私的ライブレポート


「POWDER CAUTION OUT 002」
2000.9.17 at club asia
PERSONA、BAZOOKA、
W.A.R.P.、FISH OF SARxVA、
MOTHER OF SOUL、HAL FROM APOLLO'69


注)  面倒なので文中ではHAL FROM APOLLO'69のzoё氏を「zoe」と表記しています。



2000年9月17日。

明け方から昼頃まで降っていた雨。雷も鳴っていた。
暑くはないけれど湿度が高くて不快だ。天気もすっきりしない。

メンバーチェンジ後2度目のHAL。前回は顔見せ程度の短いステージだった。
今回こそはサウンドの変化を感じられるだろう、そう期待していた。

開場予定時刻は17時。しかし、その時間を過ぎてもまだ中に入れない。
17時30分。まだリハーサルが終わっていないようだ。

club asiaの外で待つ。
その間に雨が降り始め、やがて小降りになってくる。
会場前には人が集まり始める。開始を待つ、落ち着かない表情。

結局開場は18時20分頃。大幅な遅れ。
開演予定の18時もとっくに過ぎている。

オリエンタルな雰囲気のclub asia。
他の出演バンドは全くといっていいほど知らない。
W.A.R.P.は少し名前を聞いたことがある程度。

照明が落ち、最初に出てきたのはPERSONA。
ヘヴィーでメタリックなサウンド。
歌うというよりシャウトしているツインボーカル。
高度なテクニックを駆使した演奏。
それにしても、態度が悪い。
盛り上がらない観客に悪態をつく。そのくせ盛り上げようともしない。
サウンド自体もそれほど新しさを感じられない。
残念ながら、あまりいい印象は受けない。

次に出てきたのはBAZOOKA。
メタリックな、重く分厚い混沌とした音。
ボーカルは歌うところとシャウトするところを使い分けている。
ハードコアなサウンドなのにメロディーは驚くほどキャッチーでわかりやすい。
なかなか面白いアプローチのバンドであると思った。
事前の告知ではクレジットされていなかったバンドだが結構いい感じのバンドだ。

入れ替えの間、ステージには「CAUTION」と書かれた黄色いテープが張り巡らされ、客席と仕切られる。演出なのであろう。ステージ両脇にも「CAUTION」と書かれた看板。
アンプ周辺には電飾とパトライト。

登場したW.A.R.P.。ファンは随分多い。
未来的なサイバーファッション。ペンライトをサングラスに付け、サイボーグのようだ。
ハードなデジロックのサウンド。音色も多彩。飽きさせない。
MCにも特徴がある。クールな印象とは裏腹に、ツボを心得ていて面白い。
かなり高度な音楽センス、技術、ノウハウ、遊び心、そして独創性を持ったバンド。
ファンが多いのも頷ける。かなりいい。
オーディエンス全体がノってきている。

4番目の登場はFISH OF SARxVA。
時間が押しているということでMCはほとんどなし。曲を短いインターバルで詰め込む。
生のバンドの音とSEをうまく融合させた音作り。
甲高い声の女性ボーカルとサウンドの相性も良い。
急ぎ足のステージではあるが個性の強さはしっかり伝わってくる。

5組目、MOTHER OF SOUL。
このバンドもファンが結構多い。
ラッパーなのか何なのかよくわからないボーカル。ギャル系の格好をした女性キーボード。
使い捨てカメラを手にただ踊る男が一人。ピエロのメイクをしたドラマー。
サウンドそのものはかなり凝っていて面白い。とてもアクの強いバンドだ。
関西人らしく、MCも面白い。笑いを誘う。
結構いいバンドなのではないかと思う。

そして、やっと今日の最後を飾るバンド、HALの出番。
最前列へ移動。いつもより人が少ない気もする。そろそろ帰っていく人もいる。
見慣れた顔ぶれが集まる。待っていた疲れは感じられない。
時計は外してしまっているから時間はわからない。でも、タイムスケジュールが大幅に狂ってしまっていることは確かなようだ。ステージ脇に貼られたタイムテーブルを見ながら、そう思う。

セッティングがはじまる。6人編成のHALにasiaのステージは狭い。
ツインドラムが置かれ、アンプが運び込まれる。
eoeのキーボードを置くスペースはないようだ。ショルダーキーボードと各種音源。
zoeのギターは久しぶりに登場のナチュラルのエクスプローラー。
少し遅れて登場はOKINAWAのダブルネックベース。
両者とも足下にはエフェクト類。zoeが右、OKINAWAが左。

と、主催者側のスタッフがステージに上がりマイクを手にとる。
不手際で時間が押してしまっている。会場の都合で夜10時以降は音が出せない。
だから、

HALの演奏は1曲のみ。

落胆の声。
たった1曲。しかし、それならばその1曲に集中しよう。
複雑な表情を浮かべるオーディエンス。

あらわれるメンバー達。
彼らもこの1曲に集中しているのだろう。少し不満げではあるが。
アンプから、スピーカーから吐き出される混沌ともいうべき音の洪水。
今日唯一のHALの曲。
VAMPIRE。
今までになく大きく、重く、分厚い音。疾走していくリズム。
かつてないほどに凶暴なHAL。一気に噴き出す狂気。
聴く側も考えている暇などない。この限りなく鋭い音を体に、脳に刻み付ける。
自暴自棄なまでにアグレッシブなステージ。
ステージに倒れこんで歌い、叫ぶhal。弾きまくるzoe。
この1曲の中に、HALというバンドの持つ全てを凝縮している。

瞬時に、別世界へと引きずり込まれていく。

たった4分。限りなく密度の高い1曲。HALは去る。
興奮。恍惚。虚脱感。喪失感。少しの満足感。
出るのは、ため息。

不意にhalがPAボックスから場内放送。
今日見に来た人には次回のHALワンマンで特典があるらしい。
1曲だけだった今日の埋め合わせ、ということだろう。
しかし、今日はHALに非はないと思う。
ファン思いなHALに、感謝したい。

昂った気持ちのまま、会場を出る。
どうもゆっくりしている気分にはならない。
消化不良。今一つスッキリしない。
でも、余計な贅肉を削いだ最高のステージ。ある意味、気持ちいい。

雨はもうあがっている。湿った空気は不快だ。
行き場のない気持ちを抱えたまま、帰途につく。
渋谷の街の明かりはいつも通り。
いつも通りではない、不安定に尖った精神状態。
元に戻すには、またHALを見に行く必要がある。そういうことなのだろう。

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追記

当日はPAトラブルで開始が大幅に遅れたとのこと。
そして、累積していった各出演バンドの少しづつの時間のずれ。
きっちりと時間で区切られた会場の予定。
結果として、1曲だけでも全てを呑み込むことのできるHALの凄さを改めて感じた。
特典は、ワンマンライブへの招待。太っ腹だ。
果たして、行けるのだろうか。

追記2

結局ワンマンライブは行けなかった。残念。



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