私的ライブレポート


POCARI SWEAT PRESENTS
JUDY AND MARY WARP TOUR
2001.3.7 at 東京ドーム
JUDY AND MARY



2001年3月7日。

暖かい日が多く、春らしくなってきた。
それでも今日は少し涼しい。初春らしい不安定な天候。

2度目のJUDY AND MARY。そして僕にとっては最後のJUDY AND MARY。

前々から言われてきたとはいえ、いざ解散という報せを聞いてみるとやはり寂しい。
最初に彼らをテレビで見たとき、衝撃を受けた。そして、いいバンドだという印象を受けた。
聴いていくうちにそれは確信に変わっていった。

ボーカル、YUKI。
名実ともにJ.A.M.の顔として、またファッションリーダーとして活躍してきた。
J.A.M.をここまでポピュラーな存在にしたのは彼女の魅力によるところも大きいだろう。

ギター、TAKUYA。
後から加入したメンバーであり、最初のうちはあくまでサポート的な役割であった。
しかしJ.A.M.の活動の中でその才能を開花させ、しだいにバンドを牽引する立場を担うようになる。
活動後期においてはほとんどの曲を手掛け、「WARP」ではプロデュースまでこなしている。
その独特な卓越したセンスは当代随一であろう。

ベース、恩田快人。
J.A.M.結成の張本人。実質的なリーダー。活動前期の代表曲の多くは彼の手による。
主導権がTAKUYAに移っていくにつれて人気が出てきたことに彼は何を感じていたのだろう。
そして、彼は自らの脱退発言でJ.A.M.というバンドに引導を渡した。

ドラム、五十嵐公太。
結成当初からJ.A.M.サウンドの底辺を支えてきた。
楽曲はあまり多くはないが、作曲のセンスは他のメンバーにも劣らない。

そう、4人が4人とも非常に高いスキルを持つミュージシャンである。
奇跡的なバンドと言ってもいいのかもしれない。
そんな彼らの、最後のツアーのステージ。

本音を言えば最終日が見たかったが、チケット入手は困難であったしいろいろ都合もあった。
最終日の前日だが、ラストツアーに参加できるというだけでも良しとしよう。
参加できない人も多いのだから。

会場の外は人で溢れている。さまざまな年代のさまざまなファン。
奇抜なファッションから地味な服装。
想いは、同じ。
でも、解散という湿っぽさはない。

東京ドーム。ここでライブを見るのは初めてだ。
一緒に見るのはいつもの友人達と、今日がライブ初体験の従弟。
席は2階席。お世辞にもいいとは言えない。
ステージは驚くほど遠い。武道館や代々木体育館の比ではない。
本当にステージが霞んでいる。

開演時間が迫り、空席が埋まっていくのが手に取るように見える。
ほぼ満員となった東京ドーム。壮観。

開演予定の19時を10分程過ぎた頃。アナウンスが流れ、照明が落ちる。
どこからともなく沸き上がる歓声が、地響きのようにドームを包む。

SEとして流れてきたのは、PEACEのストリングスアレンジ。
照明に照らされたステージ上では、弦楽器を弾く4匹の熊のヌイグルミ。
コミカルで淡々とした動き。会場の緊張もほぐれる。
SEが終わって暗転。

ステージ右端。スポットライトに照らされたTAKUYA。
銀色のゼマイティスのギターを手にカッティングを始める。
沸き上がる歓声。流れてくるリズムトラック。
左端に浮き上がるYUKIの姿。
オープニングナンバー、Rainbow Devils Land。予想通り。
WARPの1曲目であり、J.A.M.の曲の中でもっともラジカルな曲であろう。

暗いステージ中央、恩田快人と五十嵐公太がスタンバイしている。
そして、ドラムとベースの音が加わる。明るくなるステージ。
大歓声。
ドームという会場のせいだろう、音圧はそれほどでもない。
それでもしっかり伝わってくる重低音サウンド。

曲が終わる。暫しの余韻。
TAKUYAが手にしているのはサーフグリーンのストラトタイプ。
そのギターの音に導かれて始まる、Brand New Wave Upper Ground
この展開も思った通り。アルバムと同じような展開。

LOLLIPOPひとつだけとWARPからの曲が続く。
途中のMCにも解散という感じはあまりない。
観客のノリもいい。これだけ大きい会場が一体となっている。
ライブバンドの真骨頂。

流れてきたイントロに少し驚く。
DAYDREAM。一気に初期の曲へとジャンプする。
懐かしいナンバーに、東京ドームが沸く。
僕にとっては最初にテレビで見たときに聴いた曲。
まさか、ここで聴けるとは思わなかった。
続いて、そばかす。彼らの大ブレイクのきっかけとなった曲。
会場のテンションも高まる。

手紙をかくよ。J.A.M.の名作バラードの一つ。
興奮が落ち着いていく。
曲の終盤。モニターに映るYUKIの瞳には涙。
少し静かになる客席。涙を拭うYUKI。ステージは暗転。

演奏再開。アネモネの恋
さっきの涙で少し落着いてしまった空気を振払うように歌う。
会場も明るさを取り戻す。
RADIO。これも懐かしい曲だ。
盛り上がる曲。大合唱がはじまる。

MCを挟み、WARPからのバラードが続く。
あたしをみつけて、そしてPEACE
どちらも彼ららしいバラード。一体となって揺れる客席。
TAKUYAとYUKIのデュエットも息が合っている。
熊のヌイグルミも参加。しっとりと歌い上げる。

静かになった客席。暗くなるステージ。
ラッキープール
客席が再び活気を取り戻す。

続いて、これも名バラードといっていいだろう、KYOTO
後方のスクリーンには京都の街を写したスナップ写真。
ゆったりとした曲と、情緒あふれるスクリーンの映像が良くマッチしている。

カメレオンルミィ
これも面白い曲だと思う。まさに変幻自在なサウンドとリズム。

The Great EscapeBIRTHDAY SONGラブリーベイベーと続く。
怒濤のようにたたみかけてくる、分厚いバンドサウンド。
ライブも終盤にさしかかり、テンションが一気に高くなっていく。

LOLITA A-GO-GO
これも懐かしい曲だ。ステージを駆け回り、観客を煽るYUKI、TAKUYA、恩田快人。
途中からは演奏も暴走気味。アドリブ色が強くなっていく。
これがライブの醍醐味。ステージと観客が一体になっている、そんな印象。

motto
J.A.M.らしいロックチューン。
一心同体となり、ヒートアップしたオーディエンス。
気合十分のメンバー達。最高の盛り上がり。

そして、メンバーはステージを去る。
鳴り止まない拍手。沸き起こるアンコール。

しばらくして再びステージにあらわれる彼ら。
アンコール曲、くじら12号
ライブ向きというべきか、非常に盛り上がる曲。
パワフルな演奏。

終わって、メンバー達は楽器を置く。
拍手と歓声がドームに充満する。

YUKIが各メンバーに耳打ち。
再び楽器を手にするメンバー。TAKUYAはアコースティックギター。

YUKI「もう一曲いくか!」
大歓声に向かって一言。「欲張りさん♪」

熊のヌイグルミが出てきて椅子を用意。
座って歌い出したのは今日最後の曲、夕暮れ
本当に急遽やることになった曲のようで、途中で客席の電気が点灯してしまったりもする。
TAKUYAも「またやることになるとは思わなかった」と言っている。
静かでゆったりとした曲。満員のドームが、静かに揺れる。
正直言うと、この曲は初めて聴く。

演奏が終わる。大歓声と拍手。
ステージの前へ出てくるメンバー。
ヌイグルミと共に手を繋ぎ、一列に並ぶ。
オーディエンスに、静かにするように身ぶりで示すメンバー達。
歓声はなかなかおさまらない。いつまで経っても黙らないオーディエンスもいる。

やっと訪れた、暫しの沈黙。口を開くYUKI。
大きなドームに、YUKIの声が響く。
マイクやスピーカーを通さない、本当の肉声。精一杯の大声。
直接響いてくるメッセージ。

最後の一言、「ありがとう」の余韻が消え、メンバーはステージから去っていく。
歓声。明るくなる客席。
終わった。

混雑を避けるため出場制限が行われているので、しばらく出られない。
ステージ上のスクリーンにはポカリスエットのCM。YUKIの姿。

人込みをかきわけるようにして、やっと外に出る。
物凄い数の人、人、人。
同じライブの空気を共有した人達。

長いライブだった。2時間半弱。でも、あっという間だった。
最後のツアーらしく、いろいろな時期の曲が聴けた。
特に、初期の頃の曲が聴けたのは嬉しい。

ステージは遠かったし、ドームは大きすぎた。
ドームであるから音が良くないのは仕方ないだろう。
今日聴けなかった曲も多い。
でも、密度の高い、いいライブだった。

もう、4人揃った彼らの姿を見ることはできない。
でも、曲は残る。みんなの心の中にJ.A.M.は残る、YUKIはそう言っていた。

JUDY AND MARYというバンドが日本の音楽史に大きな足跡を残したことは間違いないであろう。
解散は残念だけれど、リアルタイムで彼らの音楽に触れることができたことを嬉しく思う。
今までいい曲をたくさん聴かせてくれて、本当にありがとう。
今後彼ら4人がそれぞれにどんな活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。


注) 「motto」の「o」は本当はウムラウトが付きますが面倒なので付けてません(笑)

ちなみに。
TAKUYAの使用ギターはほぼ全編にわたってサーフグリーンのストラトタイプ。
恐らくジャーニーマン製。
オープニングは銀のゼマイティス。
途中、曲によって赤のゼマイティスやグレッチのラウンドアップも使用。
「夕暮れ」で弾いたアコースティックギターは不明。
「PEACE」などで使ったキーボードやトランペットもよくわからない。

恩田は白いベース一本で通した。フェルナンデス製???



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