私的ライブレポート


HAL FROM APOLLO'69ライブレポート
2001 April~May


注)  面倒なので文中ではHAL FROM APOLLO'69のzoё氏を「zoe」と表記しています



2001年4月18日。

年度が変わった。
僕自身、学生から社会人になった。
住み慣れた実家を離れ、寮での生活がはじまった。
何かと落ち着かない。期待と不安が充満している日々。

昨年から変化をし続けてきたHAL FROM APOLLO'69。
この春、彼らも大きく変わった。待望のCDリリースも秒読み段階。
今回はメンバーチェンジ後初のライブ。復活祭である。

会社があるから、ライブに行くのは半ばあきらめていた。
渋谷は少し遠い。開演には間に合わない。
さらに、明日の朝はいつもより早い。

それでも、ライブに行きたいという思いには勝てない。
幸い、新入社員だから残業はない。今のうちである。
しかも、HALの出番は最後とのこと。見られる。

定時になり、残業する先輩社員の姿に後ろめたさを感じながらも会社を出る。
足早に会社の前からバスに乗り込む。

10日ぶりの渋谷。この街の空気に触れると少し安心する。
時計を見る。すでにライブは開演している。
今回は全部のバンドを見るのは最初から無理である。

club asia。
テーブルに置かれた蝋燭とお香、さらにスクリーンの映像が異空間の雰囲気を醸し出す。HALの最近のホームグラウンド。
ちょうどFEEDというバンドの演奏が終わったところ。
物販コーナーとその周りには見慣れた顔がいる。
いつもと同じだ。違うのは僕がスーツを着ているぐらいか。

Pomegranateの演奏がはじまる。初めて見る。
非常にかっこいい。ヘヴィーロック的な音であるがまぎれもないロックンロールである。
個性的で、かつ土台がしっかりしているバンドだと思う。結構気に入った。
久しぶりに体感するライブハウスの音圧も心地よい。

さて、早くも今日最後のバンドであるHALの出番。
いつものように、いつもの顔ぶれが前方に集まってくる。
ステージ上のセットはこれまでの4人体制のときとそれほど変わらない。
zoeのポジションには見慣れたエクスプローラーとフライングV。

照明が落ち、ステージに現れたのは新加入ドラマーのEric、昨年からベースで参加しているAli。ギターはもちろんzoe。
少し遅れて登場のhal。以前より若干スリムになった印象を受ける。

オープニングナンバーはいきなりNEXUS。
狐につままれたような感じでHALのステージの幕が開く。
続くBOOSTER、BLOODBATH。グルーヴ感とスピード感の入り混じった選曲。

新ドラマー、Ericのドラミングもいい感じだ。シゲソニックのマシンドラムとEricの野性味、どちらの方がよりHALに合っているのかはわからない。ただ言えることは、マシンドラムの無機質さもHALであり、このワイルドさもHALなのであるということ。変幻自在なバンドである。

今日のhalは饒舌。バンドの復活祭はhalのトークの復活祭でもある。
自ら「喋らなければカッコイイ」とまで言っている。

BACKFIRE SHUFFLE。ロックンロールだ。Ericのドラムが活きてくる。
続くROKKET KHAOS。疾走感あふれるアレンジ。かっこいい。
たたみかけるようにSWEET THING。懐かしい曲が続く。でも古くはない。
過去の曲も現在のスタイルに合わせてアレンジし、再生し続けていく。こんなところもHALの大きな魅力である。それがなかなか音源にならないのが残念なところではあるが。

5月までのライブ予定、そして待望のCDリリースの告知。
相変わらずトークが弾けるhal。喋らないzoeに突っ込みを入れる。

最後の曲、LKM。リリースが待ち遠しい新曲。
狂気のポップナンバー。HALらしい。
満足げな表情でステージを後にするメンバー達。

今日の選曲は聴きやすかった。LKM以外は最初のリリースからかなり時間が経っいるものが多かったが、それだけにアレンジもステージングも完成の域に達しているという印象を受けた。

新しいHALは、同時にHALの原点であるのかもしれない。

一歩外に出ると現実の世界。雨の降り始めた渋谷の街。
天気は悪いが気分はいい。
今日ライブを見たことで、4月当初からの何かモヤモヤしたものが吹き飛んだ感じがする。この感覚は学生の時にはなかった。

少し無理してもライブは行くべきである、そう思った。

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2001年4月27日。

金曜日。連休を目前に控え、妙な開放感と忙しさが漂う。
社会人になって最初の長い休み、その前日。

10日間という短いインターバルでのHALのライブ。
今回は横浜。会社を早く切り上げれば間に合う。
運良く、市街に近い方のオフィスから直退できることになった。
当然のように定時ちょうどで切り上げ、会社を後にする。

横浜F.A.Dに着いたのはまだ開場前。
外でスケボーで遊んでいるコヤマさんと話をしながら時間をつぶす。

中に入る。意外と小さい会場。
細長いフロアの奥にステージ。
ステージと向かい合うように設置されたHALの物販ブース。

物販ブースのスタッフ以外に見慣れた顔はあまりいない。
今日、HALファンは少ない。

一組目のバンドはELLE GARDEN。
音の作り方は結構好きな感じのロックバンド。メロディーがいい。
初めて聴くがかなり好感が持てる。
機会があればまた聴いてみたいと思った。

次に登場したのはCOTE-DOR。これも初めて見る。
演奏は上手い。サウンドも曲もかなり凝っている。
ただ、少し凝りすぎという印象がある。悪くはないのだが。

HALはこの後。いつものように前の方に移動・・・するのだが、前の方には僕を含めてほんの数人しかオーディエンスはいない。他のオーディエンスは後方で遠巻きにしている。客席中央には、ぽっかりと穴があいている。

ライブがはじまる。いつも通りのパワー感。
いつもより早いリズムのRokket KhaosとBackfire Shuffle。すこし速すぎの感は否めない。
盛り上がる最前列。

しかし、最前列のHALファンと後方のオーディエンスの間には見えない壁がある。
後方のオーディエンスを手招きするhal。おどけて見せても、反応する客が少ない。

終盤、Piramid of Venus。少しhalの様子がおかしいことに気付いた。
ステージに座り込んでしまう姿も、少し虚ろな視線もいつもの狂気とは程遠い。
少し心配にはなったが、無事ライブは終了。言葉少なにステージを後にするhal。
後で知ったことだが、この日のhalは体調が悪かったらしい。
それでも、そこまではそんなことを感じさせないライブであった。
本調子でなくてもこのクオリティ。流石である。

最後に登場はジムノペディア。
3ピースのロックンロール。激しい演奏と重低音のサウンド。悪くない。
ほとんどのオーディエンスはこのバンドのファンのようだ。
確かに、かっこいい。

アンコールが二回というのははじめて見た。それだけ支持されているということだろう。

ライブ終了。外へ出る。当たり前だがすでに暗くなっている。
コヤマさんはスケボーをしている。
今日の収穫は、ここでzoeと話ができたこと。
ステージ上では凛としたクールな印象だが、話してみると気さくな人である。
ミュージシャンとそのファン、という感じではなくて単なる知り合いとして話ができる。
何故か、すごく安心した。

帰途につく。ライブの余韻に浸りながら、寮の方に向かうバスに乗る。
次回は待望のワンマン。しかも横浜。
行かない手はない。
 

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2001年5月12日。

天気のいい土曜日。
午前中職場の仲間とテニスをした。気分は爽快。
まだ慣れない横浜の街を、一人あてもなく散歩してみる。
心地よい疲れ。新鮮な町並み。

夜。足は伊勢崎町へと向かう。歓楽街とは違う方向へ。
ビルの地下に続く階段を降りていく。
オープンして間もないライブハウス、CLUB 24 WEST。

思ったより狭い空間。非常に狭く、近いステージ。
大きく取られたバーカウンター。いい雰囲気の空間。

ステージには見慣れた機材。
会場内には見慣れた顔も多い。久しぶりに見る顔、初めて見る顔もいる。

HALの7ヶ月ぶりのワンマンライブは、僕にとって初めて体験するHALワンマン。
もちろんHALのライブ自体は何度も見ているが、さすがにワンマンは違う。

不安がなかったわけではない。
このところのライブで、HAL目当てのオーディエンスはそれほど多くないという印象があった。Ali、Ericの加入でオーディエンスにも新しい顔が加わったのは確かだが、会場が埋まるのは共演バンドによるところが大きいという感じは否めなかった。だから、会場が埋まるのか?という一抹の懸念はあった。

オーディエンスが少ないと、見ている側もやりにくいのである。

不安はすぐに消し飛んだ。超満員とは言わないが十分満員といえるだけのオーディエンス。少しづつ暑くなっていく会場。
HALの盟友、コヤマさんのDJの選曲もなかなかいい。

午後9時を過ぎる。客席側の照明が落ちる。
少しのざわめきと静けさ。
メンバー登場。
halの衣装は珍しく(?)セクシー系(??)だ。ギラギラの短パン。

HAL FROM HEAVEN。
ライブで聴くのは初めて。ポップで聴きやすい曲だ。
1stアルバムからの曲だがサウンドは現在形。色褪せない。
ニヤリ、とさせられるオープニングナンバー。

BOOSTER。BACKFIRE SHUFFLE。UP。666。(順不同)

何か、今までとは違う感じがある。ベースの音色のせいだろうか。
リズムセクションが違うとやはり曲の印象が全く変わってくる。

見ている全員がHALのファンであるから、メンバーもやりやすいようだ。
halのトークも炸裂。オーディエンスもリラックスしている。

トーク中の和やかな雰囲気と、スリリングな演奏のギャップはいつも以上。

演奏終了後のアンコールを要求するhal。そうしないと締まらないらしい。
言われなくても、アンコールはするつもりである。

一応、最後の曲はPyramid of Venus。
荘厳かつ幻想的、そして全てを包含するようなサウンド。ライブで聴いてからその良さを噛み締めることができるようになった曲。
初期の曲、今のhalのスタイルになる以前の曲ではあるが何の違和感もない。
そのタイトルの通り、宇宙が見える。

打ち合わせ通り(笑)のアンコール。少しじらしてから登場するメンバー。
流れてくるのは、SWEET THING。
僕にとって、ポップなHALのスタンダード。いつ聴いても新鮮。
7年前、偶然ラジオで聴いたこの曲。その後は全く忘れていたのに、二年前何の気なしに覗いた某古本屋でのこのCDと出会った。
何かに惹かれて興味本位で聴き、しびれた。それが僕にとってのHALへの入り口であった。
まさにMINDGATEを開いてくれた曲。これがなければこのバンドを知らずに過ごしていたことだろう。
これも運命なのかもしれない。

1曲の、予定通りのアンコールが終わる。
まだまだ聴きたい。オーディエンス全員の瞳が、そう言っている。
ただ、今日のライブでレパートリーは出し尽くした、とhal。やるのならこれまでにやった曲。

もう1曲のアンコール。ほぼ満場一致の結論。
BACKFIRE SHUFFLE。
最後の盛り上がりに相応しい曲。
狭いライブハウス内、最高潮に達したテンションが一気に爆発する。
バックファイアというよりはエンジン内の等容燃焼、または減速材のない核分裂反応。

最高のパフォーマンスを見せたライブは終了。
満足感。興奮。笑顔。

フロアはオールナイトのクラブイベントへ雪崩れ込む。
あちこちにファン同士の輪ができ、話に花が咲いている。
しばらくしてメンバーも登場。
さっきまでステージの上にいたメンバーと、それを見ていたファンが今度は同じ立場で雑談に花を咲かせている。
ワンマンライブ後のクラブイベントならではの光景。

何人かがメンバーにサインをもらいはじめた。それにつられるように人だかりができる。
僕もサインをもらうことにした。HALのTシャツに、4人のメンバーのサインを入れてもらう。
今日はじめて着たTシャツなのだが、これでもう着られなくなってしまった。下手に洗濯もできない。
でも、それはそれでいい。このTシャツは永久保存モノである。

オーディエンスの中に、Scudekia Electroの石田小吉氏がいる。
hal、そして最もコアなHALフリークの一人であるdelta-1と話をしているのは以前対バンもしたW.A.R.Pのメンバー。
delta-1特製のピックアップ付き拡声器「HAL-001」の説明を受けている。どうやらW.A.R.P.も興味があるようだ。
商談成立、そんな雰囲気である。

ライブ終了からしばらく経過。AliやEricは帰途についた。会場も、気持ちも落ち着いてきた。
明日の予定もあるから、頃合を見計らって会場を後にする。
外は少し涼しい。もうバスもない。
こんな時に躊躇せずタクシーに乗れる、そんな些細なことで社会人になったことを実感する。

自分にとってのHALの存在を再確認し、再定義できた。
受け身になって聴くだけでない。
直に話をする、そのことでHALというバンドは一層身近になり、同時に一層絶対的なものになった気がする。

一般に、HAL FROM APOLLO'69を知っている人は非常に少ない。
しかし、このバンドを好きになった自分は間違っていない。その思いは確信に変わった。
 
 

サインの入ったTシャツ
背中にサインの入った僕のTシャツ
 



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