
私の練習法
私は普段は尻をベンチ台から10cmほど浮かして練習しています。体型に比し、台が低いためです。これぐらいがもっとも大胸筋や上腕三等筋に効く感じがします。したがって、最も効率良く筋を発達させることができるフォームということになります。私の場合、普段からすべて尻をつけると拘束されている感じがし、ストレスがたまってきます。しかし、筋肉に色々な刺激を与えるということがトレーニングの第一義ですので尻をつけて行うこともやっています。
試合前1ヶ月は当然、尻をベンチ台に付けて行います。これは「特異性の原理」を意識しているためで、トレーニングした形で強くなるためです。吉田式はこの「特異性の原理」を意識した理論ということができます。ここでは微調整ですので1ヶ月ぐらいで試合用に完成します。
尻の高さは私の場合、3種類持っています。完璧に上げた場合、10cmぐらい浮かせた場合、付けた場合です。各種刺激が違うのでその時々で使い分けています。完璧に上げた場合は胸筋にはあまり効いた感じがしないので高重量になれる場合、背中の柔軟性アップを目的とする場合に用いています。10cm上げや尻つけは上記のとおり。
日本のベンチプレス方法論
日本には大別すると二つのベンチプレス理論があります。一つは岩崎式、他の一つはパワーハウス式(吉田式)です。吉田式については、「パワーリフティング入門」に詳しいので参照してください。どちらのジムも全日本ベンチプレス選手権でクラブ対抗優勝経験があり、全日本ベンチ優勝者、日本記録保持者を多数輩出しているため、ひとかどの理論として成り立っています。ベンチプレスも他種目同様、十人十様なので自分にあう理論を採用したら良いと思います。また、一つの理論に固執する必要はまったくありません。
ベンチプレス練習法
今回は効率良くベンチプレスを練習する方法について書いて行きます。
@プレートのつけはずしについて:一人、ないしは二人で練習するときは自分でプレートをつけなくてはなりませんが、つけ終わったあと必ず前腕の感覚が元に戻るまで休みます。3人以上のときは試技が終わった後、2回連続して付けはずしを行い、試技直前はプレートに触らないようにします。こうすることによって、回復を促すことができ、良い状態で試技に望めます。また、プレートのつけ方ですが、たとえば、ある人が80kgで行い、次の人が100kgでやる場合、片方に10kgずつ入れればことは足りますが、なかにはバー20kg、プレートは片方20kgX2でやりたい人もいます。このような場合に、ラックの高さを調節するとき、とりあえず、60kgまで落としてラックを上げて、それからプレートを入れるようにすると力を温存できます。このとき、他方の人がバーの他端を下に押し下げてやるとバーを持つ人が楽になります。
さらにいうと、120kgの人の次に80kgの人がやる場合、プレートは内側から順に20kg、10kg、20kgとつけると、120kgの後に、20kgプレートをはずすだけなので楽です。
A試技時の注意点:まず、バーがセンターにあるかどうかみます。寄っていれば、センターに合わせます。ラックからはずすときにバーを受けの前方にころがします。スタートポジションに持ってきて、微妙なゆれが止まるまで待ちます。max近くなると、バーが肩に近いところでスタートを取る傾向がありますので、軽いときにスタートポジションを覚えておくと良いでしょう。一般的に、バー半分ぐらい上でとまってしまいます。次に軌道を意識しながら、下ろします。胸からは爆発的に、言いかえるとバリスティックに一気に上げます。その際、バーが上に逃げないようにします。すなわち、腋が開いて甘くならないようにします。
Bリストバンドの巻き方:こんなんどうでもよろしいがな、といわずにきちんと身につけてください。人間は引き寄せる運動はすばやく、遠ざける運動は力強く行うようになっています。すなわち、引き寄せる運動は紡錘筋、遠ざける運動は羽状筋が主動筋になります。羽状筋の方が疲れにくいのでリストバンドは体から遠ざける向きに巻くと力のロスを防げます。体に近いところでリストバンドを下から上に持ってきて、手首の上方で遠ざかる向きに引っ張ります。
Cかかとの浮く人は、ハイカットシューズをはき、かかとにタオルをいれると解決します。
岩崎式ベンチプレス
ボディービルクラブですが、会員の大半がベンチプレッサーであり、遠方からベンチプレスをわざわざ習いにくる人もいます。ただ、岩崎会長は大阪府ボディービル連盟理事、審査員でもあり、会員にはボディービルダーもいることを付け加えておきます。
さて、ベンチプレスに関してですが、最も人気のあるトレーニング種目であることは論を待ちません。スポーツの補強で取り組んでいる人もベンチプレスの記録にはこだわる人が多いようです。このように人心を刺激してやまないベンチプレスなので、当然記録を伸ばすことに専念する人も多いのです。これが、ベンチプレッサーと呼ばれる人たちで、みなすごい上半身をしています。特に会員の星島靖之さんの上半身は、ボディービル大会に出ても上位に食い込めるほどのものです。以前、岩崎BCには20人足らずの会員しかいないときに5人の200kgプレッサーがいました。こんなジムは日本にはないと思います。ただ、誰でも地道に向上心を持って日々練習に励めば、必ず200kg(女性なら100kg)もてるようになります。岩崎BCの特徴はゼロから始めた人が200kg持てるようになることなのです。
ベンチプレスは「足、コース、声」にすべて集約されます。
なんでもそうですが、力を出すときに足の親指に力が入らないようなフォームでは力は出ません。必ず親指の付け根に力が入ります。ボールを投げるときや、ものをどつくときの感覚です。ベンチプレスではこのようにして思いっきりふんばります。このように足を利かすため、ベンチ台の上にお尻をつけるときは、ただ接するようにするだけです。これで、高いブリッジの基礎ができ、足の力を効率よく使えるようになります。足の力が使えるようになるだけで、10kg〜15kgぐらいはアップします。
コースはとても重要です。ノーギアでもフルギアでも同じです。自分の最高重量付近に挑戦するときに5mmコースがずれるともう挙がりません。これほど狭い範囲に軌道を取らなくてはなりません。ただ、これも慣れで、練習のときに注意してやれば、少し軌道がずれただけで違和感を感じるようになると思います。挙上距離が長いと首の方にずれる事が多いので気をつけたいものです。
声を出せば頭の中で抑制が取れるので、5%ぐらいは貢献すると思います。文献的には10%ぐらいとなっておりますが、ベテランでは心理的限界が生理的限界に近づいていますので5%も貢献すればいいほうです。ただ、スティッキングポイントを超えさえすれば挙がりますので、必ず、声は出すことです。
ベンチプレス一般論
ベンチプレスは一種類ではありません。一般的にはトレーニングの入門書に書かれているベンチプレスを想像されるでしょう。
しかし、握り幅のバリエーションとして、ナロウ、ノーマル、ワイドの三種類があり、ナロウは上腕三等筋>大胸筋、ワイドは大胸筋>上腕三等筋の強化を主目的とします。
バーの下ろし方によっても刺激は変わってきます。胸でバウンドさせて、スティッキングポイントを越えやすくする方法、試合形式にゆっくり下ろし胸で1秒ぐらい止めてから挙げる方法、また、胸で10秒ぐらいとめてあげたりすることもあります。どの方法でも胸からバーを挙げ始めるときに最高出力を出すことが重要です。ローギアーで思いっきりアクセルを踏む感じです。胸でバーを止める時間が長いほど挙げ始めに筋出力が大きくなるので、この点を強化していると考えてよいでしょう。この点を意識できるようになれば、より高重量をもてるようになります。
ブリッジの高さを調節することもあります。ブリッジが高いほうが、大胸筋、上腕三等筋にかかる負荷が減り、また、ひじ関節角度が鈍角に保たれるため、より重い重量を挙げることができます。また、ベンチシャツもよく効きます。ブリッジが低いと大胸筋、上腕三等筋にかかる負荷が増加し、同重量でも非常に困難さを感じます。また、ブリッジが低いと模擬的にはインクラインベンチに類似し、高いブリッジはディクラインベンに類似します。したがって、ブリッジが低いと大胸筋上部、三角筋前部の刺激が大きくなり、高いと大胸筋中、下部に刺激が集中します。このことは肩関節の障害を考えるときにも重要で、低いブリッジでは棘上筋が過伸展されるため、肩痛(棘上筋炎)を生じ易くなります。もし肩痛が生じたときには、お尻をベンチ台から挙げブリッジを高くして肩関節にかかる負荷を軽減してやります。そして痛みが無くなったら徐々にブリッジを低くしていきます。この方法により、肩が痛くてもトレーニングを継続できます。
筋力強化期には6RMを推奨しています。息継ぎは原則的にしません。始めに最大に息を吸いこみ胸腔内圧を最大に高めます。胸腔内圧は腹腔内圧と比例するので結果的に腹腔内圧を高めることになり、脊柱が安定します。息継ぎは胸腔内圧を低下させるため結果的に脊柱をやや不安定にさせ、挙上可能重量を落とすことになります。但し、7RM以上になると息がもたないため息継ぎをします。怒責をかけると血圧が上昇しますが、動脈硬化が進んでいなければあまり問題ありません。
6RMをただ漫然と行うだけでは意味が半減します。6回を正確に行わなくてはなりません。我々の経験では8RMでは息継ぎが必要であり、集中力の分散が生じてしまいます。8回同じように挙上、反復できればそれに越したことはありませんが、コースのぶれ等、6RMに比べ1回当たりの集中度は低下しますので、我々は、6回を完璧に上げることに集中しています。
肩甲骨の寄せが上手くいくとブリッジが高くなり、かつ、肩が下方に落ちるため約3cmは挙上距離を短くできます。ただ腕が短いほうがワイドベンチ的になるので余計に肩甲骨を寄せやすくなります。不完全でも挙上距離は短くなるので試してみる価値はあリます。
腕が長いとベンチプレスは確かに不利です。しかし、人より強くなればすむだけの話。工夫をすれば必ず道は開けます。腕が長いと悲観せずに根気よく続けることが大切です。
以上思いつくままに述べてきましたが、要するに筋肉を馴化させないようモノトーンな練習ではなくファジーに考えて行くことが大切です。質問のある方はメールまたは直接ジムにおいで下さい。
ベンチプレスの科学
今まではベンチプレスに関して経験に基づいて述べてきました。ここからはベンチプレスを科学的に分析してみたいと思います。やや難しいですが紙を手にして理解してください。解剖学用語はそのままとし、簡単な力学を使って考察しています。
@下ろす位置についての考察 (図1,2)
成書によると乳頭付近に下ろすことを推奨しています。しかし、一律に乳頭付近に下ろすのは考え物です。一般的にブリッジが低いほど下ろす位置は首に近くなります。逆にいうとブリッジが高くなれば腹に近くなるということです。前腋窩線と上腕骨のなす角度(角?とする)は70度〜80度程度でもっとも力が入るようですが、この角度はブリッジの高低によって変化しません。鎖骨間窩を点A、胸骨剣上突起を点Bとすると、ベンチ台と線分ABのなす角はブリッジが大きいほど大きくなります。点Aは固定点、線分ABは一定ですのでブリッジの高低によって点Bが矢状面内で円運動、また、水平面上では首方向への直線運動をします。したがって、角?は一定ですのでブリッジが高くなればバーは腹方向に下ろしていくことになります。
下記模式図で示すと、点A、Cは定点、線分ABは一定、線分ACは一定、線分CDは一定、∠ACD=90°、∠?>∠?とすると、図の如く、点E
は点E'に移動することがわかる。線分AB間で、明らかに点E'は点Eよりも点B側にあることがわかる。

Aバーの軌道についての考察 (図3)
この点については理解している人が非常に少ないようです。肩峰を点A、尺骨突起を点B、橈骨遠位端外側を点Cとすると、線分BCは矢状面上では常にベンチ台に対して垂直に保持されなくてはなりません。線分ABは矢状面上では点Aを中心とする円運動、水平面上では点Bは点A方向へ直線運動します。すなわち、胸に下ろした位置に比べ、挙上し終わったときの位置はやや首方向にあることになります。しかし、このずれはあくまでも生理的なものなのです。すなわち、バーが首のほうに流れることはこの生理的な円運動に逆らうことになります。生理的な円運動上に軌道がとられるときは大胸筋筋腹のもっとも厚い部分を主として使いますが、上方に流れた場合は大胸筋上部のようなより筋の薄い部分を使うことになり、筋出力の低下を招きます。また、ベンチシャツは生理的円運動上にて最大の効果を発揮しますが、上方に5mmずれたらすでにその試技は失敗です。

また、バーの下ろし方についても、考えなくてはなりません。スタート時は肘をロックした状態ですが(バーの中点を点Dとする)、その状態から胸に下ろしたとき(そのときのバーの中点を点Eとする)、バーの軌道と鎖骨間窩(点F)なす角、すなわち∠DEF(∠?)を考えると、入射角と発射角はほぼ等しいので、∠?を大きく、すなわち、垂直に近い状態で下ろすとそのように挙げることができ、∠?が小さくなると、すなわち斜めに下ろすと斜めにあげることになります。上記理論により、生理的円運動上から軌道がずれるため、失敗する率が上昇します。また、∠?が小さいときはバーが胸についたとき、首のほうにすべる傾向があるため、それだけでその試技は失敗となります。
B手首に関する考察 (図4)
手首はなるべく立てるようにします。肘関節から前腕を通して伝えられた力はバーに効率よく伝えられなくてはなりませんが、手首が立っているとバーに直線的に力が伝わり、また、手首の弾性の影響を受けません。しかし、手首が寝てしまうと、バーはやや首のほうに移動し、前腕から伝えられた力がやや減じられてバーに伝えられます。すなわち、尺骨突起を点A、手首の中点を点B、バーを点C、とすると、力はcos∠BAC(?)となり0°<∠?<90°なので0<cos∠?<1となり、バーに伝えられる力はやや減ることになります。また、手首の弾性にエネルギーを吸収され、この点からも力は減じられます。
また、解剖学的にみると、手首は8個の手根骨と橈骨、尺骨で関節されていますが、これらは、細い靭帯や筋で補強されているだけです。したがって、強度のストレスが加わると故障しやすいといえます。このような点から手首は立てて行うべきです。

C足幅に関する考察 (図5)
図5をみていただきたい。この図はベンチプレスを真上から見た図である。線分ABは一定。∠?<∠?、∠ACB=∠AC'B'=90°とする。BA方向に加えられる力は一定とすれば∠?<∠?より、力の大きさはAC方向>A'C'方向ということになる。したがて、この点から、足幅は狭いほうが効率がよいことになる。
ただし、一般論となるが、足幅を広げるほど臀部が下がるため、試技中臀部が浮きにくくなる。このことを勘案すると、下肢の長い人は足幅を広げざるを得ず、足幅に関しては一考を要することになる。

ベンチプレスTシャツ雑感
ベンチプレスTシャツ(以下ベンチシャツ)は、現在のベンチプレス大会に無くてはならないものです。ノーマルで圧倒的に強い人でもフルギアーの大会では負けることもあります。ここではベンチシャツについての概念を述べることにします。なお、ベンチシャツの加工方法はリンクにある「力姫のページ」に詳しいです。
そもそも、ベンチシャツを着たからといって、誰でも強くなるわけではありません。無加工のシャツで10kg効けばよいほうではないでしょうか。そこで自分の体に合うように加工することになります。ベンチシャツの効きは、どれだけ工夫して加工できるかにかかっているといっても過言ではありません。加工にはミシンを用いますが、直線縫いと、ジグザグ縫いができればよいです。詰める場所は腕と胸ですが、これは相対的なものです。たとえば、腕を詰めずに胸だけつめた場合、腕も詰めた場合に比べて大幅につめなくてはなりません。すなわち、腕をきつくすれば胸のつめを少なくすることができるということになります。したがって、まずは腕を詰めてきつくしなくてはなりません。また、始めて練習する前に腕をつめておくと、効果的に胸を伸ばすことができます。そして、1回目の練習後は胸を詰めることになります。腕がゆるくなっていれば腕も詰めます。これを2〜3回くりかえすと、結構良い状態になってきますので、胸のテープをはずし、縫い縮め、またテープをかぶせることになります。これでシャツは破れなくなります。絶対に破れません。但し、腋の部分はよく入れておかなくてはなりませんが。腋が少しでも浮いているとシャツが破れることがありますので注意が必要です。このテープをはずし縮める方法を3〜5回繰り返すと、シャツは完成します。
後半になってくるとシャツを微調整する必要がでてきます。
腕のきつさが左右異なっている場合、片効きとなり、バーの傾につながります。また、左右均等につめる必要はありません。筋肉の付き方には当然左右差が存在しているのであくまでも自分の体に合わせて加工しなければなりません。首の部分や、胸の生地がほつれることがありますが、こういう部分は補強をしなくてはならなりません。小さい時ではジグザグ縫いでもよいですが、大きい時は当て布をしなくてはなりません。
さて、シャツの効く条件とはなんでしょうか。ブリッジが高いこと、これは第一に意識しなくてはなりません。岩崎先生ぐらいのブリッジがとれると、70kgぐらい効かすことも可能であす。私はブリッジが低いのですが、それでも50KGぐらい効かすことができます。上記、自分の体にあった加工をしているからと思います。野崎さんも同様です。彼はストロークの短さもあり、80kg程度効かせているようです。
次はシャツの腕が長いほうが効くという事実です。2.5kg〜5kgぐらい変わってくることがあります。
また、シャツの前面をぬらしてはいけません。伸びやすくなるため反発が減少してしまいます。逆に、きつすぎた場合は少しぬらしたほうがよいこともあります。
バーの軌道については「ベンチプレスの科学A」を参照してください。軌道が長いほど少々のずれでも挙上不能になることを知っておく必要があります。
つめ方の注意点として、腕を腋ぎりぎりまで詰めすぎないほうがよい、ということがあげられます。このような状況で胸の腋部分を詰めていったとき下りないシャツができてしまうことがあります。3cmは残しておいたほうがよいと思われます。
また、胸の腋部分のつめの賛否ですが、これはファジーに考えたほうがよいと思われます。まったくつめないと下りるが上がらないシャツとなり、つめすぎると腕のつめすぎと呼応した場合、下りなくなることがあります。ある程度つめると、腕が下方を向くようになるのでスタートポジションがとりやすくなります。ファジーとはこうい意味です。
きついベンチプレスTシャツについて
ベンチTシャツをつめて行くと、記録が伸びて行くため究極にきついシャツを作りたくなります。筆者もきついシャツを着ています。ただ、ここには盲点がありますので、考えて行きましょう。
確かにきつければ上がるのですが、それは腕、胸がきついということです。腹は関係ありません。ベンチTシャツの効きは腕と胸との相対的なものですので両方きつくするわけです。ただし、胸はあまり詰めすぎると腕が短くなったり、腕部の負担が増大しますので、始めに腕をきつくします。これだけでも結構効くようになります。そこから胸を伸ばして行くのです。
さて、きついシャツの性質をここで述べましょう。
まずバーがコントロールしにくくなります。したがって、カスタムするときにコントロールしやすいようにつくる必要があります。挙上距離が短ければたいして問題にならないのですが、筆者の如く50cmも上げなくてはならない選手はコースがずれやすくなります。特に、胸から10cmのところが非常に下りにくいのでここをいかに落とすかがポイントになります。この点の対策はアップのときに一度胸に付けておくことがあげれれます。第一試技のときはシャツが体になじんでいないので、これをアップのときになじませてしまうのです。きついシャツは胸につきにくいのでその恐怖を取ることが大事です。しかし、今回筆者が取った方法は第一試技で様子を探るというものでした。アップでは胸まで付けなかったので上記作戦をとりました。一度胸に付ければ次は100%上がることは経験上確信がありました。なぜ、アップで付けなかったかというとあまりシャツを伸ばしたくなかったからです。今回は1本とれば優勝という楽な条件だったのでやや緩めのシャツにしました。本来なら60kg近く効くシャツを着るのですが、フィニッシュでの不安定性を考慮し、45kgぐらいしか効かないシャツででました。ゆるいので軌道がとりやすいということです。ただ、サイド補助と合わなかった為、前腕が疲労してしまい、捨て試技にして、胸だけなじまておきました。そして、第二試技に成功したわけです。上記、少し述べましたが、きつくすると、フィニッシュで傾きが出やすくなります。特に、挙上距離が長いと出やすいです。また、きついシャツを無理に下ろすと、本来の軌道より腹のほうにバーが流れてしまうので反発が出なくなります。したがって、慎重に行くあまりきついシャツにもかかわらずスタート重量を低くすると無理に下ろす結果失敗しやすくなります。今回の下村選手がこのわなにかかりました。きついシャツを着た場合の第一試技の設定は胸にバーがつく最低重量という定石を守るべきです。また、きちきちにきつくすると反発が感じられなくなることがありますが、この場合、腕または胸を3ミリ〜5ミリ緩めるといい感じの反発が出ます。