| このページではその他のオペラ映像作品をまとめて紹介します。イタリア・ヴェリズモ(現実主義)を代表するマスカーニとレオンカヴァッロの作品は各々短時間に凝縮された生々しい人間ドラマであり、ゼッフィレッリはオペラの範疇にとらわれない見事な映画作品を作り上げています。ワーグナーではドイツ精神領域の観念性に壁も感じますが、理屈を越えた壮大な音楽宇宙に浸ることが出来ます。R・シュトラウスの音の魔術師ぶりはオペラ作品においても遺憾無く発揮されており、物語だけではなく、管弦楽と歌唱の織り成すスリリングな掛け合いをたっぷりと楽しむことが出来ます。 (2006.09.30 Updated) 尚、☆マークはあくまでも個人の趣味によります。(☆:水準、☆☆:水準以上、☆☆☆:推薦、☆☆☆☆:特薦) |
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カヴァレリア・ルスティカーナ MOVIE/1982/ミラノ・スカラ座/G.プレートル(C)/F.ゼッフィレッリ(D)/PHS(UNITEL)/DVD P.ドミンゴ/E.オブラスツォワ(S)/F.バルビエリ(MS) 映像の素晴らしさに圧倒される。シチリアの田舎の風景、復活祭に向かう人々の群れ、祈り、華やかな祭りの衣装、そのどれもが在りのままで美しい。登場人物はくたびれた復員兵、垢抜けない村娘、馬車屋の親父、その浮気妻とこれまた生身の人間たちそのもの。彼らのやり場の無い焦燥感や嫉妬をドミンゴ、オブラスツァたちがをリアルに演じ、ドラマティックに歌う。 |
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道化師 MOVIE/1982/ミラノ・スカラ座/G.プレートル(C)/F.ゼッフィレッリ(D)/PHS(UNITEL)/DVD T.ストラータス(S)/P.ドミンゴ/J.ポンス(Br) その相似性から、「カヴァレリア」と対とみなされている作品。一時間強という音楽劇の中に凝縮された激情に圧倒される。とりわけストラータス(ネッダ)の体当たり演技はオペラ歌手としての範疇を遥かに越えている。ドミンゴも「カヴァレリア」と並んでベストの歌唱と演技である。作品、演出、カメラ、出演者、演奏の全ての点において傑出する見事な映像盤となった。 |
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フィデリオ LIVE/2003/ザルツブルグト祝祭大劇場/S.ラトル(C)/N.レンホフ(D)/TV録画 A.デノケ(S)/J.ヴィラーズ(T)/T.クヴァストフ(Br)/A.ヘルド(Br)/Y.バンセ(S) ザルツブルグからの最新映像。ベートーベンはオペラ作曲家としては明らかに失格であろう。物語は教訓的でつまらなく 、音楽にはオペラとしての愉悦や閃きは感じられない。かろうじて第一幕の美しい4重唱 に心地良い響きを聴くだけだ。デノケ(レオノーラ)はフィデリオとして男装のときの方が魅 力的だ。ヘルド(ロッコ)が温かみのあるバリトンを、バンセ(マルツェルリーネ)が柔らかな ソプラノを、ラトル・BPOが隙の無いな演奏を聞かせてくれる。真面目なベートーベンファンにはお薦めかもしれない。 |
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タンホイザー LIVE/1989/バイロイト祝祭劇場/G.シノーポリ(C)/W.ワグナー(D)/PHILIPS/DVD R.ヴァーサル(T)/H.ゾーティン(Ba)/C.ステューダー(S)/W,エッシェンバッハ(Br) 厚みのある管弦楽と幻想的な色彩の舞台がワーグナーの世界へと誘う。中世ドイツの伝説物語は生身の人間の喜怒哀楽とは無縁だが音楽は圧倒的だ。歌手たちはほとんど直立不動でひたすら音楽的要求にのみ応えようとしているようだ。私事になるが、私がこの作品にヘッセン州立歌劇場で接した時にも舞台は忘れ、ひたすら音だけに集中したものだ。序曲や巡礼の合唱をはじめ音楽に聴き所は多い。 |
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ラインの黄金 LIVE/1990/メトロポリタン/J.レヴァイン(C)/O.シェンク(D)/DG/DVD J.モリス(Br)/S.イェルザレム(T)/E.ヴラシハ(Br)/C.ルードヴィッヒ(MS) メトロポリタン劇場による指輪四部作映像のひとつ。豪華なセットが観るものを神話世界に引き込み、重厚な音楽が聴く者を壮大な叙事詩へと誘う。モリス(ヴォータン)をはじめ出演者たちに人間臭さを感じられるのが嬉しい。アメリカとドイツ出身の歌手たちによる舞台がイタリアオペラとは対極にあるワーグナー世界の普遍化に果たしている役割は大きい。 |
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サロメ MOVIE/1974/ウィーン・フィルハーモニー/C.ベーム(C)/G.フリードリッ(D)/DG(UNITEL)/DVD T.ストラータス(S)/H.バイラー(T)/A.ヴァルナイ(MS)/B.ヴァイクル(Br) 約100分間の緊張感に満ちた一幕の舞台劇にR・シュトラウスの官能的な音楽が付く。この作品には伝統的なアリアも重唱も合唱も存在しない。にも拘わらず、ここまで音楽的であるのはシュトラウスの音楽の魔術ゆえなのだろうか。若きストラータスは美しいばかりでなく、王女サロメの無邪気さと高貴さ、情熱、そして破滅へと向かう狂気を驚くべき演技力で表現している。ベームとVPOによるオーケストラも素晴らしい。 |
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サロメ LIVE/1997/ロイヤルオペラハウス管/C.ドホナーニ(C)/L.ボンディ(D)/DECCA/DVD C.マルフィターノ(S)/K.リーゲル(T)/A.シルジャ(MS)/B.ターフェル(Br) 1997年のザルツブルグ音楽祭におけるライブ映像盤。マルフィターノ(サロメ)の年令を超越した迫真の演技と歌唱に次第に引き込まれて行く.。ターフェル(ヨハナーン)の堂々たる迫力にも圧倒される。一瞬の緩みも無い凄まじいまでの集中力に満ちた漲った舞台だ。ドホナーニの音楽も全く隙が無い。ただ、ヨハナーンの生首のリアルさには若干辟易とさせられる。 |
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ばらの騎士 LIVE/1979/バイエルン国立歌劇場/C.クライバー(C)/O.シェンク(D)/DG/LD G.ジョーンズ(S)/M.ユングヴィルト(Br)/B.ファスベンダー(MS)/L.ポップ(S) 登場した途端にさっと指揮棒を振り下ろすクライバーの演奏が爽快である。この作品は管弦楽が豪華であり、しかも美しい二重唱、三重唱があちこちにちりばめられている。舞台美術も見事だ。ギネス・ジョーンズ(元帥夫人)が第1幕では無邪気さと年令を重ねることへの哀しみを、第3幕では威厳と風格を見事に演じ、歌い上げている。ファスベンダー(オクタヴィアン)の軽快な動き、ポップ(ゾフィー)の初々しさ、ユングヴィルド(オックス男爵)の洒落た味わいも秀逸だ。 |
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ばらの騎士 LIVE/1994/ウィーン国立歌劇場/C.クライバー(C)/O.シェンク(D)/DG/DVD F.ロッテ(S)/K.モル(Br)/A.S.オッター(MS)/B.ボニー(S) 1979年のバイエルン盤に続いてのクライバーによる名盤。官能的な音楽、魔術のようなクライバーの棒、ウィーンフィルの芳醇な響きに加え歌唱、演技力に優れた豪華な歌手陣。オッター(オクタヴィアン)は知的で、ボニー(ゾフィー)は愛らしい。まるで女優のような気品を持つロット(元帥夫人)の心のこもった丁寧な歌唱にも惹き込まれる。輝かしいバイエルン盤に対してより深い情緒を感じさせるウィーン盤、共に不滅の価値を持つだろう。 |
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ばらの騎士 LIVE/1984/ウィーン・フィル/H.カラヤン(C)/SONY/DVD A.トモワシントウ(S)/K.モル(Br)/A,バルツア(MS)/J.ペリー(S) カラヤンによる1984年のザルツブルグ音楽祭のライブ映像。トモア・シントウ(元帥夫人)は大人の味わいを持つが威厳と気品がもっと欲しい。バルツァ(オクタヴィアン)の歌唱、演技には不満が残る(この作品に限らないが)。全体的にもっと耽美的かつ官能的であって欲しかった。舞台演出はクライバー盤と全 く同じ(O・シェンクの名前は見当たらないが)だけに差が際立ってしまう。また、 ウィーン・フィルに深みのある響きが感じられないのは録音のせいなのだろうか? |
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ばらの騎士 LIVE/2004/チューリッヒ歌劇場/F・ウェザーメスト(C)/S・ベヒトルフ(D)/BS録画 N・シュテンメ(S)/A・ムフ(Br)/V・カサロヴァ(MS)/M・ハルテリウス(S) チューリッヒ歌劇場による現代感覚と色彩に溢れた演出。しかし、この作品にはやはり世紀末ウィーンの雰囲気と情感が似合う。残念ながらカサロヴァ(オクタヴィアン)をはじめとする出演者たちでは気品、歌唱ともにクライバーのニ種類の名盤には到底及ばず、チューリッヒの限界を示す映像となってしまった。かろうじてハルテリウス(ゾフィー)に好感を持てるが、この役は決して難役ではない。 |
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こうもり LIVE/1987/バイエルン国立歌劇場/C.クライバー(C)/O.シェンク(D)/DVD/DG E.ウェヒター(Br)/P.コバーン(S)/B.ファスベンダー(MS)/J.ペリー(S) O・シェンクによる豪華絢爛な演出。ドタバタや狂乱と紙一重の差をバイエルンの伝統とクライバーの音楽が救っている。この際どさが実にスリリングだ。出演者たちと聴衆が一体となってこれほどまでに盛り上がるのはやはりクライバーの魔術?文句無しに楽しめる一枚だ。 |
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こうもり LIVE/2003/ロンドン・フィル/V.ユロフスキ(C)/S.ローレンス(D)/BS録画 T.アレン(Br)/P.アームストロング(S)/M.エルンマン(MS)/L.ペトロワ(S) グラインドボーン音楽祭からの新映像。バイエルン盤からは年月も経て、より現代風で垢抜けた舞台。大騒ぎの中にも充分に計算された演出と秩序があるが、それが一方で最高潮の盛り上がりを抑制しているようにも感じる。オケはウィーン情緒とは若干異なるがユロフスキの切れの良い音創りが爽快だ。長らく凡庸な舞台が続いたグラインドボーンが最近は快調だ。 |
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天国と地獄 LIVE/1997/リヨン国立歌劇場/M.ミンコフスキ(C)/L.ペリー(D)/DVD/PIONEER N.デッセイ(S)/Y.ブロン(T)/J.P.フシェクール(T)/L.ナウリ(Br)/C.ベルトン(S) L・ペリーによる現代感覚に溢れた振付と演出に脱帽。ミンコフスキのメリハリの効いた演奏と相俟って実に活気に満ちた抱腹絶倒の舞台だ。一歩間違えれば「下品」に陥るところをN・デッセイをはじめとする芸達者たちが救っている。とりわけ第ニ場はいかにもオリンポス(天国)といった雰囲をユーモアたっぷりに描いていて微笑ましい。理屈抜きに何度でも楽しめる映像盤だ。 |
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美ししきエレーヌ LIVE/2000/パリ・シャトレ座//M.ミンコフスキ(C)/L.ペリー/DVD/TDK F.ロット(S)/Y.ブロン(T)/L.ナウリ(Br)M.セネシャル(Br) これもペリー&ミンコフスキのコンビによるユーモアと活気に溢れたオッフェンバック。トロイ戦争を引き起こす原因となった歴史ドラマをミュージカル風のパロディ劇に仕立て上げた点は「天国と地獄」に似る。年令を重ねてますます魅力的なF・ロット(エレーヌ)を始めとする出演者たちの息はぴったりと合っており、ここでもペリーの演出の面白さをたっぷりと楽しめる。 |
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ジェロルスタン大公妃殿下 LIVE/2004/パリ・シャトレ座//M.ミンコフスキ(C)/L.ペリー/DVD/BS録画 F.ロット(S)/Y.ブロン(T)/S.ピオー(S)/F.ル・ルー(Br) ペリー&ミンコフスキによるオッフェンバック・シリーズ最新映像。ここまで荒唐無稽で無内容の作品を楽しんでしまうのは、ひとえにユーモアと機知に溢れるペリーの演出、歯切れの良いミンコフスキの音造り、そして年令を感じさせないロットの魅力によるものだ。オペレッタとは楽しむもの。理屈は忘れてコミカルな演技に笑い、心地良い音楽に浸ればよいのだろう。 |
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ホフマン物語 LIVE/1993/リヨン国立歌劇場/K.ナガノ(C)/L.エルロ(D)/DVD/Geneon D.バレーホ(T)/J.V.ダム(Br)/B.ヘンドリックス(S)/N.デッセイ(S)/I.ヴェルネ(S)/B.バレイズ(MS) 如何にもフランス風のデカダンス的色合いの濃い演出。演劇的要素も強い。出演者では何といってもデビュー間もない、しかもこの作品で一躍名を挙げたN・デッセイ(オリンピア)の繊細で、柔らかく、それでいて切れの良いコロラトゥーラが素晴らしい。デッセイの後ではB・ヘンドリックス(アントニア)の存在もすっかり霞んでしまう。 |
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メリー・ウィドウ LIVE/2001/サンフランシスコ歌劇場/E.カンゼル(C)/R.マンゾウリ(D)/DVD/BS録画 I.ケニー(S)/B.スコウフスキー(Br)/C.ハルトマン(T)/A.キルヒシュラーガー(MS) 色彩的で豪華絢爛の舞台に加え、英語盤であることが、いっそうミュージカル色が強めている。カンゼルの音楽は明るく、メリハリが効いており、いかにもアメリカ的だ。出演者たちの中ではキルヒシュラーガー(ヴァランシェンヌ)がここでも美しいメゾソプラノを聴かせると同時に器用にコメディアンヌぶりを発揮して光彩を放っている。 |
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メリー・ウィドウ LIVE/2004/チューリッヒ歌劇場/F.ウェザー・メスト(C)/H.ローナー(D)/ARTHAUS D.シュレンベルガー(S)/R.ギルフリー(Br)//U.グフレラー(S)/L.ハルトマン(T)/P.ベチャラ(T) ウィーン情緒にパリの喧騒が混ざり合った賑やかで楽しい舞台。出演者たちは皆、芸達者でオペレッタの面白さを満喫させてくれる。中でも大女優シャーリー・マクレーン似のグフレラー(ヴァランシェンヌ)はウィーンのオペレッタ劇場のスターとのことで観客を楽しませるためのコツを承知している。理屈ぬきに楽しい音楽に浸りたいときには必見の映像作品だ。 |
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メリー・ウィドウ LIVE/2005/メルビッシュ音楽祭/R.ビーブル(C)/H.ローナー(D)/BS録画 M.デ・アレラーノ(S)/M.ハウスマン(Br)/E.シュタルツィンガー(S)/H.セラフィン(T) オーストリア、メルビッシュ音楽祭の2005年夏のライブ録画。湖上に設置された巨大ステージ上での上演だけに、ワイアレスマイクの使用は仕方がないにしても、優雅なウィーン情緒や洒落たパリ風味を味わうことは出来ない(ローナーによる演出はチューリッヒと同じなのだが)。この音楽祭はオペラやオペレッタの上演というよりも、一大観光ショーっである。 |
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ハムレット LIVE/2000/パリ・シャトレ座/M.プラソン(C)/N.ジョエル(D)/BS録画 T.ハンプソン(Br)/N.デッセイ(S)/J.ファン・ダム(Br)/M.D.コン(MS) 極上の出演者たちによる上質の舞台。N・デッセイ(オフェリア)はここでも役柄になりきり、素晴らしい歌唱と演技を披露している。とりわけ第4幕の狂乱の場での迫真のパフォーマンスは聴衆の大喝采を浴びる。プリマドンナというジャンルを超えた偉大な存在と言っても過言ではない。原作と異なり、ラストでハムレットが国王となる。となるとオフェリアの死にはどんな意味があったのだろうか? |
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ウェルテル LIVE/2005/ウィーン国立歌劇場/P.ジョルダン(C)/A.セルバン(D)/TDK M.アルバレス(T)/E.ガランチャ(MS)/A.エレート(Br)/I.トンカ(S) マスネがゲーテの「若きウェルテルの悩み」を下敷きに、美しく甘美なメロディとメランコリックな響きに仕上げた名作。勿論、原作の持つ文学性や人物の掘り下げの踏襲には限界があるが、それでも、音楽の力によって格調の高い、誠実な作品に仕上がっている。主人公のウェルテルにはM・アルバレス。恋に悩み狂う主人公を演じるにはあまりに健康体の外見だが、持ち前の声の美しさと狂気へと至る演技によって合格だ。ヒロインのガランチャ(ロッテ)は演出に見合った近代風の装いと温かみのあるメゾでウェルテルのみならず観客も引きつけている。舞台美術も秀逸。 |
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ペレアスとメリザンド LIVE/1992/ウェールズ・ナショナル・オペラ/P.ブーレーズ(C)/P.シュタイン(D)/DG/DVD A.ハグリー(S)/N.アーチャ(T)/D.マクスウェル(Br)/K.コックス(Ba) メーテルリンクの戯曲がドビュッシーによって美しく幻想的な音楽劇となった。幕開けの瞬間から管弦楽の色彩と妙に魅入られる。対話形式で進む叙情劇は次第に悲劇の様相を帯び、物語にも引き込まれてゆく。A.ハグリーはメリザンドの美貌と神秘性、哀しさ、無邪気さを見事に表現している。マクスウェルのゴローも深味のあるバリトンと演技力で観る者を引きつける。舞台の美しさ、とりわけ照明の見事さも特筆ものだ。旧来のオペラの概念を破る出色の作品と舞台である。 |
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カルメル会修道女の対話 LIVE/1999/ライン国立歌劇場/ストラスブール・フィル/J.ケーニック(C)/M.ケラー(D)/AH/DVD A.ゾフィー・シュミット(S)/P.プティボン(S)/H.ファスベンダー(MS) 1956年に作曲されたプーランクの叙事劇は音も作りもドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」を思わせる。物語はあまりに悲しく衝撃的なラストを迎えるが、音楽は繊細で美しい。コントラストを強調した舞台美術も心理劇に相応しい。シュミット(ブランシュ)とプティボン(コンスタンス)が感受性豊かで傷つきやすい若い修道女を好演。 |
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死の都 LIVE/2001/ストラスブール・ライン歌劇場/J.ケーニング(C)/I.レヴァント(D)/TV録画 T.ケルル(T)/A.デノケ(S)/Y.バトゥコフ(Br)/B.スヴェンソン(MS) 一世を風靡しながらも忘れ去られた作家、コルンゴルトが23才の時に作曲したロマン情緒の綿々と溢れる作品。マーラーの耽美と官能にR・シュトラウスの技法が加わったような音楽世界。ケルル(パウル)の役柄への集中力と熱唱には圧倒される。デノケ(マリエッタ)もフィデリオに比べると格段に生き生きとしている。舞台美術も見事であり、台本がしっかりしているだけに一層の感銘を受ける。ラストの演出は作者の意図とは異なると思われるが深い感動を呼び起こす。 |
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ルル LIVE/1979/パリ・オペラ座/P.ブーレーズ(C)/P.シェロー(D)/DREAMLIFE/DVD T.ストラータス(S)/I.ミントン(MS)/F.マツーラ(Br)/K.リーゲル(T) 本作品の完成版の初演ライブ記録映像。古典やロマンオペラに慣れ親しんだ身にこのような現代オペラは辛いものがある。色彩は暗く、遠景からのカメラワークも単調だ。記録映像として現代オペラ愛好家には喜ばれるかもしれないが・・・。 |
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ルル LIVE/1997/グラインドボーン音楽祭/A.ディヴィス(C)/G.ヴィック(D)/Warner/DVD C.シェーファー(S)/C.ハリーズ(MS)/D.クエブラー(T) シェーファーを一躍有名にしたグラインドボーンでのルル。映像、音質、カメラ共に極めて上質である。この作品と音楽は決して好きにはなれないが、現代音楽を活動ベースのひとつとするシェーファーの舞台上での生き生きとした姿は興味深い。今のオペラの世界はジルダやコンスタンツェだけがヒロインではないのだ。 |
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インドの優雅な国々 LIVE/2003/パリ・オペラ座/W.クリスティ(C)/A.シェルパン(D)/Opera Arte/DVD P.プティボン(S)/M.ハルテリウス(S)/D.ニエーゼ(S)/N.リヴァンク(Br) 18世紀初頭のバロック舞踊オペラが、現代感覚の色彩、振付でこの時代に見事に甦った。ちなみに「インド」とは「エキゾチック」の意味とのこと。物語は単なる象徴的な意味合いであり、バロックの調べと舞踊に浸ることにより、ほんのひととき、日常からの別世界に浸るることが出来る(製作者の意図でもあると)。最終幕では今が旬のキュートなソプラノ、P・プティボンの魅力が全開だ. |
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遍歴騎士 Les Paradins LIVE/2003/パリ・シャトレ座/W.クリスティ(C)/J.モンタルヴォ(D)/Opera Arte/DVD S.ドゥストラック(S)/T.レーティプー(T)/S.ピオー(S)/L.ナウリ(Br) 2006年11月の来日公演に先だってのシャトレ座映像は実に革新的かつスリリングだ。巨大なスクリーン映像、ストリートダンス、ヒップ・ポップ、トランポリン等あらゆる斬新なアイデアを取り入れた奇想天外な演出はバロックオペラならではの自由さに満ちている。クリスティ率いるレザール・フロリサンの引き締まった演奏とL・ナウリ(Br)、S・ピオー(S)をはじめとする芸達者な出演者たちによって目と耳をたっぷりと楽しませてくれる。 |
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