橋本行政書士事務所
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マンションの豆知識


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Q4.管理組合の総会を管理会社の社屋で開催することに問題はないか。
   ある管理組合では毎年1回総会を開催していますが、参加者はほぼ役員のみで、あとは委任状参加ばかりという状況となっています。そこで、総会の開催場所はいつも管理会社の社屋で行われていますが、この点につき問題はないのでしょうか。


A4.確かに、管理組合総会を管理会社の社屋等で開催しても法的に許されないというわけではありません。しかし、それではどうしても管理会社のペースで進められることになり、管理組合の独立性という点で事実上の問題は生じますから、決して望ましいものとはいえません。

 そもそも管理組合と管理会社は委託契約の当事者で、委託者は管理組合であり、受託者である管理会社は委託者である管理組合の意思を尊重して業務を行う義務があります。したがって、本来イニシアチブをとるべきなのは管理組合側ということです。

 総会の開催場所については、区分所有者等が参加しやすい場所であることが必要であり、マンション内での開催が困難である場合は、近くの施設で行うことになります。その際、会場費等は有料ですが、おそらく数千円〜1万円程度の出費ですから、 このくらいの出費は当然というべきです。

 結局、総会は管理会社の社屋内で行うのではなく、組合員が参加しやすいマンション近くの会場で行うようにするべきといえます。
Q3. 平成28年3月14日に国土交通省より発表された改正「マンションの管理の適正化に関する指針」と「マンション標準管理規約」の概要を教えてください。

A.3. 「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」の改正の概要
 国土交通省は、成28年3月14日に改正「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)を公表しました。

1.改正の背景・経緯 
 マンションの管理ルールについて、高齢化等を背景とした管理組合の担い手不足、管理費滞納等による管理不全、暴力団排除の必要性、災害時における意思決定ルールの明確化など、様々な課題が指摘されており、これら課題に対応した新たなルールの整備が求められていました。

2.今回の改正の流れ、概要
@ マンション管理組合による管理の適正化のための必要事項を定めた「マンションの管理の適正化に関する指針」(マンション管理適正化法第3条の指針)の改正を官報公布
→ コミュニティ形成の積極的な取組みを新たに明記され、また外部専門家を活用する場合の留意事項を明記等されました。
A 区分所有者間で定めるマンションの管理ルール(区分所有法第30条の規約)の標準モデルである「マンション標準管理規約」及びこれの解説である「マンション標準管理規約コメント」の改正を自治体・関係団体に通知
→ 外部専門家の活用、管理費等の滞納に対する措置、暴力団等の排除規定、災害時の管理組合の意思決定、管理状況などの情報開示に関する規定を整備、コミュニティ条項を再整理等されました。

詳しくは、「国土交通省HP内のマンション管理についてのページをご覧ください。

各マンションは、この新しいマンション標準管理規約を参考にして管理規約の見直しを行いましょう。

Q2 修繕積立金の取崩し〜修繕積立金を「組合費」の補填に当てるため取り崩すことができるのか?

A2 あるマンションでは、組合員から徴収する費用として、管理費、修繕積立金の他、「組合費」という名目で徴収しており、ある年度において、修繕積立金を組合費へ振り替えるため取り崩すという取扱いをしていました。
 標準管理規約によれば、まず組合員から徴収する費用は管理費と修繕積立金であり、他に駐車場使用料等が認められていればその使用料の徴収も認められますが、これとは別の「組合費」という名目での費用は通常は認められません。それを徴収することがそもそも問題となります。さらに問題は、修繕積立金を「組合費」へ振り替えるため取り崩したという点です。標準管理規約によれば、修繕積立金と管理費は明確に区分して経理することが求められており、また、修繕積立金の取り崩しは、限定されています。
 当該マンションでの取り扱いは、これに違反するものといえます。
 いずれにしても、マンション管理に際しては、区分所有法や管理規約等に即した運営がなされるべきであり、専断的な運営は避けなければなりません。
Q1 総会招集通知先〜ある部屋(専有部分)が共有の場合、総会招集通知は誰にすればよいか?

A1 区分所有法第35条第3項によれば、「専有部分が共有に属するときは、総会招集通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。」となっています。
 第40条では、「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。」とされています。したがって、まず専有部分の共有者で議決権行使者を決め、それを管理者(通常は理事長)に届け出て、管理者は届け出のあった共有者の一人に通知をするということになります。
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【目 次】
1 専有部分と共用部分
2 マンション標準管理規約
3 役員の輪番制
4 マンション管理組合の運営〜理事・役員になったら知っておきたいマンション管理の基礎知識
5 総会成功のためのポイント
6 管理業者との契約での留意点
7 理事の資格に制限はあるか
8 理事会運営のポイント
9 区分所有者の死亡と相続
10 専門委員会の設置と活用の勧め 
11 適正な修繕積立金とは(1)
12 大規模修繕のポイント
   ■その1 大規模修繕の進め方の7つのポイント
   ■その2 大規模修繕の体制
   ■その3 「情報の収集」「情報の共有」「情報の保管」
13 管理委託費を見直そう
14 マンションの防犯対策措置
15 管理規約改正作業の進め方
16 マンションでの孤独死を防ごう
17 役員の選出と引継ぎ
18 総会議事録の作成方法と署名押印
19 総会招集の手続
20 管理業者選定のポイントと変更手順
21 マンションに関係する税金
22 駐車場の賃貸借契約書に印紙税はかかるか
23 団地型マンションについて
24 集会(総会)の招集について
25 個人情報保護法とマンション管理組合
26 平成23年改正 マンション標準管理規約のポイント
27 適正な修繕積立金額とは(2)〜平成23年4月国土交通省発表「マンションの修繕積立金に関するガイドラインについて」
28 大規模修繕の時期
29 マンションの防犯対策
30 マンションの排水菅の維持・管理
31 仲介不動産業者の義務〜重要事項説明と契約書面の交付義務
32 分譲マンション特有の重要事項説明


1 専有部分と共用部分

1 マンション管理において、意外と知っているようでその限界が難しいのが共用部分と専有部分との区別ではないでしょうか。
 
2 区分所有法という法律によりますと、「共用部分」とは、@専有部分以外の建物の部分、A専有部分に属しない建物の附属物、B及び法4条2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいいます。そして、その中には、法律上当然に共用部分となるもの(これを「法定共用部分」といいます)と区分所有者の定める規約により共用部分となるもの(これを「規約共用部分」といいます)の2種類があります。
 規約共用部分は登記をしないと第三者に共用部分であることを対抗することができません(法4条2項)。
 これに対して、法定共用部分は客観的な性質から共用部分であることがわかるため、登記をしなくても第三者に対抗することができます。

3 具体的にみると
  @ 廊下、階段室、エレベーター室 … 法定共用部分です。
  A 集会室、管理員室 … 規約で共用部分とできます。
  B ガス・水道の配管、冷暖房設備、消防設備、昇降機 … このような建物の附属物のうち、専有部分に属すると認められるもの以外は、法定共用部分です。
  C 物置、倉庫、車庫 … 規約で共用部分とできます。

4 区別が難しいもの
(1) 柱、壁、床、天井など専有部分相互間の境界
  まず、柱、壁、床、天井など専有部分相互間の境界はどのように考えればよいのでしょうか。
  これには、いくつかの考え方がありますが、建物の維持管理の面や区分所有者の意識及び保険実務の考え方などからは、「上塗り説」という考え方が妥当とされています。すなわち、境界部分の骨格をなす中央の部分(躯体部分)は共用部分だが、その上塗りの部分(壁紙部分)は専有部分であるという考え方です。標準管理規約はこの立場を採用しています(同規約7条2項1号)。

(2) 支柱、耐力壁、屋根、外壁等
  次に、建物全体を維持するために必要な支柱、耐力壁、屋根、外壁等は、それがたとえ専有部分内にある場合でも、法律上当然に共用部分となるとされています。この点、屋上を共用部分とした判例があり ます(大阪高判昭52.9.12)。

(3) 管理員室
  管理員室は、その形態が管理員の居宅として使用されるかなどによって、法定共用部分なのか規約共用部分なのかに分かれます。

(4)  ピロティ
  ピロティは、通常完成された建物の空間として、広場・集会所・ホール・緊急時の非難通路としての用途を有しているため、法定共用部分とされます。

(5) ベランダ・バルコニー
  ベランダ・バルコニーについては、場合によっては居室部分に附属して一体をなすものとして専有部分であるとされることもありますが(広島地判昭54.3.23)、一般的には法定共用部分であり、各区分所有者 が専用使用権を有するものとされています(最判昭50.4.10)。ベランダ・バルコニーの多くは、それが上階のベランダ・バルコニーの床となっていることや非常時の避難路の役割を有していることなどからです。
                                                                                                                               以 上
 

2 マンション標準管理規約

1 管理規約は、個々のマンションにとって「マンション管理の最高の自治規範」です(マンション管理適正化指針第3条)。区分所有法は、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を結成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」とし(同法第3条)、また、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と定めています(同法第30条)。区分所有法上は、規約の設定を義務付けているわけではありませんが、個々のマンションが管理規約を定め、その定めに従い適切なマンション管理をすることを期待しているのです。また、一定規模以上のマンションでは、規約を定め、居住者間のルールを定めておくことは必要不可欠でしょう。適切な管理規約を持つことが良好な維持管理を可能とし、トラブルを防ぎ、またトラブルが生じた場合でもその解決の指針ともなるのです。あなたのマンションには管理規約がありますか、その内容は適切ですか。分譲会社が作成した規約を一度も見直しをしないまま、そのまま使用していませんか。この機会に管理規約を読み、適切な内容かどうか検討してみましょう。

2  マンション標準管理規約に至る経緯
 以前は、規約を分譲会社や管理会社が個別に作成していたため、内容もまちまちで、かつ不十分でした。そのため、昭和57年に「中高層共同住宅標準管理規約」が建設省(現国土交通省)により作成され、その後、昭和58年、平成9年と改正を重ね、平成13年の「マンション管理の適正化の推進に関する法律」の施行、平成14年の「マンションの建替えの円滑化に関する法律」の施行、平成15年の「建物の区分所有等に関する法律」の改正・施行を受けて、平成16年に「マンション標準管理規約」が発表されました。これが現在の標準管理規約です。標準管理規約には、単棟型、団地型、複合用途型の3種があり、それぞれ詳しいコメントが付されています。管理組合の役員の方には、是非一度読んでみることをお勧めします。

3  マンション標準管理規約の特色
 新しいマンション標準管理規約には、以下の特色があります。
 @ 「マンション標準管理規約」へ名称が変更されました。A「指針」から「参考」へ位置づけが変わりました。Bマンション管理における専門的知識を有する者の活用に関する規定が新設されました。Cマンションの建替えに関する規定が整備されました。D決議要件や電子化に関する規定が整備されました。E管理組合の新しい業務として、修繕等の履歴情報の整理・管理等の業務や地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成が規定されました。F未納管理費等の請求に関し、理事会決議を踏まえた理事長による法的措置が可能となりました。G共用部分の範囲を明確にしたり、ペットに関する規約の案文を設けるなどコメントが充実しました。
 なお、詳しくは国土交通省ホームページ(住宅局)に掲載されていますので、参照してみてください。
     http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/hyoujunkannrikeiyaku.pdf

4 規約改正作業のポイント
 各マンションが標準管理規約と異なる管理規約の定めをする場合、留意すべきいくつかのポイントがあります。規約改正の際には注意しましょう。

(1)  規約で定めることができる範囲の事項であること
 管理規約は「マンションの最高自治規範」であるといっても、どのような内容でも定められるわけではありません。定められる事項は、@区分所有法の個々の条文中、特に個別的に規約で定めることができるものと規定されている事項(同法14条4項、17条1項、18条2項、19条2項、22条、25条1項など)、A「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」(区分所有法30条)のいずれかに限られます。したがって、たとえば、区分所有者の区分所有権の譲渡や賃貸を制限あるいは禁止することは規約によってもできません。

(2)  区分所有法の強行規定に違反しないこと
 区分所有法の規定のうち、規約による別段の定めをすることを認める明文がない場合には、その規定は原則として強行規定(規約の定めを無効とする規定)ですので、規約で定めることはできません。したがって、規約を作る場合には、区分所有法の個々の条文と照らし合わせる必要があります。

(3)  規約の定めが特定の者の権利を害するものでないこと
 規約により区分所有者以外の者の権利を害することはできません(区分所有法30条4項)。また、規約の設定・変更・廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければなりません(同法31条1項後段)。

(4)  区分所有者間の利害の衡平が図られていること
 規約を制定・改廃するには、諸般の事情を総合考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければなりません(区分所有法30条3項)。

(5) 規約の制定・改正は各マンションの実体をよく踏まえたものにすること
 各マンションは、規模、構成員、築年数、単棟型、団地型、複合用途型などそれぞれ条件が異なっており、規約の制定・改正の際には、よく実体を把握した内容にする必要があります。居住者にアンケートをとり、要求・問題点を把握する、「規約改正検討委員会」などの専門委員会を作り、しっかりと検討する場を設ける、などの工夫が必要です。

5 以上、改正作業はかなり労力を要するものです。そのため、マンション管理士などの専門家に相談しながら進めることも必要です。国土交通省告示の「マンション管理適正化指針」においても、「管理組合の管理者等は、マンションの管理の適正化を図るため、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の知見の活用を考慮することが重要である」としています。
                                                             以 上
3 役員の輪番制

【質 問】
@ 役員を輪番制で行っているマンションは多いが、この輪番制を細則で定めることはできるか。
A 輪番制を拒否した場合のペナルティを細則で定めることはできるか。

【回 答】
1 質問の@について
 標準管理規約では、役員の選任方法については特に規定はなく(第35条第1項、第2項、第3項、第36条第1項参照)、各マンションの自主性に任されているといえます。
 標準管理規約は法律のように法的拘束力をもつものではなく、管理組合が管理規約を制定・変更する際の参考として位置付けられたのであり(標準管理規約コメント全般関係@)、各マンションにおいて、その実情に応じて管理規約で独自の定めを置くことは、区分所有法に定める強行法規に反しないかぎり可能です。この点、区分所有法においては、管理者(これは標準管理規約にいう理事長にあたります)やその他の役員の選任方法についての規定は特にありません。したがって、各マンションで、輪番制などの役員の選任方法を管理規約で定めてもよいし、また、管理規約では役員の員数や任期などの基本的事項を定め、細則で具体的な選任方法を定めるということも可能です。標準管理規約でもこのことは予定しています(第70条、同条コメント)。

2 質問のAについて
 管理規約あるいは細則で輪番制を定めた場合において、役員候補の人が役員の引受けを拒否する場合、これにペナルティを科すというのは無理でしょう。役員を引き受けることは法的性質としては、委任契約もしくはそれに準ずるものであり(区分所有法第28条、民法643条参照)、そうであればその役員候補者の承諾が必要です。また、承諾をしたから「善良なる管理者の注意義務」(民法644条)という重い義務を負う根拠があるのです。この承諾をペナルティによって事実上であれ強制することはできないと考えられるからです。
 また、実際上も、どうしても拒否する人に役員になってもらっても、役員としての義務を果たしてくれるかは期待できないでしょう。むしろ、管理組合の役割を理解してもらう努力をすることや、役員の負担を軽減する措置(たとえば各種専門委員会などを作るなど)をとる、あるいは役員には一定額の報酬を支払う、などの工夫をして、役員に誰でもなれる環境を整えることこそ必要でしょう。
                                                              以 上
4 マンション管理組合の運営〜理事・役員になったら知っておきたいマンション管理の基礎知識 

目 次
1 役員が回ってきた! まず何をすればよいの?
2 どうする管理組合の運営
3  理事会運営のポイントは
4  総会成功のためのポイントは
5  組織運営の要〜記録と広報
6  財政担当と財政体制の確立が重要
7  管理会社との協力関係を大切に8 問題解決のための情報確保

1 役員が回ってきた! まず何をすればよいの?
 ◆ 把握すること・見ることからはじめよう。
(1)  現場を見る
  ○マンション外回り
    → 敷地全体、建物外観・外壁、駐車場・駐輪場、植栽、塀・フェンス、ベランダなど
  ○建物内部
    → 玄関、集合ポスト、掲示板、階段、廊下、屋上、給水・排水設備、防火・消化設備、電気設備、エレベーター設備、管理員室・集会室など建物を隅々まで見て歩くことで、マンションのどこに問題があるか、役員会として補修・修繕など今後何を優先的にしなければならないかがわかる。
      ・ 共用部分は管理組合が管理するところ。共用部分は全部見よう。
      ・ 管理会社の担当者とともに見る。鍵のかかっている共用部分も全部見る。
      ・ 特に、管理事務室の中は念入りに!
         警報盤、鍵の管理、その他何があり、どのようなものかを把握する。
      ・前期役員の引継ぎ事項とする。

(2)  書類を見る
@ 総会文書にもう一度目を通す。
 a 何を議論し、何が決まったか、検討課題は何だったか
 b 会計処理をみて今一度概要をつかむ。
     ・決算報告書の構成…基本は4つ
        管理会計(一般会計)、修繕積立金会計(特別会計)
        収支報告書(収支計算書)、貸借対照表
     ・特に管理費と修繕積立金の割合を把握する。
     ・管理費会計のうち、委託業務費(管理会社への支払額)の割合と内容を把握する。
     ・未収金・未払金はあるか。貸借対照表で確認。
A 管理規約、使用細則
   ・管理組合の業務
   ・役員の業務(理事、会計、監事の仕事は何か)
   ・総会との関係
B 管理委託契約書
   ・管理会社を賢く使う。

(3)  法令を見る
   ・区分所有法(「建物の区分所有に関する法律」)
   ・マンション管理適正化法(「マンション管理の適正化の推進に関する法律」)
   ・マンション建替え円滑化法(「マンションの建替えの円滑化に関する法律」)
   ・マンション標準管理規約及び同コメント
   ・マンション標準管理委託契約書及び同コメント

2 どうする管理組合の運営
(1) 運営のポイント
@ 自立的な運営  そのためには区分所有者の全員が参加してその意見を反映させる。
A 情報の開示・透明化、運営の民主化
B 総会の成功、そのための入念な準備
   事前アンケートで問題点を把握する。総会資料の事前配布。確実な通知。
   事後のフォローにも注意する。
C 法令遵守、誠実な職務遂行
 a 民法(特に委任の規定)、区分所有法、標準管理規約、管理組合規約、使用細則などの規定内容を把握し、遵守する。
 b 理事・役員は管理組合に対し善管注意義務(「善良なる管理者としての注意義務」)を負う。

※ 善管注意義務とは、義務者の職業、その属する社会的・経済的地位などにおいて、一般的に要求されるだけの注意の程度、すなわち、管理組合理事一般の保有すべき注意義務の程度をいう。
※ 「この法律及び規約に特別に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」(区分所有法28条)
※ 「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」(民法644条)・報告義務(民法645条)・受取物の引渡し義務、権利の移転義務(民法646条)・金銭消費についての責任(民法647条)
(2)  管理規約と使用細則
@  管理規約は最高の自治規範。全員に徹底をする。
A  古い規約の見直し。「マンション標準管理規約」を参考にした作成・改正を行う。

(3)  共用部分の範囲と管理費用を明確にする。
    管理費・各種使用料などは特に公平な負担を心がける。
    そのため各区分所有者の負担割合を明確にしておく。

(4)  管理組合の経費
     管理費と修繕積立金の費目を明確に区別する。
     経理は正確であることと透明性が確保されていることが重要。

(5)  長期修繕計画の策定と見直し
    マンションの快適な居住環境の確保、資産価値の維持・向上のため。
    あらかじめ建物診断などを行って、適切な計画を持つ。

3 理事会運営のポイント
(1)  まずは初会合を
(2)  役割分担の決定と専門委員会の活用
(3)  管理会社へ連絡、管理会社との打合せ
(4)  前期理事会からの引継ぎ
(5)  理事会は毎月の開催を原則とする
(6)  理事会は1回2時間以内とする
(7)  必要に応じて管理会社の担当者の出席を
(8)  役員は規約、総会文書、法令集を携行する。
    法令集は予算をとって購入し、役員へ貸与する。
(9)  議事録を作る。
    理事会保管用を作り、その簡略版を広報用とする。
(10) 理事会メンバーの連絡先を把握する
(11) 守秘義務について

4 総会成功のためのポイント
(1)  早めの準備が総会成功の鍵
(2)  提案議題の検討と提案事項の内容確認
(3) 総会のタイムスケジュールを組む
(4) 場所の確保も重要
(5) 総会当日のスケジュールの検討
(6) 名簿の整備
(7) 管理規約の確認
(8) 開催後の広報も重要
(9) 臨時総会の場合
    必要に応じて説明会を予め設ける。

※ 総会の特別決議事項(区分所有法)
  ○区分所有者及び議決権の各3/4を必要とする決議
       項 目 (条文)                                                備 考
   1 共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)(17条)  区分所有者の定数は、規約で                                                          その過半数まで減ずることがで                                                          きる。  
                                                          共用部分の変更が専有部分の                                                          使用に特別の影響を及ぼすと                                                           きは、その専有部分の所有者                                                           の承諾を得なければならない。
   2 共有に属する敷地などの変更(21条)
   3 規約の設定・改廃(31条)  一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならな      い。
   4 管理組合の法人化(47条)
   5 管理組合法人の解散(55条)
   6 専有部分の使用禁止請求(58条)
   7 区分所有権の競売請求(59条)
   8 占有者に対する引渡し請求(60条)
   9 共用部分の復旧(61条)
   10 建替え決議(62条) 区分所有者及び議決権の各4/5を必要とする(特別多数決)。

5 組織運営の要〜記録と広報

6 財政担当と財政体制の確立が重要
   ・役員には、必ず財政(会計)担当を決めておくこと。
   ・預金口座名義は必ず管理組合の理事長名義にすること。管理会社名義にしない。
       「○○マンション管理組合理事長」

7 管理会社との協力関係を大切に
  ・ 管理組合と管理会社は車の両輪
  ・ 両者のコミュニケーションが取れているか。
  ・ 管理会社の重要事項の説明義務
     管理会社は、管理組合と契約をする前に、主要な契約内容を記載した書面(重要事項説明書)を全員に配り、その内容について説明会(重要事項説明会)を開催しなければならない。更新の場合も、管理会社は、管理者である理事長に重要事項の説明をしなければならない。管理委託契約の締結には、原則として総会の決議が必要。総会を経ずに契約更新をする場合には、「理事会決議で契約更新ができる」旨を管理規約で定めておく必要がある。

8 問題解決のための情報確保
 (1) 専門家の活用
     専門家:マンション管理士、建築士、弁護士など
     マンション管理適正化法の趣旨

 (2) 書籍の利用
    ・マンション関係の法令集
    ・マンション管理に関する書籍の購入
    ・(財)マンション管理センター  http://www.mankan.or.jp/
    ・インターネットの活用

 (3) 情報収集・外部への相談のための予算を組む

                                                                         以 上

5 総会成功のためのポイント


1 総会の意義
 総会(区分所有法にいう「集会」のこと)は、管理組合の最高の意思決定機関です。これには、毎年必ず開く通常(定期)総会と臨時の場合に開く臨時総会とがあります。管理者(理事長)は毎年1回総会を招集しなければならないとされていますが、この開催時期について標準管理規約では、新会計年度開始以後2ヵ月以内に招集しなければならないとされています。区分所有法では、総会で事務の報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合、管理者は20万円以下の過料に処せられるとされています。3月決算、5月総会開催という管理組合が多いので、総会を成功させるためのポイントは何かを考えてみることにしましょう

2 総会成功のためのポイント
(1) 管理規約と区分所有法の総会関係の規定を確認
 まずやることは、管理規約及び区分所有法で総会に関する規定はどうなっているのかを確認することです。いつまでに開催しなければならないのか、招集手続きや議決権割合はどうなっているのか、普通決議事項は何か、特別決議が必要なのは何か、委任の方法や代理人資格はどうなっているのかなど、管理規約及び区分所有法に違反しないよう確認しておく必要があります。

(2) 総会日程の決定と会場の確保
 いつどこで総会を開くのか、これは当然重要ですね。通常は標準管理規約と同様、決算期後2ヶ月以内としているところが多いでしょう。期日と時間帯(何時から何時まで)は区分所有者ができるだけ参加しやすい曜日・時間帯にし、会場はマンション内に集会場があればいいのですが、なければ外部で確保しなければなりません。予約が必要となるので、余裕をもって確保するようにしましょう。

(3) 役員候補の選任
 理事等の役員の成り手はなかなかないのが現状です。したがって、できるだけ早く次期役員候補を決め、内諾を得ておくことが必要です。なあなあではなく、候補の方の意見もよく聞きつつ、役員の重要性を理解してもらうようにしましょう。

(4) 総会の普通決議事項と特別決議事項を区別する
 総会の決議は、その事項により普通決議事項と特別決議事項とに区別されます。区分所有法上の特別決議事項としては、
@ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)、
A 共有に属する敷地などの変更、
B 規約の設定・改廃、
C 管理組合の法人化、
D 管理組合法人の解散、
E 専有部分の使用禁止請求、
F 区分所有権の競売請求、
G 占有者に対する引渡し請求、
H 共用部分の復旧
(以上@〜Hまでは4分の3以上)、
I 建替え決議(5分の4以上)
などがあります。これら特別決議事項を普通決議で議決することはできませんので、注意が必要です。

(5) 総会の招集手続き
 総会は、管理者(理事長)が少なくとも毎年1回招集しなければなりません(区分所有法第34条)。総会招集通知は、会日より少なくとも「1週間前」に、会議の目的である事項を示して、各区分所有者に発しなければなりませんが、この期間は規約で伸縮することができるとされており、標準管理規約では「2週間前」としています(ただし、建替え決議の場合には「2ヵ月前」)。招集通知の相手方は、もちろん区分所有者ですが、区分所有者からの賃借人などの占有者の利害に関係する場合には、招集者は、区分所有者への通知を発した後遅滞なく、集会の日時・場所・会議の目的たる事項をマンション内の見やすい場所に掲示しなければなりませんので、この点は注意してください。

(6) 総会の議事進行
 総会の流れは一般的には次のようになります。@開催宣言→A議長の選出→B定足数の確認→C議事録署名人の指名→D各議題の説明と質疑応答→E議案の採決→F閉会宣言。事前に理事会で十分な打合せを行い、規約の定めの確認、出席者数や議決権数などの集計、受付簿の用意などの準備を整えて総会に臨んでください。

(7) 総会後の手続き
 @ 議事録の作成
 総会終了後、議長は議事録を作成しなければなりません。作成を怠り、あるいは虚偽の記載などをすると過料の制裁がありますので、必ず作成してください。

 A 議事録の保管と閲覧
 議事録は管理者(理事長)が保管し、保管場所は建物内の見やすい場所に掲示します。また、利害関係人から請求があったときは、正当な理由のないかぎり、議事録を閲覧させなければなりません。
                                                                        以 上

6 管理業者との契約での留意点

1 マンション管理の主体
  マンション管理の主体は、あくまでマンション管理組合です。管理業者と委託契約をしていてもこの点は変わりません。したがって、マンション管理については、規約及び総会の決議によるのが原則です。問題は、管理業者に委託する場合に、@業者の選定をどうするか、A業務委託契約の内容をどのようにするかという点です。この点を理解することによって、適切な管理を実現し、また管理費・委託費の節減にも役立ちます。

2 マンション管理会社の選定
  マンション管理業者の選定については、まず国土交通省所管の「マンション管理登録簿」に登録されている業者か否か、管理業務主任者を設置しているか否か、を確認しましょう。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(「マンション管理適正化法」)(平成12年12月制定)という法律に基づき、登録業者でなければマンション管理業はできないことになっています。登録の有効期間は5年間です。
  登録業者には主に3つの規制が課せられています。@管理業者は、管理委託契約の締結前に、管理組合に対して、管理事務の内容や費用等の重要事項について説明しなければなりません。A修繕積立金等の預金口座名義を管理組合理事長名義とするなど、管理組合の財産と管理業者の財産とを分別して管理しなければなりません。B事務所ごとに財務諸表等を備え置いて関係者に閲覧させるなど情報開示に努めなければなりません。

3 管理委託契約を締結する場合の留意点
  業者の選定以上に重要となるのが、管理委託契約の内容です。どのような契約内容を結んだらよいかについては、平成15年に国土交通省より発表された「マンション標準管理委託契約書」を参考にしてください。コメントも付いています。詳しくは、国土交通省のサイト(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/01/010409_.html)をご覧下さい。
  ところで、管理業者と管理委託契約を締結する場合については、新規に契約を締結する場合と契約を更新する場合とで手続きに違いがあります。
  新規に契約を締結する場合は、管理業者は、管理委託契約の重要事項について説明会を開催しなければなりません。説明会の1週間前までに、区分所有者全員に対して、重要事項と説明会の日時・場所を記載した書面を交付し、説明会では、管理業務主任者が管理委託契約の重要事項を説明しなければなりません。これに対し、契約を更新する場合は、前の契約容と同一の条件であれば、説明会の開催は不要です。管理業者は、あらかじめ、区分所有者全員に対し重要事項を記載した書面を交付すれば足ります。もちろん、管理内容もアップするが、委託費用も上がるというように更新内容が同一条件でない場合は、新規契約締結の場合と同様、説明会の開催が必要となります。

4 管理業者の良し悪しは、契約書と仕様書で見分ける。
  管理業者が適切な業務を行ってくれるかどうかの目安は、まず管理委託契約書の内容で判断します。国土交通省発表の「マンション標準管理委託契約書」に準じているかどうかを検討してください。それと共に重要なのが「仕様書」が作成されているか、その内容はどうかです。契約書だけではどうしても業務内容は抽象的ですので、この仕様書がどれだけ具体的にかつ適切に作成されているかがポイントとなります。仕様書の中では、まず、会計処理に着目します。会計処理がきちんとされているかで、管理業者の体制や規模が分かります。次に、フロントマン(管理員)業務の内容を見ます。管理業者との付き合いでは、日常的に接するのはフロントマンですから、担当のフロントマンの質が管理業者のレベルを表すものといえます。契約の際、不明な部分は管理業者に必ず質問してください。管理組合の質問に丁寧に答えるかどうかで、管理業者の姿勢が見えてきます。

5 管理業者の契約違反
(1) 管理業者の業務が不十分かどうかは、単なる印象ではなく、必ず管理委託契約書と仕様書に基づいて判断します。できればチェックシートを作成して評価しておくようにしましょう。
(2) 契約違反が認められた場合は、その内容を整理し管理業者と交渉してください。必要であれば、管理委託契約の内容を一部変更することも行います。
(2) 社団法人高層住宅管理業協会の利用
  現在、マンション管理業者を社員とする社団法人高層住宅管理業協会では、管理組合からの苦情処理を行っています。大手・準大手の管理業者のほとんどは、この協会の社員となっていますから、該当する管理業者に対する苦情をここに申し立てます。同協会は、苦情相談と苦情解決業務を行っています。料金は無料です。ただし、同協会は、苦情相談及び指導・勧告は行いますが、調停・仲裁・あっせんは行っていませんので、注意してください。
(3) 以上のような手段を尽くしても、なお解決できない契約違反があった場合は、法的手段を利用します。主に損害賠償請求と契約解除があります。両者は別に行うことも同時に行うこともできます。

6 管理業者の変更
  以上の方法によっても解決できない場合は、管理業者の変更も検討します。ただし、管理業者の変更は区分所有者の財産に関する重要事項ですから、区分所有者の理解を経ながら進める必要があります。たとえば、区分所有者へのアンケートの実施や他社からの見積もりを取ることなどは必ず行ってください。
                                                                             以 上

7 理事の資格に制限はあるか

1 区分所有法の規定
  区分所有法では、理事の資格に制限はありません。したがって、区分所有者以外の者、たとえば区分所有者の同居人、区分所有者からの賃借人、さらにはマンションとまったく関係のない弁護士やマンション管理士などを理事にすることもできます。ただし、理事は性質上自然人(個人)であることが前提であり、会社などの法人は理事になれません。また、自然人でも意思無能力者や破産者も理事にはなれないと考えられています。
2 管理規約の規定
  多くのマンションでは、管理規約において「マンションに現に居住する組合員の中から総会で選任する」などという規定を設け、理事の資格を区分所有者に限定しています。標準管理規約でも同様の規定が置かれています(第35条2項)。したがって、マンションの名義人でなければ区分所有者ではありませんから、いかに同居の親族であっても理事になることはできません。このような限定がある場合、人材の確保が困難なマンションでは理事のなり手がいないなどの不都合が生じます。したがって、管理規約を改正し、たとえば「区分所有者または現に居住している区分所有者の親族もしくは区分所有者からの賃借人」のような文言を設けることを検討すべきでしょう。
                                                                    以 上
8 理事会運営のポイント

1 理事会の開催
  国土交通省発表の「マンション管理標準指針」によれば、月1回程度開催が56%、数ヶ月に1回程度が33%となっています。やはり月1回程度は定期的に開催し、時間も1回2時間程度以内に止めるのが望ましいでしょう。

2 理事会の決議事項
  標準管理規約第54条によれば、理事会の決議事項は次のようになっています。@収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案、A規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案、B長期修繕計画の作成又は変更に関する案、Cその他総会提出案、D占有部分の修繕当の承認又は不承認、E義務違反者への勧告又は指示等、F総会から付託された事項 以上の他、管理規約に別に定める事項というように広範囲に渡ります。総会の決議事項(標準管理規約第47条・48条など)との違いに留意しながら、管理規約を熟読して何が理事会の決議事項かを把握しておきましょう。

3 理事会の決議方法
  区分所有法では特に規定がなく、管理規約で自由に定めることができます。ただ、ほとんどのマンションでは、「理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する」としていると思います。標準管理規約でもこのように定められています。ただし、理事会で決定されたことは、反対理事も含めて全員で責任を負いますので、理事会での討議は十分行うようにしてください。

4 議事録の作成
  総会の場合は議事録の作成が義務付けられており(区分所有法第42条)、これを怠ると、20万円以下の過料に処せられます(区分所有法第71条3号)。理事会の場合は議事録の作成は義務付けられていません。もちろん、管理規約で作成が義務付けられていれば作成しなければなりませんが、管理規約に規定がなくても、将来問題が生じた場合の証拠として、少なくとも要点を記した議事録は作成しておくべきです。そのため、議事録作成を担当する書記などをあらかじめ決めておくのがよいでしょう。
                                                                   以 上
9 区分所有者の死亡と相続

一 はじめに
  マンションも一個の財産として、土地や家屋、預貯金と同様相続の対象となります。また、人は時期や原因はそれぞれですが、いずれにしてもいつかは亡くなります。そのときは、マンションにおいても「相続」という問題が起きます。そこで、「区分所有者の死亡と相続」というテーマで、「そのとき」になってあわてないために、いくつかの点について考えてみることにしましょう。

二 区分所有者の死亡
1 相続人がいる場合
  区分所有者が死亡した場合において相続人がいる場合は、一般の相続と異なるところはありません。すなわち、死亡した人(「被相続人」といいます)の一身に専属したものを除いて、相続人は、被相続人死亡のときから被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。この承継する財産の中には、専有部分に対する区分所有権、共用部分に対する共有持分権及び敷地利用権はもちろんのこと管理組合の組合員たる地位などの法律上の地位も含まれます。また、権利ばかりでなく義務も承継されますので、たとえば被相続人たる区分所有者が管理費などを滞納していた場合は、法定相続分に応じて相続人が承継することになります。この場合、相続人が当該マンションに居住しているかいないかは関係ありません。

2 相続人がいない場合
  相続人がいる場合は、以上のように一般の相続の問題として考えることが可能です(もちろん、相続一般の問題としても、相続人間の争いなど解決が容易でない個別の問題はありますが…)。
ややこしいのは、相続人がいない場合にはどうなるのかです。相続人がまったくいない場合というのは、それほど多くあるわけではありませんが、理屈はやや込み入ってくるので注意が必要です。この場面でのポイントは、民法と区分所有法の双方の関係を理解するという点です。

(1) 民法によれば
  区分所有者が死亡して相続人がいない場合、専有部分の帰属は次のようになります。まず特別縁故者がいれば、家庭裁判所の審判により特別縁故者に分与することができ(民法958条の3)、次に特別縁故者がいないときは、国庫に帰属することになります(民法959条)。
 それでは、敷地利用権の帰属はどうなるのでしょうか。
 まず、相続人がいない場合でも、特別縁故者がいる場合は、その特別縁故者への分与が、次に述べます民法第255条に優先すると解されていますので(最判平元.11.24)、専有部分の帰属と一致し問題は生じません。
 問題は、特別縁故者がいない場合あるいはいても分与の請求がない場合です。
 この点、民法第255条は「共有者の一人が、…死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」と規定しています。したがって、区分所有者が複数いる場合、敷地利用権は各共有者で共有していることになりますから、この規定によれば、ある区分所有者が死亡して相続人がいない場合は、敷地利用権は他の共有者に帰属することになります。そうすると、専有部分の帰属は国庫に、敷地利用権の帰属は他の区分所有者に、というように帰属主体が異なることになり、専有部分と敷地利用権との分離処分を禁止した区分所有法第22条に反する結果となってしまいます。

(2) 区分所有法第24条による解決
  そこで、以上のような不都合を避けるために、区分所有法は規定を設け、「第22条第1項本文の場合(分離処分禁止が禁止されている場合 ※筆者注釈)には、民法第255条(同法第264条において準用する場合を含む。)の規定、敷地利用権には適用しない。」としています(区分所有者24条)。すなわち、敷地利用権は他の共有者に帰属しないということです。これにより、区分所有者が死亡して相続人がいない場合でかつ特別縁故者もいないあるいは特別縁故者はいても分与の請求がない場合には、専有部分と敷地使用権とは一体として国庫に帰属することになります。こうすることにより区分所有法第22条の分離処分の禁止の原則に反する結果が避けられることになりました。

3 まとめ
  以上、まとめますと、区分所有者が死亡した場合の処理は次のようになります。
  (ア) 相続人がいれば、一般の相続の問題としてその権利義務関係が処理されてゆきます。
  (イ) 相続人がいない場合でも特別縁故者からの分与の請求があれば、特別縁故者が専有部分と敷地利用権を取得します。  (ウ) 相続人がいない場合でかつ特別縁故者がいないあるいはいても分与の請求がない場合は、専有部分と敷地利用権は国庫に帰属します。                    
                                                                           以 上
10 専門委員会の設置と活用の勧め 

1 専門委員会の設置状況
 国土交通省住宅局より平成17年12月に発表された「マンション管理標準指針」によれば、専門委員会を設置しているマンションは全体の38%で、その専門委員会の内、大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会の割合が77%、規約・規則の制定や見直しに関する委員会が18.6%、その他33.6%(重複回答可)となっています(平成16年調査)。

2 専門委員会の意義
 ここに専門委員会とは、理事会の下に設置される調査・検討機関をいいます。標準管理規約第55条では、「理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる」「専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申(「詳しく申し述べること」。※筆者註)する」としています。

3 専門委員会を設置すべき場合
 マンション管理について、理事会がすべての業務を行うことは理事の負担が大きく、また専門性に不足を生じるおそれもあります。したがって、理事会がすべての業務について対応するよりも、それぞれの分野や検討すべき問題について知識と経験のある組合員の協力を得て対応することが望ましいことが多いでしょう。特に次のような場面では、専門委員会を設置した方がよいと考えられます。@理事会の役員の任期中(通常1〜2年)では解決できず、長期継続的に検討する必要がある場合、A理事会で検討するには作業量が多く、本来の理事会の業務に支障を来たすような場合、B建築・設備・法的問題など専門的な知識・経験が必要であるような場合、などです。

 専門委員会の設置例としては次のようなものがあります。@大規模修繕委員会、Aリフォーム問題検討委員会、B管理規約改正検討委員会、C居住ルール検討委員会、Dペット飼育委員会、E駐車場・駐輪場運営委員会、F管理費滞納対策委員会、などが考えられます。その他それぞれのマンションの実情に合わせて設置を検討してみてください。

4 専門委員会を設置する場合の留意点
 標準管理規約第55条のコメントによれば、「専門委員会の検討対象が理事会の責任を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる」「専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる」とあります。特に、1年〜2年で交替する理事と長期継続的に活動する専門委員との間でトラブルが起こることがありますので、専門委員会の位置付け、設置期間、委員の任期等について総会決議や運営規則の制定等で明確にしておくことが大切です。
                                                                            以 上
11 適正な修繕積立金とは

1 修繕積立金の目的
 修繕積立金は、日常的な管理に当てられる管理費とは別に、特別な管理に要する経費に充当するために徴収されるものです。標準管理規約(第28条)によれば、その充当される特別の管理とは次の5点としています。すなわち、@一定年数の経過ごとに計画的に行う業務、A不足の事故その他特別の事由により必要となる修繕、B敷地及び共用部分等の変更、C建物建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査、Dその他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理の5点です。

2 修繕積立金に関する標準的な対応とは
 「マンション管理標準指針」(国土交通省住宅局平成17年12月発表)によれば、修繕積立金に関する標準的な対応として、「概ね、適切な長期修繕計画に基づいて算出される必要修繕積立金の負担割合に応じた額としている(駐車場使用料等からの繰入金を含む)」と表現しています。修繕積立金の額の算出基準として、長期修繕計画を参考に決定している管理組合は全体の77.1%となっています。平成11年の前回調査では68.1%ということでしから、9%の増加といえます。その他の決定根拠として、管理費の一定割合(10.5%)、近隣のマンションの例を参考にする(1.4%)、その他(11%)となっています。
 修繕積立金とは、前述のとおり特別な管理に要する経費に充当するためのものですから、長期修繕計画を根拠に必要な額を算出すべきです。そのためには、適切な長期修繕計画の作成と一定期間ごとの見直しが鍵となります。

3 修繕積立金の額はいくらが適正か
 「マンション管理標準指針」によれば、修繕積立金の平均額は、9,066円/月・戸(駐車場収入等を含む場合は10,967円)ですが、必要な修繕積立金としては、平均13,161円としています。これは、モデルA(9階建て、70戸)では13,585円〜17,446円、モデルB(4階建て、30戸)では11,257円〜14,467円が必要な額とし、これ以下だと修繕積立金に不足が生じることとなります。みなさんのマンションでは修繕積立金はいくらとなっていますか。その額は修繕計画からみて必要な額を満たしていますか。
 もし、あなたのマンションの適正な修繕積立金額を知りたい場合は、(財)マンション管理センターの「長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス」を利用してみてはいかがでしょうか。有料ですが、マンションごとの適正額等を算出してくれます。
アドレスは、http://www.mankan.or.jp/07_skillsupport/skillsupport.htmlです。
                                以 上
12 大規模修繕のポイント

■ その1
1 はじめに〜大規模修繕の必要性
 マンションも人間の体と同じように、年齢を重ねればあちこちが傷み始めます。傷んだ状態ではとても快適なマンション生活は望めません。また、マンション自体の資産価値も低下してしまいます。そればかりか、たとえば外壁などが落下して周りの人に怪我などをさせてしまえば、区分所有者全員が損害賠償の責任を負うことにもなります。このようなことにならないために、マンションでは日常的なメンテナンスに加えて周期的な大規模修繕が必要となります。皆さんのマンションは築何年ですか?どこか傷み始めていませんか?
 さて、いざ大規模修繕を行おうとしても、日常の保守点検や維持管理とは異なり、規模が大きく、また費用も莫大なものとなるため、いったいどうすすめてゆけばよいのか、乗り越えるべき問題が多いことに気付くでしょう。そこで、大規模修繕を進める上でポイントは何かお話ししたいと思います。

2 大規模修繕の進め方の7つのポイント

(1) 大規模修繕の検討はいつはじめるべきか
 大規模修繕を検討するきっかけは、長期修繕計画での修繕予定時期が迫ってきた、日常の点検で劣化が目立ってきた、居住者からの要望・クレームが増えてきた、定期検査で指摘を受けた、管理会社などから提案を受けたなどがあれば、大規模修繕を検討する時期と考えてよいでしょう。

(2) 計画は余裕をもって作成する
 大規模修繕の検討はあわててはいけません。できるだけ工事開始の2〜3年前から準備しましょう。

(3) 大規模修繕の工事はまとめて行う
 工事では足場を設けたり、シートで覆ったりと生活に何かと不便を生じさせます。何度も行うことのないように、できるだけまとめて工事を行うようにしましょう。

(4) 区分所有者・居住者の合意形成が大切
 アンケートの実施、ニュースの発行や掲示板の利用、説明会の実施など、意見・要望を幅広く吸収し、情報を共有するようにしましょう。

(5) 専門家と協力して進める
 大規模修繕は大変な労力と専門知識を要する作業です。建築士、設計事務所、管理会社、マンション管理士など外部の専門家と協力して進めるようにしましょう。

(6) 「修繕委員会」を作ろう
 大規模修繕は長期の取組みとなるため、理事会のみでは限界があります。マンション内部の体制として、「修繕委員会」などの専門委員会を設置し、理事会と連携する体制をつくりましょう。委員の構成としては、旧理事、建築関係の知識を持つ区分所有者、法律に詳しい区分所有者、財務・経理に明るい人、広報の得意な人などできるだけ多彩なメンバーで組織しましょう。なお、理事会と任期等が異なるため、両者の意思疎通を十分図るようにします。

(7) 資金計画と資金の管理に注意する
 大規模修繕は多額の費用がかかります。修繕積立金だけでは不足することも多く、その場合は、修繕積立金の値上げ、一時金の徴収、他からの借り入れなどを検討しなければなりません。また、多額なお金の管理もしっかり行わなければなりません。

3 大規模修繕計画と必要な費用の算出について
 まずは、あなたのマンションの長期修繕計画はあるのか、あるとして見直しは必要かを考えてください。もし、長期修繕計画がない場合は、必ず作成しましょう。そして、大規模修繕に何時いくらぐらい費用がかかるのか算出してみてください。もし、マンション独自に作成するのが困難であれば、(財)マンション管理センターの「長期修繕計画の作成・修繕積立金算出システム」を利用してみてはいかがでしょうか。有料(1棟につき2万円ほど)ですが、詳しい結果を知らせてくれます。
ホームページは、http://www.mankan.or.jp/ です。

■ その2
1 今回のテーマ
 今回は、前回に引き続きマンションの大規模修繕のポイントをお話します。前回は7つのポイントを概観しましたが、そのうち特に重要と思われる点について少し詳しく検討してみましょう。まず、大規模修繕を行おうとする場合、マンションではいったいどのような体制を組むべきか、業者への委託の方法にはどのようなものがあるのか気になることでしょう。そこで、今回は、マンションの大規模修繕を行う場合の体制について考えてみたいと思います。

2 マンションの大規模修繕の体制
(1) 専門委員会を設置する
 マンション側では、専門委員会(「修繕委員会」)を組織します。専門委員会の位置付けが明確になるよう、予め管理規約で規定を設けておくようにしましょう。マンション標準管理規約第55条では、次のように規定しています。「第1項 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。第2項 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」。また、専門的知識を有する者を利用する規定を設けておくことも必要です。

(2)
 業者への委託方式
 工事の発注方式としては、大きく分けて、設計管理方式と設計施工方式があります。設計管理方式とは、建物診断・設計・工事の監理をする者と工事の施工をする者とを分ける方式です。つまり、たとえば前者を設計事務所に委託し、後者を施行会社に委託するというものです。この方式のメリットは、工事内容や金額について施工会社以外の第三者のチェックが入り適正な工事・金額の設定が可能となるという点です。デメリットは、施工費とは別に設計監理費が必要となることです。これに対し、設計施工方式とは、建物診断・設計・工事の監理をする者と工事の施工をする者を同じ施工会社に委託するというものです。管理組合は施工会社のみを選定するので、別途設計監理費は発生せず、契約形態としてもシンプルです。しかし、管理組合が施工会社と直接交渉をしなければならないという管理組合の負担の増加、施工工事に対して第三者のチェックが働かないため、施工会社主導の工事となりがちです。小規模マンションであれば設計施工方式でよいでしょうが、中規模以上のマンションでは設計監理方式をお勧めします。
 設計監理方式を採用する場合、どこの建築事務所へ依頼してよいか迷うと思います。この点、(財)マンショ管理センターに、マンションの維持管理に関する業務を行う建築士事務所等のグループの案内がありますので、ここから情報を得るのもよいでしょう。
ホームページのアドレスは、http://www.mankan.or.jp/about/infomation.htm(テクノサポートネット)です。

■ その3
1 今回のテーマ
 今回は、大規模修繕の第3回目です。大規模修繕を行おうとする場合、マンション住民の意思を一致させておく必要があります。そのためにはどのようにしたらよいでしょうか。ポイントは、「情報の収集」、「情報の共有」、「情報の管理保管」です。


2 情報の収集
(1)    建物診断を行う
 情報の収集としては、まず建物診断を行います。建物診断は専門の業者へ依頼し、診断結果報告書を作成・提出してもらいます。後日、広報や報告会を行うため、管理組合として説明を受けるときは、疑問点などわからないことはあらかじめ質問しておきましょう。

(2)  アンケートを実施する
 次に、大規模修繕をスムーズに行うためには、ぜひアンケートを実施し、区分所有者・居住者の声を反映するようにしてください。できれば1回のみではなく、時期をおいて複数回実施します。その際、大規模修繕にかかわる共用部分の傷み具合だけでなく、専有部分の傷み具合、グレードアップして欲しい部分、さらにマンションの管理運営への意見・要望なども聞くようにしてください。そうすることによって、マンション全体の問題点が見えてくることがあります。

3 情報の共有
 前記のように建物診断の結果は一部の人が知っているだけではうまくゆきません。診断結果は、マンション居住者全員へ知らせます。その方法としては、広報誌や修繕委員会ニュースとして各区分所有者・居住者へ配布し、かついつでも見られるように掲示します。また、適時区分所有者・居住者を集まってもらい、報告会あるいは説明会を開催します。報告会や説明会では、建物診断を行った業者に同席してもらい、技術的な部分などの専門性のある質問にも答えるようにします。
 では、この段階では何を知らせればよいのでしょうか。少なくとも次の項目は必ず知らせるようにしましょう。

@ これまでのマンションの維持保全経緯(管理組合としての取組み)
A  建物診断の結果(どこがどの程度の状態か)
B  
アンケートの集計結果(住民の声)
C  修繕の大まかな計画(修繕箇所、修繕時期、工事内容、必要な費用<概算>など)
D  今後の取り組み
E  区分所有者・居住者への協力内容

4 情報の管理保管
 以上のように収集した情報および広報や説明会などを通じて共有した情報は、管理組合としてきちんと管理保管しておいてください。いざ大規模修繕工事が始まった後で、言った言わないなどとトラブルになることも少なくありません。そのようなことが無いように記録として管理保管しておき、いつでも見れるようにしておくことが必要です。
                 以上

13 管理委託費を見直そう

1 はじめに
 みなさんはご自分のマンションの管理に満足していますか。マンションにとって管理は必要不可欠なもので、多くの場合は管理会社に委託をして管理を行っています。では、その管理は適切になされているでしょうか。また、管理内容の割りに管理委託費が高すぎると感じたことはありませんか。そこで、管理委託費について考え、削減する方法はないか、という点について検討してみることにします。

2 管理会社への不満
 「どうも管理が適切になされていないようだ。」「管理委託費が割高に設定されているようだ。」と感じていても、なんら手を打つことなく、ただ言われるままに管理会社に高い管理委託費を払い続けてはいませんか。管理会社に不平不満を持つ管理組合は多いですが、それを実際に改善する管理組合はまだまだ多くありません。それは何故でしょうか。その原因は、管理委託契約内容をよく知らないことにあります。

管理会社の業務は、管理委託契約の内容に基づいて行われます。したがって、管理会社と契約するに際しては、マンション管理組合自身が、何を委託するべきなのか、どのような内容で委託するのかをよく検討しておくことが不可欠となります。何も知らないまま、管理会社が作成した契約書にただハンコを押すだけでは管理組合としての役割を果たしているとはいえません。

3 管理委託契約は毎年見直そう
 「標準管理委託契約書」というものがあります。これは管理組合が管理会社と管理委託契約を締結する際の標準モデルとして活用するようにとの趣旨で、平成15年に国土交通省から関係団体等に通知されたものです。これによれば、管理委託契約は自動更新ではなく、更新しようとする場合は、3ヶ月前に書面により申し出て更新することとなっています。現在、管理会社と管理委託契約を締結している管理組合は、更新の際、契約内容を見直すようにしましょう。なお、管理委託契約書が自動更新となっている場合は、管理会社に変更を要求してください。
※ 標準管理委託契約書については、国交省HPをご覧ください。

4 管理組合の業務とは何か
  管理会社に委託する場合、まず管理組合自身でできるものとできないものとを明確にすることからはじまります。それでは、管理組合の業務とは何でしょうか。この点は、マンションの管理規約に規定があるはずですので、それを見てください。ちなみに、国交省より発表された標準管理規約によると、管理組合業務として17項目規定されています(第32条)。少し長くなりますが紹介します。

@管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理、A組合管理部分の修繕、B長期修繕計画の作成又は変更に関する業務、C建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務、D適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理、E修繕等の履歴十及び法の整理及び管理等、F共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務、G区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為、H敷地及び共用部分等の変更及び運営、I修繕積立金の運用、J官公署、町内会等との渉外業務、K風紀、秩序及び安全の維持に関する業務、L防災関する業務、M広報及び連絡業務、N地域コミュニティ形成、O管理組合の消滅時における残余財産の精算、Pその他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務、以上です。

その他、「管理費などの徴収、支払い、保管と運用」、「未収金の督促」、「管理費などの決算・予算の作成と組合員に対する報告」、「通帳と印鑑の保管」、「組合員名簿の作成」、「保守点検業者との契約の立会い」なども管理組合として行うべき業務です。

5 一覧表の作成をし、委託すべき内容を明確にする
  以上の管理組合として行うべき業務を把握したら、次に一覧表を作成し、一つ一つチェックを入れ、管理組合ができる業務と業者に委託すべき業務を分けしましょう。管理組合でできるものまで業者に委託すればその分委託費の無駄遣いとなりますので、委託が本当に必要なのかをよく検討することが重要です。例えば、月10万円不要な委託費を支払えば、年に120万円、10年で1200万円の余計な出費となります。この1200万を節約できれば、大規模修繕にまわせる金額に余裕ができることになります。

 エレベーター保守点検費用について
(1) FM契約とPOG契約を使い分ける
 エレベーターの保守点検方法には、大きく分けて、@フルメンテナンス契約(
FM契約。エレベーター本体以外のほぼすべての部品の交換まで含まれる契約形態。「全部メンテナンス契約」といえます)と、Aパーツ・オイル・グリース契約(POG契約。点検・調整・消耗品の交換しか含まない契約形態。「部分的メンテナンス契約」といえます)の二つがあります。当然、割高なのはFM契約の方です。多くのマンションでは分譲後からFM契約にすることが多いのですが、一般にエレベーターの耐用年数は25年程度といわれており、最初からFM契約にする必要はありません。したがって、新築マンションであれば、分譲後数年間はPOG契約としておき、たとえば一定年数の経過後にFM契約に切り替えるという方法があります。これに対し、築年数が相当程度経過しているマンションであれば、築年数の期間及びエレベーターの使用頻度や状態等に応じてFM契約を続けるべきでしょう。ただし、FM契約費用として、エレベーター1基あたり月額5万円(月1回の保守点検として)を超えるような場合には割高といえますので、契約内容及び保守点検の内訳等のチェックをする必要があります。なお、15階建以上の高層マンションのような場合はこれより高額となるのが一般です。

(2) 保守点検の依頼方法
 一般に、エレベーターの保守点検は管理会社を通じて点検業者に再委託されていますが、管理組合が直接保守点検業者に委託することも考えられます。この場合、保守点検業者として、メーカー系や独立系がありますが、メーカー系の方が一般に割高となっています。そこで、独立系の業者に委託するということも検討すべきでしょう。この場合、メーカー系業者から独立系業者に変更しようとすると、メーカー系業者は「部品調達や維持メンテナンスに支障が生じる」などと抵抗しますが、保守点検の能力において実際にはほとんど差はありませんので、そのような心配は不要です。


7 機械式駐車場のメンテナンスの委託先
(1) 前述のエレベーターについては法定点検が義務付けられていましたが、機械式駐車場については特に法定点検は義務付けられてはいません。しかし、機械式駐車場を持つマンションの多くは定期的な点検と保守作業を業者に委託しているのが通常です。そしてその委託先というのが、機械式駐車場を製造したメーカーの系列会社というのが圧倒的多数です。その結果、メンテナンス費用についてはほぼ業者の言い値で設定されることになります。

(2) 機械式駐車場のメンテナンス費用の見直し
 あなたのマンションでは、機械式駐車場のメンテナンスについて、業者がメンテナンスする内容、作業員の人数、メンテナンスの内訳・単価などを把握しているでしょうか。そもそもメンテナンス内容をほとんど把握せず、過剰な点検・整備がなされ、余分な出費をしていることがあります。マンション管理組合として、メンテナンス内容を一度はチェックしてみましょう。その際、委託契約書の内容を把握する、実際の点検・整備の場へ立会うなどを行ってください。そして、納得のいかない点については、業者からしっかりと説明を受けるようにしてください。その際、過剰だと思われる出費については交渉を行いましょう。

(3) 委託業者の変更
 上記チェックによって、業者の点検内容や費用に納得がゆかない場合や、改善を求めても業者が誠実な対応をしないなどの場合は、メンテナンス業者の変更も検討すべきです。メーカーの系列会社以外に、独立系の業者を選択することも視野に入れます。独立系といっても、多くはメーカーの下請けなどから独立したものも多く、能力的にはそれほど大差はないはずです。
 この業者を変更する場合には、必ずといってよいほどメーカー系業者から「メーカー系業者でないと、部品調達など維持メンテナンスに支障が出る」「交換部品の価格が割高になる」「安全面など維持メンテナンスの質が低下する」などと抵抗がなされます。しかし、このような業者の言動は、行過ぎると独占禁止法違反にも問われる内容ですから、気にする必要はありません。この業者の変更の点は、前回お話ししましたエレベーターの場合と同じ考え方になります。

(4) 外部駐車場への移行
 機械式駐車場は「金食い虫」と言われます。日常のメンテナンスに費用がかかるばかりか、大規模な保守(塗装、グリース、部品交換など)ごとに多額の出費が余儀なくされます。ほぼ全スペースが利用されている場合はよいのですが、空きスペースが多い場合は、居住者の同意を得ながら、徐徐に外部駐車場への移行を図ることも検討すべきでしょう。

8 管理員人件費の削減
(1) 管理員の勤務形態
 管理員の勤務形態には、@住み込み(常駐)管理方式、A日勤(通勤)管理方式、B隔日通勤管理方式、C巡回管理方式、D無人管理方式などがあります。通常、拘束時間が長いほど人件費がかかります。管理員の勤務形態がマンションの規模や状態に比して過剰かどうかをチェックしてみましょう。管理会社の言われるままに勤務形態を決めているマンションは特に注意してください。チェックの結果、もし過剰ということであれば、他の勤務形態への変更を検討しましょう。たとえば@の住み込み管理方式からAやBの通勤管理方式に変更するなどです。

(2) 管理員の人数
 特に大規模なマンションの場合、管理人が複数いることが多いのですが、その人数がそのマンションにとって本当に必要なのかをチェックしましょう。管理員の人数を減らし、その代わり夜間の警備員の人数を増やし防犯上の対策を強化するということも考えられます。大切なのは、人の配置をマンションにとって適切に行うということであり、費用を闇雲に減らすということではなく、費用を有効に使うという視点です。

9 清掃費の削減
(1) 委託内容の点検 
 管理会社に清掃業務も委託している場合は、その清掃内容に無駄がないかチェックしましょう。

(2) 清掃業務の直接契約
 管理会社へ委託していても、実際は管理会社が清掃業者へ再委託する場合が多く、その分中間マージンが上乗せされます。そこで、清掃業務については管理会社への委託とはせず、マンションが直接清掃業者へ委託するということも検討しましょう。こうすることにより、清掃業務の質を下げることなく費用を削減できることになります。

以 上

14 マンションの防犯対策措置

1 質 問
マンションの防犯対策として以下のような措置をとる場合、管理組合としてはどのように対応したらよいでしょうか。
@ 玄関ドアの鍵を交換する場合。
A マンションの玄関やエレベーター付近などに監視カメラを設置する場合。
B 侵入防止のため、各戸の窓ガラスを防犯性の高い複層ガラスに交換する場合。

2 回 答
(1) はじめに
近年、マンションでの防犯対策への関心は非常に高くなっており、マンションごとにいろいろな防犯対策をとることが求められてきています。質問にあるような事項はその典型といえるでしょう。では、このような防犯対策をとる場合、管理組合としてはどのような点に注意しなければならないのでしょうか。

(2) 質問@について
 まず、玄関ドアと鍵とは区分して考えなければなりません。通常、玄関ドアは共用部分であり、鍵は専有部分です。標準管理規約によれば、「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。」としています(7条2項二号)。したがって、鍵の交換自体は、ドア部分に変更を加えない限り各区分所有者が自己の費用負担において自由に行えるものです。これに対して、ダブルロックなどドア部分に改良を加える場合は、規約があればそれにより、なければ総会決議(普通決議)に基づき行うことになります。ただし、いずれにしても、各戸別に交換を行うとなると費用も割高となりますので、できるだけ理事会で協議し、総会での議論を経た上で、全戸一斉に交換作業を行うのが望ましいと思います。

(3) 質問Aについて
 監視カメラの設置場所は、通常共用部分であり、また単なる保存行為ではなく改良行為となります。したがって、規約に定めがあればそれによりますが、なければ総会決議(普通決議)に基づき行う必要があります。その際注意することは、監視カメラの設置は、設置場所等によっては特定の居住者のプライバシーを侵害するおそれが生じるため、特別の影響のある区分所有者がいることです。したがって、この場合は、影響を受ける区分所有者の承諾が必要となります。

(4) 質問Bについて
 各戸の窓ガラスは専有部分であると誤解している方も多いのではないかと思います。しかし、標準管理規約によれば、「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれない」とされていますので(7条2項三号)、窓ガラスは共用部分であることに注意してください。したがって、窓ガラスが割れた場合にガラスを交換するだけであれば、共用部分の保存行為として各区分所有者が単独でできますが、窓ガラスを防犯性の高い複層ガラスに交換することは、共用部分の改良にあたり、監視カメラの設置と同様、規約に定めがあればそれにより、なければ総会決議(普通決議)に基づき行う必要があります。なお、この場合の交換作業も一斉に行った方が費用も節約できますので、総会の決議を踏まえ一斉に行うことが望ましいでしょう。
15 管理規約改正作業の進め方

1 質 問
 管理組合の理事長をしています。私のマンションでは管理規約が一度も改正されないまま今に至っています。そのため現状に合わない規定が多く、管理組合の運営にも支障を来たしています。そこで、今回管理規約を全面的に改正したいのですが、その進め方などのポイントを教えてください。

2 回 答
(1) まず、管理組合及び理事会として行うべき主要なものは以下のとおりです。
@ 規約改正検討委員会を設置します。  
規約改正検討委員会のような専門委員会を理事会の承認の下設置してください。この場合、委員はは公募の形をとり、4〜6名程度の員数とするのがよいでしょう。以後、この委員会と理事会が中心的な存在となります。
A 次に、アンケートの作成・配布と収集・集約を行います。
改正作業がうまくゆくためには、何よりも区分所有者及び居住者の意見・要望をしっかり掴むことが必要です。厳しい意見も出るかもしれませんが、恐れずに吸い上げてください。そのための方法としてアンケートが有効です。2〜3回実施して下さい。
B 現規約のチェックを行います。
理事会及び委員会によって現管理組合規約の検討を行い、どこが不十分なのかを整理します。
以上の作業を踏まえ、改正原案を作成します。そして、原案を委員会で討議をし、理事会で承認します。必要に応じて、2次改訂、3次改訂と改訂を加えてゆきます。
C 改正原案と現規約との対比表を作成します。
現行の管理規約と改正案との対比を、分かり易く文書化(条文化)します。
D 説明会の開催
いきなり総会だけの討議・議決で行おうとすると失敗するおそれがあります。総会前に必ず説明会を開催し、改正の必要性、改正案の意味等について組合員の理解を得るようにします。必要があれば、2回〜3回説明会を開催します。
E 広報の重要性
改正作業の経過は、できるだけその都度組合員に広報するようにし、関心を集める工夫をします。そのために、「規約改正NEWS」などの発行・掲示を行うことは有効です。
F 総会での審議・議決
規約改正については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要です。また、規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾が必要です。注意しましょう。
G 規約原本の作成と保管、配布
規約改正の議決がとれ、改正案が成立した場合は、マンション内の見やすい場所に規約の保管場所の掲示をし、要求があれば閲覧してもらいます。ただし、できればマンションの組合員・居住者全員に配布した方がよいでしょう。
H 新しく組合員や居住された方には規約を配布し、その内容(ポイント)を説明します。

(2) 管理規約改正は何を目指すものか
 規約の改正は、単に改正されればよいというものではなく、この改正作業によって組合員及び居住者全員が「自分のたちのマンションのことを良くしてゆこう」という意識になってもらうことこそ重要ですので、この点に留意して作業を進める必要があります。そして、自分たちだけでは不安がある場合は、マンション管理士などの専門家にご相談ください。
                                    以 上
16 マンションでの孤独死を防ごう

1 はじめに
 2008年11月13日付朝日新聞朝刊「備える 人生のエンディング」(第22面「生活欄」連載記事)で、「孤独死問題」が取り上げられ、千葉県松戸市の常磐平団地の取組みなどが紹介されていました。  
長い人生の中で色いろんな困難も経験した高齢者の方が、その最後を誰にも看取られることなくひっそりと死に至ることほど寂しいことはありません。が、マンション管理という面から見た場合、この朝刊記事が指摘するように、実は、孤独死を招くことはマンション管理の問題点を浮かび上がらせることになります。そこで、今回はマンション管理の面から見た孤独死問題を考えてみようと思います。

2 孤独死の及ぼす影響
 もしマンション内である人が誰にも知られず死亡した場合、発見が遅れれば遅れるほどマンション全体に深刻な問題を生じさせます。遺体の発見が、1週間、場合によっては数ヶ月遅れるという例もあり、そうなると猛烈な腐敗臭、遺体の体液からの染み、ウジやハエ等の発生など、他の居住者の居住生活にも重大な影響を及ぼし、さらにはマンション全体の資産価値も引き下げてしまいます。腐敗臭等のあるマンションを買う人は誰もいないでしょう。そして、これを改修しようとすればかなり高額な費用がかかってしまいます。したがって、管理組合としても、孤独死を起こさないよう予防策を講じることが必要となります。

3 孤独死に至る人の特徴
 では、何故孤独死が生じてしまうのでしょうか。孤独死に至る人の特徴は、「あいさつしない、仲間がいない、親族にも連絡しない。」「ないないづくし」(同朝日新聞記事)という点です。つまり、他の人とのつながりが薄い人ほど孤独死に至る危険性が高まるという点です。そして、このことは、高齢化社会の日本では今後ますます増える可能性があります。居住者の状況を把握していない、住民同士のコミュニケーションが図られていないなど、管理組合が機能していないところほど孤独死の危険性が高まります。

4 孤独死対策の手法
 したがって、特に高齢者の方と他の人とのつながりを作るという手立てが必要となります。管理組合としては以下の手立てをとるようにしてください。
@ 管理組合として、名簿を完備し、各居住者とりわけ単身の高齢者居住者の状況を把握しておく。
A 「声かけ運動」「あいさつ運動」など展開し、高齢者の方に日常的に声をかけるようにする。
B 定例の理事会等で高齢者居住者の状況を話し合い、情報を共有し合う。
C 医療機関や福祉事務所等関係施設との連携を図る。
D 認知症の高齢者などの保護のため、成年後見制度の利用を検討する。
E 各種の見守りシステムの利用を検討する。たとえば、電力中央研究所が開発した電気の使用パターンを利用した見守りシステムや象印マホービンが事業化している電気ポットを利用した見守りシステム(「みまもりホットライン」)などがある。
F 他にもいろいろ考えられると思います。是非、管理組合で話し合ってみてください。
                                以 上

17 役員の選出と引継ぎ

1 質 問
 私のマンションでは、この3月に年度末を迎え、5月には総会を控えており、次期役員候補をそろそろ考えなくてはいけません。役員選出と引継ぎを行うためのポイントを教えてください。

2 回 答 
1 役員の選出
 役員の選出がうまくゆくことは管理組合の運営にとって重要です。役員選出がうまくゆくように以下のような工夫をしてみてください。
@ 立候補制の併用
 多くのマンションでは、輪番制をとっていると思いますが、やる気のある人に役員になってもらう方法として、ぜひ立候補制も併用してはいかがでしょうか。
A 理事の人数
 理事の人数は、マンションの規模に応じた適正なものにしましょう。一般的には、10〜15戸につき1名(50戸で4〜5名、100戸で7名〜10名程度)が適当です。また、理事の構成として、バランスをとるようにしましょう。建物の構造、年齢層や男女の比率、得意分野などを考慮しましょう。
B 理事の資格
 理事の資格について、管理規約で「現にマンションに居住する組合員」としている場合は、居住している区分所有者しかなれません。これでは、たとえ同居の親族であっても理事になることはできず、役員のなり手を見つけるのが困難となります。そこで、管理規約を改正し、たとえば「区分所有者または現に居住している区分所有者の同居の親族もしくは区分所有者からの賃借人から選出する」のような改正をして、理事の資格を広げておきましょう。さらには、外部の専門家に役員になってもらう方法も検討しましょう。この場合も、管理規約の改正により規定を設ける必要があります。

2 役員の引継ぎ
 役員の交代に際し重要なことは、理事会運営の継続性を図ることです。このことは、1年任期制をとる多くのマンションでは特に重要となります。
 口頭での引継ぎだけだと、漏れが生じ、また引継ぐ側も理解不十分なまま引き継いでしまうことになりますので、必ず書面化するようにしてください。そのために、管理組合で「引継書類一覧表」「事務引継一覧表」(いずれもチェックシート付)を作成し、役員ごとに整理して引継ぎを行うようにしましょう。
 
                以 上
18 総会議事録の作成方法と署名押印

【質 問】
(1)私のマンションで先日定期総会を開催したので、議事録を作成したいのですが、議事録には何をどこまで記載しなければなりませんか。
(2)以前の総会議事録を見ると、署名や押印のない議事録が少なくありませんでした。はたしてこのような議事録は有効なのでしょうか。

【回 答】
 以下、議事録を書面で作成する場合を前提に回答します。 
1 質問(1)について
 区分所有法によれば、@議事録は議長が作成する、A議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載する、B議事録には、議長及び総会に出席した区分所有者(組合員)の二人が署名押印する、と規定されています(同法42条。なお、標準管理規約第49条にも同様の規定があります)。ここに「議事の経過」とは、開会から閉会までの議題、議案、審議内容、表決方法を、経過が分かる程度に要約して記載することをいい、「結果」とは、表決を行ったときはその可決・否決の旨を記載することをいいます。要求されているのは「要領」と「結果」ですから、質疑・応答などを事細かに記載する必要はありません。ただし、規約の変更等、一字一句の文言が重要なものとなる場合あるいは議案書の記載を援用するような場合には、議事録へ記載するか、もしくは議案書を添付しておくことが必要です。この場合、添付書面は議事録の一部と扱いますので、少なくとも議長の割印を行っておく必要があります。

2 質問(2)について
 議事録への署名押印が必要とされる理由は、議長の場合は議事録作成者を明らかにすることにあり、出席組合員のそれは議事の経過と結果が議事録に正しく記載されていることを担保するためです。したがって、署名押印がない議事録はその真正が担保されないことになります。なお、署名に代わり記名の場合については押印が必ず必要であり、記名のみしかなく押印がない場合はその真正は担保されません。
 以下、問題となるパターンを検討してみましょう。
@議長・組合員双方の署名押印を欠く場合=この場合は正式な議事録とは認められず、単なる備忘録的なものということになります。A議長の署名押印のみある場合=この場合は議長作成の議事録という点は認められますが、その内容の真正が担保されないという意味で、証明力が劣ることなります。B組合員のみの署名押印がある場合=この場合は議長作成の議事録とは認められないため、備忘録的なものとなり、Aよりもさらに弱い証明力しかありません。C署名のみ(押印がない)の場合=この場合それが自書であることが立証されれば押印がなくても議事録として認められます。

3 補足
 以上は、あくまで議事録の証明力という観点からみた問題です。署名または押印を欠いた議事録でも、それ以外の方法で総会の存否や議事・議決内容が証明できれば、適法な総会及び議決が成立していることになります。ともあれ、議事録は総会ごと、きちんと作成しておくことが何よりも大切です。
                       以上

19 総会招集の手続

【質 問】
今度定期総会を開催したいのですが、招集についての注意点を教えてください。

【回 答】
1 総会(集会)の招集権者と招集時期
 総会は区分所有法では集会と呼ばれています。集会は、管理者(ほぼ理事長と同じ意味です)が、少なくとも毎年一回招集しなければならないと定められています(法第34条2項)。法34条2項では、毎年一回であればその時期を問わないとされていますが、法第43条を見れば、「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」とされているので、規約で開催時期を予め決めておくのが望ましいといえます。定期(定時)総会といわれるものがこの場合の集会にあたります。定時総会の招集時期は、会計決算後2ヶ月以内とするのが一般的でよいでしょう。標準管理規約も2ヶ月以内と規定しています。なお、他に、必要に応じて招集される臨時の集会(臨時総会)もあります。
 管理者がいなければ、少数区分所有者(区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するもの)が招集でき、また管理者がいる場合でも、少数区分所有者は管理者に集会の招集を請求することができます。

2 招集通知
(1) 招集通知の時期
 集会の招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的を示して、各区分所有者に発しなければなりません。ただし、この期間は、規約で、伸長しまたは短縮することもできます(法
35条1項)。この点、標準管理規約では、余裕をもって「2週間前」(建替え決議の場合については「2ヶ月前」)とされています。発信すればよいのであって、到達したのが上記期間内となってしまっても構いません。ただし、「1週間」とは、間に1週間を置く(例えば5月10日日曜開催であれば5月2日土曜には遅くとも発信しなければなりません)ということですので注意してください。

(2) 通知場所
 招集通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所にあてて行い、その通知をしないときは区分所有者の所有する専有部分にあててすればよいとされています(法35条3項前段)。招集権者側が通知先を調査しなければならないとすると非常に煩雑となってしまうからです。
 この場合、通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなされます(法35条3項後段)。つまり郵送の場合は通常の所要日時に到達したものとされ、各専有部分に配布したときは直ちに到達したものとみなされるということです。
 以上とは異なり、当該建物内に住所を有する区分所有者または招集通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対しては、規約で、建物内の見やすい場所(掲示板等)に掲示してする旨を定めることができ、この場合、掲示した時点で到達したものとみなされます(法35条4項)。
 ただし、建物外に住所を有している区分所有者で、かつその通知場所を通知した区分所有者に対しては、上記規約の定めがあっても個別に通知しなければならなりませんので、注意してください。

3 議案の要領をも通知すべき事項
 軽微な決議事項であれば、通知にその目的事項を記載すれば足りますが、以下の事項は目的のみならず議案の要領(要約)をも通知しなければなりません(法35条5項)。いずれも特別決議事項だからです。これらの議案の要領の通知を欠いた場合、その決議は無効であるとした裁判例(東京高判平成7年12月18日)もありますので、注意してください。
@ 共用部分の変更(軽微な変更を除きます。)
A 規約の設定、変更または廃止
B 建物の大規模滅失の場合における復旧
C 建替え
D 団地管理組合の規約の設定の特例
E 団地内の2以上の区分所有建物の建替えについて一括建替え承認決議にする場合
                          以上
20 管理業者選定のポイントと変更手順

【質 問】
 現在の管理会社はほとんど業務らしい業務をせず問題が多いので、新たに管理会社を変更したいのですが、管理会社を選ぶポイントと変更する場合の手順を教えてください。

【回 答】
1 はじめに
 管理業者はマンション管理を行うことを業とするプロですから、管理組合にとってよき管理会社とめぐり合うことは非常に大切なことです。しかし、悪しき管理会社の下で管理業務を任せきりにしてしまうと、会計処理や修繕などがいい加減に行われ、いたずらに管理委託料のみ取られ続けるだけということになりかねません。そこで、管理業者をいかに選定するか、また、管理会社を変更する手順はどのようなものかを考えてみましょう。

2 管理会社選定のポイント
 管理会社を選ぶためのポイントは以下のとおりです。
@管理会社は、国土交通省の登録業者であること、A重要事項説明を管理業務主任者により行
われ、かつその内容がマンション管理適正化法に則っていること、C契約書及び仕様書に必要事項が記載されていること(書面化)、D基幹事務について他の業者に一括して再委託されないこと、E管理組合の財産が管理会社の財産と混同されていないこと、特に管理費等の口座名義は理事長名義になっていること(ただし、収納代行方式での収納口座は管理会社名義となる)、F支払一括方式の場合を除いて通帳と印鑑の双方を管理会社が保管しないこと、G保険証券など証書類及び有価証券類を管理会社が保管しないこと、H委託管理費の算出については必ず見積りを取り、できるだけ詳細な仕様書に基づき項目ごと必要性と業務内容とを照らし合わせること、などです。 
これらのチェックはあくまで管理組合主体で行い、あやしいと感じたら、その管理会社とは契約を行わないことです。

2 管理会社変更の手順
(1) 現管理会社との関係の見直し
 まずは、現管理会社との関係を見直しから始まります。理事会での検討となりますが、区分
所有者・居住者の意見を聞くことも必要ですので、アンケートを実施し、意見を集約した上、検討を進めてください。そして、検討の結果は、必ず区分所有者・居住者へ広報することが必要です。管理委託契約書の多くは、3ヶ月前に書面で解約通知をすることが認められていると思います。したがって、3ヶ月以上の期間の余裕をもって変更作業を取り組む必要があります。
(2) 候補となる管理会社への見積依頼
 次に、数社に対し見積りを依頼しましょう。その際、管理組合側としては、何を委託したいのか明確にして依頼しましょう。また、数社に見積りを依頼する場合は、比較ができるように同一条件で依頼してください。
(3) プレゼンの実施
 見積り依頼した管理会社から3社前後に候補を絞り、プレゼンをしてもらいます。できるだけ多くの区分所有者・居住者に参加してもらいましょう。
(4) 委託契約を結ぶ1社を選ぶ
 プレゼンの感想等を集約した上で、理事会で1社を選定し、総会での承認をとりましょう。
(5) 新管理会社との管理委託契約の締結
 新管理組合から重要事項の説明を受けたあと、管理委託契約を締結します。

3 管理組合としての機能の確立を
 よき管理会社にめぐり合うか、また管理会社に適切に業務を行わせられるかは、結局は、管理組合自体の機能がしっかり確立しているかどうかにかかります。任せきりもいけないし、かといって疑いすぎもよくありません。大切なのは、適度な緊張関係を維持できるかどうかという点です。なお、国土交通省や社団法人高層住宅管理業協会のホームページなどから情報を収集しましょう。
                        以上

21 マンションに関係する税金

【質 問】
 マンションを売ったり買ったりした場合にどのような税金がかかるのでしょうか。マンションを所有している場合も含めてマンションに関係する税金について教えてください。

【回 答】
1 はじめに
ご質問にあるとおり、マンションも不動産である以上、土地や戸建の家屋と同様に不動産として税金の対象となります。そこで、2回にわたり、マンションに関係する税金についてどのようなものがあるのか概観してみることにしましょう。以下、主に、@課税原因、A税率・税額、B納期、C課税の特例などの順で説明します。

2 マンションを所有している場合にかかる税金(固定資産税、都市計画税)
(1)固定資産税
マンションを所有しているときにかかる税金(市町村税)です。@課税原因は、1月1日に不動産を所有している場合で、原則として同日に固定資産課税台帳に所有者として登録登記)されている者(所有者)が納税義務者となります。A税率は、固定資産課税台帳登録価格の1.4%、B納期は、4月・7月・12月・翌年2月の通常4回、C課税の特例は、新築住宅の軽減の特例、固定資産課題台帳の登録価格改訂に伴負担調整、住宅用地の軽減などがあります。
(2)都市計画税
市町村の目的税であり、固定資産税と同様に、不動産(都市計画区域内のものに限る)の所有者に課される税金です。税率は0.3%で、固定資産税と同時に徴収されます。

3 マンションを取得する場合にかかる税金(不動産取得税、登録免許税、印紙税、贈与税、相続税)
(1) 不動産取得税
 @課税原因は、不動産の取得で、A税率・税額は、固定資産課税台帳価格の4%(ただし、平成18年4月1日から平成24年3月31日までの取得は3%)です。
(2) 登録免許税
 @課税原因は、不動産に関する登記を受ける場合です。A税率は、不動産の移転登記の場合は1000分の2、抵当権設定の場合は債権金額の1000分の4です。B納期は、登記を受けるときです。C課税の特例としては、土地の売買による移転登記の軽減税率、個人の専用住宅の保存または移転登記軽減税率などがあります。
(3) 印紙税
 @課税原因は、契約書(売買、請負)などの書面作成の場合です。A税額は書面1通ごとに記載金額に応じ200円から54万円です。
(4) 贈与税
 @課税原因は、不動産の贈与またはその取得資金等の贈与を受けたときであり、贈与を受けた者が納税義務者となります。A税率は、贈与価額に応じ10%から50%、B納期(申告期限)は、贈与の年の翌年3月15日、C課税の特例としては、基礎控除(暦年課税)として110万円、相続時精算課税として2500万円、配偶者に対する居住用財産の特例、住宅取得等資金の特例(3500万円まで)等があります。
(5) 相続税
 @課税原因は、不動産を相続、遺贈、死因贈与、相続時精算課税に係る贈与により取得した場合です。A税率は、遺産の法定相続分に応じて10%から50%、B納期(申告期限)は、相続開始のあったことを知った日の翌日から10ヶ月以内、C課税の特例としては、基礎控除として5000万円+1000万円×法定相続人数があり、また配偶者に対する居住用財産の特例、住宅取得等資金の特例等があります。

4 マンションを売る場合や貸す場合にかかる税金(所得税、法人税、道府県民税、市町村民税、消費税)
(1) 所得税
 @課税原因は、個人が不動産を譲渡・遺贈・貸付等行い所得が生じた場合に課せられる税金(国税)です。A税率は、所得に応じ5%〜40%まで。B納期は、譲渡等が行われた年の翌年3月15日。C課税の特例として、収容等の特例、居住用財産の譲渡の場合の特別控除、特定資産の買い換えの特例、優良賃貸住宅等の割増償却等数多くあります。
(2) 法人税
 @課税原因は、法人に所得がある場合に課せられます。A税率は、30%(資本金1億円以下の年800万円以下の所得は22%の軽減税率)。B納期は、事業年度終了後2ヶ月。C課税の特例は、所得税とほぼ同じものがあります。
(3) 道府県民税
 @課税原因は、個人では毎年1月1日に居住しかつ前年に所得があるとき、法人では事務所を有しているときに課せられるものです。A税率は、所得割4%、法人税割5%、均等割(個人は1,000円、法人は年額2万円〜80万円)です。B納期は、個人は6月・8月・10月・1月、法人は事業年度終了日から2ヶ月以内です。
(4) 市町村民税
 @課税原因は、道府県民税と同じ。A税率は、所得割(個人は前年の所得金額の6%)、法人税割(標準税率12.3%)、均等割(標準税率として個人は3,000円、法人は年額5万円〜300万円)です。B納期は、6月・8月・10月・1月です。
(5) 消費税
 @課税原因は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供及び保税地域から引き取られる外国貨物に対して課されます。A税率は、4%(プラス地方消費税1%)です。B納期及び申告期限は、課税期間終了後2ヶ月以内(ただし、個人事業者が提出する申告書は翌年3月末日まで延長)です。C課税の特例として、課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税が免除されます。

※ご注意
 以上はあくまで概略であり、具体的な適用や詳細について知りたい場合は、税務署あるいは税理士等にお聞きください。

以上
22 駐車場の賃貸借契約書に印紙税はかかるか

【質 問】
 マンションが敷地を駐車場として賃貸する際に作成する契約書(賃貸借契約書)に印紙税はかかるのでしょうか。

【回 答】
1 印紙税とは
 印紙税とは、不動産の譲渡や借地権の設定等の契約書、その他受取証書などを作成したときにかかる税金(国税)です。印紙税は、印紙税法別表第1の課税物件表に列挙された文書に対してのみ課税されます(これを「課税文書」といいます)。課税文書1通ごとに課税されますので、当事者間で同じ文書を2通作成した場合には、2通とも印紙税がかかります。また、正本、副本、謄本等であっても、それが契約の成立を証する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となります。
 課税文書としては、@不動産の譲渡に関する契約書、A土地の賃貸借契約書、地上権設定契約書、B請負に関する契約書、C売上代金に係る金銭の受取書(ただし、契約金額が3万円未満の場合は非課税)などがあります。一方、不課税文書としては、@建物の賃貸借契約書、A委任状または委任に関する契約書、B営業に関しない金銭の受取書、C質権・抵当権の設定または譲渡の契約書などがあります。  

2 駐車場の賃貸借契約書と印紙税
(1) 前述のとおり、土地または地上権の賃貸借契約書は、課税文書として印紙税がかかりますが、建物や施設、物品などの賃貸借契約書には印紙税がかかりません。それでは、マンション所有の敷地を駐車場として賃貸する場合、印紙税がかかることになるのでしょうか。
(2) 結論からいえば、駐車場の賃貸借の場合、その契約内容が土地の賃貸借であるのか、施設の賃貸借であるのかによって取扱いが異なります。契約形態の違いにより、以下のようになります。
ア)印紙税がかかる場合
駐車する場所としての土地を賃貸借する場合がこれに該当します。この場合は、「土地の賃借権の設定に関する契約書」として課税文書に該当することになるからです。ただし、課税標準額としての契約書の記載金額は、賃料(地代)ではなく、権利金や、名義変更料、更新料等後日返還されることが予定されていないもの(賃借権設定のための対価)の金額となります。
イ) 印紙税がかからない場合
以下の場合は、印紙税の対象とはなりません。すなわち、@車庫を賃貸借する場合、A駐車場の一定の場所に駐車することを契約内容とする場合、B車の寄託(保管)契約である場合の3つです。@は、車庫という施設の賃貸借契約であり、Aは駐車場というこれも施設の賃貸借契約であり、Bは車という物品を預る寄託契約を内容とするものだからです。

3 記載金額に応じた印紙税額
 以上のように、駐車する場所としての土地を賃貸借する場合は課税文書として印紙税の対象となりますが、それでは税額はいくらとなるのでしょうか。それは記載金額に応じて異なります。
@記載金額が1万円未満の場合は、課税文書ですが、課税されません(非課税文書)。A1万円以上10万円以下の場合は200円(以下記載金額に応じて400円から60万円まで)、B契約金額の記載がないものは、200円となります。
 結局、駐車場の契約が土地の賃貸借であり課税文書となる場合でも、権利金等返還が予定されていないものを契約内容としないかぎり、印紙税を収める必要はありません。また、仮に権利金等を契約内容としても、その額が低額にとどまれば課税されないか、課税されたとしても低額で済むことになります。以上の点に留意して、駐車場契約を結ぶようにしてください。
※ご注意
 以上はあくまで概略であり、具体的な適用や詳細について知りたい場合は、税務署あるいは税理士等にお聞きください。
以上
23 団地型マンションについて

【質 問】
 私のマンションはいわゆ団地型と呼ばれるマンションです。単棟型のマンションとどこがどのように違いますか。

【回 答】
1 「団地」とは
 一般に団地とは、多数の建物が同一区画内に存在する場合に、それらの建物及び敷地を総称するものとされていますが、区分所有法にいう「団地」という場合は、@1団地内に数棟の建物が存在し、Aその団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分がある建物では、区分所有者)の共有に属すること、という二つの要件を満たすものをいいます。これらの要件を満たし、団地関係が構成される場合において、土地又は附属施設を共有する団地内の建物の所有者を「団地建物所有者」といいます。団地建物所有者は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び占有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、区分所有法の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができます(区分所有法第65条)。
 団地の場合でも、各建物ごとに管理組合は存在します。すなわち、団地建物所有者が全員で構成する団体(これを「団地管理組合」いいます)が、団地内の区分所有建物並びにその敷地及び附属施設の全部を管理することとされている場合でも、各区分所有建物(これを「各棟」といいます。以下同じ)の管理組合と団地管理組合とは並存することになります。

2 団地の管理
(1)  団地の管理へ準用されるもの
区分所有法第66条により、以下の規定は団地の管理にも準用されています。すなわち、@先取特権(法7条)、A特定承継人の責任(法8条)、B共用部分の変更、管理等(法17条〜19条)、C管理者の選任及び解任(法25条)、D管理者の権限(法26条)、E委任の規定の準用(法28条)、F区分所有者の責任等(法29条)、G規約及び集会(法30条1項・3項〜5項、31条1項、33条〜46条)、H管理組合法人(法47条〜56条)に関する規定がそれです。
(2)  団地の管理へ準用されないもの
 以上に対し、@敷地利用権(法22条〜24条)、A義務違反者に対する措置(法57条〜60条)、B復旧及建替え(法61条〜64条)は団地の管理に準用されません。これらは各棟ごとにのみ適用され、団地管理組合の集会において決議することはできません。
 この点に関し、標準管理規約(団地型)第72条では、以下の事項については、棟総会の決議事項とされています。
一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止 二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任(義務違反者に対する措置) 三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し 五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え 六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと

3 以上、団地型マンションについてポイントとなる点を見てきましたが、団地型マンションは単棟型マンションに比し権利関係などが複雑となっています。団地型のマンションで管理組合の役員になっている方は、区分所有法、国交省発表の標準管理規約(団地型)、そのコメントなどにできるだけ目を通しておくようにしましょう。
以上
24 集会(総会)の招集について

【質 問】
 私のマンションでは、これまで区分所有者による総会(集会)が行われたことがありません。理事長はいるようですが、マンションに居住せずに遠方にいるとのことで、私も顔を見たことがありません。会計報告もないため、管理費等が適切に行われているかチェックのしようもありません。このままではいずれ問題が大きくなりそうです。集会を開く方法はありますか。管理規約では、総会で理事長を選任するとの規定があり、また、理事長は毎年1回定期に集会(総会)を招集するとの規定があります。なお、私のマンションの管理組合は法人ではありません。

【回 答】
1 結 論
 集会は理事長が招集するのが原則ですが、理事長が招集を怠っているような場合、他の区分所有者も招集できます。そこで、従来の理事長を解任し、新たな理事及び監事などの役員を選任し、管理組合を機能させることができます。以下、詳しく述べます。

2 詳 論
(1) 集会の意義
 区分所有法では、集会は建物等の管理を行うための区分所有者の団体(管理組合又は管理組合法人)の最高の意思決定機関と位置づけられています。すなわち、規約の設定・変・廃止、共用部分の変更・管理、区分所有者の共有に属する建物の敷地及び附属施設の変更・管理等、管理に関する主要な事項は、集会の決議によることを原則としています。また、義務違反者に対する訴えの提起や建物の一部が滅失した場合の復旧・建替えなども、集会の決議で決することができます。
(2) 集会の開催時期
 区分所有法によれば、管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければなりません(法34条2項)。開催時期に特に制限がありませんが、管理者は、集会において毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならないとされている(法43条)ことから、一定の時期に行うことが必要となります。通常は、管理規約で開催時期を規定しておきます。
(3) 集会の招集権者
招集は、管理組合法人であれば理事が行い、法人でない場合で管理者が定められていれば管理者が行い、管理者がない場合は少数区分所有者が直接に招集することができます(ここに「少数区分所有者」とは、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものをいいます。なお、この定数は規約で引き下げることができますが、引き上げることはできません)。
(4) 相談者のマンションの場合
 相談者のマンションのように、規約で理事長(区分所有法にいう「管理者」に相当します)が定められている場合、集会の招集権は原則として管理者にあります(法34条1項)。しかし、管理者が集会の開催を怠っている場合は、前述の少数区分所有者が、管理者に対して「会議の目的たる事項」を示して招集を請求することができます(同条3項)。この場合において、管理者が2週間以内にその請求の日から4週間以内の日を会日とする集会の招集通知が発せられなかったときは、招集を請求した区分所有者は集会を招集することができます(同条4項)。
 したがって、相談者のマンションでは、相談者を含めて少数区分所有者の要件を満たした上で、まず管理者である理事長に集会の招集を請求し、期日に招集がされなければ、少数区分所有者みずから集会を招集すればよいのです。是非、集会を開催し、管理組合の運営を軌道に乗せてください。
以上

25 個人情報保護法とマンション管理組合

【質 問】
 5年ほど前に個人情報保護法という法律が制定され、個人情報の取扱いが厳格になりましたが、マンション管理組合としてどのような点に気をつけなければならないのでしょうか?

【回 答】
1 個人情報保護法の概要
(1) 目的
 平成17年4月から施行された個人情報保護法(「個人情報の保護に関する法律」)は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適切な取扱いに関し、基本的理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としています(法1条)。
(2) 個人情報とは
 個人情報保護法における「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述により個人を識別することができるもの(他の情報と用意に照合することができ、それにより特定の個人を識別することとなるものを含む。)をいいます(法2条)。
(3) 適用対象
 個人情報保護法は、@国民一般に個人情報保護を適正に取り扱うことを要求する規定と、A個人情報取扱業者(5,000人以上の個人データを取り扱うもの。営利・非営利は問わない)に関する義務規定とに分かれます。個人情報取扱業者の場合は、利用目的の特定・制限、適切な取得、取得に関する利用目的の通知・公表、安全管理、第三者提供の制限等の義務が課せられており、違反者には行政処分や罰則の適用があります。

2 管理組合と個人情報保護法
(1) マンションにおける個人情報
 管理組合として、個人情報保護法上の個人情報に該当するものとしては、組合員名簿、入居者名簿、管理費・修繕積立金納入状況、駐車場・倉庫契約者名簿、各種届出書・申請書などの書面及びこれらのデータのほか、防犯カメラの録画映像なども該当することになります。
(2) 管理組合の個人情報取扱責任
 マンションの管理組合の場合、保有する個人情報が5,000人以上になることはないでしょうから、義務規定が課される個人情報取扱業者ではありません。ただし、個人情報に関する意識は近年特に高まってきており、個人情報が不当に漏洩し、それにより個人が損害を受けた場合には場合には、民法上の損害賠償責任が生じる可能性もありますので、管理組合においても、個人情報の取得・管理には十分な注意が必要です。
(3) 管理規約や規則の整備の必要性
 以上のように、管理組合が個人情報取扱業者でなく、個人情報保護法の処分や罰則を受ける対象ではないとしても、民事上の責任が問われる可能性がある以上、管理組合としても個人情報の取扱いには一定のルールを確立しておくべきでしょう。規定に盛り込むべきポイントは、個人情報の利用目的、管理責任者の選任、個人情報の収集方法、個人情報の管理・更新の方法、開示手続きの方法などがあります。
(5) 管理組合として見直そう
 あなたのマンションでは、個人情報が新築当時のままの古いデータのままであったり、また個人情報の収集管理等を管理会社任せにしていませんか。これを機会にぜひ居住者名簿などの内容、その管理の状況を見直してください。

3 関連問題(管理会社から宅建業者への滞納状況の開示について)
標準管理委託契約書第14条では、管理業者が宅建業者から管理費等の滞納額の開示を求められた場合には、管理組合に代わり、書面による開示するものとするとされています。確かに、この対象物件の滞納額も個人情報にはちがいありませんが、個人情報保護法第23条1項2号の「人の・・・財産の保護ために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当するものとして開示は認められるというのが、(社)高層住宅管理業協会作成の「マンション管理業における個人情報保護ガイドライン(平成17年4月施行)」における考え方です。
             以上
26 平成23年改正 マンション標準管理規約改正のポイント

一 はじめに
 平成23年7月27日国土交通省より、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という)の改正が発表されました。マンション管理規約は、いわば「マンションの憲法」 ともいえる重要なルールです。そこで、今回と次回の2回にわたり、この改正標準管理規約のポイントについてご紹介します。

二 改正の趣旨
 今回の「標準管理規約の改正について」によれば、「今回の標準管理規約の改正は、役員のなり手不足等の課題に対応するため、役員の資格要件の緩和を行うこと等を主な内容とするものですが、パブリックコメントにおいて、いわゆる第三者管理者方式など専門家を活用した管理方式に係る規定を整備すべきであるなど、管理組合の運営の基本的なあり方に関する意見が多く出されたところです」「特に、専門家を活用した管理組合の運営に対応した標準管理規約を整備するためには、役員の資格要件の問題だけではなく、総会と理事会の役割・関係、専門家を含む役員の業務遂行に対するチェック体制の強化等の幅広い観点からの検討が必要となります。したがって、パブリックコメントにおいて多くの意見を頂いた、専門家を活用した管理組合の運営に対応した標準管理規約の整備については、上記のような幅広い観点からの検討を改めて行った上で、早期に措置することとし、今回の改正においては、以下のように区分所有者が主体となって行う管理のあり方の中での所要の見直しを行うこととします。」と改正の趣旨を述べています。

三 改正のポイント
 改正内容としては、以下の4項目がポイントとなります。

1 執行機関(理事会)の適正な体制等の確保
 (1) 役員の資格要件の緩和
 役員のなり手不足等の実態を踏まえ、役員の資格要件が緩和されました。改正前標準管理規約では「理事又は監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」とあったのを、改正後標準管理規約では「理事又は監事は、組合員のうちから、総会で選任する。」 とし、現住条件が撤廃されました。今回の改正の目玉ともいうべき内容です。
 (2) 理事会の権限の明確化等
 理事会の決議事項の明確化、新年度予算成立までの経常的な支出を理事会承認により可能とする手続き規定の整備等が行われました。理事会による機動的な組合運営を可能とするための改正です。

2 総会における議決権の取扱いの適正化
 (1) 議決権行使書・委任状の取扱いの整理
 組合員による出席によらない総会の運営方法である書面による議決権行使(議決権行使書及び委任状)の取扱いのルールが明確化されました。この点については、改正コメントの中で次のように理由が述べられています。「組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、委任状よりも、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには議案の内容があらかじめ明確に示されることが重要であること」「白紙委任状が多用されないよう、例えば委任状の様式等において、誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくこと等」(46条関係D)。また、委任状による代理人の範囲について、コメントで基本的な考え方が記述されました。すなわち、「代理人の範囲は、区分所有者の立場から利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましいこと等」となりました(第46条関係E)。

3 管理組合の財産の適切な管理等
 (1) 財産の分別管理等に関する整理
 マンション管理適正化法施行規則の改正が平成 22 年5月に施行されたことを踏まえ、管理費の徴収に係る第 60 条関係のコメントが改正されました。
 (2) 長期修繕計画書等の書類等の保管等に関する整理
 管理組合が保管する書類等について、保管責任者の明確化やその閲覧・保存方法について規定が追加されました。
 (3) 共用部分の範囲に関する用語の整理
 平成22年5月のマンション標準管理委託契約書の改定を踏まえた用語の整理が行われました。

4 標準管理規約の位置づけの整理
 マンションの規模、居住形態等各マンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に標準管理規約を修正し活用することが望ましい旨をコメントに記載されました。

四 管理規約の見直しをお勧めします
 以上の標準管理規約の改正にもあるように、マンションを取り巻く状況は変化しています。管理規約が適正であることが不要なトラブルを回避し、さらには快適なマンション管理を実現する上で必要不可欠といえます。今回の国交省発表の改正標準管理規約を契機に、あなたのマンションでも管理規約を見直しませんか。当事務所でもご相談に応じます。
 なお、国土交通省のホームページから、改正標準管理規約及びコメント等が閲覧できますので、ぜひ一度目を通しておくことをお勧めします。また、国土交通省への問合せ先は次のとおりです。

(お問い合わせ先)
 国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室 課長補佐 山岸、調査指導係長 小出  TEL 03-5253-8111(内線 39682、39683)、03-5253-8509(夜間直通)

以上
27 適正な修繕積立金額とは(2)〜平成23年4月国土交通省発表 「マンションの修繕積立金に関するガイドラインについて」

【質問】
 最近、国交省から、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が発表されたと聞きましたが、それはどのようなものですか。

【回答】
1 はじめに
 平成23年4月18日国土交通省(以下「国交省」という。)は、「マンションの修繕積立金に関するガイドラインについて」という指針(以下、「ガイドライン」という。)を発表しました。多くのマンションが修繕積立金に不足を生じており、適正な修繕積立金としてどのくらいが必要かを知りたいと思っていることでしょう。今回は、このガイドラインの内容のポイントについてお話しします。以下、出展は国交省発表の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要に基づいていますので、詳しく知りたい方は、国交省のホームページをご覧ください。

2 ガイドラインの背景と目的
 「マンションの良好な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、計画的な修繕工事の実施が不可欠であり、そのためには、長期修繕計画に基づき、適正な修繕積立金の額の設定を行うことが重要です」。ところが、「一般に、マンションの分譲段階では、分譲事業者が、長期修繕計画と修繕積立金の額を購入予定者に提示していますが、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される等の例もみられ、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった事例も生じています」。そこで、このような背景から、国土交通省は、「特に新築マンションの購入予定者に対し、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示し、分譲事業者から提示された修繕積立金の額の水準等についての判断材料を提供するために、『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』を作成し」た、としました。

3 ガイドラインのポイント
(1) 修繕積立金の額の目安
ア)専有床面積当たりの修繕積立金の額
 主として区分所有者自ら居住する住居専用の単棟型マンションを対象とし、15階未満と20階以上(超高層マンション)を分けた上で、平均値と事例の3分の2が包含される幅を示しています。ここでは15階未満の平均値を紹介します。敷地面積が5,000u未満では、218円/u・月、5,000〜10,000uでは202円/u・月、10,000u以上では178円/u・月となっています。ただし、事例のばらつきが大きいため、事例の3分の2が包含される幅がそれぞれありますので、一律ではありません。 
イ)機械式駐車場がある場合の加算額
 この場合の加算額の計算式は、「加算額=機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費※×台数×購入予定の住戸の負担割合」となります。※機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費は、機会式駐車場の種類に応じて機会式駐車場の修繕工事費(1台あたりの月額)の目安が変わります。2段(ピット1段)昇降式では7,085円/台・月、3段(ピット2段)昇降式では6,040円/台・月、3段(ピット1段)昇降横行式では8,540円/台・月、4段(ピット2段)昇降横行式では14,165円/台・月となります。
(2) 具体的計算事例
ア)修繕積立金の額
 例えば、10階建て、建築面積延床面積8,000uのマンションの専有面積80uを購入する場合でいえば、目安の平均値は80u×202円/u・月=16,160円となります。ただし、80u×140円/u・月=11,200円/月〜80u×265円/u・月=21,200円/月の間で目安の幅があります。
イ)機会式駐車場がある場合の加算額
 例えば、購入予定のマンションに、2段(ピット1段)昇降式の機械式駐車場が50台分あり、購入予定住戸の専有床面積80u、マンション全体の専有面積合計6,000u(住戸の負担割合80/6,000)の場合の加算額は、7,085円(月額修繕工事の目安)×50台×80/6,000=4,723円となります。(1)の場合に加えると、優に20,000円を超えることになります。

4 修繕積立金の額の目安を活用するにあたっての留意点
(1) 以上の額はあくまで「目安」であり、提示額がこの幅に収まっていないからといって、直ちに不適切と判断されるわけではありません。
(2) 分譲業者から提示された額が「目安」の幅に収まっていない場合には、長期修繕計画に内容や修繕積立金の設定の考え方、積立方法等のチェックが必要です。
(3) 分譲業者は、購入予定者に対し、長期修繕計画の内容、修繕積立金の設定の考え方、積立方法等について、このガイドラインを参考に説明することが重要となります。

5 ガイドラインの活用について
(1) この国交省発表のガイドラインは、主として新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金に関する基本的知識や修繕積立金の額の目安を示したものですが、併せて分譲事業者が購入予定者に説明するに際して活用することが重要です。国交省は、そのことを通じて、適正な修繕積立金の設定・積立の促進につながることを期待するとしています。
(2) 現に長期修繕計画や修繕積立金の見直しを検討している管理組合についても、適切な修繕積立金の実現のために、是非このガイドラインを参考にしてください。

6  「マンションすまい・る債」での適用要件
 住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」では、一戸当りの修繕積立金の平均月額が一定以上積み立てることになっていることが要件の一つとされていますので、参考のためにその額を紹介します。
 @平均専有面積55u以上の経過(築)年数5年未満のマンションでは6,000円、A5年以上10年未満では7,000円、B10年以上17年未満では9,000円、C17年以上では10,000円とされています(平均専有面積が55u未満の場合は各額の約5%減)。なお、「長期優良住宅」の認定を受けている場合は、一戸当りの修繕積立金の平均月額にかかわりなく、この要件満たしているものとされます。

※ 国交省ホームページ(マンションの修繕積立金に関するガイドライン) http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/tsumitate2304.pdf
  住宅金融支援機構ホームページ http://www.jhf.go.jp/index.html

                                                                 以上
28 大規模修繕の時期

1 大規模修繕とは
 大規模修繕とは、長期修繕計画を踏まえて計画的に実施する修繕(「計画修繕」)のうち、建物全体又は複数の部位について行う大規模な修繕をいいます。一般的には原状又は実用上支障のない状態までに回復させるための「修繕」を意味しますが、必要に応じて性能や機能を向上させる「改良」を含めた「改修」も行う場合もあります。大規模修繕は、@事故防止、A不具合の解消・予防、B耐久性延伸、C美観・快適性向上、D居住性・機能性向上、E資産価値向上などを目的として行われます。

2 推定修繕工事項目・修繕周期の例

推定修繕工事項目

工事区分

修繕周期

T仮設

1仮設工事

@共通仮設

仮設

12

A直接仮設

仮設

12

U建物

2屋根防水

@屋根防水(保護)

補修

12

修繕

24

A屋根防水(露出)

補修

12

撤去・新設

24

B傾斜屋根

補修

12

撤去・葺替

24

C庇・笠木等防水

修繕

12

3床防水

@バルコニー床防水

修繕

12

A開放廊下・階段等床防水

修繕

12

4外壁塗装等

@コンクリート補修

補修

12

A外壁塗装

塗替

12

除去・塗装

36

B軒天塗装

塗替

12

除去・塗装

36

Cタイル張補修

補修

12

Dシーリング

打替

12

5鉄部塗装等

@鉄部塗装(雨掛かり部分)

塗替

4

A鉄部塗装(非雨掛かり部分)

塗替

6

B非鉄部塗装

清掃・塗替

12

6建具・金物等

@建具関係

点検・調整

12

取替

36

A手すり

取替

36

B屋外鉄骨階段

補修

12

取替

36

C金物(集合郵便受等)

取替

24

D金物(メーターボックス扉等)

取替

36

7共用部内部

@共用内部

張替・塗替

12

V設備

8給水設備

@給水管

更生

15

取替

30

A貯水槽

取替

25

B給水ポンプ

補修

8

取替

16

9排水設備

@排水管

更生

15

取替

30

A排水ポンプ

補修

8

取替

16

10ガス設備

@ガス管

取替

30

11空調・換気設備

@空調設備

取替

15

A換気設備

取替

15

12電灯設備等

@電灯設備

取替

15

A配電盤類

取替

30

B幹線設備

取替

30

C避雷針設備

取替

40

D自家発電設備

取替

15

13情報・通信設備

@電話設備

取替

30

ATV共聴設備

取替

15

Bインターネット設備

取替

15

Cインターホン設備等

取替

15

14消防用設備

@屋内消火栓設備

取替

25

A自動火災報知設備

取替

20

B連結送水設備

取替

25

15昇降機

@昇降機

補修

12

取替

30

16立体駐車場設備

@自走式駐車場

補修

10

建替

30

A機械式駐車場

補修

5

取替

20

W外構・その他

17外構・附属施設

@外構

補修、取替

24

A附属施設

取替、整備

20

18調査・診断、設計、工事監理等費用

@調査・診断、設計等

12

A工事監理

12

19長期修繕計画作成費用

@見直し

5

〔出典:「長期修繕計画作成ガイドラインコメント」(国土交通省)より抜粋〕

3 長期修繕計画は、修繕積立金の額と併せて5年程度ごとに見直しをしましょう。
以上

29 「マンションの防犯」

【質問】
 マンションの防犯対策を考える上で、ポイントはどのようなものですか。

【回答】
1 「マンションの防犯」の意義
 標準管理規約第32条第十二号では、管理組合の業務の一つとして「風紀、秩序及び安全の維持に関する業務」を規定しています。近年のピッキング等による住居侵入、不審者の侵入等の増加により、防犯対策は益々重要性を増しています。すなわち安心して暮らせるマンション作りにとって防犯対策は欠かせないものとなっています。建物への防犯カメラの設置などハード面とともに管理組合活動というソフト面の両面からの対策が必要です。

2 標準的な防犯対策
国土交通省平成17年12月発表の「マンション管理標準指針」によれば、標準的な対応として、以下の2点を挙げています。
@ 最寄の交番、警察署の連絡先等の周知
A 日頃から居住者同士の挨拶が自然に行われるような取り組みの実施
@は、不審者を発見したときの通報等を迅速に行い犯罪を未然に防止するため、また、犯罪発生時に早急に解決を図るためにとるべき方法です。Aは、コミュニティ形成活動の一環ですが、犯罪者心理としては近隣住民に見られたり声をかけられたりすることがもっともいやなことなので、犯罪抑止にとって有効な方法です。これらは、比較的容易に行えるものなので、各マンションでも直ちに実施するようにしましょう。

3 望ましい防犯対策
 前述の標準管理指針では、さらに望ましい対応として、以下の2点を挙げています。
@ 防犯マニュアル等防犯に関する情報の収集・提供
A 定期的な防犯パトロールの実施
 @は、例えば、長期外出時に不在であることを犯罪者に知られないようにするため、新聞・郵便を止めること、隣家に声をかけることなど、住民個人としてとり得る対策を内容とする「防犯マニュアル」の作成など「防犯に関する情報の収集・提供」を行うということです。この「防犯に関する情報」については、管理組合自らが作成するだけでなく、警察署作成のものがあれば、それを積極的に活用することも含まれます。Aの防犯パトロールについては、マンション単独でなく、近隣自治会等の取り組みに参加する形でもよいでしょう。

4 マンションのハード面での防犯対策
マンション共用部での対策として、以下主要なものを紹介します。
@ 共用出入口では、例えば共用玄関は道路等からの見通しが確保されたものであること、共用玄関扉は内外を見通せる構造が望ましいこと、オートロックシステムを導入することなどが望ましい対応です。
A エレベーターでは、かご内には防犯カメラを設置すること、非常時での押しボタン・インターホン等の装置を設置すること、かご及び昇降路の出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓が設置されたものであること、などが必要です。
その他、管理員室、エレベーターホール、共用廊下、共用階段での防犯対策が必要とされますが、この点は、詳しくは国土交通省が作成した「共同住宅に係る防犯上の留意事項」(平成13年3月23日付)及び「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」(同日付)を参照してください。

以上
30 「マンションの排水管の維持・管理」

【質問】
 マンションの排水管の維持・管理を行う上でのポイントは何ですか。

【回答】

1 排水設備の種別
  排水設備は、大きく分けて、屋内雑排水管と屋外雑排水、汚水、雨水管があります。

2 排水設備の維持・管理 
(1) 屋内排水管の維持・管理
 区分所有法によれば、屋内排水管のうちいわゆる縦管は共用部分ですが、専有部分にある排水横枝管は共用部分ではありません。したがって、排水横枝管については、本来は管理の対象からは外れますが、多くのマンションでは排水管系統を共用部分とみなして、管理組合で定期的に清掃(排水管洗浄等)を行っています。これは、実際上、区分所有者個々人が清掃ずることは困難であり、また共用部分と連結していることが多いため、専有部分なのか共用部分なのか区別するのが困難であるという事情によるものです。この全棟一斉に行う定期的な排水管洗浄は、1年あるいは2年に一度のペースで行うのが一般的です。

(2) 屋外雑排水、汚水、雨水管
 定期的に桝の蓋を開け、ゴミ、堆積物の点検を行います。さらに、排水管の機械洗浄を3から5年に一度は行うようにしましょう。

(3) 配管の老朽化
 配管の腐食による穴あき漏水は、配管の材質、工法、設置場所、水質等により異なります。金属系の排水管では、台所流しの横引排水管が劣化しやすいといわれます。他方、屋外の埋設管では、金属系の排水管では内部腐食より外部腐食の方が深刻な問題を生じます。プラスティック管では、腐食の問題よりも強度低下、変形、継ぎ手部分の緩み等による漏水が生じやすくなります。

(4)排水設備の修繕周期
 国交省「長期修繕計画ガイドラインコメント」によれば、排水設備のうち、排水管については、更正は15年、取替は30年であり、排水ポンプについては、補修8年、取替16年とされています。

以上
31 「仲介不動産業者の義務〜重要事項説明と契約書面の交付義務」

【質問】
 今度、不動産業者に仲介してもらってマンションを購入しました。この場合の不動産業者が行うべき義務は何ですか。

【回答】

1 不動産仲介業者の義務
 宅地建物取引業法によれば、不動産売買の仲介を行う者(以下、「宅建業者」といいます。)は、宅地建物取引業を行う者として、宅建業の免許を取得しなければ業務を行ってはならないとされています。そして、宅建業者は不動産の売買に際して、まず契約締結前に重要事項の説明をしなければならず、さらに契約締結後は契約内容を証する書面を交付しなければならないという義務を負っています。
 不動産は価値が高く、もしトラブルになると消費者に多大な損害を及ぼす及ぼす恐れがあるため、業者に厳格な義務が課せられているのです。
2 重要事項の説明・交付義務
(1) 重要事項の説明義務
 宅建業者は、契約を締結する前に不動産をこれから買おうとする相手方(買主、借主)に対して、当該物件がどのようなものなのかを知ってもらうために、重要な事項について説明をする必要があります(宅建業法第35条)。
(2) 説明義務者と説明方法
 宅建業者は、宅地建物取引主任者(以下、「取引主任者」といいます。)をして重要事項の説明をさせなければなりません。説明義務は業者の義務ですが、実際に説明を行うのは取引主任者となります。したがって、たとえ業者の社長さんであっても、取引主任者でない者が説明した場合は説明義務を果たしたことにはならず、宅建業法違反となります。
(3) 説明時期・方法
 重要事項の説明は、必ず契約締結前でなければならず、契約後であってはなりません。また、説明は口頭では足りず、取引主任者の記名・押印のある書面を交付して行う必要があります。そして、その説明の際には、取引主任者は説明の相手方に取引主任者証を提示しなければなりません。
(4) 説明事項
 宅建業法第35条に列挙されている事項を説明する必要があります。この点、マンション(区分所有建物)の場合は、一般の売買・交換の場合のそれに加えて説明事項が増えています。
3 契約内容書面の交付義務
(1)第37条書面の交付義務
 契約が成立したら、宅建業者は遅滞なく契約内容を記載した書面(以下、「第37条書面」といいます。)を交付しなければなりません。
(2) 交付時期と交付方法
 第37条書面は、契約内容を確認するためのもので、契約後遅滞なく交付する必要があります。この場合の交付は、重要事項説明書と異なり、契約の両当事者(売主・買主、貸主・借主双方)となります。また、交付は誰が行ってもよく、取引主任者による説明も必要もありません。ただし、取引主任者の記名・押印は必要です。
(4) 記載事項
 宅建業法第37条に列挙されている事項を記載する必要があります。そのうち、必ず記載しなければならない事項を必要的記載事項、定めがある場合に記載が必要となる事項を任意的記載事項といいます。重要事項と共通する内容もありますが、異なる内容もあります。
  以上
32 「分譲マンション特有の重要事項説明」

【質問】
 重要事項説明義務のうち、分譲マンションに特有な説明事項は何ですか。

【回答】
1 はじめに
前回、仲介業者である不動産会社には、重要事項説明義務と契約書面の交付義務があること及びその概要をお話ししましたが、今回は、特に重要事項説明義務のうち、分譲マンションに特有な説明事項をお話しします。

2 分譲マンションに特有な重要事項の内容
 宅地建物取引業法第35条第1項第6号・同法施行規則第16条の2によれば、分譲マンション(区分所有法の「区分所有建物」のこと。)においては、不動産業者は以下の事項を説明しなければならないとされています。
@ 一棟の建物の敷地に関する権利の種類とその内容
A 共用部分に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容
B 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容
C 一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨(専用使用権)の規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容
D 一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容
E 一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨(計画修繕積立金)の規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容及び既に積立てられている額
F 通常の管理費用の額
G 一棟の建物及びその敷地管理が委託されているときは、管理受託者の氏名・住所(法人の場合は商号又は名称・主たる事務所の所在地)
H 一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容

3 説明事項についてのコメント
@・・・敷地利用権の例としては、所有権、地上権、賃貸借等があります。
B・・・例えば、ピアノの使用やペットの飼育などの制限がある場合
C・・・例えば、専用庭、駐車場の使用など
E・・・修繕積立金の内容の他、滞納がある場合は、その額も説明事項となります。前区分所有者に滞納額があるときは、買主がそれを引き継ぐことになるからです。
F・・・通常の管理費は、修繕積立金とは区別されます。
G・・・委託された業務内容までの説明は必要ありません。
 なお、ABCDEの事項は、規約(案も含めて)の定めがないときは、説明の必要はありません。また、Gについては、委託がないときは説明の必要はなく、Hについて、記録がないときも説明の必要はありません。 以上

橋本行政書士事務所
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FAX 059−355−1982
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