私的ライブレポート


「ポカリスエットミュージックリーグ2000 ザ・ライブ!」
2000.8.17 at 日本武道館
センチメンタル・バス、DOG HAIR DRESSERS、
Strawberry Jam、小林建樹、
ポルノグラフィティ、JUDY AND MARY



2000年8月17日

立秋も過ぎ、残暑の季節。
このところものすごく暑い日というのはなく、過ごしやすい。
しかし、湿度のせいかどうも蒸し暑い。

2週間ほど前だったか。
いつも通り帰宅すると、1通の封書が届いていた。
中に入っていたのが今日のライブのチケット。
懸賞に1通だけ出してみたら幸運にも当たったらしい。

センチメンタルバス。DOG HAIR DRESSERS。
Strawberry Jam。小林建樹。
ポルノグラフィティ。
そしてJUDY AND MARY。

J.A.M.は僕の大好きなバンド。抜群の音楽性を持つ唯一無二の存在。
センチメンタルバスも結構好きである。
この2組だけでなく、どのバンドもライブを見るのは初めてだ。期待は高まる。

九段下の駅に着く。待ち合わせていた友人と合流。
チケットを渡し会場である武道館へ向かう。

武道館でライブを見るのも初めて。
日本ではロックの聖地とされてきた武道館。
中へ入る。天井は高い。
席は1階席の前の方。思っていたほどステージは遠くない。
ステージ上にはセンチメンタルバスの機材。端に置かれた大太鼓でそれとわかる。
ステージ両脇のモニターでは出演アーティストのPVやポカリスエットのCMが流れている。

客席を見渡す。全体的に女の子が多いようだ。売れ線ミュージシャンも出るということで特別音楽ファンというわけではないリスナーも随分いるようだ。

午後5時。
開演予定時間をまわると同時に客席の照明が落ちる。
総立ちになるオーディエンス達。
センチメンタルバス、登場。
意味不明な行動で客席を盛り上げるアキノリ。
予想通りというべきか、Sunny Day Sundayで幕を開ける。
一気にヒートアップする客席。
よわむしのぬけがら、サイクリングビート330等を一気に駆け抜ける。
TVで見る以上にパワフル。息つく暇もないほどにスピード感溢れるステージ。
あっという間に最後の曲、SUMMER TIME KIDS STORY。
ほんの20分ほどのステージ。しかし、盛り上がり方は凄い。やっぱりいいバンドだ。

10分ほどの入れ替え時間。客席の照明は落ちたまま。
DOG HAIR DRESSERS、見るのも聴くのもはじめて。
今回出演している中で最もストレートにロックの音を出しているバンドであろう。
なかなかいいノリ。しかし、オーディエンスの反応は少し冷ややか。
まだそれほど有名ではないから仕方ないのだろうか。
20分ほどのステージが終わる。一応、満場の拍手。
今後が期待できるという印象。

入れ替えの間。1階席の右の方からウェーブが起き、会場全体に広がる。
お祭り好きな輩が仕掛けたものらしい。
冷めていた会場がほんの少し盛り上がる。

Strawberry Jam。これも初めて聴く。
いわゆる、かわいい系女の子バンド。曲もキャッチーで聴きやすい。
ボーカルの声にも特徴がある。いい感じのポップス。
ただ、若干キャラクターを作り過ぎの感は否めない。
ところどころにロック好きな感じを聴きとれる。悪くない。
これも20分程度。どうやら30分単位でアーティストが代わっていく流れのようだ。

入れ替えの間にふたたびウェーブ、しかしすぐ消える。飽きてきたか。

小林建樹。テレビで何度か見た。シンガーソングライターとしてなかなかいいと思う。
グレッチのアコースティックギターを手に歌い始める。
バンドもしっかりしている。何といってもここまでの2組に比べ余裕がある感じ。
トークは寒い。ただ、会場にはファンも随分いるようでかなり声援が飛んでいる。
最後はキーボード弾き語りのバラード、「祈り」。しっとりと聴かせて終わる
いいミュージシャンである。しかし、地味。どうしても盛り上がりには欠けるのが残念。

会場の空気が少し盛り上がっている。次がポルノグラフィティ。ファンは随分多いようだ。
そういえばさっきからモニターでPVが流れるだけであちこちから歓声が起こっている。

真っ暗になった武道館はほぼ総立ちの状態。
SEの流れるステージ上、かすかに彼らの影が見える。
演奏がはじまり、明かりがつく。観客のノリがここまでとは全然違う。
テレビで見て想像していたよりもすっとパワフルなステージ。
なかなかいい音を出しているし、曲も特徴的でいいと思う。
気になったのは観客。いわゆる人気ビジュアル系バンドのライブなどと同じノリ。
武道館全体が同じように手を振り、同じようにリズムをとって同じように歌う。異様な光景。
一緒にやってみる気には到底なれない。好きなようにリズムをとって聴くだけ。
しかし、勢いのあるバンドである。場の空気を掌握している。
気さくな感じの、広島弁の混じったMCも好感が持てる。純粋に楽しめる。
新曲も交えた50分ほどのステージ。盛り上がった会場を残し去る彼ら。

さあ、次がJUDY AND MARY。長い長い前座であったというべきか。
ま、前座というには豪華すぎるかもしれないが。
モニターにはポルノグラフィティのPV映像。何故か会場からは手拍子、終わると歓声と拍手。

武道館全体がそわそわしている。やっぱり今日の主役を心待ちにしている。

暗くなるステージ。沸き上がる歓声。
ワルツのリズムのSEにのってJ.A.M.メンバー登場。
YUKIは踊りながら現れ、しばらくステージ上をさまよう。
オープニングナンバーはBrand New Wave Upper Gruond。
いきなりテンションは最高潮。武道館が一気に一つにまとまっていく。
オーディエンスはやっぱり同じような手の振り。これには閉口。
TAKUYAの手にしているギターは何とゼマイティス。
数曲を歌い、MC。製作中のアルバムから1曲をいきなり披露。
J.A.M.らしさ溢れるノリノリの曲。そしてまた聴き慣れた曲の応酬。
ここまでのどのバンドもかなわないほどにパワフルなステージ。
ステージ上でのパフォーマンスも最高。息つく暇もない。
TAKUYAはステージ脇のモニターのある構造物によじ登ってギターを弾いている。

それにしても、上手い。ドラムも、ベースも、ギターも、歌も、構成も。
完全に武道館という巨大な会場そのものを支配している。
複数のミュージシャンが出演すると観客はバラバラになりがちであり、実際ついさっきまでそうであったのだがそれをしっかり一つにまとめあげている。これがメジャーなアーティストの実力か。
全くもって、恐れ入るとしかいえない。

最後の曲はくじら12号。ヒートアップしきったオーディエンス。
メンバーが去っても拍手はやまない。沸き起こるアンコール。

J.A.M.再登場。キーボードがセッティングされている。大歓声。
アンコールはこれも新作アルバムから。TAKUYAがキーボードを弾く。
J.A.M.らしい、少しアクの強いバラード。なかなかいい。
過熱した会場が、少しづつ落ち着きを取り戻していく。
歌い終わる。満場の拍手。今日のライブを締めくくるに相応しい最高のステージ。

客席の照明がつく。終わりだ。
余韻が残ったまま、会場を出る。

九段下駅へ続く道。同じライブを共有した人達で物凄い混雑。
気温はそれほど高くないけれど、蒸し暑い。人が多いせいか。

出演した6組。やはりJ.A.M.が圧倒的であった。
そして、テレビでもよく目にするJ.A.M.含めた4組には余裕があった。
武道館の満員の観客を引き寄せる「何か」があった。
対して、残りの2組は会場の大きさに呑まれていた気がする。
もっと小さい会場ならもっといい印象を受けることができるのだろう。
彼らにその「何か」が欠けているわけではない。まだ発展途上なのだ。
あれほど十分な個性を持っていれば、今後は十分期待できると思う。

それにしても、いいライブであった。
J.A.M.を見た上に他のバンドのライブも見られたのだから。
見ただけでなく最高のパフォーマンスを体感できたのだから。タダで。

残念だったのは会場。お世辞にもいい音響とは言えない武道館。
そして単調で画一的なノリの観客。
オーディエンスはまだミュージシャンに追いついていない。
人気バンドでは仕方ないのだろうか。

余韻を引き摺ったまま乗り込んだ地下鉄は、やっぱり蒸し暑い。
電車の振動が、興奮した心を落ち着けてくれる。



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