私的ライブレポート


「TOMAHAWK NIGHT 2
2001.1.8 at CYCLONE
HAL FROM APOLLO'69, Jet Boys, 腐乱シュタイナー, etc...


注)  面倒なので文中ではHAL FROM APOLLO'69のzoё氏を「zoe」と表記しています



2001年1月8日。

アスファルトの街、渋谷。
昨晩の雪はもう全く消えてしまっている。
晴れ着姿の人をたまに見かける。すでに形骸化した成人の日。

年末から、HALのベースは2人のベーシストが交代でやることになった。
今回はその片方、12月1日にもベースを弾いたAli Morizumi。
新世紀を迎え、HALはどのような音を聴かせてくれるのだろうか。

個人的に、今回のライブを見たらしばらくライブに行くのはやめようと思っている。
まず自分自身が学校を卒業しなければいけない。
卒業が確定しない、中途半端な気持ちでライブを見るのは嫌だ。
だから、とりあえず今日で一区切り。

サイクロンに続く階段を降りる。物販ブースには見慣れた顔。
出番はかなり後のようだ。
とりあえずチケットを求め、中に入る。

小さいライブハウス、サイクロン。以前にも1回来たことがある。
間もなく開演だというのに、人は少ない。

人影もまばらな客席の照明が落ちる。
一組め、La 穴子天
ストレートな、正統派のロックンロール。
低く構えたグレッチのギターからたたき出される音は、荒々しくも懐かしい。
お約束の3ピースバンド。当然、スーツにサングラス。定番。
かっこいい。なかなかに派手なアクション。体も温まってくる。
あっという間に、ノリノリのステージが終わる。
結構いいR&Rバンドだと思った。

ステージの入れ替えがはじまる。
客席の人は少し増えたがまだまだ少ない。

2組め。Hotlips
パンクで、ハードコ的。キャッチーなメロディー。
メロディーラインのせいだろうか、スカコア的な感じにも聴こえる。
スカのリズムでなくてもスカ的テイストを出している。
普通の8ビートのリズムなのに。これは面白い。
勿論ステージもかっこいい。
一部のオーディエンスは既にかなり盛り上がっている。
ステージに上がり、フロアに向かってダイブする人もいる。
局所的に盛り上がったライブ。時間が経つのが早い。

3組めのバンド。その名も、腐乱シュタイナー
斧の形をしたベース。強面のベース兼ボーカル。怪物の仮面をかぶったギターとドラム。
ハードコアでメタリックなサウンド。歪んだ轟音。かっこいい。
それに対し、トークは優し気で気弱な印象。
本人も意識してやっているのだろうが、そのギャップが面白い。
ひとり漫才的な話しっぷり。しかしネタが滑りっぱなし。
再開された演奏はやはりヘヴィー。3ピースでここまで分厚い音が出せるのだから凄い。
MCでは、何故かモーニング娘。の後藤真希の話題になる。ファンなのだろうか。
で、「後藤真希ちゃんにも許可を得てない曲」。「イントロを聴け!」
だいたい予想はつく。ギターのリフで始まる曲といえば…
プッチモニの「ちょこっとLOVE」。予想通り。
個人的にはスカのリズムが合うと思うのだが、普通のリズム。
図太い声、歪んだ重低音の「ちょこLOVE」、これはこれで面白いですねっ。。。。。
個人的には後藤真希よりも市井紗耶香である。
それはともかく。
最後の曲を前に、ベースの4弦が緩んで垂れ下がってしまっている。
少し中断。結局3本の弦だけで弾く。
最後はアドリブ的に、いつまでも引き延ばして演奏していく。
歌詞は「嫌がらせしてやるー」。本気なのか冗談なのかわからない。

物凄く短く感じた、パワフルで面白いステージが終わり、入れ替え。
オーディエンスはまた増えただろうか。
それでもまだガラガラだ。

続いて登場はJet Boys
客電が落ち、流れてきたSEはモーニング娘。のハッピーサマーウェディング。
その音をかき消すように、爆音のライブがはじまる。
そこそこ名の知れたバンドといっていいだろう。
パンク。何はなくともパンク。
感情の赴くままに歌い、弾き、叫び、暴れる。
一部のオーディエンスはかなり盛り上がっている。
動き回り、踊り、声を上げる。
ステージに上がり、受け止める者のいないフロアへダイブ。
メンバーもかなりテンションが上がっている。
終盤、全裸になったギタリスト。もう滅茶苦茶である。
演奏が終わると裸のまま客席に降り、引っ込んでいく。

圧倒的。初期衝動としてのパンクそのもの。
盛り上がりは最高潮だった。

入れ替えがはじまる。次がHALらしい。最前列へ行く。
前の方にいる人は少ない。今日、HALファンは非常に少ない。
最前列は僕とあと1〜2人。
後ろを見て、顔を見合わせ、少し苦笑い。
少ない観客のほとんどが遠巻きにしている。
いつものように本人達がセッティングしている。
右にAli、左にzoe、左奥にeoe、中央奥にシゲソニック。
当然、中央手前にhal。
用意されたギターはエクスプローラーとチェリーのSG。
セッティングが終わり、一旦メンバーが引っ込む。

耳慣れないSE。最近変わったのだろうか。
登場するメンバー。SGを手にするzoe。
ステージ上でメンバーが何やら耳打ちしている。
打ち合わせだろうか、なかなか演奏がはじまらない。
突然始まるドラムに導かれ、演奏スタート。
PSYCHO
この曲の持つ疾走感は、一気にテンションを上げてくれる。
サイクロンの最前列は、客席用スピーカーよりもステージに近い。
だから、スピーカーを通さないアンプからの音と生のドラムの音が聞こえる。
より実音に近い、生々しい音。
ステージを見るのには適していないが、音の鼓動を体感するのにはうってつけだ。
ステージを動き回るzoe。エクスプローラーにぶつかって倒してしまった。
間髪入れずに続く、BOOSTER。この曲が流れてくると何故か安心する。
落ち着いた、地に足のついた爆音だからであろう。
速くはないがグルーヴィーで分厚い。完成の域に達している。

少しブレイク。ほとんど何も話さないhal。
チューニングするメンバー。

独特のドラミングからはじまるBACKFIRE SHUFFLE
ザラザラしたロックンロール。頂点に達する狂気。
自分自身が、このリズムと共振している。
爆発的なPassionがほとばしる。
一転、再びゆるやかなリズム。COSMIC GROOVE
派手さはないが、zoeのカッティングが活きてくる。

再びのブレイク。チューニングの音が響く。
MCがない。静かで、緊張感がある。

幻想的な音のイントロ。DRIVE YR TERRAPLANE
この曲も安心できる曲の一つ。
爆音と轟音に包まれた、えもいわれぬ浮遊感。
この心地よさは、何なのだろう。
そして最後。新曲、L.K.M.
比較的キャッチーな曲調。聴くのは2度め。
聴きやすい中にもHALらしい分厚い音。
リリースが待ち遠しい。

歌い終わり、ステージを去るメンバー達。
7曲の予定と事前にHPで告知されていたが、6曲のみ。

後ろを見る。ガラガラであった客席さ、いつの間にかさらに人が少なくなっている。
最前列に取り残されてしまった。
気恥ずかしいような、疎外されたような気分になる。
でも、本当に生の音を聴き、体感できた。それでいい。

入れ替えが始まったステージ。
halのモニターの所に置いてあったセットリストを失敬する。
1曲目が、切り取られている。
時間が押しているようだ。そのために1曲削ったのだろう。

次に登場したバンドはDAS BOOT
今日の前半のロックンロールとはまた違う、渋いロックンロール。
激しいリズム。直情型のプレイ。ブルースと言ってもいいかもしれない。
内面から溢れてくるスピリット。ブランキージェットシティーのようなイメージ。
結構好きなスタイルのバンドである。

演奏が終わる。次のバンドのセッティングがはじまる。
時計を見る。驚いた。10時をとっくにまわっている。
そんなに長い時間がたっていたのか。

いつも、ライブは全バンドを見ることにしている。
しかし今日は長過ぎる。最後まで見ないのは少し心残りだけれど、この辺で帰るとしよう。
すごく短い時間に感じたけれど、実際には開演から4時間近い。
密度が濃い。そういうことだ。

重い防音扉を開け、外へ出る。
階段を上りきるとそこは見慣れた渋谷の街。
身を切るような冷たい空気。
耳の中にサイクロンの残響はまだ残っているけれど、気持ちは一気に日常に引き戻される。

連休の最終日の夜。いつもに比べれば人通りは少ない。
家路を急ぐ人の群れに紛れ込む。

山手線からの見飽きた風景。
ところどころに残る雪。それだけで印象が随分違う。
人工物だらけの街にも、自然はしっかりと存在している。

今日のライブは面白かった。
音楽性は多様。スタイルも様々。ストイックであり、ユーモラスでもある。
オーディエンスの楽しみ方も十人十色。つまり、何でもあり。
これでいいのであろう。音楽なのだから。
濃密なライブ。僕にとって、いい区切りになった。
これで、気合を入れて明日から頑張れる。



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