歯車

DVDとTV映像に観るオペラの楽しみ
(2)モーツァルトとロッシーニ、ドニゼッティ、ベルリーニ


オペラ映像ソフト案内のこのページはモーツァルトとロッシーニ、ドニゼッティ、ベルリーニです。音楽史上への足跡、作曲ジャンル、国籍といった面で大きな違いはありますが、ページの都合もあり(^^;)、あえてまとめさせて頂きました。一方で幾つかの共通点もあります。時代的には18世紀末のモーツァルト、19世紀初頭のロッシーニ、ドニゼッティ、ベルリーニという近さがあります。一番の共通点は音楽の明るさでしょう。もっともモーツァルトの音楽の明るさや透明さについては単純に語れるものでもなく、それが全てでもありません。一方、ロッシーニの音楽は天真爛漫で、ドニゼッティは楽天的です(ルチアなどのセリア物は別として)。もうひとつの共通性は「フィガロ」です。作曲年代は逆転していますが、「セビリアの理髪師」の後日談が「フィガロの結婚」であることは良く知られています。多くの登場人物が重なっており、連続物語として観るといっそうの面白さを味わうことが出来ます。いずれにせよ、観て楽しく、聴いて心地よい作品が並びました。(2007.01.08 Updated)
尚、マークはあくまでも個人の趣味によります。(:水準、☆☆:水準以上、☆☆☆:推薦、☆☆☆☆:特薦)

<モーツァルト>



偽の女庭師
TV/1989/ベルリン放響/M,ポマー(C)/G.ミールケ(D)/DL/DVD
B.アイゼンフェルト(S)/J.オニール(T)/H.ツェドニック(T)/U.ゼルビック(S)
モーツァルト18才の時の作品。音楽は荒削りだが才気に溢れ、登場人物のキャラクターと共に未来の作品群を予見させる。ここにはすでに将来のアルマヴィヴァ伯爵、ロジーナ、スザンナ、ケルビーノ、ジョヴァンニ、ツェルリーナらの原型が在る。
この映像は東独時代のTV作品であるが作りは丁寧でとても楽しめる。大スターはいないが歌唱力、容姿、演技力に優れた魅力的な出演者たちを集めた。このような作品がもっと上演され、DVD化されることを望みたい。

偽の女庭師
LIVE/2006/チューリッヒ歌劇場/N.アーノンクール(C)/T.モレッティ(D)/BS録画
E.メイ(S)/O.シュトレール(T)/R.シャシング(T)/I.レイ(S)/L.ニキテアヌ(MS)
チューリッヒ歌劇場による明るい現代演出。出演者には声と容姿の美しさで魅了するメイ(ヴィオランテ)、芸達者なコメディエンヌぶりを発揮するレイ(アルミンダ)、ズボン役が定着しているニキテアヌ(ラミーロ)等、チューリッヒ馴染みの歌手たちが揃う。良く言えば安心感、別の意味では新鮮味の欠ける配役だ。
<後日掲載>
イドメネオ
LIVE/2005/ミラノ・スカラ座/D.ハーディング(C)/L.ボンディー(D)/BS録画
S.デーヴィスリム(T)/M.バチェリル(MS)/C.ティリング(S)/E.ベル(S)
スカラ座にはシンプルな現代演出もハーディングの指揮も似合わない。音楽を聴く歓びが伝わってこないのは、演出や演奏、出演者のせいなのか、それとも、作品そのものによるものなのか?翌年に書かれた「後宮」では若きモーツァルトの息吹が存分に感じられるのに。モーツァルトだからといって全ての作品を無条件に賛美する訳にはいかない。

後宮からの逃走
LIVE/1980/バイエルン国立歌劇場/K.ベーム(C)/A.エヴァーディング(D)/DG/DVD
E.グルベローヴァ(S)/R.グリスト(S)/F.アライサ(T)/N.オルス(T)/M.タルベラ(Ba)
「魔笛」とほぼ同時期のバイエルンでのライブ記録。ベームの指揮も含めてオーソドックスな演出と舞台。グルベローヴァ(コンスタンツェ)とアライサ(ベルモンテ)の歌唱は力強く、見事だが面白みには欠ける。「後宮」にはもっと情感と軽妙な動きが欲しかった。その意味ではグリスト(ブロンデ)が良い味を出している。


後宮からの逃走
LIVE/1998/シュトゥットガルト歌劇場/L.ザグロセク(C)/H.ニューエンフェルズ(D)/AH/DVD
C.ナグレシュタット(S)/K.ラドナー(S)/M.クリンク(T)/H.ゴーリッヒ(T)/R.ブラヒト(Ba)
シュトゥットガルト歌劇場による文字通りの歌芝居(ジングシュピール)。舞台俳優とのダブルキャストという斬新で奇抜な演出と現代衣装によって演劇性がいっそう高まっている。若きモーツァルトの音楽は天真爛漫で瑞々しい。ナグレシュタット(コンスタンツェ)のソプラノは気丈で美しく、ラドナー(ブロンデ)のソプラノはしなやかで柔軟性に富んでいる。全体を通じたコミカルな味付けも楽しい。




後宮からの逃走
LIVE/1997/ザルツブルク・モーツァルトテウム管弦楽/M.ミンコフスキ(C)/A.タルタ(D)/DL/DVD
C.シェーファー(S)/P.グローヴス(T)/M.ハルテリウス(S)/F.ハヴラタ(Ba)/A.コンラート(T)
1997年のザルツブルグ音楽祭のライブ映像盤。現代演出と明るく色彩的な舞台美術によってモーツァルトがこの時代に違和感なく再現されている。新時代の象徴ともいえるシェーファーは歌の巧さに加え、柔らかさと温かみを加えた表現で聴く者を惹きつける。決して媚びることのない姿勢はコンスタンツェにぴったりだ。ハヴラタ(オスミン)をはじめとする他の出演者たちも魅力的であり、随所に見られる斬新な演出も面白い。オーケストラは元気が良く溌剌としたモーツァルトを聴かせる。

後宮からの逃走
LIVE/2003/チューリッヒ歌劇場/C.ケーニヒ(C)/J.ミラー(D)/BS録画
M.ハルテリウス(S)/P.ペチャラ(T)/P.プティボン(S)/A.ムフ(Ba)/B.ビジンスキ(T)
無意味なズームアップを多用したカメラワークによって映像としての作品価値が台無しになってしまったのが残念だ。チューリッヒにしては古典的な演出だがハルテリウス(コンスタンツェ)、プティボン(ブロンデ)といった魅力的な新進ソプラノの起用が新鮮だ。前者のコロラトゥーラには難点もあるが、一方、プティボンは歌唱、演技でも観る者を惹きつけ、ポスト・デッセイとしての資格十分だ。

後宮からの逃走
LIVE/2002/フィレンツェ五月音楽祭/Z.メータ(C)/A.グラムス(D)/TDK/DVD
E.メイ(S)/R.トロスト(T)/P.チョーフィ(S)/K.リドゥル(Ba)/M.モンタリゼ(T)
この作品は躍動感に満ちた音楽と溌剌とした演技が生命なのだが、凡庸な演出によって緊張感に欠ける舞台となった。主役のE.メイ(コンスタンツェ)の魅力も全く生きてこない。演出者はこのような若きモーツァルトの作品でこそザルツブルグやシュトゥットガルトのような冒険を侵すべきだ。


フィガロの結婚
LIVE/1991/ウィーン国立歌劇場/C.アバド(C)/J.ミラー(D)/SONY/LD
L.ガッロ(Ba)/R.ライモンディ(Br)/C.ステューダー(S)/M.マクローリン(S)/G.シーマ(MS)

アバド指揮ウィーン国立歌劇場メンバーによる美しく典雅な「フィガロ」・・・なのだが、歌手陣の歌唱と演技に物足りないものを感じる。表情は豊かなのだが身体の動きが追いていかない。全てが優雅に整い過ぎてコメディ独特のスリリングな面白みを感じさせないのだ。マクローリン(スザンナ)もステューダー(伯爵夫人)もシーマ(ケルビーノ)も上品過ぎて、その殻を越えられないのだろうか。ウィーンフィルの響きと舞台美術によってひとつ追加。


フィガロの結婚
LIVE/1994/ロンドン・フィル/B,ハイティンク(D)/S.メドキャフ(C)/NVC/DVD
J.フィンリー(Ba)/A.シュミット(Br)/R.フレミング(S)/A.ハグリー(S)/M.A.トドロヴィッチ(MS)
グラインドボーン音楽祭におけるライブ収録。明るい舞台美術に好感が持てる。英国の美貌ソプラノ、A・ハグリー(スザンナ)の持ち味は達者な演技と笑顔だが疲労のせいか声が不調だ。フレミング(伯爵夫人)は貫禄充分、シュミット(伯爵)は正統的で、全体に安定感を与えている。ハイティンクとロンドン・フィルの演奏も力強くかつ生気に溢れている。しかし、欠点が無い一方で強力な個性も見当たらない。



フィガロの結婚
LIVE/1993/パリ・シャトレ座/J.E.ガードナー(C&D)/ARCHIV/DVD
B.ターフェル(Ba)/R.ギルフリー(Br)/A.ハグリー(S)/H.マルチンペルト(S)/P.H.ステファン(MS)
「コシ」と同じ、ガードナーとシャトレ座の組合せは期待通りの面白さ。古楽器の引き締まった響きがモーツァルトを聴く喜びを与えてくれる。舞台装置はシンプルだがスピーディで躍動感に溢れる演出だ。ハグリー(スザンナ)はグラインドボーン盤に比べると遥かに溌剌としていて魅力的だ。ターフェル(フィガロ)のバスは迫力に満ち、演技派グリフリー(伯爵)はブッファ的演出の中心としての役割を担っている。マルチンペルト(伯爵夫人)の歌唱にもっと深味が欲しかった。




フィガロの結婚
LIVE/1999/ベルリン国立歌劇場/D.バレンボイム(D)/T.ラングホフ(C)/AH/DVD
R.パペ(Ba)/R.トレケル(Br)/E.マギー(S)/D.ロシュマン(S)/P.リスレー(MS)
生き生きとした舞台だ。出演者たちの演技は躍動感に満ち、歌には気持ちがこもっている。とりわけ、小間使いになりきったロシュマン(スザンナ)がとても魅力的だ。マギー(伯爵夫人)は気品と無邪気さを併せ持ち、歌唱にも切々と訴えるものを感じる。「手紙の歌」をはじめとする二人のコンビも息がぴったりと合っている。パペ(フィガロ)のバスは力強さと温かさを併せ持った存在感に溢れており、トレケル(伯爵)も個性豊かだ。



フィガロの結婚
LIVE/1996/チューリッヒ歌劇場/N.アーノンクール(C)/TDK/DVD
R.ギルフリー(Br)/C.ショーソン(Ba)/E.メイ(S)/I.レイ(S)/L.ニキテアヌ(MS)
斬新な演出とアーノンクール指揮のメリハリを効かせた演奏によって現代感覚に溢れる実 に魅力的なモーツァルトに仕上がった。出演者全員が生気に溢れ、躍動感に満ちたた素晴 らしい舞台。小気味良いテンポ、計算されたコミカルな振り付け、開放的な色気等は最近 のフィガロに共通した傾向のようだ。通常は脇役のマルチェリーナ(E・マグナス)が妙に色っぽく、ケルビーノ(ニキテアヌ)と共にコケティッシュな魅力を振りまいているのも面白い。一押し盤のフィガロだ。

フィガロの結婚
LIVE/2006/ザルツブルグ音楽祭/VPO/N.アーノンクール(C)/グート(D)/BS録画
B.スコウフス(Br)/I.ダルカンジェロ(Ba)/D.レシュマン(S)/A.ネトレプコ(S)/C.シェーファー(S)
ザルツブルグ音楽祭だからこその超豪華出演者たち。しかし、これまでのフィガロのイメージを大きく覆す暗く、重い演出と音楽に好みは分かれるだろう。シェーファー(ケルビーノ)が素晴らしく、情感と柔らかさに満ちた極上のアリアを聴かせる。コケティッシュな演技も含めネトレプコ(スザンナ)の影が薄くなってしまった。スコウフス(伯爵)とダルカンジェロ(フィガロ)はまるでジョヴァンニ主従のようにドラマティックではあるが暗い。


ドン・ジョヴァンニ
LIVE/1991/ケルン市立オペラ/J.コンロン(C)/M.ハンプ(D)/AH/DVD
T.アレン(Br)/C.ジェームス(S)/C.ヴァネス(S)/F.フルラネット(Br)/A.ロスト(S)
派手さは無いが、堅実で実力のある出演者たちによるオーソドックスな舞台。アレン(ジョヴァンニ)のワルぶりは堂に入っているし、フルラネット(レポレロ)はここでも舞台に安定感を与えている。女性陣の中ではアンドレア・ロスト(ツェルリーナ)が美しい容姿と清楚なソプラノで小悪魔的な魅力を振りまいている。ロストはこの年にウィーン国立歌劇場のアンサンブルに迎えられたばかりとのこと。ファンにとっては、彼女のデビュー盤としての価値も高いだろう。




ドン・ジョヴァンニ
LIVE/2001/チューリッヒ歌劇場/N.アーノンクール(C)/AH/DVD
R.ギルフリー(Br)/C.バルトリ(MS)/I.レイ(S)/L.ニキテアヌ(S)/L.ポルガー(Ba)/R.サッカ(T)
これもアーノンクールとチューリヒ歌劇場による現代センスに溢れた最新モーツァルト 。出演者は「フィガロ」「コシ」とそれぞれ3人が重なっている。R・ギルフリー(ジョヴァンニ)のプレイボーイ振りはフィガロでの伯爵と同様、堂に入 っているがスマートで厭味を感じさせない。C・バルトリ(エルヴ ィラ)は少々あくが強いが情感の豊かさで聴く者を惹きつける。レイ(アンナ)は見事な歌唱で難しい役を好演。ラストシーンで地獄へ落ちた筈のジョヴァンニが現代美女とよろしくやっているというオチ付き。
ドン・ジョヴァンニ
LIVE/1995/グラインドボーン音楽祭/Y.クライツベルク(C)/Warner/DVD
G.カシュマイユ(Br)/A.ビツォンカ(MS)/H.マルティンペルト(S)/J.パンセ(S)/S.ペイジ(Ba)
これといった特徴の無い舞台。最近の流行ともいえるドン・ジョヴァンニの現代化には反対しないが、装置は安普請、演出は抽象的で物語展開に興味を持つことは出来ない。傑出した魅力を持つ出演者も見当たらない。しかし一方で音楽への集中は図られている。古楽器の引き締まった演奏をバックに歌手たちの音楽への集中力は高い。
ドン・ジョヴァンニ
LIVE/2002/エクサンプロヴァンス音楽祭/D.ハーディング(C)/P.ブルック(D)/BS録画
P.マッティ(Br)/G.カシュマイユ(Br)/A.デショーティーズ(S)/M.ドランシェ(S)/L.ラーション(S)
グラインドボーン盤をさらに安っぽくした演出と舞台で興をそがれる。聖堂の中庭での公演はオケの響きも不足し、さらにマイクが強風の音まで拾っている。出演者たちに特別な個性や魅力がある訳でもなく、この音楽祭でこの作品を採りあげた意味を見出せない。いっそのことコンサート形式にした方がまだマシだったのでは?
ドン・ジョヴァンニ
LIVE/1954/ウィーン・フィル/W.フルトヴェングラー(C)/H.グラーフ(D)/DG(UNITEL)/DVD
C.シエピ(Br)/O.エーデルマン(Ba)/E.グリュンマー(S)/E.デラ・カーザ(S)

ザルツブルグ音楽祭における収録。フルトヴェングラーとウィーンフィルによる音楽はデモーニッシュで緊張感に溢れているが1954年の録音は今の音を聴き慣れた耳にはちょっと辛い。また、半世紀前のモーツァルト演出は記録としては興味深いが今の時代にうけないだろう。シエピ(ジョヴァンニ)、デラ・カーザ(エルヴィラ)らは魅力的だがスタイルの古さは拭えない。映像化にあたって、当時54才のベルガーにツェルリーナを歌わせること自体に無理がある


ドン・ジョヴァンニ
LIVE/1999/ウィーン国立歌劇場/R.ムーティ(C)/R.デ・シモーネ(D)/TDK
C.アルバレス(Br)/I.ダルカンジェロ(Ba)/A.ピエツォンカ(S)/A.アントナッチ(S)
/A.キルヒヒシュラーガー(MS)
重々しい演出と暗い舞台、分厚い衣装によってブッファ的要素の消えたドン・ジョヴァンニは好みが分かれることだろう。まるで地獄落ちする以前に初めから地獄を舞台とした物語のようだ。ムーティとVPOも重厚な音造りに徹している。真正面から向き合わねばならぬ舞台は観ていて疲れる(モーツァルトなのに)。尚、衣装の取替えが演出の目玉とのことだが、音楽とは無縁の世界だ。


ドン・ジョヴァンニ
LIVE/2006/ザルツブルグ音楽祭/D.ハーディング(C)/M.クシェイ(D)/DECCA
T.ハンプソン(Br)/I.ダルカンジェロ(Ba)/C.シェーファー(S)/M.ディーナー(S)
/I.バイラクダリアン(S)
2006年ザルツブルグ音楽祭の公演映像がM22シリーズとして店頭に並んだ。M・クシェイによる演出は意味不明の場面の連続で音楽への集中を邪魔する。一流の歌手陣を揃えたにも拘わらず、身勝手な作品解釈によって。モールァルトのオペラを観る歓びからは程遠い舞台となってしまった。とりわけシェーファーのドナ・アンナを思い入れをもって聴くことが出来なかったことは残念。




コシ・ファン・トゥッテ
MOVIE/1988/N.アーノンクール(C)/J.P.ポネル(D)/DECCA(UNITEL)/LD
E.グルベローヴァ(S)/D.ジーグラー(MS)/T.ストラータス(S)/L.リマ(T)/F.フルラネット(Br)

選び抜かれた出演者、そして、ウィーン・フィルの極上の響きによってモーツァルトの音楽世界に浸る喜びを与えてくれる。全篇に流れる美しい旋律とハーモニーはこの作品ならではの心地良さに溢れている。グルベローヴァ(フィオルディリージ)のソプラノはとりわけ美しい。ストラータスは三枚目役(デスピーナ)をいかにも楽しそうに演じている。姉妹の動きにもっと演出上の工夫が欲しかった。



コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/2001/チューリッヒ歌劇場/N.アーノンクール(C)/Y,フリム(D)/BS録画
C.バルトリ(S)/L.ニキテアヌ(S)/R.サッカ(T)/O.ウィドマー(Br)/A.バルツァ(MS)/C.ショーソン(Ba)
チューリッヒ歌劇場による現代感覚に溢れた一連のモーツァルトシリーズのひとつ。個性派、演技派、実力派たちの起用により実に楽しめる舞台だ。本来はメゾのバルトリだが高音部も含め情感豊かなフィオルディリージを聴かせてくれる。チューリッヒ常連のニキテアヌ(ドラベッラ)はここでいっそうコケティッシュな魅力を振りまいている。フィナーレに雪を降らせるという演出には思わず苦笑い。バルツァ(デスピーナ)にもう少し喜劇性が欲しかった。



コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/1995/パリ・シャトレ座/J.E.ガードナー(C&D)/ARCHIV/DVD
A.ルークロフト(S)/R.マニオン(MS)/R.トロスト(T)/R.ギルフリー(Br)/E.ジェームス(MS)/C.ニコライ(Ba)
ガードナー指揮、イングリッシュ・バロック合奏団による引き締まった響きが新鮮である。歌唱力に優れた若手たちの活気に溢れ、訓練され、かつ機知に富んだパフォーマンス。とりわけA・ルークロフト(フィオルディリージ)は美しい声、可憐な容姿、優れた演技力で観る者を惹きつける。モーツァルトの音楽はここでいっそうの説得力を持ち、コミカルで面白く、哀しく、そして感動的な舞台が出来上がった。数多いコシの優れた映像の中でも一押し盤。
コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/2002/ベルリン国立歌劇場/D.バレンボイム(C)/D.デリエ(D)/TV録画
D.ロシュマン(S)/K.カンマーローアー(MS)/W.ギュラ(T)/H.バラッハマン(Br)/D.ブルエラ(S)

「フィガロ」の名演を残したバレンボイム、ベルリン、ロシュマン(S)の組合せということで期待していたのだが、原色的で悪趣味な現代演出に失望。意気込みは理解出来るがこの作品の命ともいえる、ほのかなユーモアと情緒感が失われてしまっている。もっと気品ある現代演出を望みたかった。出演者ではロシュマン(フィオルディリージ)の歌の巧さがかろうじて全体を破綻から救っている。

コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/1975/グラインドボーン音楽祭/J.プリッチャード(C)/E.スラック(D)/Pioneer/DVD
H.ドーセ(S)/S.リンデンストランド(MS)/
A.オースティン(T)/T.アレン(Br)/D.ペリエ(S)
このような20年前の陳腐な演出を観ると、改めて最近のシャトレ座やチューリッヒの生 き生きとした舞台の素晴らしさを実感する。歌手陣、とりわけH・ドーセ(フィオルディリージ )の歌唱力も弱い。男たちの変装後のコスチュームもどうにかならないものか?あれじゃ 歌えない。この盤の良いところを探そうとしたが無駄だった。

コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/1989/ミラノ・スカラ座/R.ムーティ(C)/M.ハンペ(D)/Opsarte/DVD
D.デッシー(S)/D.ジーグラー(MS)/
J.クンドラー(T)/A.コルベッリ(Br)/A.スカラベッリ(S)
オーソドックスで多少垢抜けしないが、いかにもスカラ座らしい伝統を感じさせる演出だ。ムーティによるメリハリの効いた現代的な音作りと出演者たちの優れた歌唱よって音楽の力に満ちた舞台となった。すでにこの役を得意としているツィーグラー(ドラベッラ)と新進(当時)のデッシー(フィオデルリージ)という姉妹の競演は豪華だ。好みは別として、モーツァルトをイタリアの劇場で上演するとこうなるという典型は興味深い。

コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/2005/エクサン・プロヴァンス音楽祭/D.ハーディング(C)/P.シェロー(D)/Virgin/DVD
E.ウォール(S)/E.ガランチャ(MS)/
S.マッシー(T)/S.デグー(Br)/B.ボニー(S)
人気急上昇中のハーディング指揮によるエクサン・プロヴァンス音楽祭最新映像。音楽も歌唱もシリアスに過ぎて、とりわけこの作品に欲しい愉悦感やその裏返しとしての哀切感を感じることが出来ない。この作品に重たい演出(シェロー)は似合わない。折角のE・ガランチャ(ドラベッラ)の魅力も活きてこない。B・ボニー(デスピーナ)やR・ライモンディ(アルフォンソ)といった大物ベテランの起用も彼らの年令を感じさせるだけになってしまった。



コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/2006/ザルツブルグ音楽祭/M.ホーネック(C)/U&K.ヘルマン(D)/DECCA
A.M.マルチネス(S)/S.コッシュ(MS)/
S.マッシー(T)/S.デグー(Br)/B.ボニー(S)
2006年ザルツブルグ音楽祭映像M22シリーズのひとつ。この「コジ」では姉妹が最初から男共の目論みを知っていたという想定で多少ややこしいが、音楽性が物語性を遥かに上回っており殆ど気にならない。舞台は全篇を通じて明るくVPOによる音楽は明晰だ。ベテランと若手の組合せも成功しており、とりわけS・コッシュ(MS)が魅力的だ。



コシ・ファン・トゥッテ
LIVE/2006/グラインドボーン音楽祭/AOE管弦楽団/I.フィッシャー(C)/N.ハイトナー(D)/BS録画
M.ペション(S)/A.フォンドゥング(MS)/
T.レヘティプー(T)/L.ピサローニ(Br)/A.ガルメンディア(S)
2006年グラインドボーン音楽祭の映像は期待以上に楽しめた。ピリオド楽器による音楽は引き締まっており、舞台演出は明るくスピーディで小気味良い。最後まで弛緩することなく良い意味での緊張が続く。出演者に大物はいないが、却ってアンサンブル上は好ましくも感ずる。計算された間合いと充分なリハーサルが覗える。M・ペション(フィオルディリージ)はこれからも注目したいソプラノだ。

魔笛
LIVE/1983/バイエルン国立歌劇場/W.サヴァリッシュ(C)/A.エヴァーディンク(D)/PHL(UNITEL)/LD
K.モル(Ba)/F.アライサ(T)/L.ポップ(S)/E.グルベローヴァ(S)/W.ブレンデル(Br)/G.ジーベル(S)
「魔笛」は接し方次第では厄介な作品であるが、物語展開を無視してひたすら音楽に専念する時、そこにはモーツァルトの素晴らしい世界が現れてくる。、舞台の流れも、今風に言えばプロモーション・ビデオの連作と割りきり、気に入りの箇所だけを取り出して楽しむことでも良い。さて、このディスク、先年急逝したポップ(パミーナ)の若々しい姿を見る事出来る。グルベローヴァの「夜の女王」というのも貴重な映像だ。
魔笛
LIVE/2001/パリオペラ座/I.フィッシャー(C)/B.ベッソン(D)/TV録画
P.ベチャラ(T)/D.ロシュマン(S)/M.サルミネン(Bs)/N.デッセイ(S)/D.ロート(Br)

この作品では筋書きの表現よりも、モーツァルトの音楽にマッチするかどうかが演出のポイントになる。その点ではあまりにメルヘン過剰の演出と言える。聴衆は学芸会を観るためでなく、モーツァルトを「聴き」にやってくる筈だ。デッセイ(夜の女王)、ロシュマン(パミーナ)らの女声陣に比べてヘチャラ(タミーノ)、ロート(パパゲーノ)ら男声陣の個性も弱い。


魔笛
LIVE/2000/チューリッヒ歌劇場/F.ヴェルザー・メスト(C)/J.ミラー(D)/TDK/DVD
P.ベチャラ(T)/M.ハルテリウス(S)/M.サルミネン(Bs)/E.モシュク(S)/A.シャリンガー(Br)

「魔笛」はドイツ語圏では最も人気のある作品で上演回数も多い。自分の経験でもフランクフルトやヴィスバーデンの劇場では聴衆はメルヘンの世界に喜んで浸っていた。この作品を楽しむにはあまり余計なことは考えない方が良いのかもしれない。さて、このチューリッヒ歌劇場による「魔笛」はメルヘンや奇抜さを排することで音楽性が高まっている。若手と実力者を巧妙に組み合わせた歌手陣もバランスが良い。安心してモーツァルトの音楽に浸ることが出来る。

皇帝ティートの慈悲
LIVE/2005/チューリッヒ歌劇場/F.ヴェルザー・メスト(C)/J.ミラー(D)/BS録画
J.カウフマン(T)/E.メイ(S)/V.カサロヴァ(MS)/M.ハルテリウス(S)
/L.ニキテアヌ(MS)
モーツァルトの最晩年、魔笛とレクイエム作曲の合間に短期間に仕上げた祝典用作品。動きの少ない演出には不満も残るが出演者たちはチューリッヒの常連を中心に豪華であり、美しいアリアと重唱を数多く聴くことが出来る。とりわけメイ(ヴィテリア)とカサロヴァ(セスト)によるソプラノとメゾの丁寧な二重唱は美しく、モーツァルトに浸るという至福のひと時を与えてくれる。


皇帝ティートの慈悲
LIVE/2003/ザルツブルグ音楽祭/N.アーノンクール(C)/M.クシェイ(D)/TDK
M.シャーデ(T)/D.レシュマン(S)/V.カサロヴァ(MS)/B.ボニー(S)
/E.ガランチャ(MS)
2003年のザルツブルグ音楽祭の映像。オケ(VPO)は勿論のこと、舞台、指揮、歌手陣共に何と豪華なこと。舞台を走り回るローマ皇帝というのも慌ただしいが、レシュマン(ヴィッテリア)をはじめとする登場人物たちの感情を剥き出しにした歌唱と演技により、作品は平板な祝典劇から泥臭い人間ドラマとなり、モーツァルトの音楽も一挙に生々しくなった。

<ロッシーニ>




セビリアの理髪師
MOVIE/1972/ミラノ・スカラ座/アバト(C)/J.P.ポネルリ(D)/DG(UNITEL)/DVD
H.プライ(Br)/T.ベルガンサ(MS)/L.アルヴァ(T)/E.ダーラ(Ba)

舞台雰囲気を保った映画盤。プライ(フィガロ)をはじめ個性的な出演者たちがいかにも楽しみながらこのドタバタ喜劇を演じている。登場人物たちの性格をかなりデフォルメした「濃い」演出もこの作品ならば許されよう。ロジーナ役のベルガンサも素敵であり、若きアバドの初々しい指揮姿も見ることも出来る。




セビリアの理髪師
LIVE/1988/ケルン市立オペラ/G.フェロー(C)/M.ハンプ(D)/AH/DVD
G.キリコ(Br)/C.バルトリ(MS)/D.ケブラー(T)/C.フェラー(Ba)

ロッシーニの音楽の流れるような爽快さを満喫出来ると共に、C・バルトリ(ロジーナ)の魅力全開のライブ盤である。彼女がとりわけイタリアでいかに強く支持されているかが良く分かる。歌手たちのスリリングな「ロッシーニ・クレッシェンド」は冴え渡っており、一歩間違えれば単なるドタバタ劇になるところを音楽の力とプロの技で見事な舞台芸術に昇華させている。


セビリアの理髪師
LIVE/2001/チューリッヒ歌劇場/N.サンティ(C)/G.アサガロフ(D)/TDK/DVD
M.ランサ(Br)/V.カサロヴァ(MS)/R.マシアス(T)/C.ショーソン(Ba)

チューリッヒは諸作品の映像化に最も積極的な歌劇場だろう。このロッシーニもとてもビジュアルな演出だ。カサロヴァ(ロジーナ)は表情豊かで悪くはないがバルトリの魅力には及ばない。他の歌手たちにも演出に無理っぽさ感じる。自然の笑みが湧いてこないのだ。ロッシーニの音楽をもっと信頼して流れに身を任せてもらいたかった。廻り舞台の多用も慌ただしく全体のバランスを崩している。あえて辛口の点数をつけた。



チェネレントラ(シンデレラ)
LIVE/1995/ヒューストンオペラ/B.カンパネッラ(C)/DECCA/DVD
C.バルトリ(MS)/R.ヒメネス(T)/A.コルベッリ(Br)/E.ダーラ(Ba)
無条件に楽しめる舞台。ロッシーニの音楽は天衣無縫で魅力的なメロディと推進力に溢れたクレッシェンドが次から次へと繰り出される。C・バルトリ(チェネレントラ)はここでもその天性の魅力を振りまいている。落ちぶれ貴族、その娘(チェネレントラの姉)たち、従者らブッファ役の大活躍は愉快さを通り越して痛快だ。

チェネレントラ(シンデレラ)
LIVE/2005/グラインドボーン音楽祭/U.ユロフスキ(C)/P.ホール(P)/BS録画
A.ドノーセ(MS)/M.ミロノフ(T)/S.アルベルギーニ(Br)/L.パスクワーレ(Ba)
オーソドックスなブッファ演出。タイトルロールのA・ドノーセは悪くはないのだが、やはりバルトリの姿と歌唱が前もって刷り込まれていると高得点はつけられない。ヒューストン盤では脇役たちも豪華であるだけでなく、バルトリの存在によって舞台全体がロッシーニ・クレッシェンドの自然で幸福な息吹に満たされてしまうのだ。 まだ若々しいミロノフ(ラミーロ)が瑞々しく、女性ファンには喜ばれるだろう。

<ドニゼッティ>





愛の妙薬
LIVE/1996/リヨン歌劇場/E.ビド(C)/F.ダンロップ(D)/DECCA/DVD
R.アリャーニャ(T)/A.ゲオルギュー(S)/R.スカルトリティ(Br)/S.アライモ(Ba

今をときめくアラーニャ(ネモリーノ)とゲオルギュー(アディーナ)の共演による実に楽しい舞台盤である。音楽、物語の大衆性に加え、時代を1930年代のイタリアの田舎に設定したこと、更には出演者たちの年令、容姿、溌剌とした動き、舞台装置、美術、衣装にいたるまで、まるでミュージカルのような親しみやすさと趣きを持つ。掛け合いの重唱や合唱も息がぴったりと合っており、テンポも鮮やかで見事だ。

愛の妙薬
LIVE/2002/新国立劇場/東フィル/P.オルミ(C)/U.デ・アナ(D)/TV録画
G.サバティーニ(T)/V.ルキアネッツ(S)/A.ヴェッチャ(Br)/N.デ・カロリスモ(Ba

サバティーニ(ネモリーノ)とルキアネッツ(アディーナ)を迎えて、2002年8月の新国立劇場公演。五十嵐麻利江や藤原歌劇団も好演し、作品に相応しく、明るく爽やかな舞台となった。ネモリーノをゴッホに見立てた演出には若干違和感も感じたが、一面の向日葵畑には目を奪われる。容姿と演技力に優れたルキアネッツの魅力も満開である。尚、この公演の準備とリハーサルがDVDでドキュメントとして発売されている。とても興味深い。

愛の妙薬
LIVE/1981/メトロポリタン歌劇場/N.レシーニョ(C)/N.メリル(D)/Pioneer/DVD
L.パヴァロッティ(T)/J.ブレーゲン(S)/S.ブルスカンティーニ(Bs)/B.エリス(Br)

この作品にメトの大ががりな演出と舞台装置は似合わない。バヴァロッティ(ネモリーノ)をはじめとする重量級出演者たちからもこの作品の命とも言うべき洒脱な掛け合いの妙が失われてしまっている。バレリーナたちの導入も舞台が混雑するだけで逆効果だ。ただ一人、小柄で容姿にも優れたブレーゲン(アディーナ)が表情豊かな演技と軽妙な身のこなしで大きく貢献している。



連隊の娘
LIVE/1996/ミラノスカラ座/D.レンツエッティ(C)/F.クリヴェッリ(D)/TDK/DVD
M.デヴィーア(S)/B.プラティコ(Br)/P.A.ケリー(T)/E.ポドレシ(A)

他愛は無いが明るく楽しい舞台だ。マリエッラ・デヴィーア(マリー)の映像作品は意外と少ない。さすがに年令は隠せないが歌の巧さは健在であり、舞台姿はその人柄も偲ばせとても好感が持てる。他の出演者と共にコメディアンヌぶりも大いに発揮している。第2幕のポドレシ(公爵夫人)との掛け合いなどは絶品だ。デヴィーアの舞台が更に多く映像化されることを望みたい。


ランメルモールのルチア
LIVE/1992/ミラノスカラ座/S.ランザーニ(C)/ピエラッリ(D)/Opus Arte
M.デヴィーア(S)/V.ラ・スコーラ(T)/R.ブルゾン(Br)

スカラ座とデヴィーアのルチアとなれば視聴しない訳にはいかない。冒険を避けたオーソドックスな舞台作りであり、狂乱の場などは返り血も浴びておらず、演出としては物足りない。しかし、絶頂期のデヴィーアの歌唱の技巧、安定度、丁寧さはプリマの中でも群を抜いており、また、自己顕示や濃さを排したその姿勢にはとても好感が持てる。ブルゾンをはじめとする男性歌手陣の歌唱も素晴らしい。


ランメルモールのリシュー
LIVE/リヨン歌劇場/E.ピド(C)/P.コーリエ(D)/BS録画
N.デッセー(S)/S.ナ(T)/L.デジエ(Br)/M.ラオ(T)

ランメルモールのルチア」のフランス語版でルチアがリシューとなっている。暗い舞台上、照明に浮かび上がるN・デッセー(リシュー)はその美貌、演技力、コロラトゥーラで聴衆の耳目を一身に惹きつける。クライマックスの狂乱の場での迫真の歌唱と壮絶とも言える体当たり的な演技に釘付けとなる。この約20分間のあまりに強烈なシーンによって他の出演者の存在は全く霞んでしまう。


ドン・パスクワーレ
LIVE/カリアリ歌劇場/G.コルステン(C)/S.ヴィツィオーリ(D)/TDK
A.コルベッリ(Bs)/E.メイ(S)/A.シラグーサ(T)/R.カンディア(Br)

いかにも南イタリア的な明るく開放的な舞台だ。ここでのメイは軽めの声を美しく伸ばしながら実に生き生きとノリーナを演じている。コルベッリをはじめとする男性歌手陣も安定しており、寛ぎながらこの音楽喜劇を楽しむことが出来る。リハーサル風景の特典映像が付いており、P・チョ−フィのノリーナも観ることが出来る。しかし、魅力ではメイの方が断然勝っている。

<ベルリーニ>



夢遊病の女
LIVE/フィレンツェ5月音楽祭/D.オーエン(C)/F.ティエッツィ(D)/TDK
E.メイ(S)/J.ブロス(T)/G.プレスティーア(Br)/G.ベルタニョッリ(S)

ベルカントオペラの代表作のひとつとして、ただひたすらに美しいメロディに浸ることがこの作品の楽しみ方だ。歌を美しく聴かせることが最優先である以上、動きの少ない演出に不満を言っても仕方がない。E・メイ(アミーナ)は十分にその期待に応え、感情のこもった美しいベルカントを聴かせてくれる。やはりイタリア人の血のなせる技なのだろうか?テノールのJ・ブロス(エルヴィーノ)のよく伸びる高音も美しく、合唱とオケも歌唱を十分に引きたてている。




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