ムラサキイガイのかぶせ釣り

かぶせ釣りをバイキング筏44で楽しむ

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サイト更新日 2017-02-19

発信地:広島県 広島市  since 2004/5/11 ©K.Hosohara



はじめに

夏はカキのコンディションが悪い

麦秋の頃になると、かぶせ釣りの餌であるカキを採るにも汗だくになって辛いですね。餌盗りも増え、カキも身のコンディションが悪くなる時期です。深い位置に付いているカキが採れたら良いのですが、いつも都合よく潮位が低い日ばかりではありませんから、思うように餌が確保できないことも多々あると思います。

ところで、カキを採っていると場所によっては、ムラサキイガイが見つかることがありませんか?ムラサキイガイは別名「ムール貝」とも呼ばれるヨーロッパ産の黒い二枚貝で、石垣等の護岸や港の係留設備等に群がって付着しています。急潮の深場に生息する日本固有種の本来のイガイ(いわゆる瀬戸貝)に外見が似ていますが、瀬戸貝とは別物です。ムラサキイガイは外来種、イガイは在来種です。生育環境が異なるため、見た目は似ていても種の駆逐といった問題は生じません。

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ムラサキイガイは夏に太る

夏場、カキの身が痩せてコンディションが悪くなるのに対し、ムラサキイガイは夏に身入りがよくなる貝で、高温になる環境に適応していますので保管も楽です。もし、まとまってムラサキイガイが確保できるようであれば、これをかぶせ釣りに利用しない手はありません。

ムラサキイガイで
かぶせ釣りができる!?

広島では、カキと並んでムラサキイガイもかぶせ釣りによく利用される代表的な餌なのです。広島湾南部のカキ筏では、古くからムラサキイガイのかぶせ釣りでタイ、アイナメ、イシダイを狙っている人がいます。

実際にムラサキイガイの殻を開けて身に鈎を刺してみると、うまくいけば結構強い維持が得られます。この強い維持力を利用して、スピニング・タックルで殻付きムラサキイガイをキャスティングしてみましょう。一見ブッコミ釣りスタイルですが、仕掛けにオモリは使わずに貝の自重で底をとります。


もちろん、本来のかぶせ釣りが重視する「餌が落ちるシーンをアピールすること」は、魚を集めるという意味で、ムラサキイガイのかぶせ釣りにおいても、やはり重要です。この点に関して、錘を使ったブッコミ釣りとは一線を画します。

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タックル

竿は、カキのかぶせ釣りに使うものを流用してもかまいません。ただし、繊細な穂先そのままで重量のあるものを投げるのは無理があります。

筏竿の場合は、穂先が折れて調子が硬くなったような物を使ってください。カキの場合と違って竿を使って投げるので、筏竿なら最長サイズの2.1mがベストですが、できれば筏竿よりさらに長めの竿の方が有利です。

竿の反発力で投げる

慣れてきたらある程度竿の反発力を利用して遠投できるようになります。この点でも、筏竿は反発力が少ない設計なので遠投には不向きです。

ただし、あまりにも長い竿(磯竿など)だと、水平に構えて当たりに備えるのは体力的に辛いうえに、合わせの実効性が遅れる胴調子なフィーリングになります。自分の体力と釣り場の環境で長さを決めたらよいのですが、筆者の場合、当たりのとりやすさと即応性を考慮して、全長2.7mの硬調・超々先調子竿を愛用しています。

先調子が有利

また、この釣りにおいて非常に大切なお約束のひとつである、「魚の当たりを区別して捉える」ことを実践するうえでも、穂先が極端に柔らかい筏竿や、磯竿(チヌ竿)のように軟調で胴から曲がるようなタイプは、好ましくありません。

そのような軟調竿(穂先)では、かえって餌盗りと本命魚の当たりの区別が難しいうえに、合わせを入れても効き始めるまでにタイムラグが生じます。また風や潮流が強い日には、かぶせ釣りのためのデリケートなライン・メンディングすらまともに実行できません。


以上の観点から、これからイガイ・キャスティングを始めるのに際し、市販品をそのまま流用したい方には、ズボ釣り用の竿をオススメします。長さは2.4~2.7m級が使いやすいでしょう。

例外として根が荒く、根掛かりがひどい場所では、キャスティングよりも竿先からそのまま真下に落として釣る方が良い場合があります。このような時は、射程距離を広げる意味で、5.3~6.3m級の磯竿(1.5~2号)くらいが使いやすく、リールは片軸リールが最適です。

スピニングリールがデフォルト

リールは小型~中型のスピニングリールを使います。私はダイワの2500~3000番クラスをラインの太さに応じて使い分けています。コブダイやイシダイと勝負するときは、ドラグなしのレバーブレーキ付きが断然便利です。ドラグ付きのレバーブレーキの場合は、限界までフルドラグに設定しておきます。

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ナイロン直結がおすすめ

ラインは、ナイロン3~4号の直結がオススメですが、超大型魚狙いではなく、飛距離を優先したいなら、道糸をPEの1~2号とし、フロロカーボンまたはナイロン製のハリス(4~6号)を1~1.5m程度取って接続すると良いでしょう。結束方法は、通常通りPEの端をビミニツイストでダブルラインにして繋ぐか、SFノットやFGノットが無難です。

道糸がナイロンならハリスの設定は不要です。シンプルな仕掛けがかぶせ釣りの身上ですから、わざわざ繋ぎ目を作って強度を下げる必要ありませんね。

鈎は?

鈎のサイズは、使うムラサキイガイの大きさに応じて使い分けるべきですが、チヌ鈎6号ぐらいが標準でしょう。ケプラーを扱う技術のある人なら、例の2本鈎を使うのも効果的です。いろいろ試してみてください。

釣り方

もう十分ご承知のように、殻を開けたムラサキイガイの身に鈎をさして、投げ込むだけです。

ムラサキイガイの殻の開け方について、おおよその段取りですが、まずは左右の殻の間にあるに付着している糸状の毛の束を引き抜くように引っ張ってください。次に、その毛の付着していた辺り(ムラサキイガイの形を三角形で表現すると、ちょうど斜辺に相当する部分のちょうつがいに近いところ)に殻の隙間がありますから、ここから貝割りナイフを差し込んで、貝柱を切断してください。そうすれば、カラをカパッと開くことができます。

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写真のように、2本鈎を利用するのも効果的ですが、もちろん1本鈎でもかまいません。
(写真がピンボケですみません)

ムラサキイガイの殻は長径5cm以上、できれば7~8cmくらいのサイズが使い易いでしょう。大量に撒き餌用を確保する必要もありません。

夏はエサ盗りが多いので、撒き餌などしなくても、刺し餌の打ち返しだけで集魚力の強いムラサキイガイには大量の餌盗りが寄って来ます。きっと周囲の大きな魚も、餌盗りの集団に注目して興味を示していることでしょう。

普通のかぶせ釣りでカキを利き手で投げるようなスタイルで、もしムラサキイガイを投げたとすると、飛距離はあまり期待できませんし、汁が自分の体に飛び散って汚いことこの上ありません。

しかし、竿を振ってムラサキイガイを投入すると、小さなサイズの貝でもかなりの飛距離が出ます。

むしろ、超大型のムラサキイガイよりも中~小型の方が投入時の身切れなどのトラブルが少なく、安定して使えると思います。例えば、ナイロン3号ラインで7~8cmクラスのムラサキイガイを使えば、20mは飛ばせます。

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無風状態なら、筆者は4号ナイロンラインでも軽く30m近く飛ばせます。しかし、殻の空気抵抗が大きいため、逆風だとすこぶる飛距離が落ちます。貝によって身入りの状況にバラツキがあるので、鈎の刺し方については臨機応変に対応してください。

また、ムラサキイガイはカキと比べて軽いですが、水中での殻の抵抗が大きいので、ラインを張るとシーアンカーのような効果が生じます。そのため自重が軽くとも、餌を盗られているか否かは、カキのかぶせ釣りと同じようにラインを張ってやれば容易に判別可能です。

そして、カキとは異なる維持力の強さに物を言わせ、根掛かりの少ないポイントでは、遠投して着底した後、手前にさびいて寄せてくることも容易です。これもこの釣りの誇る美点のひとつで、広範囲にポイントを探ることが出来ます。

ゆっくり手前に少し移動させて止め、10秒くらい待って(餌盗りを含めて)当たりがなければ、また移動させる、というふうに積極的に探ってみましょう。

餌盗りの当たりは、そのまま待っていると餌を盗られるだけのこともありますが、餌盗りに続いていきなり本命がガツンと当たってくることがありますので、気を抜かずに集中しましょう。大概は、止めた直後にバイトがあるはずです。そう、ルアー・フィッシングの基本「ストップ&ゴー」と同じ要領です。

ポイント選択

通常のかぶせ釣りと同じスタイルで、足元に投入しても全くかまいません。しかし、軽いムラサキイガイを遠投することがこの釣りの最大の武器ですので、是非キャスティングを試してみてください。

このかぶせ釣りは射程距離が長いため、防波堤の周囲の捨石より沖の駆け上がりや、砂地を楽に攻略できるので、干潮時にも思わぬ釣果が得られる可能性があります。

夏は、浅場に魚が寄る時期ですから、潮位が低い時間帯や浅場でも、遠投で積極的に攻めてみましょう。潮が濁っている時は特にねらい目です。

この釣り方を試した場所は未だほんの数箇所なので、実績が少なく、あまり確かなことは言えませんが、これまで通常のかぶせ釣りが苦手としていた、石積みの浅い波止や、遠浅の護岸、足元の悪いテトラや磯などでも可能だと思います。

対象魚

カキで釣る場合と全く同じです。
チヌ、タイ、コブダイ、イシダイ、アイナメ、カレイ、キジハタ(アコウ)、キス、タナゴ、カサゴ、ウマヅラ、カワハギ、タコなどの実績があります。

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おわりに

ムラサキイガイの貝殻内面の輝きはホログラム効果抜群で、特にイシダイ、タイ、チヌ、タコなどにはよく効きます。また身のエキスも集魚力絶大です。ですから撒き餌は不要です。それに、このクソ暑いのに、撒き餌の作業なんて面倒くさいでしょ!?

また、カキは殻を割る作業では、汁が飛び散ったりするので、長靴を履かなければ足元が汚れますが、夏は軽装で遊びたいので、見た目にも実用的にも暑苦しい長靴はパスしたいですし、この点でもムラサキイガイは好都合です。真夏のかぶせ釣りは、気楽にカジュアルに楽しむことに主眼を置きたいですから。

とまれ、ダンゴ釣りあるいはカキを用いた正統派(?)のかぶせ釣りで苦労している釣り人の脇で、この「お気楽釣法」は思いがけず好釣果を叩き出す潜在的ポテンシャルを持っています。

カキを餌にバイキング筏44でオーソドックスに釣るかぶせ釣りとは対極的ですが、夏季限定でこのようなハズシたかぶせ釣りも楽しいものです。

ここに述べた内容は、現在の筆者のスタイルですが、確立したものではなく、まだまだ改良の余地が十分あると思います。皆さんもアレンジして楽しんでみてください。

ムラサキイガイは、釣り餌用のものを業者さんから購入することもできます。
濱本水産様 http://www.hamasui.net/