜5万年前 : 現代人ルーツの現生人類(ホモサピエンス)出現

  
人類の出現(古生人類・洪積世に生息した人類)は溯っても200万年であり、
現代人のルーツである現生人類では、高だか5万年の地球上履歴しかない。

米国ニュージャージー州で、
8000万年前の樹液化石(コハク)中に現在の蜂にかなり近いミツバチ科蜂の化石が発見されている。
つまり蜂は被子植物(花と種)の花粉交配の互恵生息として
1億年程度前から生息していたと見られる。
そして極端な進化も必要としないまま、
現在のミツバチその他として生存している恐るべき大先輩なのである。

  みつばちミーヤ達は人類に警告している、、、、
「人類の勝手な振る舞いで、地球環境を破壊してくれるなヨ」。
人類も大先輩であるミツバチの忠告には、
謙虚に耳を傾けるべきなのである。





8 ) 人間は刺される立場        


  人間の生活を見ると、程度の差はあっても
排他的民族主義の要素は彼方此方に存在する。
一家族をみても、父親が家族(血族)繁栄と防衛を第一義的に行動し、
この枠以外には排他的に接触している場合でも、息子や娘はもっと広範囲に、
地域や民族や国が同一レベルで共存繁栄しなければと考えているかもしれない。
  地球上の全ての人種が同様の幸福感に満たされねばならないと考えているかもしれない
(その方向での行動レベルはまた千差万別であるが)。

  人間個々は置かれた環境からの影響と制約、得られる情報とその選択、
その他の要因によって維持発展を願う集団範囲を、個人個人が全く別々に認識、行動しているのが特徴、
人間の特徴と言えるかもしれない。
この統率の無さ、首尾一貫性の無さは生物の中でトップレベルとも感じられ、
ミツバチ集団に比べれば比較出来ない程に下等な生物であるとの印象も拭えない。

  一方、ミツバチはと言えば、1群が1個体で行動する。
1群で数万というミツバチ集団は各働バチ間で花蜜の在り処や巣内の異物、
外敵情報などをつぶさに共有し、まるで1群の箱が1匹の生物であるとも言える。

働き蜂1匹1匹はまるで一つの細胞として、
老化して死滅する細胞のように、次々と新たな細胞によって機能を引き継がれていくのだ。
こう考えれば、
外敵に対して特攻攻撃を仕掛けて自爆してゆく働蜂防衛隊アマゾネスの行動も不思議ではない。
そして全ての働き蜂が同属クローンとして、
同一の意志を持って働く細胞、それも物理的には拘束されずに自由に大空を駆け回っている。


人間は、地球上での自分たちの行動について、真摯にミツバチ達に学ぶべきである。


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