好きな書店、理想の書店

みちよ :「おはよーございまーす」
やまち :「おはよー」
みちよ :「あれ?店長は?」
やまち :「ここでみちよちゃんに問題です。店長は今何をしてるでしょう?」
みちよ :「?」
やまち :「1.ゲームをやりながら神奈ちゃんに萌え萌えしてる。2.マンガ読みながらちーちゃん先生に萌え萌えしてる。3.SS書きながら栞ちゃんに萌え萌えしてる」
みちよ :「うーん、シーズンだからなぁ。1番」
やまち :「ブブーッ。答えは4番、本屋さんに行って立ち読みしながらしのぶちゃんに萌え萌えしてる、でしたー」
みちよ :「そーいや駐車場にキューブがなかった」
やまち :「しかし店長、俺が店に来るのと入れ代わりに出てったのにまだ帰ってないんだなー」
みちよ :「てーことはもう3時間?ずいぶん萌え萌えしてるんですね」
びぜんや:「ただーいまぁ。あー、疲れた」
とおみ :「あ、店長」
びぜんや:「おはよー、とおみちゃん、みちよちゃん。悪いねやまち、遅くなっちゃって」
やまち :「いや、いいですけどね」
とおみ :「店長がお店にいたって大して役に立つわけでもないですしね」
びぜんや:「しくしくしくしく」
やまち :「しかし今日はずいぶんゆっくり買い物してたんですね。どーしたんですか?」
びぜんや:「目当ての本がなかなかなくってね。結局5件ハシゴしちまった。どうも一旦出かけてしまうと、なかなか帰る踏ん切りがつかなくてつい・・・ね」
やまち :「なるほど」
とおみ :「『鉄砲玉』ってやつですね。行ったきりで戻ってこない」
みちよ :「本なんておっきい本屋行けばみんな揃いそうなもんですけどねー」
びぜんや:「この辺じゃ建物がおっきいって言ってもCDやゲーム、レンタルビデオのスペースに割かれてるし、品ぞろえは文庫、雑誌や大手版元のコミックスばっかりで似たりよったり。結局雑誌や新刊は郊外の大型店で揃えて、マイナーなコミックはM書店とか、ハードカバーはO書店とか、成人向けはH書店ってなふうに、目的別に中堅書店を巡るようになっちまう」
みちよ :「うーん、なるほど」
びぜんや:「やっぱりこんな田舎じゃ無理とわかってても、大きい店が近所に欲しいなぁ。梅田の紀ノ國屋クラスとは言わないけど」
とおみ :「買い物という用件を果たす意味ではやっぱり大型店ですよね。最近の郊外店は品ぞろえはそこそこいいんだけど、雑誌や文庫、コミックが中心で物足りないですから」
びぜんや:「コミックが多いと言っても、正直コミック好きの人間には物足りないレベル。大手版元はともかく、エニックス、メディアワークス、竹書房と行った中堅どころになると、とたんに品ぞろえが悪くなる」
やまち :「平凡社や日本エディターズなんてどこいってもみかけないですよ」
びぜんや:「そもそもそんなマイナーな本、地元で探す方が間違い」
とおみ :「他にも新書の売り場が狭いとこが多いですよね。文芸書もベストセラーやヒット作家の国内ミステリーばっかりですし」
びぜんや:「これは仕方ないかなとも思うけど、成人向けの本が雑誌しかない店が多いのもちと寂しい。小説やマンガも置いて欲しいなと」
みちよ :「画集や写真集も置いて欲しいな」
びぜんや:「ま、せっかく広い売り場面積の郊外店作るなら、このへんにも目を配ってくれるとうれいしぞ。と」
やまち :「でなければ専門店ですね。このジャンルならこの店に行けば手に入る、と分かってる店があれば、少し遠くても買いに行きますよね」
びぜんや:「そうそう。だから、俺も東京や長野くんだりまで足を伸ばすんだよね。個人的には長野のアニメイトや神田の書泉グランデでコミック、八重洲ブックセンターで地方出版の本や紀行本をあさる、ってパターンがあるよ」
やまち :「ともあれ、理想の本屋って言うと、大きいのがやっぱり第一かな」
みちよ :「でも、本好きには本屋に行くこと自体が楽しみ、っていうところがあるから、大きいだけでゴミゴミしたところはちょっと、っていう気もしますよね」
やまち :「だねー。長野の平安堂新長野店とか、東京の八重洲ブックセンターとかのように、明るい雰囲気があるとなおいい」
とおみ :「やっぱりきれいなお店がいいですよね。ムードがあるというか」
びぜんや:「最近のお店はデザインを白一色じゃなく、ウッディ調にしたり採光に工夫したりしてるところが多く、明るく落ち着いた店が多いよね」
みちよ :「閉店した長野の平安堂南千歳店なんかきれいでしたね」
とおみ :「うん。新長野店も機能的で明るいお店だけど、南千歳の前の店もよかったわね。ホコテン側から入るとエントランス広くて。雑誌売り場と書籍売り場の間にちょっと段差があるのもいい変化になってた」
びぜんや:「あと、ここ5年ぐらい行ってないけど、川崎の駅ビルにあったお店・・・有隣堂だったかな、あそこは壁が真っ赤でインパクトあったねー。個人的には好きだったけど」
とおみ :「他にも池袋西武の書籍館も空いてればなかなか落ち着いた空気があるし、都会の店にしては広さを感じていいですね。同じ池袋のとらのあなもマニアックな品ぞろえの割りに雰囲気明るくて、けっこう好きですね」
みちよ :「東京とか大阪に出て、大きい書店に行くとやっぱり、わくわくしますよね」
やまち :「うん、いつもの書店にはない、本との出会いがあるような気がする」
びぜんや:「あんまり大き過ぎるのも考えものではあるけど。大阪・梅田の紀伊国屋なんて芋あらいのような混雑だし」
やまち :「確かに」
みちよ :「東京の八重洲ブックセンターや大阪・梅田の旭屋みたいに、何階建てにもなってる店ってなんか、わくわくしません?」
とおみ :「あ、わかるわかる」
みちよ :「大書店じゃないんですけど、小学生の頃住んでた町で、近所の本屋で二階にコミックと学参が置いてある店があったんですよ」
やまち :「うんうん」
みちよ :「小学生の頃、二階に上がるってどきどきしましたね。ひとりでマンガ買いに行くなんてめったにないことだったし、客層が中高生ばっかりで大人の世界、って感じがあったし」
びぜんや:「なるほどね」
やまち :「何階建てにもなってる店って、例えば2階はビジネス書、3階は工学、4階はノベルスとかジャンルごとに分かれてるから、その階ごとの客層によって醸し出される空気というか、濃さがありますよね。そこがいい」
びぜんや:「まぁ、さまざまなジャンルの買い物をしようと思うと、垂直移動しなきゃ行けないというのは不便でもあるけどね」
とおみ :「店長、トシだから」
びぜんや:「んなっ!?」
やまち :「設備面で言うと、最近は落ち着いて本を立ち読みできるスペースのあるお店が増えてきましたね」
とおみ :「シートとテーブルとか置いてね。立ち読みと言うより座り読み。試し読み、っていうのかな」
びぜんや:「岩手・水沢の宮脇書店の例は地元紙でも紹介されてた。まだ珍しいのかな。さっきから何度も話題になってる平安堂新長野店で試したときは、なかなか具合よかったよ」
やまち :「一歩進めて店内に喫茶コーナーがあるお店もありますよね。さすがに持ち込めるのは買った本だけですけど」
とおみ :「買った本をすぐに読みたいとか、雑誌でもめくりながらヒマつぶししたい人には絶好ですね」
びぜんや:「店内巡ってる方には、コーヒーの薫りが気になってしょうがないけど」
やまち :「あはは。確かに」
びぜんや:「個人的には居酒屋併設の書店とかあってもいいな」
とおみ :「却下。そんなお店があったら店長、夜中まで帰ってこないでしょ」
びぜんや:「う゛・・・・確かに」
みちよ :「しょーがないから、ウチのお店に本屋さん併設しちゃいましょう」
びぜんや:「おお、ナイスアイディア」
とおみ :「搬入、整理、販売、宣伝、経理・・・誰がやるんですか?」
びぜんや:「・・・・・・・・・・・・みちよちゃん」
みちよ :「え?え、え、え、え〜っと・・・・・・前言撤回します」
やまち :「匂いのハナシに戻ると、長野・佐久の蔦屋書店は元スーパーを改装したせいで、店内にベーカリーがあるんですよね。ご飯前にあそこ行くと、胃袋が刺激されて困る・・・」
とおみ :「本のついでにお昼ご飯も買っちゃうわよね」
みちよ :「便利と言えば、便利かも」
びぜんや:「匂いと言えば、仙台駅前の高山書店は魚屋の隣でなー。外の青魚の匂いとか、ばしばし店内に入ってくるんだよなー」
やまち :「わ、それは辛いかも」
とおみ :「だんだん理想の書店からハナシがずれてきた・・・」
びぜんや:「軌道修正、軌道修正」
みちよ :「理想のお店というと、やっぱり接客のいい店。印象のいいお店ってありますよね」
やまち :「うん、サービス業の基本だよね」
びぜんや:「でも、お客さんの接点という意味で考えると、書店って個性にかけるよねぇ」
とおみ :「まぁ、そうですね」
びぜんや:「制服が魅力的な書店とかあっても面白いのにな」
とおみ :「・・・・・・・・・」
やまち :「フリフリ〜のメイド服の女のコがレジやってる書店とか」
みちよ :「詰め襟の制服でぴんしゃんとした本屋とか」
びぜんや:「アロハ服で情熱的なムードを醸し出す本屋というのも楽しいかもしれないぞ」
とおみ :「どことなく同人誌イベントみたいなノリを感じるんですけど、それって」
びぜんや:「あうっ。確かに」
とおみ :「でも確かに、書店ってお店のロゴマークや配色以外に個性が感じられないとこ、多いですよね。特に郊外店」
びぜんや:「制服とか、あるいはキャラクターとかでもう少しインパクト出すとか、個性を主張してもいいかもしれないよね。」
やまち :「ファミレスとか銀行みたいな感じで」
とおみ :「ま、結局本屋なんて置いてる商品は基本的に他と同じ大量生産品なわけだから、どうしても顔のよさというか、見た目のよさ、雰囲気が印象を決める決定打になっちゃいますよねー」
びぜんや:「書店の顔と言えばロゴやデザインよりも平台だと思うんだよねー」
やまち :「そうですね」
みちよ :「平台なんてどこも同じじゃないんですか?その時の新刊やヒット作が並んでるきりだ」
びぜんや:「いやいや、その『ヒット作』の基準がその店によって違うから、比べてみるとなかなか楽しいんだよ」
とおみ :「よくお店の入り口でフェアーやってるお店がありますよね」
やまち :「アウトドアフェアとか、ホラーフェアとか、インターネット関連書フェアとか」
びぜんや:「うん、あれは足を止めちゃうよね。コミックのところでフェアやってるケースってあんまりないけど、やってみても面白いかもしれないよね」
みちよ :「夏の野球マンガフェアとか、ミステリーコミックフェアとか」
やまち :「うんうん」
びぜんや:「黒髪ヒロインフェアとか、年の差カップルフェアとか」
とおみ :「マニアック過ぎます」
みちよ :「新刊以外を並べてるスペースはその店の傾向が出てて面白いですよね」
やまち :「人気作の既刊を1巻から最新刊までずらーっとら並べてる店とか」
みちよ :「あれはつまらないですよね。見た目に迫力はあるかもしれないけど・・・」
びぜんや:「うん。やっぱりバラエティが欲しい。大型店より小型店の方が、こういうところは工夫してるよね。その店ごとの主張を見せて来るというか・・・」
やまち :「神保町の書泉グランデとか、狭いスペースでけっこうマニアックな本を平台に乗せてきますよね」
びぜんや:「京都のブックストア談もなかなか面白い品揃えしてるよね。個人的には好みに結構あってて、平台見た瞬間に『この店は期待できるぞ?』と思ったね。あと、水沢の宮脇書店もガンバってたな。宮脇は郊外店チェーンの中でもコミックスの充実に力を入れてるとこだけど、ここは平台に直角に本を並べたりしていろんな本を平台で見せようと努力してる。ちょっと見にくいけどね。個人的には新刊の時期でもないのに『ももシス』が平台にあったりしたのがポイント高かったかな」
とおみ :「普通の郊外店でも平台にポップ立てたりして工夫してると目を引きますよね」
みちよ :「うんうん。簡単な作品紹介とか書かれてると手に取っちゃいますよね」
びぜんや:「佐久の大阪屋の平台も面白い。店のサイズは小さいんだけど、『デュエルファイター刃』とか『宇宙の法則 世界の基本』とかマイナーな本を平台においていて、あなどれないんだよなー。けっこうここではジャケ買いしてる。ここで紹介した作品だと『ラブひな』とか『紅MIXすぺしゃる』とか。平台にある本が好みと合うんだよね」
やまち :「行きつけにそういうお店がある、っていうのはいいですよね」
びぜんや:「そうだね。あと平台とはちょっと違うけど、男性向けのお店に少しだけ並んでる少女マンガのラインナップも結構気になるね」
みちよ :「男性向けのお店?」
びぜんや:「アダルト本を中心に扱ってる店とか、あるいはゲーマーズみたいなグッズショップとか」
やまち :「あー、確かに少女マンガが少しだけ置かれてたりしますよね。『カードキャプターさくら』や『フルーツバスケット』あたり」
びぜんや:「そーそー。ところがアニメにもCDにもなってないような、マイナーな作品が時折一緒に並んでたりするんだな。あれが気になる」
みちよ :「密かに売れてるのかな〜とか、面白いのかな〜とか思ったりして」
びぜんや:「そうそう」

くま  :「よっ、空いてる?」
みちよ :「わっ、いらっしゃい?」
くま  :「って・・・まだみたいだな。6時開店じゃなかったっけ」
みちよ :「え、え、えっと、これには深いわけが」
とおみ :「って単に話し込んでて手が止まってただけなんだけど・・・」
くま  :「む゛ー。みちよちゃんはまだエプロンもしてないし。テーブルにはメニューも出てないし。厨房には火がないし。突き出しも作りかけ・・・」
びぜんや:「みちよちゃん、とりあえずカウンター拭いてビール」
やまち :「KUMAさん、とりあえずおしんこと刺身でいいですか?」
くま  :「ま、とりあえず何でもいいけどね」
びぜんや:「うーむ、理想の居酒屋への道は遠い」
くま  :「ちゅうか、普通の居酒屋への道も遠いじゃん」