
著作権と特許権
発行:1999-11-16
改訂:2000-05-25
八丁堀です。
私の手元に、弁理士会が科学技術庁、文化庁、通産省、特許庁、および、郵政省の協力を受けて作成した;-
「民間業者の『知的所有権(著作権)登録』の勧誘に気をつけましょう。」
と題した小さなパンフレットがあります。
平成6、7年ころに作られたものと思います。
チョット引用してみましょう。−−−
1.民間業者による「知的所有権(著作権)登録」の実態(その手続)
新しい技術やデザインなどは、経済的価値があるものとして認識されています。このため他人の模倣を防ぐために、工業所有権制度によって保護されます。また、近年、国際的に知的所有権への関心が高まっています。
このような状況に乗じて、国とは何の関係もない民間業者が有償で知的所有権の私的な「登録(証明)」を行っているほか、知的所有権OOO士およびOOOO協会と称する民間業者が、次のような行為を行っています。
「申請書に図面と文書を記載する。」 ↓ 「民間業者に送付する。」 ↓ 「郵便局に持ち込み切手に『日付印押印サービス』を受ける、又は、公証人の印を受ける。」 ↓ 「印の日付により受付順位を決める。」 ↓ 「『登録証』を送付する。」「登録」を受けたものは「登録証」や民間業者の推薦状などを企業に送り、アイデアの売込みをしますが、正しい知識を持った企業等に指摘され、はじめてこの民間「登録」に法的保護が及ばないことを知ります。
なお、郵便局が書面に貼った切手に日付印を押すのは、著作権の発生とは何ら関係の無いことです。また、公証人の押印も著作権の発生とは関係有りません。2.「民間登録」では法的保護は受けられません。・・・知的所有権(著作権)登録の問題点
「知的所有権(著作権)登録」は、法律的に正規の制度によるものでは有りませんので、これだけではアイデアについての法的保護が受けられません。
むしろ本来 特許や意匠として保護を受けられるものでも、特許出願などより前に知的所有権j○○士により○○○○協会で「民間登録」を受け企業に売り込むと新規性が喪失して、特許や意匠としての保護が受けられなくなることがあります。
アイデアについて保護を受けるためには、民間業者から「知的所有権(著作権)登録」を受けるのではなく、特許庁に出願して工業所有権の登録を受けなければなりません。
3.著作権ではアイデアは保護されません。
知的所有権OO士や民間業者は、あたかも著作権制度で発明やアイデアを保護できるかのようにPRしています。しかし、著作権は、論文やイラストなどの「表現」の複製等を禁止する権利であり、そこに書かれている「アイデア」の模倣を禁止することは出来ません。
−−−以上でパンフレットの引用を終わります。
この「知的所有権(著作権)登録」商法の最大手が、前回 名前の出てきた「知的所有権協会」です。
そのほかにも、同様の商法を取るところとして、「日本知的所有権登録協会」、「発明本舗」、「泉知的所有権事務所」、「著作権研究会」等が知られています。
「知的所有権協会」は、その名称から公的な位置付けを得た公益法人のように見えますが、正式には「株式会社 知的所有権協会」です。
豊沢豊雄氏によって平成5年に設立されました。その経緯を書いてみましょう。
八丁堀瓦版第13回で 「社団法人 発明学会」の話をしました。昭和36年に設立され、昭和47年に科学技術庁の認可を得ました。
平成4年に発明学会は「一人一発明研究登録」と称して、知的所有権(著作権)登録を始めます。
この活動は、社団法人として科学技術庁の認可を受けた定款にないばかりでなく、上記パンフレットにもありますように、一般の人に著作権について間違った認識を与え、特許法等工業所有権法と著作権法の登録についての誤解あるいは中途半端な理解に乗じて金儲けをし、かつ、本来工業所有権で保護されるものでもその機会を逸しせしめることもあるので発明や創作の保護に反する行為になりかねません。
科学技術庁も困ったのでしょう。認可理由に反する活動を始めたのですから・・・。
しかもやっているのは、元国会議員で褒章受賞者ときている。なにかに付けて国会や関係官庁に働きかける活動家でもいらっしゃる。
認可の取消と言うわけにもいかず、そこで採ったのは行政指導です。
その結果は;ー
・・・・・・こととなったのです。
これが 知的所有権協会の発足の経緯です。
さあ、「知的所有権協会」とその登録制度、わかりましたか?
――――――八丁堀でした。