私的ライブレポート


「MUSIC DAY 2000」2000.5.4 at Garage
HAL FROM APOLLO'69 & SCUDELIA ELECTRO
2000.5.4


注)  面倒なので文中ではHAL FROM APOLLO'69のzoё氏を「zoe」と表記しています。



2000年5月4日。

連休。曜日感覚は完全に狂っている。
下北沢にはまだ慣れていない。
ましてや、今日の会場、Garageは全く行ったことのない北口側。

今日は「Music Day 2000」と銘打って、都内各所でライブイベントが行われている。
その一環として、GarageではHAL FROM APOLLO'69とSCUDELIA ELECTROのライブがある。
HALは言わずもがな。SCUDELIA ELECTROは名前は聞いたことはあるし、高い評価を得ていることも知っている。
ただ、ちゃんと聴いたことがない。
ある意味で、HALを見に、SCUDELIAを聴きに来たといってもいいかもしれない。

見慣れない風景の北口側。面白そうな街である。
時間と金が十分ある時にゆっくり見たい、そんな雰囲気だ。
残念ながら、今はそのどちらにも余裕がない。

会場10分前。
Garageの前にはすでに長い行列ができている。
電話予約した旨を告げ、整理券をもらって列に並ぶ。
住宅街のまん中。ありふれた日常。
Garageの中は非日常の異空間。
その2つの世界を繋ぐ階段を下っていく。
中に入る。狭い。おまけに人が多いために暑い。

どうやらSCUDELIA ELECTROのファンが多いようだ。
客席のちょうどまん中あたりに立ちどまる。
前回会ったHALファンの人たちはやはり右前方、zoeの前にいるようだ。
そこまで行こうにも人が多くて行けそうにない。
今日はここで聴こう。halの真正面。

背が高いというのは便利だ。ステージがよく見える。
今日もzoeのギターはエクスプローラーとフライングV。

長い長い待ち時間。

照明が暗くなりSEが流れる。
zoeが一人で登場。
エクスプローラーを抱え、カッティングや早弾きで会場を盛り上げる。
やはり、物凄いテクニックとセンスの持ち主だと実感する。かっこいい。
アニキ、シゲソニックが登場。演奏が始まる。
halが現れる。1曲め、CONTRACT KILLER。
いつもとは違った始まり方だ。比較的明るめな感じ。
それでもやはり突き刺さってくるのはHALの攻撃的なサウンド。
1曲めにして、zoeのエクスプローラーは弦が切れている。
Vに持ち替え、次の曲へ。
すでに、会場全体がHALに呑み込まれている。

3曲めのBELLZが終わり、暫しのブレイク。
さすがにこの暑さと熱さが効いているのであろう。
すでにメンバーは汗だくになっている。
やはり意図的にいつもと違う展開にしているようだ。
SCUDELIAのファンへの配慮か。

B.T.B.N.。
和んだ空気は一瞬にして崩れ去っていく。
BOOSTERで少しスロー気味にしつつ、新曲2曲で再び盛り上げる。
空気が、完全にHALに支配されている。
HOWLING。ここまで一気に駆け抜ける。

再びのブレイク。
今日のhalは饒舌だ。
MCがちょっと長め。場の雰囲気も少し和む。
暑さのせいもあるのか。ひと休みといったところ。

ブレイク明けはMINDGATERZ。
再び熱さを取り戻す。
BACKFIRE SHUFFLEが終わると、アニキがベースソロを弾き始める。
まさに独壇場。
「アニキ、かっこいい〜〜〜」とhal。
長いベースソロにzoeのギターが絡む。ライブならでは。
テンションは最高潮に達する。
そのまま666に突入。

SLINKEEの後、最後のブレイク。
ライブの告知。
汗で、halのメイクは崩れてしまっている。
普段涼しい顔をしているアニキもうっすらと汗をかいている。
見ている側も暑いが、ステージ上はそれどころではないであろう。

最後の曲。TERRAPLANE BOOGIE。
クールダウンのような感じである。

そして、HALは去っていく。
今回、何故か喪失感は感じない。充足感で一杯だ。
CDでは聴けないHALを聴けた気がする。最高のステージ。

後方に下がり、HALファンの人たちと言葉を交わす。
HALとSCUDELIA、両方のファンも少なくないようだ。
それにしても暑い。真夏のようである。
しかし、ここで外の空気を吸ってしまっては昂った精神まで醒めてしまう気がする。
すでに前方はSCUDELIAのファンに埋め尽くされている。

再び、長い待ち時間。

SCUDELIA ELECTRO登場。
思っていたよりも生々しいバンドサウンドだ。先入観とは恐ろしい。
素直にかっこいいと思える。
各人のスキルは高いし、まとまりもいい。センスもいい。
オーディエンスの盛り上がり方も凄い。

MCも面白い。
HALとはお互いに尊敬し合っているようだ。
HALに対し、最大の讃辞を送ってくれている。
そんなバンド同士の対バンを見られるというのは幸せなことだと思う。
「HALは喋らなきゃカッコイイんだけどなぁ〜」という発言に会場は苦笑。

会場の暑さはHALの時以上。
ヒートアップした観客。酸素も薄くなってきているようだ。
それでも盛り上がりが醒める気配は全くない。
終盤にさしかかり、前方で一人倒れたようだ。無理もない。

HALに勝るとも劣らない、最高のパフォーマンスを見せつけ、SCUDELIAは去っていく。
しかしオーディエンスはまだ醒めない。却って盛り上がっている。
そんな会場の雰囲気に押されてか、再登場。
最前列のオーディエンスに声をかけ、一人をステージに上げて歌わせる。
「お祭りなんだから。」
そんなところもこのバンドの魅力なんだと思う。

アンコールも終わり、会場が明るくなる。
今日も終わった。

外に出る。非日常の空間から、日常へ。
涼しい風は、熱くなった身体に心地よい。
なんとなく、出た所でぼーっとしている。
精神を日常へ引き戻す。

身体も冷え、興奮も落ち着いてきた。
下北沢駅へ向かう。

すっかり暗くなり、寂しくなった街。
当然だが、人影もまばらである。

次にHALを見られるのはいつだろうか。
今後の自分の予定によっては見られないのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。

駅にはライブ帰りとおぼしき人々。同じライブの空間を共有した人達。

小田急線は空いている。新宿もいつもに比べれば人は少ない。

今日は、今まで見た中で最高のライブだったと思う。
自分の記憶の中に留めておくだけではもったいない。
もう一度見たい。もっと多くの人に見て欲しい。それも叶わぬ夢だろうか。
そう思うと、前回と同様の喪失感が襲ってくる。

車窓に映る見慣れた自分と、窓の外の見慣れた景色。
余韻を引き摺る自分をよそに、外の世界はいつも通りに時間を刻んでいる。



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