私的ライブレポート


「フジテレビ721 FACTORY LIVE」
2000.9.9 at フジテレビ
キタキ・マユ、fra-foa、
GO!GO!7188、PEACE PILL、
POTSHOT、ギターウルフ、
ラフィータフィー



2000年9月9日。

土曜日、午後のお台場。
お台場の象徴ともいうべき建物、フジテレビ。
今日も暑い。人も多い。

「FACTORY」、CSの音楽番組。今日はその収録。
fra-foaのホームページで見つけた観覧募集。
fra-foaを見るのはまだ2度目。どんなステージが見られるのだろうか。

集合場所はフジテレビ前の広場。出演バンド全部のファンが集まってきている。
老若男女、いろいろな人がいる。
共通点は音楽が好き、ロックが好きということ。

バンド別に集められ、控え室へと案内される。
テレビ局の中、一般公開されていない所に入るのは初めてだ。
fra-foaファンは全部で20人強といったところか。
同じ部屋の他のバンドのファンに比べ、寡黙な印象を受ける。
バンドの個性はファンにもあらわれるものなのだろう。

バンドごとにオーディエンスの入れ替えがあると思っていたが、そうではない。
つまり、全部のバンドが見られる。
セットの都合などもあり途中退出はできないようだ。
長丁場のライブ。
他のバンドのファンにfra-foaはどう映るか。

バンド別に呼ばれ、スタジオへ入る。
最初に呼ばれたのは僕も含めたfra-foaファン。どうやらバンドの出演順。
大きなスタジオ。500人クラスのライブハウスといった感じ。ただ、天井は非常に高い。
自動的に最前列に陣取ることになる。ステージは驚くほど近い。

忙しく動き回り、セッティングに余念がないスタッフ。
テレビを影で支える裏方。シビアな世界だと思う。

ステージ上のセットはfra-foaのものではない。
その前に一組出るようだ。
その後にfra-foa、GO!GO!7188と続いていく。

照明が落ち、BGMが消える。
一組目というより一人目。キタキ・マユ。
名前は聞いたことがあるという程度。
この番組のパーソナリティーをやっているらしい。
聴きやすい、聴けるポップス。バンドの感じもなかなかいい。
特にベースの音とフレーズはかなりのもの。
本人の歌も心地よい。ルックスもかわいい。
結構いい感じという感触。
1曲だけを歌い、ステージから去る。

ステージ上では機材の入れ替え。次がfra-foa。

照明が落ちてSEが流れる。
fra-foaの登場。
裸足のボーカル、三上ちさ子。
こんなに近くで見るのは初めて。とても、綺麗な瞳をしている。
機器の調整が終わると、ちさ子はマイクに向かう。
静かに、優しく、目を閉じてアカペラで歌い始める、「flower」。
続いて、「青白い月」。
静寂と爆音の絶妙なバランス。静かな轟音。
歌詞はCD収録バージョンと一部異なる。
歌うことで自己の存在を確かめ、バランスをとっているような印象。
魂を振り絞って歌う姿は美しくも痛々しい。
会場がfra-foaの発する青白い空気に包まれていく。

ほんの少しの、言葉の少ないMC。
2曲めにして最後の曲。「澄み渡る空、その向こうに僕がみたもの」。
ちさ子自身の、自分への応援歌。前向きに生きていける、そんな曲。
少し微笑んでいるような、穏やかな表情。
独特の空気感を残し去るfra-foa。
たった2曲だったけれど、その世界を体感できた気がする。

ステージの入れ替え。後方に下がろうにも人が多くて動けない。
最前列のまま。

ステージ脇から現れた一人の男。
派手な服装。派手なメイク。手には法螺貝。
身に纏った独特のオーラ。
忌野清志郎。
一気に会場のボルテージが上がる。
「イエー!!」「イエーって言えーー!!」
今日のライブのプロデューサーであり司会進行。
出演バンドを紹介し、ステージから去る。

GO! GO! 7188の登場に会場のテンションが高まる。
演奏開始と同時に会場全体がジャンプしはじめる。
押しつぶされる最前列。
ノスタルジックでキャッチーなサウンドとメロディー。
一種独特なロックサウンド。3ピースバンドとは思えないほどのパワー。
ダイブする連中も出てきた。かなり会場のノリも良い。
最前列というのは逆に見にくい。しかも、顔を上げてステージを見ようとするとそこにはカメラを構えたスタッフ。押されているから姿勢を変えることもできない。少し不自由。でも、音の持つ勢いが確実に伝わってくる。
予想以上のパフォーマンスで4曲を歌い、彼ら(彼女ら)のステージが終わる。

演奏終了後にステージ脇のスペースでインタビュー収録もやっているようだ。
その間にセッティング。しかしトーク収録スペースも同じスタジオ内であるため音は出せない。
当然、観客も静かにしていなければいけない。
もどかしいインターバル。

最前列でかなり消耗した。後方へ下がる。
後方のスタッフのいる辺りに設けられたモニターにトークの様子が映し出されている。

トーク収録が終わり、BGMが流れる。
セッティングが終了すると、再び清志郎の登場。
紹介されたバンドは、PEACE PILL。

清志郎曰く、「古いダチです」。
泥臭い、不器用なロック。下手なのではない。なかなかかっこいい。
音楽を楽しんでいる、バンド活動を楽しんでいるという感じ。
人なつっこい音楽。自然にノってくる。
熱烈なファンも少なくないようだ。
楽しんでやっているバンドだから、見ている方も楽しい。
短いステージが終わり、トーク収録へ。

再び、長いインターバル。
オールスタンディングであるせいか、観客にも少し疲れが見えてくる。
後ろの方は床に座っている人も少なくない。

トークが終わり、セッティングが終わり、会場がそわそわしてくる。
ここまでのバンドに満足げな清志郎。
彼曰く「絶対にハズさないバンド」、POTSHOT。

大歓声に迎えられるPOTSHOT。ファンは一番多いようだ。
まさにスカコア。早いテンポのスカのリズム。
キャッチーでノリの良い曲。興奮の渦を作り出す。
観客も盛り上がっている。飛び跳ね、歌い、踊り、ダイブする。
ファンとステージとの一体感。さすがだ。
最高の盛り上がりを見せ、短い時間で9曲という密度の濃いライブは終わる。

インターバル。興奮はなかなか冷めない。
会場内は飲食厳禁。さらに外へも出られない。持久力が必要なライブだ。

とても長く感じるトーク収録の時間とセッティング。
そして、清志郎がステージに上がる。
「疲れも吹っ飛ばしてくれるバンド」の紹介。
ギターウルフ。

SEの中現れるベースウルフとドラムウルフ。
少し遅れてあらわれるギターウルフ。SEに合わせた決めのポーズ。
会場のテンションが一気に上がっていく。
演奏スタートと同時にジャンプとダイブの嵐。
悪ガキの匂い漂う、ハードでストレートなロックンロール。
全てを削ぎ落とした男気あふれるステージ。
熱気が充満する。革ジャンを脱いだベースとドラム。
曲間には櫛を取り出しリーゼントで決めたオールバックの髪を整える。
それでもまだ革ジャンを脱がないギターのセイジ。

ロックの初期衝動と勢いにまかせたステージ。最高潮の盛り上がりを見せる。
最後の曲。セイジがステージ脇のスピーカーによじ登り、豪快に飛び下りる。
その拍子でギターの調子が悪くなったようだ。音が出ていない。
ギターをスペアのものに持ち替えてエンディングを迎える。
オーバーヒート気味にまでヒートアップした観客を残しステージから去るギターウルフ。

興奮の冷めない観客。
今回はトーク収録はないようだ。
最後のバンド、ラフィータフィーに向けセッティングが始まる。
インターバルが長いとか短いとか、そういうことはもう気にならない。

照明が落ちる。清志郎率いるラフィータフィー。
今回は3ピース編成。
ここまでのバンドとはまさに別格。独特のロック。
さりげなく見える演奏も歌も、高度なテクニックと自信に裏打ちされている。
わかりやすく、聴きやすく、それでいてどこかひねくれたメロディー。唯一無二。

観客の反応も違う。激しくノってくるのではない。全体が静かに揺れている。
心地よい、静かな興奮に包まれた客席。
ステージパフォーマンスも超一流。
日本のロックをリードしてきた人物、忌野清志郎。やはり違う。
そんな彼の演奏を間近で見ることができる。幸運だ。
5曲程度を演奏してラフィータフィーのライブが終わる。

拍手のやまない客席。でもそれほど熱くなっているわけではない。
みんな、スタッフの持っている収録スケジュールを盗み見てアンコールが1曲予定されていることがわかっている。わかっているから、わざわざアンコールを求めたりしない。だから少し盛り上がりに欠けるのが残念といえば残念。
ステージにはマイク数本とギターアンプが追加される。

しばらくじらしておいて現れる清志郎とラフィータフィー。
彼に呼ばれてステージに上がったのはタンバリンを持ったGO!GO!7188。
そしてギターを抱えたギターウルフのセイジ。
GO!GO!7188はコーラス役のようだ。
アンコールの、そして今日最後の曲。
清志郎の問題作というべき曲、「君が代」。
かっこいいロックに仕上がった国歌。完全なパロディー。
途中から暴走をはじめていく演奏。セッション状態。
セイジと清志郎のギターの絡みも絶妙。どちらかというとセイジが遠慮している感じ。
盛り上がる客席。ステージ上も盛り上がっている。
会場全体の妙な一体感。

君が代が終わり、メンバーが去る。
開始から約5時間。
長く、密度の非常に濃いライブが終わる。

オーディエンスはスタッフの誘導で最初の控え室へと戻る。
消えない余韻。物凄いライブだった。
長い時間に多くのバンドを見た。しかし全く飽きない。
それは個々のバンドの個性が強く、また音楽性がそれぞれ違っていたためであろう。
もちろん、仕掛人である清志郎によるところも大きい。
fra-foaは前座という扱いだったが、実質的に2曲という短い時間でもその独特の音楽性とメッセージはしっかり伝わってきたと思う。
他のバンドも最高のパフォーマンスを見せてくれた。特にギターウルフは圧倒的。
GO!GO!7188は想像以上。POTSHOTも評判通りのノリのいいライブ。
楽しめる、等身大のカッコ良さのPEACE PILL。
そして、やはり格の違いを見せつけた清志郎。

オーディエンス全員が控え室に戻り、落ち着いたところで解散。
外の空気はまだ生温い。さすがに人影はまばらになってきた。

ゆりかもめの車窓から見える、近未来の風景。
その中に浮かび上がるフジテレビの特徴的な建物。
ついさっきまで、あんなに熱いライブが行われていたのが嘘のようだ。
スタジオの中と外はまさに別次元の世界。

fra-foaというバンドを知ったことで、これだけ素晴らしいライブを見ることができた。
今度また見る機会があれば是非行きたい。純粋にそう思った。



 もどる